Break throughというのがある。今までと次元の違う体験をすることであるがこれはいろんな領域であるな。アルコールにおける僕のブレイクスルーは研修医で夜遅くなった時、医局で同僚と飲んだヘネシーであった。プラスティックの湯飲み茶碗で、水に割って飲んだのだが(これおいしいねんで、と彼がジャブジャブと豪勢についでくれた。僕は大体ブランディなんか飲んだことがなかったのだ)、本当に水のように飲めた。こんな酒があるのかーと思ってから二十年以上毎晩飲むことになる。
音楽におけるブレイクスルーのひとつがシカゴ(正確にはそれにトランシット・オーソリティーがつく)の「イントロダクション」、最初のブラスのユニゾンである。高校の時通っていたレコード屋の兄ちゃんがこれええんちゃう、といって聴かせてくれた。一発でいかれてしまい、以後ブラスロックを聴きあさることになる。
このデビューしたてのシカゴはバリバリと音がしそうなくらい左翼学生活動家の雰囲気を漂わせていた。デモのシュプレッヒコールにかぶせてイントロが始まる「流血の日」が典型だが、内ジャケットのメンバーの写真も初々しい学生そのものだ。ともかく気迫と情熱にあふれている。最近のシカゴ(というかもうずいぶん前からだが)を聴くと、たくさんの水が橋の下を流れましたね・・・と思わずつぶやきたくなるが、時の流れには逆らえない・・・のか?逆らえよ!
久しぶりにシカゴのデビューアルバムを聴いて感動したので書いてしまった。初心忘るるべからず。安定なんかぶっ潰せ!
中古で探してね