次の患者さんを診ようとして前回の電子カルテを眺めると「17年飼っていた愛犬が死んで落ち込んでいる」と書いてあった。そうだった。Nさんは1ヶ月前それで元気がなかったのである。
「少し元気になりました?」 「あきませんわー、今でも思い出して」と、もう少し涙ぐんでいる。火葬しお骨を仏壇に飾り、気持ちの上では納得していても他の犬が元気に走っているのを見ると、心がじんわりと重くなってくる。
「しかたないよなー、17年もいると」 「そうですわ。でもね、私いつか生まれ変わってくると信じてるんです。」 「・・・?」 「いつかよう似た顔で、かわいい男の子が近くに来たら、ああ、あの子や、と判る気がするんです。それを楽しみにしようと思って」
江國香織氏の作品に「デューク」という有名な話がある。亡くなった犬が少年に生まれ変わり、飼い主の少女に会いにくるという話である。こう書くとふーんって程度の感じだけど、これはねー、泣くよ。すごく素敵である。 短編集の中の話だが、これだけ独立して素敵な挿絵をつけて1冊の本として出版されたくらいである。 犬を飼った人なら誰でも泣く。 Nさんは多分「デューク」のことは知らないと思う。でも犬好きの人なら同じようなことを考えるのだと思った。
僕の愛犬も11歳だ。中型犬だし後何10年も生きる訳ではない。前ほど走らなくなってきたし。
亡くなったりしたら絶対いやだなと思っているが、生まれ変わるとしたら少し心が休まる。ある時街で憂い顔の美少女を見つける。横顔が誰かに似ている。思い出せない。向こうから嬉しそうに寄ってくる。何故?知り合いらしいが記憶がない。失礼のないように、思い出そうとして少し一緒に歩く。誰かがアイスクリームを食べているのを見ると急に彼女はやたら反応する。近寄っていこうとする。おいおい、ちょっとみっともない。犬顔の人とすれ違うと寄っていこうとしたり、極端に避けたり。道端の花を見ると匂いを嗅いでいたかと思うと急にかぶりつく。 「えー・・・・、あっ!」
ということになると人生は楽しい。 そして僕も何かに生まれ変わる。あなたの飼っている猫がゴルフ番組の時だけテレビに興味を示したり、70年代のロックミュージックがラジオから流れた時だけ楽しそうな顔をしたら・・・あやしい。
お久しぶりに、こんばんは。
実家にも犬が居て、数年前に・・・
16年くらいだったかな。。。
最後は安楽死を選択するしかなく、たまたま会いに行くことが出来ました。
「デューク」良さ気ですね。
今、読んでいる本が終わったら。。。かな~
今は「OHANA」ハワイ語で「家族」です。
著者は「塩沢淳子」さん。
難病「DRPLA」と戦っている家族のお話です。
これも泣けてしまって1日3ページくらいしか読めないのです、、、
こんばんは。
江國香織さんのデューク、私も読みました。
江國さんの本には,温かい陽だまりの中にいるような居心地の良さを感じます。大好きな作家さんのひとりです(^^)
患者様と会話をする時、した後にも江國さんの言葉は、頭の中に転がり込んで来てくれます。笑
私の愛犬は9歳です。
彼はお経にとても反応します。
まさか・・・!!笑
夏海様
コメント有難うございます。「デューク」は是非!
どんどん読めちゃう本と、なにかつらくて読み続けないという、ほんとに気に入ってる本には2種類あるように思います。
こういった本は必ず再読すると得ることが多いと思います。
「OHANA」僕も読んでみます。
yuriさま、コメント有難うございます。
彼はねー、絶対元坊主ですぜ。
江國香織さんは、気に入っているいろいろな詩を編集された本を出されていて(本の名前は「スミレの花の砂糖づけ」でした)、かなり気に入っています。女性作家はいい人が多くて、彼女以外だと川上弘美、山田詠美、倉橋由美子というとこらへんが自分の中の4強です。
お時間があればお読みくださいね。