トゥルーへの手紙

 「トゥルーへの手紙」を見た。監督はブルース・ウェバー氏。

 もともとはファッションカメラマンで、マッチョな男の子がカルバンクラインのパンツ(下着ね)をはいている白黒の広告写真は多分あなたも見たことがあるだろう。他にもラルフローレンとかいっぱいあるが、どれを見てもブルース・ウェバー!とすぐ気が付く個性の確立した人です。映画を4本ばかり監督していて、最初の作品である「レッツ・ゲット・ロスト」を僕は公開時に大阪の南、キリン会館だったかな、今もあるかわからないが小さなホールで見た。観客は4人で一人は途中で出て行った。大阪において文化は果てている、とその時僕は思った。

 その映画を見たという人に出会ったのは、昔勤務していた病院の近くにあったバーで、ホモっぽいマスターとチェット・ベイカーの話をしていて(彼もジャズマニアだったのだ)、彼も同じ場所で観客2人と見たという話を聞いた時だ。

 「最高でしたよね!」

 この映画はトランぺッター、チェット・ベイカー氏の記録映画です。最高です。この映画のDVDがないか捜していた時に(結局なかった・・・)「トゥルーへの手紙」が安く手に入ることが分かったので購入。ブルース・ウェバー氏がこの映画を作ったのは知っていた。しかし多くの記事は彼の愛犬トゥルーとの交歓を描いているみたいな印象だったので、あんまり食指が湧かなかった。犬の映画って日本のやつってお涙頂戴で本当につまらないじゃん。何考えて作ってんだろう。あのブルース・ウェバーがそんなことをするはずがないと信じ、値段の安さに購入したのですが・・・・・・・・・・

 全然違うじゃん!!なに考えて宣伝してんだ!この映画は回想と反戦の映画です。人間のバカさ、哀れさが、トゥルーへブルースが手紙を書くという形で綴られていく、きわめて私的な映画。DVDには「すべての愛犬家に送る愛と感動の物語」と書いてありますが、これは全然違うだろー、ブルース・ウェバー氏の9・11以降の心の旅路をきわめて美的に表現した映画じゃないか。

 まぁ宣伝にあきれるのはこれくらいにして、これは本当に素晴らしいです。映像の美しさ、音楽のすごさは傑出。そして今過ごしてる日本と全然違う、アメリカ的といえばそうだけど違う文化、風土の頼もしい、美しい、いい部分に触れることができます。   

 いやー、本当にいい。感動。とっても良かったと心の底から言える。大好き。でもトゥルーより僕の愛犬の方が可愛い(犬好きならみんなそうね)。

トゥルーは鍼灸も受けてました。

 

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