昨日の土曜日は外来終了後、済生会野江病院の主宰する「大阪市東部地域医療連携:脳卒中ミーティング」に行った。最近ジジイになったので座長を頼まれることが多い。でサボるわけにはいかないのね。
座長というのは講演とか勉強会の司会役で場を盛り上げる役割であります。この日のお題の一つはくも膜下出血で、これは僕も興味がある疾患(興味がないのもあんのか?いや、ありません)で、実際の手術中のビデオも拝見でき大変面白かった。
突然発症する今まで経験したことのない頭痛!というのがくも膜下出血の典型なのだが、実際の臨床はそうでないケースも多く、しかも確定診断に不可欠なCTの読影も結構難しい例が多く、くも膜下出血は医者にとっての「地雷疾患」(気がつかないうちに踏んでエライことになる)の東の横綱と思う。西は急性の大動脈疾患(解離性大動脈瘤が代表ね)かね。
Walk in SAHといって典型的な症状を示さず歩いて平気な顔で外来にやってくるくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)の診断はかなり難しい。外来の椅子に座っているときに突然意識消失とか、CTでOKと思っていたら3日後に救急搬送とか、脳外科の先生は多かれ少なかれヒヤリとした経験をお持ちと思う。
僕はWalk in SAH を経験したことがないが、これは知らないだけで、患者さんやご家族に教えていただいてないだけかもしれない。恐ろしい・・・。
くも膜下出血を疑っていい場合。
①まず全例が、軽重はともかく今までで一番痛かった!とのこと。 ②多くは突然発症。何時何分に急に痛くなったとわかる。 ③何時間か持続するのが普通。軽快しても何となく調子が悪い。 ④吐いたりすることも多く消化器疾患と間違われることも多い。 ⑤家族歴があり、身内にくも膜下出血の人がいた場合は注意する。
軽い警告出血というのもあり、その数日後に本格的に破れる。本当に診断が難しいのだ。日本の統計で、神経の専門医以外が診断した場合の誤診率、見落としは、25から50%(ひえーーー)というデータがある。
まともかく、この頭痛はちょっと今まで経験したことないな、急に始まったし、という場合は躊躇なく受診を。命に係わるからね。そして高血圧、喫煙が2大リスクファクターです。タバコはホントにやめましょう。
脳卒中センター部長の河野勝彦先生、副部長の河野隆一先生、地域医療連携課課長の竹内さん、有意義な会を有り難うございました。この若い二人の先生は非常に前向きな情熱を感じさせてくださり、とても明るい気持ちになりました。すぐ電話します。