14番目の月

 この前外来で、ある患者さんに「何をしているときが一番楽しいですか?」と尋ねた。特に医療的な意図があるわけでなく、近しいのでやや世間話的に。彼の答えは「ゴルフをしている時・・・いや、行く前!」であった。

 前!・・・しぶいね!

 ユーミンの「14番目の月」である。何でも実現の前、実行の前の想像の時間が一番甘美なのだろうか。

 旅行はわりと典型的ね。このブログでも「イマジナリィ・トラベラー」というタイトルで空想上の旅が一番楽しいのではと書いた記憶があるが、行く前のプラン作成時が実は一番ワクワクの時で、南の島に行ったら暑いわ、蚊は多いわ、約束どおりに飛行機は来ないわと、結構トラブル続出だったりする。経験あるでしょう?

 僕はゲームに全く興味がないのだが、ロールプレイングゲームにはまる人って、似た感覚なのかもしれない。想像上の世界のほうがわずらわしいことは無く、新奇な経験に満ち溢れている。最近ネット上で別人格になって第2の現実世界を生きるのが流行っているが、リアルより仮想が楽しいとわかっちゃっているのかな。でもこれは「前!」のニュアンスではない。「別!」だ。想像に引き続き現実が出現しないと意味ないからだ。

 実際に実現しちゃうと思ってたよりつまらない。ゴルフでもなんでも、下手な時のほうが楽しいよ、と上手な人がよく言うが、まあそういうことなんでしょう。サイバーエージェントの藤田社長が「実際にお金持ちになって、おいしい食事も、お酒も飲めるようになってみると、最近詰まらなくなってきました」と話していた。まあなんて人間て我儘なんでしょう。

 でもね、これの特効薬がある。知りたい?

 それは一生かかっても実現しないかもしれないが、数ミリの単位で出来ちゃうかもしれない目標、夢を持つことである。一生追い求める。一生14番目の月だ。これは楽しめるぜ。

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次の夜からぁー、欠ける満月より♪

14番目の月」への2件のフィードバック

  1. あるく

    僕も雑誌「じゃらん」を読んでるときが一番楽しいです。いまじゃ、インターネットなど眺めながら、「このプランとこのプランどう違うん・・」とか、「写真は4人前!って分かりにくいわ」とかあれこれ独り言。
    うん、こういう媒体ってどれだけ、空想・想像をかきたてるかがポイントだとつくづく思います。
    デイにも「明日、デイと本人に伝えると大変で」と、とても楽しみにそわそわしてくださる御利用者様もおられるようで、、、お怪我などされなけらばよいのですが、ウキウキ(死語?)してくださるのは、遠足前夜のようで、僕達も素直に嬉しい限りです。

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  2. 着ぐるみ院長

    あるく君、コメント、サンキュウー!
    デイもご利用者さんにとっては非日常空間、旅行みたいなものかもしれませんね。君たちは添乗員。これからもウキウキ(死語なのか…)の時間を過ごしていただけるよう、名ガイドよろしく!

    返信

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