自分しか、いないんだ

 晩御飯を食べて頭脳活動停止状態でボーとしていると、テレビがNHKの「プロフェッショナル/仕事の流儀」を映し出した。これって「情熱大陸」(この番組は僕の中高の同級生K君が立ち上げたのである、素晴らしい)のマネじゃないの、と思いながらボーと見ていると、ジャニーズ系のハンサムな獣医師の話らしい。

 斉藤慶輔氏は野生動物専門の獣医である。特に猛禽類が得意らしい。鷲とかミミズクとか日頃眼にすることの無い野生の猛禽類は電線にひっかかったり電車にぶつかったりと、結構気の毒なアクシデントが多く、そういった患者さん(?)が彼の元に運び込まれてくる。

 その治療法に多くは教科書が無い。彼オリジナルの治療法で沢山の動物を手術し治療してきた。「野のものは野に返す」という信念が彼を動かしているのである。
 そして彼を支えているのは「自分しか、いないんだ」という思いだと言う。

 「自分しか、いないんだ」  これがテロップで流れたとき、僕の停止した頭脳に突然閃光が走った。

 こんな気持ちで仕事をしている医者がどれくらいいようか?

 チーム医療の時代です。そのとおり。自分の手に余ると思ったときは可能な施設に送るのは当然の処置だしそうすべきだと思う。僕でなくても誰かがいる。でもそれで半透明な逃げ道を作っていないか?

 医者だけでなく仕事をするすべての人たち、仕事というか生活するすべての人間に当てはまる。僕だけが、私だけが、という強い責任感を持つのがしんどくて誰かが何とかしてくれると気持ちが拡散していない?何かあっても後ろへ放り投げれば誰かがキャッチしてくれると甘えてないか?

 「自分しか、いないんだ」と腹をくくると少し世界が変わって見えるに違いないと思う。

 僕としてはピースマークのようにニコニコしながらそう腹をくくりたい。

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That is him!

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