リアル

 

引越しでクリニックの整理をしていると、「リアル」の第4巻が出てきた。ここにあったのかい・・・。捜してたんだよ。でもよかった。

 

「リアル」は「スラムダンク」の井上雄彦氏が描く車椅子バスケットがテーマのコミックである。週刊誌に不定期連載されていて、かなり間隔を置いてまとめて1巻として出版される。いままで7巻まで出ているのかな。見つけるとすぐ買う。

 

僕はあまり漫画を読まない。しかしすごく好きなコミックスは今まで何冊かあった。高校生の時、真崎守氏の「ジロがゆく」、そして宮谷一彦氏の「俺たちの季節」「ジャンピンジャックフラッシュ」は何度読み返したか判らない。二人ともすごく才能のあった人だがいつの間にか書かなくなってしまった。宮谷一彦氏は海外在住でネットで作品を送られているそうだが僕はそこまでコアなファンではない。

 

今の僕にとって最高は「スラムダンク」。そしてこの「リアル」である。

井上雄彦氏は絵もすばらしいが(「バガボンド」は毛筆で描いていて、今彼以上に描ける日本画家は現在日本にいないとさる大家が述べられているのを読んだことがある)、その台詞は傑出している。

 

20歳で死ぬと判っている難病(筋萎縮性側索硬化症?)に罹患している少年に車椅子バスケットを誘われた主人公(彼は100m走の選手で全日本的に早い中学生だったのだが骨肉腫のため足を切断し生きる目的が判らなくなっている)は、彼に何故死ぬとわかっているのにそんなに強いのだと、こんなことを訊いてもいいのかと自問しながらも尋ねる。

 

戸川君、ジェットコースーターに乗ったことある?

あれって実際乗ってる時間はほんの何分かでしょう?だからってあれに乗っている最中に、後何分しかない、後何秒で終わっちゃうってそんなことばかり考えていたら何のために乗ったかわかんないよね。

何のために生まれてきたかわかんないじゃん。

そんなヒマないよ。

 

主人公、戸川清春がはじめて車椅子バスケ用のチューンされた車椅子に乗るシーン、心の中で「僕は また スポーツができるかな」と静かに思うシーンで不覚にも眼が潤むのである。自分でも驚く。僕の涙腺を弛ませる文学作品はあんまりあったことない。

 

「スラムダンク」も何回読んでもうっ、とくるのである。老化とは思いたくねぇ。むしろこれは僕の感受性の測定器みたいなものだ。  

ジジイになっても読むぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

 

 

 

 

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