真夏の夜の夢

 木曜日の午後診の受付は午後5時まで。で診察終了後はパワーリハビリテーションを3セットとウォーキングマシーンで時速5kmほどの歩行を30分、その後ポジティブライフ君にストレッチをやってもらってスッキリしてから帰るのが最近の習慣だ。

 

 車に乗ったら初夏の夕暮れが美しい。風も甘い。パワーリハのように、しんど過ぎない運動をすると脳内のβエンドルフィンがぐわーと増えているのが実感としてわかる。過度の激しい運動はむしろ身体を損なう。プロの競技じゃないのだからボディコンディショニングにはこの程度が最適だ。これを週3日、これからずーと続けていけば死なないんじゃないかと思う。

 

 こんな夕暮れ時は昔見た夢を思い出す。

 

 一時僕はあんまり楽しい甘美な夢が続くので毎晩眠るのが楽しみで楽しみで、という信じられない季節があった。いや実にたわいなく、ある夢はあまりにもおいしいケーキを食べて、あぁ幸せだと思って眼が覚めるという、こうやって書くも恥ずかしいような庶民的な幸せなのですが(しかも小学生の時じゃなくて立派な社会人のとき)、そのシリーズの一つが、夏の夕暮れの甘美な風の香りを感じると蘇ってくるのであります。

 

 僕は病院の研修医よりちょっと上というくらいのポジションなのですが、今から飲み会がある。夕暮れ時で爽やかで場所は中ノ島辺りかな。川が流れていてクラシカルな建物があって、緑が大阪にしては多い。サマードレスのきれいな会社帰りの女性が沢山歩いている。楽しそうなおっさん達もいる。今夜の飲み会はまだそれほど親しくないのだけど今夜辺りを契機にしてすごく親しくなるであろう予感を確信的にたたえた綺麗な女の子が来ることになっている。あっ、少し遅いな。急がなくっちゃ。風が心地よく甘い香りが漂っている。どこからかテナーサックスの物憂い音が聞こえてくる。

 

・・・というようなシチュエーションの夢なのです。あまりにリアルで眼が醒めた時、あっ、どうなったんだっけ、と夢であることがわからなかったのだが、身体がけだるいような、甘美な記憶だけが残っていたのである。

 

 いや、ささやかですね。でも脳みそがβエンドルフィン飽和状態になっている溶液に浮かんでいるような、強烈に甘美な感触があったのです。こういう夢はかなり久しく見てない。夢は記憶の再構築のとき見るという説もあり、現実の何かを反映していると僕は思うのですが、甘美な夢が見れるような甘美な現実をおくることは出来ないか。

 

 とりあえず今晩の夢は甘いものであるようお祈りして寝よう。

 

生なら明るく、死ならすばやく、そして人生は甘美に

 

 

 

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