旅はバーチャルに限る。これがなんとなく最近の結論になっていたのですが(実際に行ってみるとあんまり快適じゃないことも多く、行くまでいろいろ想像しているのが一番楽しいのでは、ということね)、実はここ2日ばかり休みで久し振りに海を見ていると、やっぱり実際に行かなくては話にならんな、という気にしみじみなってきました。
海はいいなぁー(お前は加山雄三か!)。僕は魚座なのですが、どうも昔から水と相性がいいような気がします。
もう何十年も前ですが、4級船舶免許を取りに行きました。一緒に受講したのは釣り雑誌のライターが必要にかられてとか、とにかく釣りがらみの人が多かったのですが、一人洋装品店を経営しているおっちゃんがいて、彼は小さなクルーザーを持っていました。
どういうわけか可愛がってくれて、免許を取った後もよくクルーザーに乗りに誘ってくれました。僕はクルーザーもですが、彼のなんとなく色気のある娘さんに惹かれてホイホイ行っていたのですが(まっ、何も無かったけどさぁ)、ある時二人きりになったときに彼がしみじみ言いました。
「あんなぁ、池岡君。俺はなぁ、時々夜一人でクルーザーに乗りに来るんや。海に出るわけちゃうで。係留してプカプカ浮いているこれや。せやけどな、こうやって海を見ていると心がほっとするんや。何というか、毎日生きているとせせこましくて息が詰まるような気になってくるやろ。せやからな、絶対に広さがいるんや。広いものを見ているとほっとするんや。君にはまだ分からんかもしれんけどな」
わかるって。
しかし今のほうがよく分かる。
で、思ったのですが、広さというのは想像では分からないのですね。
実際に触れないと広さというのは納得できないのです。海の大きさはバーチャルでは分からない。
海の広さを感じるために旅にでる必要があるな。