ある時、ふと自分の手が眼に入る。手背にしみが出ている。うーん、ふけた手だなぁー。
年は手にでる。そんなことは女性ならとっくにご存知だ。女性が気になる男性の身体パーツというアンケートで結構上位に来るのが「手」である。髪とか胸板とか、単純なパーツには結構手をかける男も手は案外気にしてなかったりする。
そんなことで思い出すのは、某生命保険会社で売り上げナンバーワンの男である。保険審査の際に医者の診察が必要だが、僕はその保険会社の嘱託医をしている関係で何度か会った。ある時偶然に彼が非常に優秀で(対応を見ていて十分できると思っていたが)、会社からの報償として年に一度は必ず外国へ長期のバカンスに行っていたり(今でもそんなことやってるのだろうか)なかなか優雅な暮らしをしているのを知った。
ある時彼の手がとても美しいのに気がついた。
ほっそりとして爪の形がよく、色艶よく優雅ですべすべしていた。
「君ってきれいな手してるねー」
「えっ、・・・・気がつきました?僕ね、エステ行ってるんです。実はうちの家内がアメリカ人で、人に会う仕事してるんだったらきれいじゃなきゃだめだと言われて行くようになったんです」
10年近く前の話だ。男がエステに行くなんてほとんど概念さえなかった。
彼は皮膚の色艶をきれいにすること、特に手は大事なんです、と言った。
「案外目に付くんですよ」
そうだったか。今書いていて思い出した。手が大事ってその時から実は知っていたんだな。何で実行しなかったのか。
彼は決してハンサムな男ではなかったが、非常に清潔感があった。そして大変よく気が回った。手にまで気を使う男が鈍感なわけが無い。
手は脳の一部であり、脳をボケさせないためには手を使えというのは常識だ。その手を美しく保つことは、つまり脳、精神を美しく保つことなんじゃないかな。
今日から実行。やり方は女性が詳しいから訊いてください。