月別アーカイブ: 2008年6月

東京ナイト

 抗加齢医学会に行ってきました。患者さんにも協力していただいた「高齢女性に対するマルチビタミンの効果」が演題に採択され、久し振りの学会発表でござんす。

 金曜午前中で診察を切り上げ新幹線で東京へ。夕方発表し、その夜共同研究者であり今回大変お世話になったヘルシーパスのT社長(大変高品質のサプリメントを作っておられます)、抗加齢医学会の理事であり、抗加齢クリニックの先駆者の一人である敬愛するT先生ご一行と打ち上げということで食事会。で、始発の新幹線に乗り帰って来ました。後はいつも通りの外来です。ねむてー。

 T先生は僕より3歳ほど年上ですが、お会いするたびその活力に感嘆します。よく勉強し知識量も並大抵ではないですが、人生に対する指針というか、何のために仕事をしどのように生きていくか、ちゃんと考えていてぶれない。
 
 今、県の医師会理事で以前よりまたお忙しいですが、「いや、割と楽しんでやってるよ」とニコニコされながら話されます。ずっとスケールの小さい区の医師会理事でも僕はとてもこれは自分のことが出来ないと感じたのですから、今のご時勢の県医師会理事は本当に大変です。土、日はほとんど無いと話されていましたが、本当にタフです。

 T先生はオリジナルのサプリメントをT社長にお願いして作っていただいているそうです。採血して不足している分を調べ補う、その他抗酸化作用や脳循環にいいサプリメントなど希望を話されて自分用に調合していただいたそうで、オーダーメイドサプリです。内容を聞くとすごーく効きそうです。ご本人もかなりいいと思う、と話されていました。君も作れと言われたのですが、お値段が・・・

 タフな生活を乗り切るには①睡眠(7時間、足らないときはクイックな昼寝)②食べたいものを食べ過ぎずおいしく食べる③定期的な運動(ゴルフが大変お上手です)④好きなように仕事をする⑤好きなように遊ぶ⑥そしてサプリメント、といった感じですね、T先生を見ていると。時間の使い方がうまいです。

 お顔もツヤツヤされておられ、なにか近くにいるといいことがあるんじゃないかなーという気にさせてくださいます。これが大事ですよね。僕のモットーの一つに「やたら機嫌のいい医者」というのがあるのですが、T先生を見習って僕も目指したい。

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いいサプリメントを探されている方は私にご連絡を

 

介護ロボ

 今日ニュースで「介護ロボット」の特集があった。ロボットといえばホンダの「アシモ」君が有名だが、自動車産業は製造過程でかなりロボットを使用しており(人間の形をしているわけじゃないよ)開発に熱心なのだ。で、トヨタ製のロボットも紹介されていたが、多くの人間型ロボットの主として考えられている活躍先は介護領域なのである。

 介護業界はかなり厳しい状況にある。財政縮小の方針にのっとり、年々介護を受ける人間は増えているのに介護保険からの支出金額は減少を続けているのである!  どういうことだ?  介護保険料を徴収しても出さないのである。足らなくなるからという論理で。介護を必要とする人が十分な介護を受けられなくなっているのである。

 介護を提供する方にしても介護報酬が年々減少を続けており、今多くの事業所が閉鎖したり縮小したりしている。働く人たちの報酬は十分でなく、仕事は限りなく厳しい。離職率は非常に高く多くの人が2年で職場を変えるが、それで条件が良くなっているわけではない。

 「切り札が介護ロボットです!」とアナウンサーが言う。おいおい、そんな訳ないだろー。介護はヒューマンタッチが切り札なのだ。

 ロボットの活躍する場は沢山あると思う。人間にきつい重労働を変わりにやってもらえたらそれは素晴らしい(滅茶苦茶値段が高いだろうから何時現実になるのか分からないけど)。だけど苦労を想像したり、一緒に過去を懐かしんだり、冗談を言ったりするのは人間だけなのである。

 外国の労働力を今年から導入するという。国際化という意味ではそれは結構。だけどいかにもその場しのぎである。今そこで実際に働いている人間の苦労を考えないで代替案をもってくる。  世界でダントツ1番の公共事業費はどうなっているのだ!?  持ってくるお金は何ぼでもあると思うぞ。働く人間の条件を何とかして良くするよう考えるのが先ではないの?

 国の骨幹は医療福祉と教育だと思います。今両方とも結構致命的なくらいボロボロだ。  そこに人間に対する愛がないからだ。  政治家とか官僚はお金と同じくらいロボットが好きなのね、きっと。
 

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重労働から走って逃げるロボット!

 

放映その後

 「ニューススクランブル」で当院のパワーリハビリテーションの様子が放映されてから50件以上のお問い合わせがあり、実際に体験された方が20人近く、そのうちの8割の方が実際のスタートとなりました。

 外来パワーリハを見送った方は全員アクセスの問題で、もう少し近かったらなぁと本当に残念そうにされておられましたが、実際ご利用が決定した方も、最長は京都、最短でも阿倍野区とかなり遠い。これだけの距離でも来られる熱意に本当に応えたいと思います。

 利用される方は安全性の面からも僕が1度外来で診察するのですが、遠くから来られる方は本当にガッツがある。何とか生活を少しでも快適にしたいと強い意志をお持ちです。それとともに、それに応える手段が近くになかったのだろうかと少し複雑な気持ちになります。急性期のりハビリテーション技術はすすんでいますが、本当に必要な慢性期のリハビリテーションは医療保険も適応されず、条件的に必要としている人に合うことの少ない介護保険での利用に丸投げというのはいかんだろー(当院の外来パワーリハは自費です。当院のデイサービスでも介護保険でやっていますが)。

 今日膝が悪くてと来られた老婦人は、杖を突いていて背中が曲がり、身体が完全に前傾していました。これは歩きにくいし膝も痛めます。背筋を伸ばして顔を上げ、手を振って歩いていただくと、杖無しでスタスタ歩けるのです。ちょっとフォームを変えるだけで歩けた!と驚いておられました。パワーリハで全身の筋肉を使うようにトレーニングすると、間違いなく杖無しで早く歩けるようになると思います。体重も減るし。

 こんな簡単なことも誰からも指導されず、ずーと我慢されていたのかと思うとなんともいえない気持ちになる。

 パワーリハを使う、使わないに限らず、ご高齢の方の運動能力、移動能力は(これらは寿命に関係が深い)今より良くなる可能性が高いと思っています。お役に立てるかどうか分かりませんが、ご遠慮なく相談してください。出来る限り有効な方法を考えていきたいと思います。

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魔法の器械じゃなく、全身の筋肉をくまなく使うための単なるツールである

福島慶道管長

 神戸であった第7回パワーリハビリテーション学術大会が終わりました。一応大会副会長であり(何にもしなかったけど)本当にほっとした。兵庫支部、大阪支部のお手伝いくださったスタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。

 パワーリハはある意味成熟段階に入り、以前のこんなことも出来るあれにも有効というバブル期は過ぎました。ゆえに学会に発表できるネタが意欲のある施設しか見出せなくなっているので、必然的に演題数としては少なくなってくる。ここからがパワーリハ研究会がどのように発展していくか勝負でしょう。

 うちのスタッフが発表してくれた3題は贔屓目じゃなくてこれからの発展、方向性を示唆するいい演題だったと思います。来年に向けてどのような形でパワーリハに関わっていくか、参加してくれたS君、T君、M嬢、O嬢とも何かを感じているようなので大いに期待しちゃおう。

 今日は市民公開講座がありましたが、やはり臨済宗東福寺派管長、福島慶道氏のパワーリハの経験談が圧巻でした。

 東福寺は禅の総本山で、福島管長は毎年アメリカに渡り、アメリカ市民、学生と対話して禅を広められています。管長のパーキンソン病は日により症状にかなり波があり、時に話すことも難しいことがあるのですが、今日も京都から来られてお疲れのようで、若い雲水さんがフレーズごとに言葉を補われておられました。

 発病歴を西暦もきちんと交えて述べられ、パワーリハは自分にとって大変有効で今も続けていることなど話され、講話に移りました。

 「アメリカで話をしていると、良問愚問いろいろ質問されます。印象に残っている質問がありました。宗教学部の学生さんが人間にとってなぜ宗教が必要かと尋ねられたのです。

 いい質問ですが答えは単純です。それは人間は元来非宗教的なものだからです。非宗教的とは我のことです。我があると方々にご迷惑をお掛けする。我をなくし、皆さんのことを思いやるのが慈悲です。

 私は病気をしたことで慈悲が増し人間的に大きくなった気がします。病気になってもそう思うと立ち向かう元気が出てきます。私にとってパワーリハはとてもよく効いた。やった後は爽快になります。」

 時々冗談も交えながら15分ほど話されました。会場は管長さんが登場した瞬間から空気が変わった。必ずしも体調が良い様に見えない管長さんが少しづつ話されるのを皆さん息を詰めて聴いておられました。  本当に後光が射していたのである。

 「今日はこんなところで」と話を終わられたとき、本当に僕にはこみ上げて来るものがあったのです。よくテレビで女性タレントが「泣きました」なんていっているのを聞くと「そんなわけないだろ」と思っていたのですが、管長さんを見、お話を聞いていると本当に少し涙が・・・僕はどうなったのだろう?

 
 会場にはニューススクランブル(管長さんも取材された)でもお世話になったYディレクターも来られていました。なんと責任感の強い人だろう。皆さん、テレビは読売テレビですよー、いいですね。

 Yディレクターと福島管長のご健康を心よりお祈りしました。

 今度京都に行ったら東福寺に行ってみよう。

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皆さん、我は捨てましょうね(まず自分からな!)