「800」を再読する。
後書きを書いている江國香織氏のことばが一番ストレートに読んだ気分を表現している。「はじめて読んだときのことは忘れられない。ほんとうに興奮し、熱がでたみたいな気持ちになった」これは本当にそうなのよ。僕もおんなじ気分になった。再読してよけいにその気分が強い。
800は800メートル走のこと。高校1年生の二人の対照的なランナーを中心に彼らを取り巻く女性たちや社会が関わってくるのだが、ともかく登場人物魅力あり過ぎ。これはよくあるスポーツ根性物でも感動篇でもない。全然違う。裕福でクールな広瀬君と、ストリートワイズに溢れるパワフルな中沢君にからむ女性たち(高校1年生がこんなことでいいのでしょうかと思わず羨ましく、いや、立派と感心しました)とスポーツの官能の話なのですが、なんというか奇跡的なくらい魅力的だと思います。展開も完璧。著者である川島誠氏の本をその後何冊か読んだのですが、「800」がいかに突出しているか確認することになりました、残念だけど。
また江國氏の後書きから。
「この小説がこうまで完璧なのは・・・」「どう考えても傑作だと思った」「どうして?最初に読んだとき、強くそう思った。どうしてこんな小説が書けるの?」「詩的で官能的で奇跡的で機能的」・・・さすが作家だなぁ。その通りです。
僕はこの小説を読んで、「なっ、ええやろ、かっこよすぎるやろ!」と言いあいたい人が欲しくてこれを書きました。映画の「ディアー・ドクター」以来のことです。時々本を好きでよかったなぁと思える本が現れます。こいつはパワフルにやってくれました。僕の永久欠番です。そしてできるなら「800・・・5年後」を読みたい。「スラムダンク」だってその後のみんなの1日をすごく素敵な形で見せてくれました(知ってる?)。期待してます!川島誠先生!
中身はずーーといいぞ。