金木犀とコカ・コーラ

 今日はチッタカと草原を走り回った。1か月ほど前は3リットルくらい水分を取った気がするが、今日はせいぜい500cc位である。変わるもんだ。空には夏の残り香があるが。

 金木犀の香りがする。なぜか気が遠くなる。

 金木犀は遠い記憶の香りがする。小学生の頃の遠足の匂い。何か保護されている頃の、タフな人生にあう前の幸福の匂い。

 一瞬遠い記憶を探っていると、同伴者が言った。「俺、コーラ好きやねん。」

 僕より5つも上のおっさんであるが、今だに毎日コカ・コーラを飲んでいる故。ビールも好きだがそれより好き。ペプシはだめで、ダイエット・コークもダメ。昔ながらのコカ・コーラがベスト。

 「コーラ飲むと頭がスッとする」「それ依存でしょう」「中毒なの?」「中毒です。」

 僕も小学校の頃、夏の盛りは学校から帰ると汗も拭かないで冷蔵庫を開け、コカ・コーラのホームサイズをラッパ飲みしていた。快楽であった。しかし子ども心にもこれは体に悪いのではないかと疑念があり、その頃「コーラは歯を溶かす」という説が流布したこともあり、冷蔵庫からホームサイズは消えた。

 「糖分多いですしね。カフェインも入ってるし、それでスッキリするんじゃない。まああんまり大量にはお飲みにならないほうが・・・」「そうかー。うーん、つらいなぁ」「・・・依存だ」

 と言いながらも、つい自動販売機で一緒にコークを買ってしまう私。本当に久しぶりに飲んだコーラは記憶より甘美な味ではなかった。生理に訴えるところまでいかず、設計図がみえるような気がした。

 なんでも甘美な記憶のままでほっておくのが正解なんだろうな。

この瓶のやつは飲みたい。

 

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