好きだったのに

今日外来に、僕が禁酒を勧めた患者さんが来た。彼は高血圧、脂肪肝、痛風と、アルコールが原因の疾病を複数持っており、投薬とともに一番大事なのはアルコール量を減らすことだという僕の意見に「あっ、僕もちょうどそうしようと思っていたんです」とあっけなく同意したのであった。

 

しかし彼はなかなか立派であった。すっぱりとアルコールをやめ3ヶ月、すこぶる体調良く、血液学的数値も大きく好転している。

 

「いやー、やめてよかったなぁ。メチャクチャ体調いいですもん。特に、朝ね、朝。前はね、なんとなくドローンとしていたんですよ。今はね、ぱっちり、シャキーン、ですもん。いやー、よかった。先生のおかげです。」

 

そーお。

 

いやー、これは僕が2年ほど前に感じたことである。毎日数十年にわたって続けてきた晩酌というかナイトキャップというか、アルコールの定期的摂取をやめて僕が感じた一番印象的なことは、なんか高校生のときのような朝だな、という目覚めの感じであった。すっきり爽やか。30年以上も前に逆行したのである。まっ、朝だけだけどね。

 

最近では禁煙した人がタバコの煙を疎ましく感じるように、アルコールにかすかな嫌悪感さえ感じるようになった。ビールをはじめとするアルコール飲料諸君、スマン!裏切り者と言わないでね。長い間の付き合いだったじゃない、少しは嫌いになったりすることもあるよ。また付き合い始めたりする可能性も無きにしも非ず。もともと嫌いじゃないんだから。

 

しかし溺愛はしそうもない。そういう運命だったんだと考えよう。世界保健機構によると、世界の平均寿命を縮めている3大要因は高血圧、喫煙、飲酒である。酒は百薬の長、でもそれは11合までである。そこで止められなければすっぱり止めよう。高校生の朝はなかなか悪くないぞ。

 

もう忘れましょ。

 

 

 

 

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