内と外

「早寝早起き、整理整頓!」。前も書いたけど、精神科医である春日武彦先生によると、ある種の精神疾患に非常に有効なのは薬よりもこの精神なのだそうだ。精神に病を持つ方の住居は往々にして手がつけられないくらい散らかっている。気持ちが保てなくなると、まず何よりも部屋を片付けるということが出来なくなるのである。

 

 僕の知り合いで軽いうつ病になっていた人が、元気になったときに言ってくれたこと。

「散らかっていた部屋を片付けざるを得なくなったので、いやいやながら、ほかにすることもないので片付け始めたら、段々それに熱中していくのがわかった。集中し、情熱こめて片付けるようになり、見違えるようにスッキリした部屋を見たとき、心の中のもやもやはかなり晴れていた。それからやね、なにか新しいことをやりたくなってきたのは。」

 

 アメリカのアンチ・エイジングに詳しいカイロ・プラクティショナーの本にも、外的環境と内的環境の強い相関が述べられていて、感情の充実をはかるためには、それにふさわしい住環境、生活環境を作るべきだと強く主張されていた。

 

 患者さんで、何故このような態度をとるのかどうも理解しがたい・・・と感じていた人がいるのだが、往診でその方の住まれている部屋を見たとき、突然理解できたという経験がある。外で会っているだけでは埋まらないジグソーパズルのピースは、部屋を見ることで突然出現し、ぴっったりとはまるのである。友人でもその部屋を見ることで、ああ、実は淋しい人なんだな、とか、案外充実した内面を持っているんだなとか、意外な別の顔を見たような気がしたことがあるでしょう?その人の部屋は、その人の心、内面をあらわすのである。

 

 ・・・・すぐ片付けよう! わかってるね!

 

オー、マイガッ!

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