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認知症にならないために

 城東区民ホールで講演会が今日ありました。医師会と保健センター共催で、健康に関する講演会を年に1度、ゲストをお呼びして今年で4回目になります。第1回 認知症とは?、第2回 パワーリハビリテーション、第3回 メタボリックシンドロームと、なかなかトレンディな話題を選んでいるせいでいつも400名くらい聴衆が集まります。僕は医師会の中で担当となっているのですが、もう4回か、早いものであるという若干の感慨を覚えました。

 今回は日本福祉大学教授、京都大学名誉教授の久保田競先生で、「認知症にならないために」というこれまた興味深い講演をセッティングできました。先生の著書である「バカはなおせる」を僕は提案したのですが残念ながら会議でみなさんに穏便に却下されました。

 先生は40代後半からジョギングを始められ、今日もスーツにジョギングシューズと70代に見えないファッションです。2ヶ月前に発表されたばかりの論文など新しい知見を交えて1時間お話をしていただきました。呆けのポイントである前頭前野を鍛えるには歩くか走ること、最低1日15分。野菜を食べ緑茶を飲み、快感と感じることをどんどんすれば認知症にはなりません、というのが非常に乱暴なサマリーです。簡単です。よかったですねー。

 講演のあと、数人のご高齢のおば様たちが「お久しぶりですー」とか仰りながら先生を囲みました。患者さんのご家族だろうか、追っかけみたいだなー、やはり実力がある人は違うね、と感心して見ていたのですが、ひとしきりご歓談の後先生が来て仰ることには「いやー、高校の同級生だよ。僕のポスターがはってあるのを見て友達を誘ってきてくれたんだ」とのことでした。いやー、話は聞いてみないとわかりませんね。

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お疲れ様でした

 

 

オープンで帰るんだもんねー

 11月になった。オープンにして走るのは10月いっぱいかなぁなどと言っていた舌の根も乾かぬうちに今日はオープンで帰りました。

 外気温は19℃。20℃を切ると正直走っていると肌寒いが、何のために足元のヒーターやシートのヒーティングシステムがあるのだ?寒い中をオープンで走るために決まってるやんけー、かっかっか、などと高笑いして平気で走る。

 去年は信号待ちで並んだ隣の車から、「さむそー」という女の子の声が聞こえて、そういう印象を与えているのはイカンと春までオープンは封印していたのだが、もうそんなこと気にしないもんねー。今日も長袖のポロシャツにちょっと厚手のコットンのジャケットと2枚だけだが全く平気である。むしろ頭寒足熱で快適だ。灯りのこうこうとついたビルの谷間に霞のかかった月が見えて風流である。狭苦しい車内で窓を閉め切ってつまらん最近のJ-POPを聴いているおねえちゃんには判らない。

 バックミュージックはタカナカ(ふるっ!でもねー、いいじゃん!)の「ブルーラグーン」だ。常夏の島のやさしい乾いた風と塩からい砂が唇にあたる感触を想像しながら冷気の中を帰るのが僕の中のトレンドなのである。

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頭寒足熱!

囲碁十訣

 夜の外来に高血圧でかかっているYさんが来られた。少し耳が遠く皮肉っぽい発言も多い、なかなか硬派でハンサムな初老のおっちゃんである。いつものようにぶっきら棒な物言いで診察も終わろうかという時、「先生な・・・」と話し出した。

 「この前碁の大会があって・・・」「優勝したんですか!」僕は彼が碁が唯一の趣味でかなり熱くなっていたことを知っていた。

 彼は恥ずかしそうな嬉しそうな複雑な顔で免状と書かれた袋を取り出した。「ついにとってな」と取り出されたのは碁六段の免状であった。「昔はアマチュアは六段が最高位やったんや」「六段!」僕でもそれがどんなにすごい段位かわかる。「びえぇぇぇ!」と驚く僕に彼は扇子を取り出した。異様に達筆で4文字熟語らしきものが書かれている。

 「これは王さんという碁の名人が秘訣を書いたものらしいわ。お礼に先生にあげる」「びえぇぇぇぇ!いいんですか?」

 碁の極意が10個書かれている。一、不得貪勝・・・貪らば勝を得ず。欲張ると負けるよということらしい。ははー、おっしゃるとおり。五、捨小就大・・・小を捨てて大に就け。目先の利にとらわれるなということね。勉強になります。

 しかしこの10の教えよりも、一人暮らしで孤独な、ちょっとヘンコツなYさんが、本当に嬉しそうにご自分の勝ち得たものを僕に教えてくれたことが、僕の心を強くうったのだった。

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心して学びたまえ

科学的な努力

 科学的な努力。これは僕の好きな言葉です。やみくもに努力した!強く念じると何でもかなう!村上龍氏が小説の登場人物に、「それって20年ぐらいじっと消しゴムを見つめていると2mmくらい動くっていうとか、そういうやつですか?」というせりふを吐かせているが、考えないで努力だけするというのはあまりにも悲しいです。

 卑近な例で恐縮ですが、最近ゴルフクラブを買いました。試打というのがあるのですが、僕は今まで実はそういうことをして買ったことがなく(とても恥ずかしくてお見せできるようなものでなかったため)、此の頃若干ましかなーと思ったりしたため魔が差してカメラでクラブの打点を撮影して実際の弾道をコンピューターでシュミレイトするというやつをやってもらいました。

 これが実によくわかる。なぜ飛ばないか?どうすればいいか、振り方を変えてみると打点が変わり明らかに飛距離が伸びる。係りのお兄ちゃんがいい人でいろいろアドバイスしてくれ、ほとんどゴルフレッスンみたいになって30分以上やっていました。いや、悪かった。

 このままさよならでは申し訳ないので、科学的に検討して1番現状にあっていると思われるクラブを購入したのですが、誰のアドバイスよりも自分のスイングについて理解できました。新しいツールは利用しなくてはいけない。感じで言わないで証拠をバシッと示されると改善が早い。科学的な頭、手段は生活全般にわたり必要である。以上、勉強になりました。

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後は科学的トレーニングか

SQ!

 ぱらぱらと雑誌(恥ずかしながらGQです)をめくっていると、おっと思わせる文章を見つけた。孫正義ソフトバンク社長について書かれた文章の中にSQという言葉が出てくる。IQ(Intelligence Quotient)は知性で、感性のEQっていうのもあったけどSQ?シンガポールエアライン?…すいません。

 「IQもEQも大切だけど、これからはSQですよ。SはスピリットのS。精神、向上心、やる気、それが大切なんです」と彼は常々言っているようだ。素晴らしい。いい言葉だ。

 知識があっても、場を壊さない気配りがあっても、高潔な精神性、ガッツがなければ一本芯が通らない。付け焼刃ではどうにもならない。そもそもそんなことが頭にも浮かばない人もたくさんいるだろう。自覚しないとだめなんだ。

 日頃なんとなく感じていたことをSQという言葉は簡潔に表現してくれたと思う。しばらくSQという文字が頭から離れなかった。
 

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やっぱりの存在感

トラブル

 今日は出だしから阪神高速守口線整備のため通行止めで大渋滞、ここ数年でもっとも遅く9時前に外来へ滑り込む。予防注射、超音波検査など8時半から入っている予定がすべて順送りとなり、予約も混んでいたため強烈タイトな外来となる。しかも最近重症の方が在宅というケースが増え、外来で「僕、高血圧だけでーす」というストレートなかわいい方は新患で少なく、なんでこーなるの???と思わず考えちゃうような方が続き、渋滞は緩和されない。

 君たちが知ってるかどうか知らんが、僕は外来の間、目の前の患者さんだけを相手にしているわけではなく、諸方面から連絡が入り非常に忙しい。
 「デイケアの○○さんが下痢が止まりません」
 「デイサービスの○○さんのお尻から出血しています」
 「○○さんのご家族がもう面倒見れないから入院させてほしいといってます」
 「車が壊れました」
 「不渡り手形が出ています」
 「サルが木から落ちました」・・・などなど。

 こういうシチュエーションは何かに似ているな、と思うと僕の愛する村上龍「走れ高橋」第4話だ。主人公の男はやむを得ぬ事情でいろいろな人の要求を満たすため走り回らざるを得なくなる。彼はつぶやく。「今、私は、すべての人がうらやましい…」。

 足が痛いから鍼灸を受けようというささやかな目論見も来客のため吹っ飛び、夜の外来も30分遅れのまま進行し、最後の楽しみであるオープンで高速を飛ばして帰ることも、この前オービスが光ったなということを思い出し、アクセルを踏む右足が控えめになる。

 この前、朝のミーティングで僕は言った。「同じことが起こってもどう思うかで結果は変わる。トラブルが起こったら嫌がって避けようとするより、来た来たと楽しんで受けるほうがいい。トラブルを好きになるように。トラブル イズ ウエルカム!」

 思えないって!

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これでも聞いて

 

天上の音楽

 土曜日に昔留学していた時の僕のボスが学会で来日し、歓迎会がありました。僕は10年近くお会いしていなかったのですが、会った瞬間から時の隔たりが全部飛んでしまって先週別れてまた会ってる様な、違和感を全く感じさせない楽しい再会でした。人徳なんでしょうねー。彼は僕の知っている総ての人の中で、多分最高の紳士だと思います。自制心とか気配りとか。

 で、僕はsmall giftとしてCDをプレゼントしました。南博という、僕が今最高に好きな菊池成孔というサックスプレーヤー(本当に天才でしかも変態!多分)のバンドのピアニストです。ウイズストリングスのピアノアルバムですが、非常に内省的で(彼はライナーノーツで総ての孤独を感じている人のためにこの音楽を演奏したと書いています)こんな音楽が日本にあるんだよと判って欲しいためにプレゼントしました。

 ところがボスもCDをくれたのです。ヨーヨー・マという天才チェリストがエンニオ・モリコーネの音楽を彼のオーケストラと一緒に演奏しているものです。僕の1番好きなCDだよ、と言ってくれました。「持ってるかい?」
「いいえ、楽しみです」。

 日曜の朝、陽が差し込んでいる部屋で仕事をしながらCDをかけました。
「んーん!!」しばらく聴いて、作業を止めて聴くことにしました。

 これは天上の音楽ではないか?   

それ以上言うことはありません。That’s it.

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恐ろしいくらい美しい

Think different

 今日は城東区の健康祭りがありました。医師会もブースを出しており(まるで他人事みたいですが僕が責任者です)「タバコと肥満をぶっ飛ばせ!」というスローガンのもと、喫煙有害物質である呼気1酸化炭素分析と、あなたの食べた1食分のカロリー、栄養素を分析してご指導いたしますというのをやりました。あっ、それと恒例の健康相談も。たくさんの方に訪れていただき本当に有難うございました。

 で、僕は人の流れを見て思ったのですが、みんな、本当に他人に影響されるのね。あの人が行くからとか、ここはみんなが来てないから行かないとか、あまり自主性がない。なんというか他人任せという気がしました。

 僕の尊敬する内田樹先生のブログに、日本の教育問題に関する卓越した意見が載っています。少し長いですが再録。

 それは「上からの斉一的な教育改革」という発想そのものが教育を破壊するという事実である。
考えてみればわかる。
「理想のたこ焼き」というものをつくり出したいとする。
あなたならどうします。
「理想的なたこ焼きレシピ」を衆知を集めて作成し、「理想的なたこ焼きマシン」を作成して、全国のたこ焼き屋に配布し、それ以外のたこ焼き作成を禁じ、全国津々浦々どこでも「同じ味のたこ焼き」が食べられるようになれば、それで日本の食文化の水準が上がったと誇らしげに言う人間がいるだろうか。
いるはずがない。
あらゆるところでレシピが違い、道具が違い、焼き加減が違い、トッピングが違い、値段が違い・・・という「でたらめさ」がたこ焼きの質的向上と不断のイノベーションを可能にしているということに誰でも気がつく。
どうして「たこ焼き」については「理想の単一のたこ焼き工程など存在しない」ということを国民のみなさんはにこやかにお認めになるのに、「人間」については、同じことをお認め頂けないのか?
私にはその理路がわからない。
人間もたこ焼きも一緒である。
「教育はどうすればもっとよくなるのか」という創意工夫を自分の責任において引き受ける人の数が増えれば増えるほど教育は「よくなる」。
当たり前のことである。
「ありうべき教育」がどのようなものであるかは「こちら」で決めるから、教師たちはそれに従うように、という教育行政のあり方そのものが教育をダメにするのである。

 他人任せは止めて自分で考えよということである。俺は俺の道を行く。日本においてはこれは困難な道を選ぶという意味合いになる。Think different.でもこれは正しいのだ、と思う。

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だよなー

sleepy day

 眠い・・・ねむいぞー。今日はやたら眠かった。めちゃめちゃ睡眠時間が短かったわけでもないし、目覚めが悪かったわけでもないのだが、少し行動がとまるともう目蓋が・・・
 
 睡眠不足は軽い酩酊状態に匹敵するといわれている。著しく判断力が落ち、反射機能の低下も報告されている。やばいじゃん!

 アルコールは寝つきがよくなるし睡眠も深くなる場合があるが、量を越すとかえって寝付けなくなり睡眠の質も低下する。確かに最近飲まなくなったせいか、ちょっとのアルコールでもむしろ睡眠のクオリティが下がるような気がするのは考えすぎか?

 良質の睡眠は最高のリラクシゼーションだ。うまく寝ることをもっと真剣に考えたほうがいいな。パジャマはシルクにして、パンツは穿かないで、香水はシャネルの5番と・・・ぐー・・・・

(ほとんど独り言ですいません。なんか本当に眠くて・・・でも勝手に手がキーボードの上を・・・。ごめんね!)

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ぐー

賢く生きるな 楽しく生きろ

 僕は20代の頃から結構引越しをしている、はからずも。僕のような面倒くさがりがなぜ引越しが多いのか、その事実だけでも人生は思うようにならないものだなぁということが証明できる。アメリカでも1回やったもんなぁ。

 10回近い引越しのたびに荷物の選別が行われるわけだが、そのとき、本というのは非常に厳しい選択にあう。ずーと持っていこうという本は非常に少ないわけだ。その数少ない本の中には会田雄二の「選択の条件」や勝海舟の「氷川清話」、倉橋由美子「交歓」なんかがあるが、こいつもそういった本だなというのを本棚を見回していたときに見つけた。

 ある時検診か何かの仕事に行くのに僕は食事の時間がなく、しかしあまりに空腹なためにコンビニでおにぎりを買って、そのついでに公園で食べるお供として隣にあった古本屋で目に留まったその本を購入したのである。悲惨だなぁ。これって40代の話だよ。院長は優雅で…なんていう奴がいたらその場でバックドロップをかけたくなるが、まあそれは別の話だ。

 これは人生に対する箴言集だ。そんなものは大概下らないが(一時僕は大量に読んだことがあってこの結論に達した。悩んでたん?そんなことないなぁ、わからん!)、こいつはちょっと違っていて、何でこういう言葉が出てくるのか、素直に感嘆します。

 うーん、となんとなく元気がないときに目に留まって読むと少し気分が変わりました。それってすごいことではないか。少なくとも俺には気になる本です。君には知らん。

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「賢く生きるな、楽しく生きろ」という本です