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優勝旗を関西に!

台本は完成した。

公私とも師と仰ぐ静岡は田中先生のクリニックの大忘年会では、スタッフの方の大演芸会が売りでございます。昨年精鋭を引き連れて初めて参戦したのだが、前評判が高かった割にスベリまくりました・・・

で今年はお約束のリベンジですが、①おしゃれなアカペラは演芸会という場にはカッコよすぎて浮いたのではないか?(才能がなかったことはすでに忘れている) ②大阪の我々に求められているのはどうも「笑い」であるらしい ③そんなら大阪の伝統芸能、「吉本新喜劇」じゃないの? という綿密な思考過程を経て、今年は吉本新喜劇・池岡クリニックバージョンに決定しました。

台本はプラナリア男爵がたたき台を作って、参加するみんなで(男3人、女4人の7人の侍というか、チーム名はワイルド7)あれこれ言って、ほぼ完成。これがかなり面白いのである。参加しないスタッフに読んでもらっても「すごく面白い!」というのが大方の反応で、僕もいいんじゃない、これ、これですべるとするとよほど演技力が・・・と思っているのだが、ふと大阪のノリというのは実は特殊じゃないかという疑念が生じた。大阪でウケても真面目な方の多い静岡ではひかれるんじゃないの・・・?

と思っているところに朝日新聞に大阪弁について面白い記事が(ザ・コラム 東京・社会部長の山中季広氏)。

 

テネシー州出身の首都大学東京教授、ダニエルロング氏曰く「関西と米国は笑いのツボが近い。東京と関西は全く違う。米国や関西の子は基本、笑いたい、笑わせたいと思って会話してます。東京の人は英国人みたいで面白くてもニヤッとするだけであまり感情を出しませんね。」

北海道大学の山下好孝教授曰く「関西人の英語は特徴があり1文を高低高低と音調を上げ下げしながらピッチよくすすむ。共通語は「へ」の字で低高低低低低となる。聞く人が聞けばこの英語話者は関西出身やなと見当がつく。大和朝廷からこっち、標準語は関西。ひらがな発明も関西。鎌倉幕府ができて後も、関西言葉こそ日本のリンガ・フランカ(世界言語)だったのです。」

日本語史の通説によれば、江戸後期の文化文政あたりまでは勢力を保った関西語標準は1500年に及ぶ。東京言葉を明治政府が標準語にしてからまだ150年もたっていない。方言研究の第1人者、奈良大学の真田信治教授によれば「今の関西弁は英語に追い詰められたフランス語と同じ」。関西弁とフランス語は何世紀もわが世の春を謳歌して後、格下だったライバル言語に押され地位を失った。そのくせ普及活動には熱が入らず、後天的話者の下手な発音に寛容になれない。のだそうです。

ふーん、大阪弁はかって日本における標準語であり、アメリカ人と同様の思考過程、フランス語と同様の運命をたどるというなかなかドラマティックな言葉なのである。われこそは世界標準(かってはね)。笑いがすべろうがそれは世界標準を理解しないあなたが悪い。大いばりで「なんでやねん!」を連呼すればいいのである。

気が楽になったぜ。ではワイルド7は優勝旗を関西に!を合言葉に本格的に練習開始である。

2012 winter 仕様

 

再び診察室の模様替えをする。

今回は電子カルテシステムの入れ替えに伴う不可避のものであるが、ここしばらくシーズン毎にやっているような気がする。患者さんも「おっ、変わりましたね!また」と喜んでいる。

今回はアイランド型で部屋の真ん中に細長い机が位置し、4台のモニターが並ぶ。僕は電子カルテを打たないでスタッフが打つが、忙しくなってくると2人ついて、患者さんの目から見ると僕の後ろに2人が平行に並んでいるようになる。あまりない光景である。

だいたいバランスボールに乗って診察してるのも、裸足に5本指シューズをはいて診察してるのもコモンではないな。別に奇異をてらっているわけでなく、いいと思っていることをやるとこうなる。まぁ気にしないでいこう。

 

僕は基本的に模様替えをしないタイプである。面倒くさがり。同じでいいじゃないの。しかし僕の周りの中心となるスタッフは、人が変われどみんなリセットに敏感である。もっと良くなる、工夫を切らさない。こうやって僕は引きずられていくが、何もしないで沈殿し腐食していく自分を知っているから、こういうスタッフを本当に大事に思う。

模様替えの初日、新しい電子カルテメーカーや検査会社の方など少なからずの方々が1日中張り付いて下さったのでなんとか大きなトラブルなく終了。今年のビッグプロジェクトの初日が終わる。僕はブログを書き、スタッフやメーカーの方みんなは作業を続行している。バカ殿という言葉が浮かぶ・・・

 

 

ブラック礼賛

上のグラフは何かな?

よーく見ると横軸はチョコレート消費量となっている。縦軸はその国のノーベル賞受賞者数(人口10万人当たり)で、つまりは非常に乱暴に大胆にドラマチックに言うと、「チョコレートを食べると頭が良くなりますよ」ということを示したグラフなのであーる。

これが某お菓子会社の宣伝冊子、じゃなかった、医療関係者なら泣く子も黙る、臨床家ならひれ伏す天下の the New England Jurnal of Medicine の今月号に載っていた。ノーベル賞月間なのでまぁ軽く冗談ぽくやってみましたという感じのコラムというか論説です。これがNEJMに載るところが誤解を生みそうですが、つまりはフラボノイド、ポリフェノールの話である。

人間は酸素を吸って生きている限り酸化が起こり、体の中が徐々に錆びていくと思えばよろしい。これが老化であり(これだけじゃないが)、さまざまの疾病を生みだす元となる。そこでポリフェノール、抗酸化物質の代表選手登場である。こいつがコーヒー、チョコレートに多く含まれているんだなぁ。つまりはカカオが偉い、それ故カカオはスーパーフルーツとも呼ばれている(らしい)。

寿命や認知機能を改善するという結論が実験的にも、コーヒーやチョコレートを食べた人間が対象の臨床論文でも結構出ている。しかし実験の場合、とても実際摂取するのは不可能と思われる量であったりすることが多い。人間のデータでも、対象者数が少なかったり他の因子を除去できないケースも多くて、本当にチョコレートを毎食後食べたほうがいいものか、コーヒーはバケツ一杯飲んだほうがいいんじゃないの、というのはよく分からない。

しかし何かちょっと欲しくなった時、生クリームよりもチョコにしよかな、という感じの規制はかかる、私の場合。

健康を考えるならカカオ含有量が多く甘味の含まれないブラック、硬派が望ましいが、当クリニックに多いチョコ評論家の諸嬢によれば、あれはまずい、チョコじゃない、ということになるらしい。彼女らは砂糖をなめていればいいのである。

僕はコーヒーはいつ頃からかブラックで、砂糖があると甘ったるくて全然飲めんようになってしまった。チョコに関してはブラックを口に入れると、2個目はやっぱり食べないなというレベルだが(チョコ評論嬢と変わらん)、これも慣れだね。ブラックでないと食えん、という風にいつかはなるかもしれん。

だいたい音楽も、甘ったるい情緒綿々たるやつよりちょっと無機的な、クールな音の方が好きなのでブラック嗜好なんだな。これは内面が甘ちゃんなので中和せんとする自然の防御機構なのではないかしらんと愚考するのである。 

 

30 years after

今朝、着るものを探していたら褪せたグリーンのジーンズを見つけた。久しく履いとらん。よっこらしょっとボタンをはめると(前はジッパーではなかった)、ちょっときついがなんとかいける。けっていーーーと思って車に乗り込んでふと考えてみると、このジーンズを買ったのはほとんど30年も前だったのである。

 

①けっこう古びないもんである。着用してないせいだな。先週買ったといってもおかしくない。

②もうビンテージというのであろうか。

③若いころの体型を維持している、というよりも、今より140%は飲み食いしていたから(飲むのは1000%くらいだ)もっとデブっていたのだろう。最近はちょっと気をつけているもんね。

 

デブっていたにしても、20代の服を着れるというのはなんとなくよろしい。腹回りはメタボの基準にもあるように内臓脂肪を反映していることが考えられ、単に見かけだけでなく健康状態を意味するのですぜ。

外観はその人の健康状態、若さを反映するというのはもう確立した事実である。一つの指標として20代の頃のズボンを履けるかというのは、まっ、そこそこ難しい試験問題ね。

それだけで気分が良かったが、実は他はボロボロだー。まぁそれはこの際置いとこう。

レッドボタンというブランドであった。

裸足で仕事

この前5本指シューズのことを書いた。仕事場にも履いていくと言ってたんだが、これがだねー、実際にやってみるとすごく快適なのである。ヤバい。もうほかの靴を履くと違和感を感じるようになってきた。

何が違うか?

 

今年オリンピックの前だったかな、NHKでケニアのマラソンランナーの走り方を日本のランナーと比較したドキュメンタリーがあった。普通マラソンの走行では前足は踵着地になる。ところがなんとケニアのランナーはつま先、親指の内側位から前半分を全部使って柔らかく着地していたのだ。この方が膝への負担が少なく蹴りだしも早くなる。

なぜこうなるのか?それは彼らが小さいころから裸足で走っているためだ。

僕たちも裸足でいると踵着地はしない。裸足で走ったことはあまりないが、家で裸足でいると歩き方は明らかに踵着地ではない。靴を履いてウォーキングする時踵着地が推奨されているが、あれが膝を痛めるもとではないだろうか。

手足は脳の一部である。認知症の予防に足指じゃんけんが推奨されているが、足指の動きを妨げないこと、指で踏ん張ることは間違いなく頭にいいに違いない。大体気持ちいいのだ。

で5本指シューズは僕の日常の靴となった。診察室でも履いているが、患者さんはかなり目ざとく反応する。最近は以前のアディダスじゃなくビブラムのやつが気に入っている。アディダスより一層裸足に近い。見かけは悪いが値段は高い。やれやれ。でも生理的に快適なものは間違いなく善だ。

 

スタッフに勧める。「なんならプレゼントしようか?」   

「・・・いいです」と言われるのは傷つくなぁ。

 

まっ、カッコはよくないねー、確かに。

NSTの男

第23回なにわNST倶楽部で発表してきた。

NSTとはなにか?

NST:Nutrition Support Teamのことで、職種の壁を越え、栄養サポートを実施する多職種の集団のこと。栄養サポートとは、基本的医療である栄養管理を症例個々や各疾患治療に応じて適切に実施することである。なにわNST倶楽部は食道楽の会ではなく(そんな感じだ)、大阪市立医療センター、消化器センター部長の西口幸雄先生が中心となって出来たNSTの勉強会である。医療の領域で実は栄養部門は結構なおざりにされてきたのである。医学部での授業時間も少ないし。しかし近年栄養の重要性が見直されてきた。

本来NSTは病院内で実施されるものがほとんどで開業医とは関係が薄いともいえるが、在宅診療をやっていると患者さんの栄養管理は切実な問題で、歩けない患者さんは圧倒的に栄養不良が多いのである。病診連携(病院とクリニックが患者さんのことで連携すること)のこともありNSTとは無関係でおられない。で僕は知り合いのお声掛けもあってどういうわけか世話人となっているのだ、といっても偉そうなことは言えない、たまに参加すると「お久しぶり!」の声がかかる不良世話人なのである。

今回はPEG(経皮的内視鏡的胃瘻造設術)の適応が話題となっており、開業医の立場からお話をしてきた。胃瘻とは経口摂取できない人に腹壁から人工的に食事を入れるカテーテルを装着して栄養を送り込むシステムである。簡単安全で一気に普及したのだが、本来本当に必要か考えなくてはいけない人、たとえば末期の癌だとか重度の認知症だとかの患者さんにも多く増設された時期があり、今その適応が問題となっている。

僕は在宅診療でPEGを装着された認知症の患者さん–かなり高齢ですでに意識もないのだがPEGにより栄養補給が万全なため、ご家族の献身的な介護もあって数年間同じ状態が続いている–を数例あげ、このまま続けることの意味をどう考えるか、問題提起をさせていただいた。批判ではない。

去年NHKで放送された「胃瘻の功罪」という番組以来、胃瘻をすると死ぬこともできないという誤解が広がっており、昨年から胃瘻造設術は日本中でかなり減少した故。適応もなく胃瘻を作ることは問題であるが、それがために本来生きながらえて治癒に向かう可能性のある人さえもご家族が断るという事態も起こっている。日本には今ちゃんとしたアルゴリズムもできて、いい加減な形で胃瘻造設術はおこなわれていないし、途中中止の規定さえも出来つつある。欧米は重度の認知症へのPEGは否定的だが、日本では認知症でも時期を問わず予後がいいというデータもあり、事情がかなり違う。死生観とか宗教も。慎重に考えなくてはならない。

結論として意識のある場合はご本人、ない場合はご家族とどれだけ深い意思疎通ができているかという問題になる。簡単にアルゴリズムで決めるのでなくケースバイケース、テイラーメイドの考え方が必要となるのだ。欧米の受け売りでなく日本独自の考え方で。

いろいろ考えることのできたいい会でした。午後9時過ぎまであったのですが、140人以上の方が参加されていて、特別講演に来られた西美濃厚生病院の西脇伸二先生が「大阪はすごいですねぇ、岐阜では熱心にプロモーションしてもこんなに集まりません」とのこと。

関係者の皆さん、お疲れ様でございました。

 

 

 

裸足の男

靴が好きである。

まったくそういうのに興味がなかった—-これは最近仕入れた言い方で言うと「ファッション・リテラシーが低い」—-僕に靴の楽しさを教えてくれたのは今を去ること30年くらい前、入局してきた後輩のalfista君である。

「かっこいい靴はいてるねー」「今度一緒に買いに行きましょうか」ということで、初めて自分でイタリア物のローファーを買った。すごく気にいっていた。それから靴は結構興味の対象であったのだが、最近は圧倒的にスニーカーなのである。歩きやすい。カッコもいいしね。靴は結構姿勢に影響して、外反母趾はじめ靴で病気を作ったりしていることも思いのほか多いので、とりあえず靴は機能が最優先ではないか、と思っております。

MBTも一時気に入ってよく履いていた。あるコーチングの先生を東京からお呼びした時、会食の席にいた数人が偶然にも全員MBTを履いていたので驚いたことがある。ま、結構普及しているということですね。

で最近のお気に入りはこれです。

地下足袋、じゃなく五本指靴。これはadidas社製ですが、ビブラム社製の五本指の靴の記事がある。走ったことないが歩くには非常に快適な靴です。まさに裸足の感覚。野生の感覚を持つ時間が増えれば増えるほど健康になると僕は思ってますが、ぴったりでござる。

しかし目下のところ愛犬の散歩にしか使用していない。これを日常使用するのは少し工夫がいる・・・ような気がしていたがそうでもないか。寒くなったら五本指の靴下を履けばいいし。もともと診察をバランスボールに乗ってやっているので変人とすでに思われているから今更考えることも無し。いつでも履いてればいいのだ。ああいう人よ、と思われればOKですね。

というわけで連休明けから勤務先での使用が決定!追従者を求む。

 

 

ダークな男

いつ頃からコーヒーを愛飲するようになったのかは定かじゃない。


二十歳ぐらいの時にはコーヒーミルで豆をガリガリ削っていたのは確かなので(十八歳ぐらいのときに初めて行ったヨーロッパで確か自分で購入したのだ。淡い思い出である。あの時知り合った皆さんは今も元気なのであろうか?)、結構古くから大量に飲んでいたことになる。しかも割と早期からブラックであった。


それが自分の身体にどう影響しているか?


これも定かではないが、目下のところコーヒーの健康に与える影響は概ねいい話が多い。つまるところポリフェノールがいいのね、抗酸化ね、ということになるが、コーヒーと並んでポリフェノールが多く、かなり中毒に近い人も多い嗜好品としてチョコレートがある。

そう、チョコレート。あなたの好きな、あれです。

チョコレートも身体にいいよという話があった。


スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C. Larsson氏らは,男性のチョコレート消費と脳卒中リスクについて45~79歳のスウェーデン人男性3万7,103人を約10年間追跡。年齢,教育,喫煙,BMI,運動,アスピリン,高血圧,心房細動の既往,心筋梗塞の家族歴,飲酒,食事などを調整後のデータで、消費量が最も多いグループ(中央値62.9g/週)は,最も少ないグループ(中央値0g/週)と比べて脳卒中のリスクが17%低下していたと報告した。さらに欧米の5つの前向き研究のメタ解析を行ったところ,消費量の最も多いカテゴリーは最も少ないカテゴリーより脳卒中リスクが19%低かった。Larsson氏らは,これまでに女性でチョコレート消費が脳卒中のリスクを低下させることを報告しているが,男性でもほぼ同様の結果であった。 なお,1990年代のスウェーデンにおけるチョコレート消費の90%は,カカオ含有量30%程度のミルクチョコレートだった。(Neurology on line edition. 2012, 8.29)


カカオ含有量30%程度というのはロッテガーナチョコくらい。明治ブラックなんてのは44%位。ミルクチョコだったというのが嬉しいな。板チョコは大体1枚65 gくらいなので、毎週これくらいだったら結構食べている人がいるんじゃないだろうか。


こういうのは案外バックにお菓子メーカーがいたりするので要注意だが、チョコレートの積極的摂取を推奨しているわけではなくて(そうとりたい婦女子もいるかもしれないが)、ちょっと甘いものが欲しいときはケーキよりもチョコを食べようというくらいの意識が妥当なところなんじゃないだろうか。そして出来れば砂糖少なめが望ましいだろうなー、当院のJet O嬢のように「それでは意味がありません、甘くなくっちゃ」という意見もあるが。

 

昔見たフランス映画で(中年の不倫恋愛もので、なんと最後は二人ですべてを置き去りにしてバイクで去っていくのだ)いいおっさんが会社帰りにチョコレートショップに寄って自分のためにチョコレートを買って帰るシーンがあった。アルコールじゃなくチョコというのが何とも新鮮でおっしゃれーとその頃思ったのだが、まっ、それも悪くないな。ダークチョコにうるさいおっさんというのは割と自分に合ってそうな気がします。

 

おじさんは何があっても驚かない

 



 

秘密のビーチ

秘密のビーチ、・・・ひみつの・・びーーち・・・とつぶやくと背徳のにおいがするが、何のことはない。おっさん5人でこの週末、海に行ってきた。

場所は白浜である。そんなとこに秘密のビーチがあるのか?   あるんだなぁ、それが。

白浜にはうちのクリニックの保養所というか、スタッフなら使えることになっている古いリゾートマンションがある。もともと父親がなんかの間違いで購入して、結構僕は20代、30代とよく行っていたのであるが、その頃偶然そのビーチを見つけたのである。

こんなとこ降りれるのかという小道を平気でガンガン車で下っていき、畑の間のすれ違いも難しい小道をものともせずにどんどん海のあるほうに向かっていくと(何でこんなことしたのかと考えるとたぶん暇だったのだ)、突然目の前が開けて小さな湾が現れる。周りは別荘地として開拓されたようだが既にダダさびれでひとっこひとりいない。

しかしまったくごみくずのない海が、まるでヨーロッパの小島のように小さな湾の半円の中で青く優しくそこにあったのである。

それ以降たびたび行った。誰かと一緒に行けば必ずみんな感激してくれた。夏には必ず行く、そんな気持ちだったのだが、実はここ5年ばかり行く機会を失していた。だいたいこの年齢になると海に行く動機がほとんど消滅するというのが一般的なのね、サーフィンとかなんかない限り。僕は単に海水浴の快楽を得たいだけなのだが同好の氏がいないと遥々行くのもなぁーだったのです。

しかし今回物好きなおっさんが集まったので善は急げと決行した。 いやー、やっぱり素晴らしかったです。いい年になっても波に戯れていると心に快楽がチャージされていくのがわかるね。気を全く使わない男同志というのも良かった気がする。合宿ぽくって。練習の合間のリクレーションという感じね。

海はそのままでした。ジェットスキーとかスキュ-バの人が多少いたのが残念ではあったが贅沢は言うまい。できるだけ近いうちにまた来よう。

着いた日の曇りの海。 飲みすぎた翌日のブランチ。燃えてるって。

うみだー。

夏はすぐ来てすぐ終わる

今日往診でお昼に外に出ると、空気が止まって見えた。入道雲と熱い風とヒマワリと、時間が静止していた。おー、夏の盛りだ。

昨日は北海道にいた。金曜日から日曜まで、帯広の然別湖にある旅館で「第3回抗加齢臨床データ報告会」に出ていたのである。

帯広周辺は低温警報が出るくらいでこの季節にしては本当に涼しく、然別湖には霧が立ち込め、僕は長袖のカーディガンをTシャツの上に着ていた。

しかしながら報告会はすごくホットで大変得るものが多く勉強になったのである。

僕のクリニックからホラーK嬢が、「草食系 vol.2」と題した発表を行った。 この前の抗加齢医学会総会では30歳周辺の一見草食系の若い男性に低テストステロン(男性ホルモンです)値を示す人が多いという話をしたのだが、今回例数が増加し、その臨床像を検討したものである。

草食系外見の平均年齢30歳の男子24人中10人が、男性更年期といわれるLOH症候群の定義に当てはまるくらいの低テストステロン値を示し、しかも彼らは加齢の指標であるIGF-1やDHEA-Sなども軒並み低値だったのである!「省エネ男子」「エコ男子」ではないか!また東洋医学的弁証法ではほとんどの人が脾気虚をしめし、これは話題の2D/4Dよりも確かな低テストステロンの指標と言えるのではないか…

といった発表です。なぜ低テストステロンとなるのか?下垂体ホルモンのフィードバックがないからもともとから低いのではないかと我々は推定しているのだが(これは必ずしもそうとは言えないのであるが…)、コーチゾールの値からやはりストレスが関与しているのでは、とか成育歴、運動歴の問題は?とか、ご質問やご提案が相次ぎ、なかなかホットな話題提供となったかなと思っている。勉強になりました。

この会は発起人の敬愛する静岡のT先生がご挨拶でも述べられたように、日常の臨床の中で大変有益ではあるが保険診療の範囲外である抗加齢医学を実践し頑張っている仲間と1年に一度会えることで、勇気、元気が出てくるという大きな意味を持っている。この会でお知り合いになった方々が僕の臨床や研究の方向性に与えた影響は計り知れない。心より感謝する次第です。

来年は僕が幹事を仰せつかった。今まで季節がらリゾート地で開催されることが多かったのだが、来年は大阪です。あの大阪です。リゾートはありません、夕食はタコ焼きです。道頓堀で開催の予定。みなさん期待されてるように「お笑い」モードでいきましょう!

という具合に7月中盤からやたら忙しく、発表した会が2つ、座長2つとなかなか息が抜けなかった。9月にも2つある。

忙しい、忙しいと気持ちが走っている間にも時間は過ぎる。

「夏はすぐ来てすぐ終わる」。この予備校の名コピーがしみる。

あせれ!遊ばなくっちゃ!

霧にけぶる然別湖です