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クアトロ

 今日は朝起きると久し振りに朝日がさしていた。まるで夏が来たかのようだが空気は涼しい。おお、うるわしい土曜日の朝。

 しかし午後から仕事の予定が満載なのであった。といっても二つ講演会に出るだけなのですが。

  お昼ごはんをプラナリア男爵、Jet O 嬢、キュート(きょーと)院長と一緒に食べる。悲劇の晩餐の話題で盛り上がる。晩飯を食った際に遭遇した信じられない実話(カップルの女の人が泥酔して椅子に座って上を向いたまま嘔吐した話、けんかしたカップルの女子が男子にビンタをして去っていった話など)を披露しあったのだが、聞くのは面白いが登場人物には死んでもなりたくない話ばかりである。

  知らないうちに時間が過ぎ、慌てて会場に向かう。

  

 1発目は太閤園でDM-NET ONE の講演会。インスリン治療の実際的な話。サインをしていると医療センターの細井先生(座長です)に声をかけられる。僕の大好きな先生です。人格、実力とも足元にも及びません。話の内容はとても有益であったが20分ほど余して次の会場へ。

  帝国ホテルまで異常な渋滞。造幣局の通り抜けの人々であった。春の光が満ちている。講演より公園といきたい・・・

 

 ホテルではなんと2フロアーに薬品会社主催の講演会が3つも同時刻に開催されていた。

 

 目的の会場は一番奥で目立たなく、そこに至るまでの2つの会場受付で、各々の知り合いのMRさんに出会い、喜ばれて大変困ったことになる。律儀にサインをし、ちょっと出て事情を話し、遅れて目的の会場へ。内容は有益であった・・・。

 今日4つの講演会に名目上は出席したことになる。新記録である。まあ何の自慢にもならんが。こうして春の宵はふける・・・。

 

春の時間は走り去る

 

 

アト ランダム

 車のBGMをかけようとして「機能」というスイッチがあるのに気がついた。

 あるのは知っていたが無視していたのですが、見てみると「ランダム」というのがある。i pod とかにおけるシャッフルですね。アルバム内、全部(ハードに記録してあるCD全部の中でシャッフル。今100枚以上入っている)があり、全部を選択。

 で音楽が始まったのですが、なな、なんと、これは誰の曲でしょう?と全く記憶にない曲が結構かかるのである。

 僕の記憶力は最近著しく退行していてニアー認知症レベルなのは自覚していましたが、本当にビックリ。CDをかけてもあまり気に入ってない曲はとばして聴いていたので、そういうのがすごく新鮮に響くのです。こんないい曲だったのか、このイカした前奏はなんだ!とか、新しい発見に満ちている。

 で思ったのですが、人間は原則として繰り返しを好む(その方が安全で生存を脅かさないため)、そのようにプログラミングされているのですが、その習性は多くの新しい出会い、驚きを逃がすことになる。人との付き合いに於いても、ちょっとテンポが違う人とはそれなりの付き合い、仲のいい人とだけ深くつきあうというのが普通ですが、そうじゃなくて好みじゃない人とも付き合うと新しい楽しい発見がある、そこからすごく仲良くなったり、新しい世界がひろがるかも。

 太宰治が努めて自分と合わない人と付き合っていたという話があって、その意味がよく分からなかったのですが、実はこんなことじゃないかと思いました。

 繰り返しを避けアト ランダムに人と接する。人とだけでなく物にも。意識してやってみようと思います。

誰かの車に桜。片岡義男氏の文章にこういう情景を描写したやつがあったな。

春の検診

 今日はお休みなんですが校医をしているS中学校へ検診に行ってきました。

 1年生と3年生、計500名近く(泣)。聴診器の耳当てをソフトに変えて(耳が痛くなるから)臨みました。この学校は画期的にいい生徒さんが多い学校で、いわゆる荒れた感じはほとんどない。新任の校長先生も同じ感想を述べられていました。

 僕は校医になって10年になるのですが、最近は以前と比べ肥満児とアトピーの子が少なくなったなと感じます。元気いっぱいという感じの子も少なくなったかな。

 しかし!気になったのが姿勢の悪さです。特に3年生。みんな猫背だ。恥ずかしいのかな、とも思いますが。クネクネしてるし。中国から来たという男子はスッと背筋が伸びてました。3年生、見習わなくっちゃ。

 それに比べて1年生はみんな背筋が伸びています、屈託なく。中学生活はストレスなのかしらね。成長の時期で歪んでいるとマズいです。できれば授業中にも背筋を伸ばして座ることや、朝礼のときも立つ姿勢を言うようにした方がいいのにな。

 まあ、しかしいい子達だと思います。1年生の女の子(以前風邪とかで診ていた)が診察のとき、友達みたいに「お久し振り!」と声をかけてくれたりするし。極めつけは色白の楚々とした女の子が「○○○(名前)でございます」と小さな声で言って座ったことでした。ナイス!

終了後


パワーリハビリテーション近畿支部立ち上げ

 先週の木曜日、パワーリハビリテーション近畿支部の立ち上げミーティングがありました。

  今まで僕は大阪支部の支部長という大役をヘラヘラしながらやっていたのですが、今年からは近畿2府4県をまとめての活動ということになり、ヘラヘラはちょっと返上しなくてはいけないなと思いながら事務局長のM君と一緒に会場に臨みました。

  会場を提供してくださった運営委員の一人である大阪医療福祉専門学校のNさんにお会いして会場に向かうと神戸のYさんがもう席についておられ、ついで滋賀のK君、枚方のMさん、宝塚のSさん、酒井医療のHさんといったメンバーが揃いました。

  よくある名ばかりの理事会、過去の実績のみで地位をキープしている実戦能力の極めて低い理事の集まりでなく、即戦力極めて高い現場の戦闘派に運営委員となっていただいたのでディスカッションは極めて有益であったと思います。

  ミーティングの前からメーリングリストを立ち上げて話し合いを行っていたので大体論点が絞れていたのですが、実際にお会いしてみると解決しなくてはいけない問題点も浮き彫りとなり、これからの支部の方向性、カラーも見えてきたように思います。

  パワーリハビリテーションが近くにあるならば、それはその付近の中高年にとって生活の一部となるべきデファクトスタンダードであると僕は確信しています。

  当院のパワーデイサービスや、クリニックの1階、プリシジョン・スタジオはその色合いが強くなってきており嬉しく思っているのですが、全国的には極めて限られた利用しかされていないし、適正使用されていないケースも非常に多い。

  やることは多いのですがこのメンバーだとパンチの効いたことができそうです。むしろ暴走注意かな。元気のないご時勢なのでこれくらいでちょうどだよ!

前途はこの空より明るいだろう 

 

ラーク?

 「ラーク」?

 診察室の僕の机の上に「ラーク」が一箱。中にライターも入っていて、バリバリさっきまで吸ってました風情だが僕のものではありません。さっきまで吸っていた女性が禁煙外来に来て、「あると吸っちゃいますから」と意を決して置いていかれたのです。

 最近禁煙外来に来られる方が多い。毎日新たに数人。前から止めたいと思っていたけど値段も上がるしまわりでも禁煙する人多いし、というきっかけが多いみたいです。

 喫煙は病気で(だから禁煙外来が保険適応になると思ってね)麻薬とかと同じニコチンの依存症です。タバコを吸ってないとイライラする、落ち着かない、仕事がはかどらない、これって依存症で禁断症状ですよね。はっきり病気と認識しましょう。

 今は有効な飲み薬もあって(タバコの快楽部分がブロックされて依存から抜けやすくなる)1日1箱以上吸う人ならタバコ代より確実に安い金額で禁煙に成功できます。目下のところ僕のクリニックでの禁煙成功率は男性90%以上、女性は70%くらいか。

 女性は禁煙で少し太ることがあるのでそこらへんで挫折しやすく、またどうも依存が強い感じがします。一般的なデータでも女性は禁煙に失敗しやすいとされてます。害は女性のほうにより強いんだけどね。肌も荒れるし。

 ともかくタバコを吸うことのメリットは限りなくゼロです。潔く僕の机の上にタバコをドーンと置いていってください。待ってますぜ。

 (今度読売テレビの夕方の情報番組「ten!」に禁煙外来のことでちょっろと出ることになりました。生!です。5月の終わりですがちょっと宣伝)

 

春の霞

 今日はお休みでしたが約束が3つほどあり、いつもどおり定時に出勤しました。平日ですがなんとなく気分は休日のせいもあり車も少ない気もする。外は春の朝です。

 BGMはキース・ジャレット・トリオの「ジ・アウト・オブ・タウナーズ」。最強ピアノトリオ、スタンダーズの2004年ミュンヘンでのライブです。このトリオの中では有名なアルバムではありませんが、個人的に旅行の思い出に強く結びついている、僕の中では特別の音楽。

 かっこいいです、キレ、いいです、美し過ぎる。特に最後の、キースがソロで弾いている「イッツ・オール・イン・ザ・ゲーム」は夢のように響きます。記憶を喚起するのは嗅覚が最強らしいですが音楽も。広い窓から見えた曇ったグレイな秋景色を思い出します。

 キースは僕が高校生の時に最初のソロ「フェイシング・ユー」(特に1曲目と3曲目だ!)に完全にいかれてからずーと好きでしたが、一時精神的に追い込まれて引退同様となり、僕もなんとなく聴かなくなりました。回復して後、数年前にソロコンサートを大阪で聴いたのですが、なんとなく心に届かなかった。最近またアルバムが出ていますが、僕の中ではこの「ジ・アウト・オブ・タウナーズ」が今だ最新盤です。

 しばし過去に戻って、到着したので仕事モードに。勤務医時代から休日に仕事場に来ることは割と好きでした。同じだけどいつもと違う景色。リラックスして仕事をこなし午後遅くにクリニックを出ました。

 仕事の約束はみんな前向きなものだったのですが、今日はなんとなく春の霞のように過去に浮遊しているような日でした。そんな日もあるさ。また明日です。

 

桜のように生きるとは

 桜も今週限りだな。

 近くの夙川は桜並木で有名で、この日曜日は周辺大渋滞をきたしていた。桜は日本っぽい。はかなく、潔く、諦めよく。典型的日本人の気持にフィットする美学を体現しているようだ。

 僕が抗加齢医学に興味があると知ると、「年相応に枯れることこそ美学、ジタバタしなさんな」というお言葉を必ず誰かからいただく。了解。だけど抗加齢医学は予防医学、転ばぬ先の杖であって、目指すのはバタッと逝く直前まで元気いっぱいでいるというコンディション作りなのである。意味なく長寿ではなく、美しく生きて突然散ってという、まさに桜のような生き方を目指しているんだけどな。

 問題は散るまでをいかに元気でいくかということで、これはトレーニングが必要でほっといてうまくいくわけがない。外来でお会いするイキイキしている方が何もしない人であることはまずない。言わないだけで殆どの方が工夫しているのである。ある部分はまずストイック、昨日書いたキャスリン・ビグロー監督のように。

 ストイックに生きて美しくさっと散る、桜のように生きることが実は抗加齢の実践なのであった。

 

 

キャスリン・ビグロー

 おおっ!なんて時は早く過ぎ去るのだろぅ!前回坊さんのようなことを書いてからもう5日も過ぎた。つまりは時間の使い方が悪い。

 で、キャスリン・ビグロー監督である。彼女が「ハートロッカー」でアカデミー賞を貰ったときの写真を見て感銘を受ける。

 美しい!58歳!?ウソでしょう?

 15年以上前に「ブルー・スティール」という彼女の監督した映画を見て(女性警官の話です)、その紹介の記事にサングラスをかけた写真が載っていた。カッコよかった。その後、ジェームス・キャメロン監督と結婚し、離婚し、久し振りに風貌を拝見したが美しさに凄みが加わっていた。こうでなくっちゃいけない。

 「アバター」でボロ負けした元夫のキャメロン監督は、お祝いのスピーチで「結婚していたとき、彼女は主張を曲げない暴走タイプでよく僕とぶつかったんだ。でお祝いとしてプリウスを贈ることにしたよ」(オイオイ)とこじゃれたことを言って大うけしていましたが、結婚生活でも彼女はきっと怖かったでしょうね。映画通である外来スタッフのT・ゲンズブール嬢(勿論愛称)は「彼女は男ですよ、怖いですよー」と言ってましたがさもあらん。作る映画といい、風貌の迫力といい、ナヨナヨしたステレオタイプの女らしさは微塵もございません。で、ぼくはそんな女性が割りと好きなのである。

 オスカーを掲げた写真はウエスト回りがほんのちょっと58歳を感じさせますが、それよりも美貌、若さ、意志の強さが前面に出ています。ボーと時間を過ごしていたらこれは出来ない。かなり克己心、自己抑制の強い、ストイックなところがあると思います。

 輝く女性であるキャスリン・ビグロー監督を見、男の時間の使い方について思いを馳せるのでした。

  

凄み抜きの写真です。

無財の七施

 今日、本を読んでいたら「無財の七施」という言葉に当たった。

 ギブ&テイクという言葉があるが、大事なのはテイクを期待しないでもギブすることだと思います。でこれは仏教の言葉で、地位や財産がなくても、誰もがいつでも容易にできる布施の行,それが「無財の七施」です。

【1】眼施(げんせ):慈しみに満ちた優しい眼差しで全てに接することをいいます。

【2】和顔施(わがんせ):いつも和やかで穏やかな顔つきで人に接することです。

【3】言辞施(ごんじせ):優しい言葉、思いやりある態度で言葉を交わす行いをいいます。

【4】身施(しんせ):少しでも世のため、人のためになることを思いついたら、損得を抜きにしてすぐに身をもって行動することです。

【5】心施(しんせ):他のために心を配り、心底から共に喜び共に悲しむことができ、他の痛みや苦しみを自らのものとして感じ取れる心を持つこと。

【6】床座施(しょうざせ):電車のシルバーシートは勿論の事ですが、自分が疲れていても喜んで席を譲る行為。また、競争相手にさえも自分の地位を譲って悔いなく過ごせることをいいます。

【7】房舎施(ぼうしゃせ):簡単に言えば自宅を皆に貸し与えなさい!ということ、雨露をしのぐ場を提供するということを敷衍(ふえん)しての、「自分が多少濡れても、相手に雨がかからないように傘を差しかけてあげる」ということです。

 おお、なんと素晴らしい。今からでも実行できる。簡単そうで、でもちゃんとするにはものすごく難しいかもしれないけど。でもやるぞ!と心に決めればきっと今日とは違う明日が訪れそうです。グッド・ラック!

やる気でやればね。

 

第3回脳心血管抗加齢研究会

 土曜日診療が終わってから、「第3回脳心血管抗加齢研究会」に出かけました。

 大阪大学の森下教授をはじめ愛媛の堀内教授、千葉の小室教授、熊本の光山教授と、今まさに旬の先生方が1人40分ほど今されている仕事のレクチャーをされたのですが、血管を守るため、老化を防ぐためにはどのようなことをすればいいか、というか基本的にはどのような薬品が有効かという話であります。

 参加者も大学関係者が多く全部で100人いってないか。ちょっともったいない。かなり学術的な話題も多い。うちの鍼灸院の小西キュート院長と参加したのですが(彼女は今年抗加齢医学会認定指導士をとる予定)、まあそうだろうなという予想できる範囲の話題の中(時間もないのでかなり流されている感じもあり)、森下教授のアルツハイマー病の予防については、これは早期介入で飲んだほうがいいかな、とチラッと思うくらい説得力もあり面白かったです。

 ARB(アンギオテンシン受容体拮抗薬)は今高血圧の人に処方するファーストチョイスとなっていますが、本当に多くの他のすぐれた作用が報告されています。今回もARBが中心だったのですが、今日本で出ている数社のARBの中でどれがどうよ?というのが一番興味あるところで、どうもかなりスポンサーに偏りすぎてんのちゃうん!!というのが気になりますが、客観的評価であれば素晴らしいことであります。

 ARBに限らず老化阻止に有効な可能性があるいくつかの薬剤が最近出てきていますが、いずれもメタボ関連のもので、肥満、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症はやはりやばいということです。皆さん気をつけましょう、甘い言葉と暗い道、じゃなく暗い言葉と甘い道(ネガティブな考え方と甘いものはだめってことね!)。

 

次回も多分行くだろうな。