カテゴリー別アーカイブ: 音楽

至上の愛

 小人閑居して不善をなす。なんと僕は不善もなさずボーとしていた。

 まあ休みの醍醐味であり、こんなことを言っていては悟れん!これぞ幸福じゃ!ばか者!と思ったりもしていたのだが、チラッと見たイチローのドキュメンタリー番組で「腹が出ていて出来るスポーツは限られていて、野球はその一つなんですよ。俺は絶対、そんなの許せない!」と話しているのを聞き、むくっと起き上がる。

 出ようと思ったら雪がちらつくのでのびのびにしていた愛犬の散歩にゴー!

 その勢いで打ちっぱなしにも出かける。またかよーと思うだろうが実に2週間ぶりである。車の中でジョン・コルトレーンの「至上の愛」をかける。

 昔コルトレーンは好きじゃなかった。だってまじめすぎるんだもーん。僕の望んでいた音楽ではなかった。でも今は違う。律儀でまじめで、気持ちを裏切らない、そしてやたら仕事も優秀な友人のような感じで、時々とても会いたくなる。

 大学の先輩で敬愛していたF先生が女性につれなくされた時、入ったジャズ喫茶でかかっていた「至上の愛」を聴き涙したそうである(ほんとかい!)。彼はハンサムでクレバーで運動神経もやたらよかった。大変おもてになり、誰でも知っているフォークの女性ディオの一人と結婚したが離婚して、今は再婚し京都で活躍されている。

 コルトレーンを聴くとF先生の運動神経あふれる挙動を思い出す。人間、活発に動いて何ぼよ。今日はちょっともったいなかったな、と僕は反省する。

いぬとてにす
廃棄されたテニスコートと、ボールを見つけて遊ぶ犬

 

ミュージック・イズ・オン!

 僕はめったに不眠にはならない。友人と旅行なんかすると、グループの誰かは必ず不眠傾向ありで、睡眠導入剤の経験も結構あったりする人が多い。以前は僕も習慣的にアルコールが無いと眠れないかなと思っていたのだが、今ではそれも誤解ということがわかり、むしろたまにアルコールが入ると寝付きにくい。どちらか言うと常に早くベッドに入って眠りたいと考えながら動いているのである。おお、能天気な僕。

 しかしそんな僕でも寝付けない、いや寝たくない夜があるのである。数ヶ月に一度、何か感情の帳尻が合わず、端数の処理に困る夜。で、そんな夜は何をするか?

 好きなCDをかけ(しかも大概、曲限定)、好きな気楽な本を読み(自分の波長にぴったりあった文章)、酒をやたら飲む。この時はかなりの量を飲み、気分が悪くなる3mm手前で寝る。

 で昨晩は何を聴いたかというと、
CCR:飽きない。Mid night specialを聴いてご機嫌にならない人がこの世にいるのだろうか?でも1番好きなのはBorn on the bayou。前奏を聴いただけで土と乾いた風の匂いがむっと立ち込める。
Chicago:なんといってもファーストアルバム。だいたいこれしか持ってない。僕の音楽嗜好の大きな部分を決めたIntroductionは・・・飽きない。
急に変わって桑田啓祐のソロと、サザンオールスターズの何枚か:桑田啓祐はバラードよりも厭世的な歌詞を散りばめたアップテンポの曲の方が本領のような気がする。でも久しぶりに聴いた「真夏の果実」はあまりの美しさにびっくり。
桑名正博、下田逸郎:こういう時の定番。心より愛している。「夜の海」とか「泣くかもしれない」とか、どうしたらこんな曲が書けるのだろう。

 最後は大概日本的な湿った世界に行ってしまう。

 でも翌朝起きたらすっきりだ!これを書いている今、散らばっていた昨日のCDをかけているのだが、なにか響きの深さが違う。

 音楽は耳にでなく心に向かってかかれているから当然か。

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ジョン・フォガティの音楽は最近のも全く一緒だ

 

ノールーム・フォー・スクェアズ!

 年末ですが全くそういう実感がない。年々そういう感じが強くなり、カレンダーをボーと見ていて「わっ!」と驚くのですが、これは気温のせいでしょうか?しかし患者さんは年末進行でお休みが続くため風邪薬を念のため下さいとか、今まであまり来られなかった方が急に思い立って来院されるなど、まあともかく忙しいです。

 他の雑用もとりあえず今年中にというわけで山と押し寄せてきて昼休みもほとんどない。うー、疲れるというわけで、最近のカーオーディオはジャズがかかりっぱなしです。僕の場合、疲れてる、元気を出したい、でも疲れきっているのではなく叩けばビンビン反応できるくらいの余力はあるでー、という時にファンキーなジャズがぴったりくる。何でかわかりましぇん。全然駄目な時はハードロックです。焼け石に水的にガンガンかける。で全く反応せず。

 最近かかりっぱなしなのはリー・モーガンの「サイドワインダー」です。かっこいいよなー、これ。標題曲のテーマはブルーノートの代表みたいな感じで流行りましたが、今聴いてもやたら新鮮。精神がピコピコ踊りだすのがわかります。他の曲もはずれなし。リー・モーガンってマイルスなんかと比べると、ちょっとポピュラー過ぎるんじゃない?という感じで評価が低いと僕は思ってたんですが、イヤー、そんなことはない。ブリリアントな才能だと思います。人気のある人ってやはりそれだけのことはある。

 ここら辺のジャズは古びません。インプロビゼーションというかアドリブでおすジャズはフレーズが新鮮で、流行りすたりじゃなくその人間性、音楽性が出るので時代が関係しにくい気がします。

 特にブルーノート・レーベルはいかしてるよなー。同レーベルのハンク・モブレーのアルバムに「No Room For Squares」というのがありますが、そのまんま。人生はこういきたい。訳すと「野暮の居場所はないよ」でしょうか。

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Wow!!

 

Led Zeppelin賛江

 最近からだがだるい。風邪の患者さんが多く、明らかに発病していなくても感染して体内の免疫系が賦活しているのかも知れぬ。免疫が働くとだるく眠くなる。・・・まぁ単にだれているだけだろうと思う。

 通勤のため車に乗り込みカーステレをかける。FMは僕が商業主義を嫌悪しているため某国立放送局にチューニングしてある。軽やかにクラッシックがかかる。ハイドンである。優雅な私の朝にふさわしい。・・・ますます眠くなりCDに変更する。レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)がかかる。「コミュニケーション・ブレイクダウン」である。実生活そのものだ。

 高校生の時、ジャズよりのブラスロックファンだった僕に、「まあ、これだけは聞いてみ」と友人が貸してくれたLed Zeppelin ㈼.「胸いっぱいの愛を」である。痺れた。めちゃかっこいいあのジミー・ページのギターリフは今でも文句なくかっこいい。おっさんの耳で聞いているとZepの曲はとても大人っぽい。民族音楽の要素も強いし、構成が複雑である。そして、なんといってもあの声。ロバート・プラントのあの高い、複雑なニュアンスを持った声。

 とりあえず目が覚める。低速回転をしていた僕の脳髄がややギアを上げたようである。風邪薬よりも効くようだ。音楽療法である。マンネリの頭にはLed Zeppelinを。出来れば大音量で。そして死ぬまで17歳で。

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でも最近のアピアランスはちょっとなー

バランス

 車の中でFMを聴いていたら古い井上陽水がかかった。一気に記憶は過去へ遡る。20年近く前、アメリカの大学で実験ばかりしていた。1日の終わり、結果が出た日も出なくても、フラスコやらビーカーやら一杯明日のために洗浄する。そんな時、僕はひとりでよくウォークマン(今ならiPodね)で日本から持ってきたカセットテープを聴いていた。井上陽水初期のベストアルバムがどういうわけか入っていて(あまり聴いたことなかった)、何度も聴くうちにどんどん心に染み入ってきた。

 なんといってもべたべた日本的。曲名は忘れたが、はかなげな女の人から滑り落ちたハンドバッグから口紅が転げ出たとか、暗い雪の降る海岸べりとか、なんというかじっとりと裏日本的ロマンチシズムなのである。これはねー、はまるよ。「Hi,kiyo! How are you doing?」の実世界とこれで僕はバランスをとっていたのである。

 最近のアルバムを聴く。奥田民生と一緒の「ダブルドライブ」。あっかるいなー。夏の歌が多いせいもあるが、じめじめした暗い、いかさない昔の大学生が、就職して小金も出来て、似合わない異常に派手ないでたちで南の島のバカンスを満喫しているかのようである。でも過去のトラウマがあるから単純じゃないぞ。過去ある大人が総て了解してはしゃいでいますという雰囲気です。ま、僕の今の気分ではやはりこちらのほうがいいかなー。奥田民生もちょっと屈折してるし。ナイスアルバムで、ちょっともう古いけど現在ヘビーローテーション中です。これで僕は何とバランスをとっているのかな?決まり切った生活とでしょうか?

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こういう感じ、ええなぁー

毎日ブルース

 ううっ・・・つっ、疲れた。毎日これである。朝は8時半から外来が始まり、夜は建物を出るのがだいたい8時半である。隙間なく12時間労働である。午睡というライフラインも最近はなく、今日の医師会の特殊検診説明会でも、担当理事でありながら1番前に座って熟睡する始末(また顰蹙をかっただろなー、許せ)。

 朝の車の中は非常にアクティビティが高く、頭脳もそれなりにたいしたことないけどフル回転であるが、夜はぼろぼろの雑巾である。フラフラとCDをかける。ブルースである。こてこてのミシシッピーソウル、黒人のおじいちゃんがハーモニカを吹きながらフガフガ言ってるような、お洒落度ゼロ、いい気分の時に聴くと「やめよかな」と思う音楽ですが、雑巾の時は非常によろしい。しみます。

 今日聴いたのは古いコンピレーションアルバムですが、すごい名曲、名演奏ぞろいです。出だしはビィ・ビィ・キーング!!ルシール歌ってます、めちゃ湿ってます。ズンときます。そこからサンハウス、バディ・ガイ、タジ・マハール、ハウリン・ウルフ、ジョン・リー・フッカーなど、うう、濃い・・・・。疲れたときのブラックコーヒーです。苦すぎる・・・

 昨日言った「和」はどうした!という感じですがまあ変化が大事。毎日こればっかりだと疲れますが毒をもって毒を制す、ロウの時はロウの音楽がバッチシあうというのを再確認しました。是非お試しを。

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everyday i have a blues

バック・トゥー・ライフ

 Ooooo!!ウンギャー!今日から仕事始めです。朝7時半に診療所についてメールチェックをし、なんのかんの打ちあわせをしてから外来へ。全く昨日も外来をやってたかのような、いつもと同じBusiness goes on as usualな感じで終わり、往診へ。ぷらぷらと抜けるような青空の下、自転車をこいで移動していたのですが1000Lの空気の中、10ccほど秋が混じっているのを俺は感じたぞ。

 昼飯を食ってその後新しいプロジェクトの来客があり、その後打ち合わせをして3時半、午後の外来へ。予約は多くなかったのだが当日来られた方が多くフルに詰まって7時半に終了。その後紹介状やお礼の手紙、申込書等を書いて8時半に車に乗る。34℃、まじかよー。オープンで走るが完全に熱気のみ。

 ベン・シドランのI lead lifeを久しぶりに聴いた。前の回にコメントを書いてくれたalfista君と何年か前にブルーノートに聴きに行った。どういうわけかベン・シドランは旅行バッグを持ってステージに登場。休憩の時バーに現れた彼にサインをもらいに行った時、その訳を訊くと「だって盗まれると困るだろう」。僕がへんな顔をしていたのだろう、「ここはそんなとこじゃないと思っているけどね」と少し恥ずかしそうな顔をして答えてくれた。ツアーで盗まれたことがあったんだろうなと思ったが、まあなかなか個性的な人ではある。そんなことを思い出した。

 好きな音楽を聴くといつもの日常に戻っていく。慣れた世界はこれはこれでよろしい。まだまだ余力あり。いつまでもつか?

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彼です。いい人です。

逆噴射の夜に聴くものは…

 今日は暑かったですねー、死にました。実はゴルフに行ったのですが、新しいドライバーのデビューだったのですね。これがまた練習場ではタイガー・ウッズ!これよー、ゴルフって道具だったのね、うっふ、楽しみー、だったのですが・・・

 まあともかく死にました。全く爆発しないどころか逆噴射!他のクラブまで不発になってきて、いったい私は何をしているのでしょう?ここはどこ?わたしはだあれ?と言いながらも次回の約束だけは自動的にしてしまう悲しい性です・・・

 さすがにソファに倒れこみ、ゴルフよりもゲートボールに鞍替えした方が・・・などと考えていたのですが(ウソ)、ともかく気分をアップさせるためにいかした音楽を聴きましょう。

 隠し玉です・・・セルジオ・メンデス アンド ブラジル66。「ルック・アラウンド」。これは僕が高校生の時に彼らが来日し、両親が何を間違ってかLPを購入、結局僕だけが聴いていたのですが、その頃からなんとクールでかっこいいのだと思っていました。が、CDで買いなおして今聞いても全く印象は同じ。クーーール!切ない、かっこいい!ジャケットもメンバーが日本の色とりどりの日傘みたいなものをさして野外で撮ったようなイージーな感じなのですが、なんかいい感じなのです。女性ボーカル2人(1人はラニー・ホールでミック・ジャガーの恋人として、奥さんだったけな、有名な人です)がかわいい。友人に聴かしても「いい曲ばっかし」というのがアベレージな評価です。

 バート・バカラックの「ルック・オブ・ラブ」を歌っていますが、いまだこの曲のカバーは彼らが最高です。それ以外にも「トリステーザ」とか「ソー・メニ・スターズ」とか、なんというか涼しげだけど
情熱的な、甘い空気の歌がいっぱいだ。

 聴いていると頭の中が少しクールになってきました。もうゴルフは止めて仕事に専念、というのがクーレストな結論ですが、そこまで人間が出来ておらず、もう少しティーを低くしたらうまくいくに違いない、などとグッド・ミュージックを聴いても愚かさは変わらないようです。

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大人の色気あり

お猿さんたち

 モンキーズを聴く。ご存じない?まあ考えてみれば僕が小学生の時にデビューしたバンドだからな。といってもビートルズはもっと古いぞ。モンキーズは自主的に結成されたバンドじゃなくてレコード会社が売り出そうという意図の下にメンバーを募集し、いい作曲家に曲を依頼し、主演のテレビ番組(モンキーズ・ショウ!)を作って売り出した、アメリカ商業主義の申し子である。であるからロックファンの間からの評価は低い。芸能人バンドみたいなもんだ。デビュー曲(恋の終列車!)はかなりヒットしたが、その時メンバーの半分は実際に楽器が出来なかったという話である。でも段々音楽的に成長してきて、オリジナルを作ったり、かなり前衛的なアルバムを作ったりしだすようになるが人気は低迷し解散する。

 「デイ・ドリーム」が日本では一番ポピュラーかな。コマーシャルに今でも使われている。この曲に限らずメロディーがキャッチィーで切ない、暖かい。どの曲も明るくお茶目で切ない。ボーイ・ミーツ・ガール的。・・・ええやーん。ポップスの王道である。僕はこんなのが好きなのである。モンキーズ・ショウもビートルズ映画のパクリであるが、アメリカン・ホーム・コメディの典型で学生にとっても人気があった。ラブ・コメである。僕は実は人生がラブ・コメだったらどんなに素晴らしいだろうと思っている人間なのでこういうのは完全に○なのです。でもこういう学生生活って、アメリカでも回顧的なんでしょうか。学内で銃をぶっ放してるからなーと思うとどうも悲しい。

 アメリカの学生は古いポップチューンをよく知っている。ぼくの時代のロック・シンガーのコンサートに若い奴もよく来ている。古い、けれどいかしているポップチューンはその国の人間にとって財産だと思う。アメリカはどの都市でも古いポップチューンをDJ無しに延々と流し続けるFM曲がある。それで若い奴は知っているのだ。日本でもやらないかな。CMでサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」が流れたり、結構昔の曲はかかっているのだが、そのことを知らないかもしれない。

 久しぶりに聴くモンキーズはとてもいかしていた。他の奴にとってはどうか知らないが、僕にとっては思い出も加わってオールディーズ・バット・ゴールディーズです。プレザント・バレー・サンディ(キャロル・キング作だ!)、スター・コレクターが好きです、今は。

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こういう雰囲気、ええなあー

ソウルフルでいこう!

 最近車でよくかかっているのがウルフルズの「ベストやねん」です。ウルフルズはソウルフルからとったということで、本当に大阪男子のソウルがいっぱい詰まっている感じです。

 歌詞を聴いてると、なんかこんな奴おったなーという感じがします。明るいけれど気にしいで、面白いけどすぐ落ち込んで、勉強はまあそんなにでけへんけどぱっと目立つ。すごくもてるわけじゃないけどちゃんと彼女がいて、彼女はちょっと純情でおとなしめな感じっていう。なんか高校時代にはいた気がしますが、それ以降はあんまりお目にかかってないかな?

 ソウルフルとは何か?こんな奴がソウルフルな一つのタイプだとすると、それは自分を飾らない、自分の気持ちに正直ということかな?他人の意見に勿論動かされたりはするけど、理屈よりも自分の気持ちに納得して決断する感じ。自分に嘘をついていると苦しくなる男です。

 頭は裏切る、理性で考えたことは失敗するというのを最近よく思うことがあります。生理に訊け!感情に訊け!自分の本当のところの気持ちを優先させよ!これは案外難しい。

 頭でこれでいいんだと納得するより、はっはっはっ!と笑って1日を終えたいです。(ちなみに好きな曲は「笑えれば」と「暴れだす」だよー)

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このええ加減な感じがいいんですよね