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天上の音楽

 土曜日に昔留学していた時の僕のボスが学会で来日し、歓迎会がありました。僕は10年近くお会いしていなかったのですが、会った瞬間から時の隔たりが全部飛んでしまって先週別れてまた会ってる様な、違和感を全く感じさせない楽しい再会でした。人徳なんでしょうねー。彼は僕の知っている総ての人の中で、多分最高の紳士だと思います。自制心とか気配りとか。

 で、僕はsmall giftとしてCDをプレゼントしました。南博という、僕が今最高に好きな菊池成孔というサックスプレーヤー(本当に天才でしかも変態!多分)のバンドのピアニストです。ウイズストリングスのピアノアルバムですが、非常に内省的で(彼はライナーノーツで総ての孤独を感じている人のためにこの音楽を演奏したと書いています)こんな音楽が日本にあるんだよと判って欲しいためにプレゼントしました。

 ところがボスもCDをくれたのです。ヨーヨー・マという天才チェリストがエンニオ・モリコーネの音楽を彼のオーケストラと一緒に演奏しているものです。僕の1番好きなCDだよ、と言ってくれました。「持ってるかい?」
「いいえ、楽しみです」。

 日曜の朝、陽が差し込んでいる部屋で仕事をしながらCDをかけました。
「んーん!!」しばらく聴いて、作業を止めて聴くことにしました。

 これは天上の音楽ではないか?   

それ以上言うことはありません。That’s it.

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恐ろしいくらい美しい

音楽の力

 僕が主として音楽を聴くのは車の中である。車の中というのは毎日1時間半いる居住空音間であり出来るだけ快適にしていたい。で、オーディオはBoseである。

 音楽は耳にむかって書かれたものではなく心にむかって奏でられるものだ。

 昔アメリカを貧乏旅行で回っていた時、どうしても好きな音楽を聴きたくて(その当時はウォークマンもなかったし携帯できる音楽ツールという概念自体がなかったのである)、知り合いに借りた子供用のおもちゃのプレーヤーに欲しくて買ったLP(何のことかわかるかね?)をのせて耳を近づけた。濁ったペナペナの、遥か彼方から聞こえてくるような音だったが、泣けた・・・。

 音楽とはこのようなものであろう。だから僕はオーディオマニアというのはあんまり好きじゃないのだ。原音に近いゴージャスなオーディオシステム・・・フン、まぁ勝手にやってください。自分で弾くへたくそなギターの原音のほうがしみるぞ。じゃ、なんでBose?いい音で聞きたいからだ、決まってるじゃないか!なんだかわけが判らなくなってきたな。要するに程度問題という話だ。

 で、音楽なのだが音楽療法(うちのデイでもやってるよ!)もあるくらいで気持ちに及ぼす作用は大きい。自分の気持ちにばっちし!という曲(これはかかってみないとわからない、そうだろうと思って選んでもぜんぜん違うときがあるし、今までと全く違う、深くまでしみる音に聞こえるときもある)をあてたときはいい気分になる。

 今日はやることいっぱいでちょっとロウだったんだけど、ビーチボーイズのCDを偶然かけたら俄然アップしてきたぞ!いまから保健福祉センターに「高齢者と生活習慣病」の講義に行ってきまーす(ブログ書けるんだったらほかのこと片付けようね)。

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人生はこういう感じでいきたい

アイム・オールドファションド

 今日は久しぶりにチャーリー・バードのCDを聴きました。「ボサ・ノヴァ・ペロス・パッサーロス」です。といってもほとんどご存知の方はいないと思いますが・・・地味ですから。
 
 アメリカの学会でワシントンに行ったとき、ブルースアレイというジャズクラブに行きました。今にも雨が降りそうな夜。新聞でどのジャズクラブに行くか検討していた時、知っていたミュージシャンがやっていたのはチャーリー・バードのブルースアレイだけだったので決定したのです。といっても実は聴いたことなかった。

 カジュアルなクラブだったのですが雰囲気はさすがによく、年配のカップルが目立ちました。「爺やからなぁ」などと失礼なことをわれわれ日本の若者はほざいていたのですが、舞台にあらわれたチャーリー・バードは禿で白い髭を生やし、丸いめがねをかけた丸っこいほんとに爺さんでした。サイドメンもご年配。

 しかしものすごーく音楽はよかったです。雨の夜にぴったりな静かなやさしい音で、特に彼がギターを弾きながら「アイム・オールドファッションド」を歌った時は泣けました。それでCDも買って帰ったのです。

 久しぶりに聴いたのですが、いや、やっぱり素敵です。一般的な人気は出ないだろうけど。彼は僕の目標の一つです。・・・いや、なに、じじいがボサノバギターを弾きながら歌うというのは素敵じゃない?それをしたい!!それです、それ。

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ええなぁー

 
 

実感

 帰りの車で夜風に吹かれてサザンを聴いた。
 
 「ふーりむきもーせず、夏は行くーけど・・・」
 「さーよならーぼーくの、いとしのエーンジェル、この身は枯れーても、愛は死なないー」

 これって、去年だっけ。
 
 なんか夏は終わっちゃたなぁ。

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ユーミン

 ごそごそCDの山を引っ掻き回していると「リインカーネーション」が出てきた。おぉ、ユーミンじゃないか。今日のドライブミュージックはこれにしよう。

 ユーミンはバッチシ僕と同世代である。彼女の登場はちゃぶ台(死語か?)のあるすすけた4畳半に突然カラーテレビが現れたようなもんで、新しい、素敵な、求めていたものが現れた喜びに、僕らの世代は完全にやられてしまった。あの貧乏くさくない「切なさ」は、経験したことない音楽世界だった。

 僕は目利きの友達がいたおかげで、あまり売れてなかった荒井由美の頃からよく聴いていて、関西初登場の大阪城野外音楽堂でのステージも見ている。へただった。彼女がビッグになってから神戸のインド料理屋で偶然見かけたことがあるが、その時もあまりオーラはなく地味な感じがした。もともと観察力の鋭い意地悪なお姉さんと言うだけだったかもしれんな。しかしあの素晴らしい楽曲の数々で松任谷由美となってからのステージの彼女は完璧なカリスマだ。「パールピアス」のコンサートで、彼女がグレーのスーツを着て同じ衣装のダンサーを数人従え踊りながら出てきた時のかっこよさは本当に震えがきた。フェスティバルホール全体が震えたような気がする。最初から最後まで総立ちだったもん。

 「リインカーネーション」はある種ピークの時のアルバムで、音の隅々まで、のってる感に満ちている。後、好きなのは勿論「パールピアス」、ちょっと地味な「ボイジャー」、切ない「悲しいほどお天気」、異色の「紅雀」、ミニアルバムの「水の中のアジアへ」も大好きだ。まあほとんどのアルバムが好きだな。

 しかしそんなユーミンも、最近はどう考えても魅力が薄れている。盛者必衰は世のならい。ユーミンとて例外ではない。ちょっと悲しい。

 いつかユーミンの訃報を聞くときがくるだろう。その時僕はどこで何をしているだろう。葬式には行かないだろうが、心をこめた黙祷は必ずすると思う。

(と言っても1歳しか違わないんだから、どっちが先かわかんないって)

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写真撮るとき注文うるさそうね

 

 

ドノバン・ニルソン・レノ・マッカ

 今日の帰り道はドノバンを聞きました。僕のリスニングタイムは帰りの車の中で、この季節はオープンにして帰るので音楽は聴きにくいのですが、今日は少し音量を大きめにして(高速道路だけだよ)、夏の終わりの夜風と一緒に楽しみながら帰った。

 ドノバンは最近車のコマーシャルで「サンシャイン・スーパーマン」が使われたりして、まったくどっから探してきたんだと思いますが、好きな人はどこにでもいるもんです。30年以上前のミュージシャンですが、CDもちゃんと手に入るし、久しぶりに聴くと、昔思ってたより深みのある音だったんだと驚きます。サイケデリックな絵本の王子様(童話を題材にした曲もある)という、どっちかいうとやや色物寄りかなーという印象だったのですがなかなか。

 ぼくはハリー・ニルソンが大好きです。彼も知る人ぞ知るですが、「ユー・ガッタ・メイル」というメグ・ライアンの素敵な映画の主題歌に使われていてほんとに驚きました。「子犬の歌」という激かわいい歌で、僕はそらで歌えます。僕の葬式の時はこいつを流してほしい。で、ドノバンもちょっとニルソンに似ているな。そして二人のメロディラインにはやはりビートルズが見え隠れしています。そう思うとレノン・マッカートニーは心底!偉大ですね。

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お気に入りは「僕の好きなシャツ」だ!

ロックな人

 朝日新聞の土曜日版にフロントランナーという連載があって先週はスマッシュ社長の日高正博氏だった。高校を1週間で中退、放浪生活の後音楽興行会社スマッシュを起こし今では年間500本の公演を主催する。日本におけるロックフェスのパイオニアで外国のミュージシャンとのつながりも深く、2年前には英国名誉大英勲章OBEの叙勲をうけている。

 しかしそんな成功譚のことを言いたいのではない。何も無いところからのし上がってきて、何も変わらずロックの精神そのままなのだ。

 57歳、家庭:持たない。猫が自宅に7匹、会社に2匹。一緒に通勤する犬1匹。 家:持たない、テントとジープがあればいい。 課題:安定を考えたらだめ。過去の成功例だけで物事を判断するようになると自分たちの首を絞める。自分の感性を使って判断し、好きなことだけやって、分相応に飯が食えればいい。  

 人が安定を求めるのは死が怖いから。でも死ねばみんな同じ。仕方ないと思うしかない。

 無理だ、だめだって言われると、俺、顔がニヤーッとする。何しろ天邪鬼でわがまま。

 工員のようなスタイルで(お洒落なのかな…)不敵に笑う彼の写真を見ているとこうじゃなくっちゃねと思う。誤解しちゃいかんが外観かっこいいこと全然ないぞ。ありゃーという感じだがそこがよけいに凄みがあるなー。君がどんな仕事をしていようがこのようなスピリットは絶対なくしちゃいかんと思うぞ。

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僕の中でロックといえばこいつ

 

帰る家がない…

さっきから何度もやり直しをしている。同じ文章(じゃないな、どんどん変化し簡潔になっている)書くのこれで3度目だよ!あーあ、と言いながらもう一度。

 今日は外来はお休み。ボブ・ディランの「ノー・ディレクション・ホーム」を見る。マーティン・スコセッシ監督の、ディランのインタビューとライブや私生活のフィルムで構成されたイカしたやつだ。

 ディランは、母親が中学生の僕に突然レコードを買ってきてくれた思い出のミュージシャンです。ビートルズを聴き始めた頃の僕に「ビートルズもコンサートに行く大物らしいから買ってきた」と言う言葉とともに。

 「グレーテストヒッツ」だったけど、1曲目の「雨の日の女」の奇妙な出だしの音と、続くディランのしわがれ声が強烈な印象だった。「???」。でも結構よく聴いていた。

 「ビフォ・ア・フラッド」という、ザ・バンドとのライブが1番好きだったけど、それは音が好きだったわけで、DVDを見てディランは歌詞が総てというのがよくわかった。また聴きなおします。

 ディランは有名になる前は、有名になるためにずるいこともやっちゃう普通の人。有名になってからも、利己的で自分のやりたいことしかやらない芸術家。若い時はかっこよすぎる。表情、目があんまり美しいのにびっくり。現在もいい顔をしている。僕の友人に表情が似ているのにびっくり。彼はだからもてるのかしらね。今度会ったら言ってあげよう。

 感動はしなかったけど、きっと何回か見るDVDだ。ディランのように何かがある。見たい人は貸してあげるよ。
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