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事業所評価加算

 当院のパワーデイサービスに事業所評価加算が可能との評価を大阪府庁より戴いた。

 事業所評価加算とは運動器機能向上,栄養改善,口腔機能向上の各サービスを行う介護予防通所サービス事業所において,効果的なサービス提供を評価する観点から、利用者が1年間のうちに要支援状態の維持・改善の割合がある程度を上回れば認められる保険点数の加算のことである。

 つまりデイサービスの利用により、その方の身体的状態が維持出来たり改善したりするケースが多いというお墨付きである。そのため利用する費用が若干高くなりそこが申し訳ないところであるが、せっかくデイサービスを利用してもどんどん状態が悪くなっていくようでは意味がない、価値ある投資と考えていただければありがたいと思う。

 大阪府下で2000以上ある事業所の中でこの加算を今年つけられるのは110か所に過ぎない。城東区内では当院のみであった。

 これは勿論スタッフの頑張ってくれたおかげである!!評価されて大変うれしく思う。

 そしてパワーリハビリテーションをメニューの主体に置いたのがよかったんだな。パワーリハビリテーションは名前から誤解を受けやすいが筋肉トレーニングではない。マシンを使用するが、それは安全に正確に負荷をかけるためであって、その負荷は驚くほど軽く、本質は全身のストレッチという有酸素運動である。この運動の有効性は今いろいろな領域で証明されていて、今回は高齢の方の全身機能改善に有効であることをまたも証明することになった。

 マシントレーニングを行っている事業所は多いが、パワーリハビリテーションを理解して行っている事業所はほとんどない。使う器具も違うし、大事な点は筋肉トレーニングを主眼に置くのは脆弱な高齢者の場合大変危険だということだ。理論もやり方も全く違うのである。本当にこのことは判ってほしいと思う。パワーリハビリテーション研究会の認定を得ているところでないと効果は不十分なのだ。

 3月にパワーリハビリテーション研究会の竹内教授(国際医療福祉大学大学院)が大阪に来られて講演をされるので是非興味のある方はご参加を。詳しくはまた掲示します。

 

これはクリニックの方のパワーリハ室とストレッチ運動

 

土曜と日曜

 今日は愛犬ララの誕生日です。パチパチ。10歳、早いもんだ。人間にすると56歳、僕とほほ同じです。最近おしっこを時々漏らしたり、オイオイと思っていたのですがまだまだ若いじゃん。

 老け込むのは早すぎるぜ!

 

 昨日は診療が終わってから済生会中津病院の病診連携勉強会に行った。

 かってのボスであり、今も精神的ボスであるグレート川嶋先生が院長をされているので、実際中津病院に患者さんがお世話になる機会はそれほどないのだがお顔を拝見しがてら出かけたのである。看護師さんや事務の方の対応が丁寧で優しいのに感銘を受ける。会も参加者のみなさんなかなか積極的で、普段城東区でしている会と肌触りが違う。気のせいか。川嶋先生はお元気そうでいつも通り若々しい。昨晩は東京でご友人と飲まれて二日酔い気味とのことであったが全くそんな感じせず。

 その後、3月にどういうわけかパネラーになっている第13回在宅医学会大阪大会の打ち合わせに出かける。

 パネラー同士の初顔合わせで座長の提案により会食をすることになったのです。テーマは「食べる」。以前ナニワNSTの会で話したことがあったのだが、その内容を話してくださいと要望があったのだ。開業医がいかに「食べる」ということ、在宅の患者さんの栄養やNSTと遠い存在であるか、またこれからどうしていけばいいのかという提案をしたのだが、その時以来あまり進展していないなぁーと思いながら待ち合わせ場所へ。

             約束の場所まで梅田を歩く。新しくできた丸善ージュンク堂でバカ買いする。

 歯科衛生士Kさん、STのTさん、訪問看護師のTさん、訪問歯科医のO先生がメンバーで、座長の歯科医K先生が朴訥な感じで、しかしポイントを抑えた進行で友好的に推移する。問題と思っている点はみんな同じ、実行可能な解決策を提示できれば大成功。皆さん頭のクリアーな方ばっかりで、これからの展開が楽しみとなる。会だけでなく、これからの診療でも一緒に仕事ができればいいなと思う。こういうふうに思えることはあまりない。機会を与えてくださったK先生に感謝。

 

セミナー

 行ってきました、「てらこ屋セミナー」@京都大学。土曜の午後と日曜半日つぶしてクリニカルスタディに必要なデザインの立て方や統計など知識の習得に励んできた。

 論文を書く上では非常に大事な基本を学べるという明治国際医療大学の天才S先生のお勧めで鍼灸院のK先生と一緒に参加した。今更論文でもないでしょうという考え方もあるかもしれないが、僕としては開業医の世界から情報発信出来ることはかなりあるはずだと確信していて、クリニカルスタディはそのひとつである。まあ大したことは出来ないかもしれないけどね。

 100名くらいの参加者は日本中から集まっているのだが、こういった会に参加しようかという方は学者っぽいテイストをお持ちで、いつも行く臨床の会とはちょっと違う涼やかな風が吹いていた。いろいろ趣向も凝らされており、楽しみながら勉強しよう、自分を高めようといういい感じの雰囲気であった。素晴らしいことだ。

 個人的には基本的なことがおぼろげながらも少しは理解できて嬉しいが、それよりも統計周辺に興味が持てたことがよかった。以前買っていてそのままギブアップしていた本も読み返すことにした。

 若手が多い会場に年配の方も参加されていた。僕も見習いたい(なんか今日は真面目だな)。

 

 

On a clear day

 この2日間は散々であった。

 原因不明の胃痛、下痢に襲われたのである。まぁ多分ノロウイルスであろう。インフルエンザと並んで今の外来でも大変多い。でも今までなんともなかったからなぁー、今さらであるが、ともかく午後の診察中に胃の不快感が極度に達し、正直途中棄権しそうであった。

 しかしなんとか耐えしのぎ、その晩から完全絶食とし(ひどい下痢も始まっていた)朝の外来を始める。僕はあまり不調が表面に出ないのであるが、その日も声は張りがあるし、顔もちょっと頬が削げて精悍そうである。しかし実はまいってたのよ。(外来チーフのO嬢に「ストレスのせいに違いない」と言うと「何のストレスですか?」と心底不思議そうな顔をした。俺はなんだ!?)

 外来があんなにつらいものとは思わなかった。自制心がないと務まらないが、体が不調だと気力がなくなり忍耐がなくなりネガティブになる。健康であってこそできると当たり前のことを深く認識する。

 午後は生まれて2度目の点滴をして、内服薬も効いてきてやや元気になってきた。1日の完全絶食後食べる晩飯に驚嘆。ハングリー・イズ・ア・ベスト・ソース。然り。

 この2日は8時間近く寝た。考えてみるとここ数年、2日続けてこんなに寝たことなかったんじゃなかろうか。ゴージャスな気分。で、今朝であるが、完全復調どころかリバウンドで全く疲れを感じないのである。軽いのである。世界が明るく考えが恐ろしく前向きである。脳内セロトニンを測定したらおそらく振り切れるに違いない。「晴れた日には永遠が見える On a clear day, you can see forever」という映画が昔あったが、永遠を垣間見たようなグッド・フィーリングのまま1日が終わる。

 いい気分である。で思ったこと:

 ①1日くらいの絶食は胃腸を休めるのにいい。これからも時々日曜日位白湯だけで過ごそうと思う。 

 ②病み上がりのグッドフィーリングは、どんな状態でもその境地に達することが可能な精神状態だと思う。どうすれば普段でもこの境地に達せられるか考えてみよう(睡眠時間?)。

 ③でもつまりは体調が整っていなければダメなのだ。軽率だからもっと用心深くすること。アランというフランスの哲学者は精神的落ち込みはすべて体調のせいと考えよといっているが(違ったかな?)リーズナブルな思想である。

 で、明日から土日の2日間「臨床医のためのクリニカルリサーチの仕方」のセミナーに出るため京大に行ってきます。2日前は申し込んだのを後悔してたんだが今は楽しみ。勝手なもんだ。体調は恐ろしいぜ。

患者さんの突然の嘔吐に備え机の下に備えてある膿盆

(僕のためではない)

ニューフェイス!

 外来受付にニューフェイスが登場した。

 ジャーン!サーモミラー君です。名前はまだ無い、っていうかー、試用期間中です。

 新型インフルエンザが大騒ぎになった去年、空港とかで発熱者を感知するためにサーモグラフィーが備え付けられたことがあった。赤とか緑とか体温の分布が人型に表れている写真をご覧になった方も多いであろう。それと同じ原理で、鏡をのぞきこんだ顔の表面温度を瞬時に計測する。設定により高熱の場合は警告ランプが点滅する。

 新聞で読んだとき、これは今のインフルエンザの流行時に役に立つかも?と思いデモをお願いしたのである。で今日持ってきていただいたのであるが・・・①皮膚の表面温度は実際の体温より外気温の影響を受け2,3度低い。その低い温度がそのまま表示される。②皮膚温と実際の体温との相違は外気温の変化と相関したデータが取られているのだが、それを計算、変換して実際の体温を表示する機能はない。③皮膚温は測定場所によりかなり異なる(鏡を覗き込んだとき、赤いレーザーポインタでどこを測定しているか場所がわかる)。ゆえにやや再現性に欠ける・・・などなど気になる点が出てきた。

 そんなこと、どこにも書いてへんかったで!とぼやくより、実際にちょっと使ってみて役に立つか試してみることにした。大体のレベルを設定し、それより上だと実際に体温を測ってもらうと・・・。

 うまくいくであろうか?だめならお払い箱である。みなさん、一度現物を見たいならお早くね。大阪で医療機関からの引き合いは僕のところが最初だそうである。

黒いところが鏡。下に日付、時刻。上のグリーンに外気温が表示されている。

 

土曜日

 昨日の土曜日は城東区医師会の新年会に行ってきた。毎年行ってるけどなにか年々勢いがおとなしめになってるような。世相を反映してるような。気のせいかな。

 僕は8年間医師会の理事をさせていただいて、とても僕の能力では継続は無理と思ってやめさせていただいた。ほとんどボランティアで大変な仕事を片付けていく。めっちゃ優秀な理事の先生方の大変さはよくわかる。で、こんな勝手な僕が言うのはなんですが、新しい、new、novoな医師会が必要なのでは。理事の先生方はすでによくお考えだとは思いますが。

 帰りにジュンク堂によって雑誌を買った。Brutusのバックナンバー3冊。久しぶりだなぁ、Brutus買うの。創刊当時から数年間、1冊も残らず買っていた。当時もっとも原稿料の高い雑誌だけのことはあって内容もデラックスで、新鮮な世界を教えてくれた。明らかに僕の一部を形成してくれた雑誌。一時全く見なかったが、最近は快調な印象。

 「本」の特集。2011年、世の中を考える175冊。ものすごく面白かった。内容濃し。数時間熱中して読んでいた。雑誌の活字量って新書とかより多い?北極圏の永久凍土の地下にある「種子銀行」の話や、自己啓発本に対する記事(知識でなく高揚感を提供するから。つまりサプリメントだ)など、最近読んだ本、雑誌の中では出色でした。こういう号があるからやめられないなぁ、雑誌は。

 話が前後するが雑誌を買った後はクリニックに戻って会議に出たのだった。常勤スタッフが集まっての月1度のミーティング。介護領域の今ある問題点を話し合う。I君のパワーポイントを使っての前向きな提案。結論は出なかったが今後の変化を予感させる実のある会議だったと思う。皆さん、お疲れ様でした。有意義な1日であった。

これね。

 

仕事について

 今の高齢者は昔より10年若い。これは体力的なデータで科学的に証明されている。外来で拝見する方々も60,70みんなお元気である。

 引退は早いんじゃないの?

 「Happier」という本を読んだ。ハーバード大学で肯定心理学(ポジティブ・サイコロジー)を教えるタル・ベン・シャハーという心理学博士の書かれた本でその講義はハーバードで最も人気があり、全学生の2割が受講するそうである。

 従来の心理学は心の病を研究するものであるが、肯定心理学の焦点は心の健康にある(この点、従来の医学と抗加齢医学の関係に似ている)。単純に言うとどうしたら幸福になれるかということを学問的に研究するチャーミングな学問なのだ。巷にあふれる根拠の希薄な自己啓発と親しみにくい伝統的な心理学の間のギャップを埋める存在といえる。

 非常に面白い。ここではお金は幸福と直結しないということがはっきりと示され、我々が集めるべき究極の通貨は「幸福」であると。そのためのアイデアがいくつか示される。

 アイデアの一つとして、仕事が挙げられている。仕事は常に辛く、娯楽は常に楽しいというのは偏見で短絡的なアイデア(起源は聖書からだそうだ)であると結論付けている。しかり。アメリカ人は常に早く引退して余生を楽しもうと思っているというのは偏見であったようだ。

 説得力のある話が続くが、僕が言いたいのは、引退した方がよく口にされる「退屈だ。生きていてもしゃーない」という寂しいセリフは、仕事(これは自分にとってやる意義のある、つまり誰かが必要としていて自分の都合で勝手に休んだりできない作業ということになるか)を自主的に見つけることにより解消されるのではということだ。

 「年寄りに働ける仕事がない」とおっしゃる。条件のいい仕事はないだろう。しかし経済的にメインというのじゃなく自分が幸福になれる手段としての仕事はあるし作り出すこともできる。気持ちの問題。ブラブラしているよりいいんじゃないかな。

 若い人の就職難も、マッチングの問題で中小企業とかでは人手不足のところも多い。賃金や見栄でなく、自分が幸福に感じられるための仕事は必ず存在する。

 必ず。

今朝は寒かった。雪のなかの朝日。

New Year

 明けましておめでとうございます。

 

 おそい!キャー、もう7日よ!

 どういうわけか珍しく仕事始めからやたら忙しい。例年年初はスローなのだが、今年は年末みたいなラッシュである。訳がわからぬ。しかし僕のような凡庸な医者にもかかろうかと思う方がいるというだけでも幸せと思え!努力せよ!と、おしっこに行く時間もないが感謝する。

 お昼もどういうわけか来客や用事が多い。僕の生命線である午睡をする時間も勿論ない。で、夜9時半頃に帰ってきて飯を食い風呂に入ると、そのまま浴槽で居眠りをしてしまう。あぶねぇ、あぶねぇ。

 で、ブログを書く時間も気力もなかったのだが回復してきました。

 今年はいつになくガッツが入っている。何にって、仕事ですよ、仕事。で、それだけじゃなくいろんなことにフルフォースでいこうと力がみなぎっている。こういうことは近年無かったので嬉しいです。なんというか説明しにくいですが、いろいろなピースが収まりのいいところに落ち着いたのでやっと準備OKという感じ。

 今年もよろしくお願い申し上げます。Wow !

朝焼け

今年も仕事納めの日となった。

 

朝はいつもより1時間早く出勤する。朝焼けである。BGMはマイルス・デイビスの「Four and More」、個人的には最強のライブ・ジャズアルバム。ノッてくる。

そして12月は診察室でずっとキース・ジャレットの「ジャスミン」が廻り続けた。ロックンロールよりやはりこっちの年齢でしょうか。

 

いつものように診察がすすむ。皆さん、「よいお年を」と暮れのご挨拶で出ていかれた。

 

来るべき新年は?

具体的なプランはともあれ、攻撃、攻撃、また攻撃である。スピードである。受け身、防御はまだまだ先。とーぜんだよな。

 

それでは皆様、お身体に気をつけて。よいお年を。

 

 

12月の雨

 ♪ 雨音に気づいて~遅く起きた朝は~♪ あの頃のユーミンは最高だったよなーと思いながらも12月の雨はいやである。冷たく暗い。「鬱になりそうですよねー」と当院美少女部門担当のF嬢も憂い顔でつぶやく。

 そのせいか最近鬱っぽい相談を僕と近い年代の男性からよく受ける。Tさんは58歳で高血圧だが服薬もライフスタイルもきちんと指導を守る模範患者さんである。彼があるとき「先生、相談があるのですが・・・」と切り出した。

 「最近どうも生きていても楽しくないというか、張りがないのです。鬱でしょうか?」

 「鬱も診断基準があるのですが、Tさんはそれから考えてもそうじゃないと思いますよ。自殺をかんがえたりとか、そんなんはないでしょうね」

 「いや、そこまでは。しかし毎日楽しみもないし、定年になってこのまま年とってもなぁとよく思います」

 

 うう、今まで一生懸命仕事をしてきて、そのため趣味らしいものもなく、運動をしろと医者に言われたからときちんとプールに行って週に3日泳いでいてもなんら湧き上がってくるものがない、そんな彼を誰が責められるであろうか。

 しかし解決策を考えてみる。

 彼には大好きなものがないようである。これさえやってりゃまあゴキゲンというものが。こういった方の多くは趣味が読書という場合が多い。りっぱである。しかし受け身ともいえる。インプットだけでなくアウトプットしないと人間は面白くなれないのである。

 アウトプットしないと新しい社会的関係は築くことができないのだ。自分を表現すること、それはどんなことでもいい、スポーツをやる気でやることでも料理をすることでも、能動的に動くこと、それにより新しい人間関係を作ることがポイントなのである。

 これは人によって簡単にできることではないかもしれぬ(簡単に出来る人もいる)。しかし誰にとっても自分の好きなこと、能動的に動く楽しくてやりたいことを見つけておくことは絶対に必要なことなのだ。それはあなたを救う。

 中年のオッチャンは元気がない。鬱も自殺も凶悪殺人の率も高い。仕事よりも何よりも、楽しくて思わず笑っちゃうような大好きなサムシングを捜せ!それで冷たい12月の雨を防ごう。