月別アーカイブ: 2008年12月

ツリーの思い出

家の近くの夙川駅前広場にクリスマスツリーが立った。こいつはかなり歴史のあるやつで、終戦直後(半世紀以上前だ)にアメリカ軍の将校が始めたのがそのまま続けられているらしい。この辺りは昔GM(今は大変なことになっているけど)の代理店だかがあり、アメリカ人の居住率は一時人口の30%近くだったこともあるそうで、今でもアメリカ大使館の出張所がある。例の911事件の時は大量の警察官がウロウロしていた。

 

こんな歴史のことを何で知っているかというと、中沢新一氏の「アース・ダイバー」を読んだからだ。この本は縄文時代の東京地質図から、その頃と現在の東京との関連を調べたもので、今なんとなく変なつくりになっている道や建物は、結構歴史から考えると当然の配置であることがわかるという謎解きのような本だ。なかなか面白く、自分の住んでいるところの歴史を知りたくなり、この夏の僕の自由研究のテーマは「すんでいるところのれきしをしらべましょう」だったのだよ。

 

クリニックの1階にもツリーを飾った。長い間自宅で埃を被っていたもので、ちょっとまだ飾りつけが手薄だが、もう少しパワーアップしよう。じつはクリスマス用の飾り付けでちょっと自慢の隠しだまがあるのだがこれはもう少ししてからのお楽しみ。

 

僕が始めてクリスマスツリーを意識したのは、子供時代に家族で旅行に行った雪の箱根で、本当の大きな樅の木にクリスマスの飾り付けがしてあったのを見た時だ。おお、平和な時代。それから沢山の水が橋の下を流れ、僕はこんなになってしまった・・・

 

風邪でクリニックに来た子供が大きくなって、あの医院でクリスマスの飾り付けをしていたな、と思い出してくれたらいいんだけどな。思い出に残るクリニック。まっ、ハードよりソフトだよな、大事なのは。

 

 

朝で頭も写真もボケています。

 

 

 

 

ラニ

昨日は忘年会で久しぶりに遅くなった。僕は泥酔して帰っても必ず入浴し歯を磨き、パジャマに着替え、ひざまずいて神様にお祈りしてから寝るのである。キチンとしているのだ。泥酔してそのまま寝ちゃうって人が結構いるが几帳面な俺には信じられんぜ。

 

入浴すると必ず頭を洗うのだが、乾くまで時間がかかるのが悩みの種である。メールのチェックをやったりしているが眠くなってくる。そこで愛犬がその前で寝ているガス・ファンヒーターが目に入る。寝ている顔の前に自分の頭をそろそろと持っていく。「なにっ?」という顔で僕の顔を見るが「まあいいや」という感じで目を瞑ってしまう。犬と顔を並べて頭を乾かす。

 

睡眠不足だと診察は結構つらい。ヒイヒイしながら午前診が終わるが、雨の中3件往診する。傘を持っての片手自転車運転も疲れる。

 

で午後診までに元気を回復するアイデアはあるのか?

 

あるんだなぁ、これが。ラニである、Rani。ナニ?・・・最近気に入ってるインドレストランである。蒲生4丁目の交差点を少し東に行った2階。怪しげな、知らなければぜっーーーたい入らない感じの店構え。往診のついでに行く。カレーは効くと思うのだ、多分。

 

ここのランチは3種類あるが、カレーにタンドリチキンやシシカバブ、ラッシーとかの組み合わせになる。これが本当にうまいんだなぁ。昔結構神戸とかのインドレストランに行ったのだが、記憶の中でもここはかなり上位である。恐るべし、城東区。

 

インド人のような感じのオーナー、コックさんなど何人か居られるが、情報通のA製薬M君によるとパキスタンの方らしい。フレンドリーである。「イラッタイマテー!」と挨拶されると言っていたが本当にそう言っていた。

 

今日は2回目だがやはりおいしかった。一人で食ってもうまい。満足じゃ。元気になった。カレーが飛んで折角のシンボルマーク入りシャツが汚れたのがトホホだがまあいいだろ。年中無休というのもいかしている。商売はこうじゃなくっちゃな。

 

やはり日本人の店とは違う感じね

うつ伏せreset !

睡眠はかなり大事だ。外来をしているといかに多くの人が眠れなくて困っているか驚く。

 

欝の大きな症状は睡眠障害で、寝つきが悪い、夜すぐ眼が覚めるなどがほとんどの場合おこってくる。で欝っぽい人でも、ぐっすり寝ちゃうとそれだけでスッキリと元気になったりする。67時間の充実した睡眠は定期的な運動と同じように健康に必須の重要なパートなのである。でもみんなそれほどいい睡眠を取ろうとは気にしてないな。

 

最近気にしているのが「うつ伏せ寝」である。

 

以前から認知症で寝たきりの方は1日わずかの時間でもうつ伏せにすることで認知機能が回復してくるといわれており(身体の前面の方に感覚器のレセプターが多くその刺激が大事という説明であった)、一時ブームになったこともある。誤嚥がおこりにくい、血中酸素濃度が仰向けよりも高くなる(睡眠時無呼吸の治療にもなる)、腰痛にもいいなどいいことずくめで、ほんまかいなと眉に唾をつけたくなるが、推奨者のお一人である聖路加病院の日野原先生によると元々人間はうつ伏せが自然で、仰向けでないと寝難いのは単なる習慣だそうである。先生もうつ伏せにしてから体調すこぶる善しとのこと。先生考案のうつ伏せ寝用寝枕セットも販売されており(結構高額である)、とりあえずトライしてみる価値はあるように思われる。

 

聞いてみると結構うつ伏せの人は多く、特に若い可愛い女の子に多いようであるが、これは極めて偏ったサンプル採集の影響かもしれぬ。

 

僕は本来仰向け大の字型の人間であり、うつ伏せは極めて苦痛であった。しかし理論的に納得すると結構抵抗がなくなり、今ではうつ伏せトライ後90度横向きで就寝というところに落ち着いている。180度うつ伏せ姿勢完成も近い気がする。今年中に出来ないかな。

 

なにかうつ伏せ寝になると大きく人生が転換し、生まれ変わって前向きな人生を送れるかのような気分になるが勿論そう簡単ではない。でも1日の3分の1近くを占める時間を違った姿勢で過ごす事になるのは結構大きいことだと思わない?    うう、ワクワクしてきた。不自然に仰向けで寝ているあなた、くるっとひっくり返ってリセットですよ!

 

参考文献

最後の講義

なんとかブログまでたどり着いたなぁ・・・ここしばらくなんやかんやで夜が遅く、書く時間がなかったというのもあるが、風邪かなぁ、気力がもたなかったのであった。身体が何よりも睡眠を要求していて、ただダルイ、先週はルーチンで精一杯という週だったのである。まあそんなこともあるさ。

 

日曜日もレセプトとかあったにしろボーとしていた。少し生産的だったのはYou Tubehttp://jp.youtube.com/watch?v=nrFMRuB2lbAを見たことである。

 

これはカーネギー・メロン大学のコンピューターサイエンスの教授、ランディ・パウシュ氏が行った最後の講義で、8つに分かれている。全部で1時間半以上あるが「子供の時の夢を実現するためには」というタイトルでユーモアたっぷりに話されるこの講義は全く退屈しない。

 

彼は末期癌に侵されており、文字通り最後の授業なのである。

 

まだ40代である。さぞ無念だろうし、とても表現できない苦悩があるに違いない。しかし彼はよく考えられた構成で楽しく、夢をどのように実現していくか、自分の経歴を織り交ぜながら快活に話していく。時にリアルな自分の状況をも笑いをとるねたにして。聴衆もよく判っているがちゃんと反応する。

 

すごいなぁ、この精神力。突き詰めて考えた末の結論に納得して行動している。こんな風に生きることも出来るのである。毎日生活していると、これぐらいという大まかな限界が世間で勝手に決まってくる気がするが、それをやすやすと突き破っている人もいる。そして表に出ないだけで、僕が知らないだけで、このような人は案外多いのかも知れぬ。

 

謙虚に頭をたれる。世の中は広い。学ぶことは多いのである。

 

 

DVDもあるようである。