キース・リチャーズ

 最近のルイ・ヴィトンの広告写真はやる。ゴルバチョフ氏の写真もアガシ・グラフ夫妻の写真も、深いストーリーが裏側にあることを感じさせる。

 でニューバージョンはキース・リチャーズである。

 キース?なんでー?最も不釣合いの人選といえるのではないか。カメラマンがあのアニー・リーボヴィッツだったとしても。写真は相変わらずカッコいいけどね。

 キース・リチャーズは64歳である。最もロックしてる50歳以上のミュージシャン(何で50歳以上か?根拠なし。でもロックし続けるのがかなり困難な年には違いない)を世界中で投票したら、間違いなくトップ10には入る。あの風貌、演奏スタイル、発言、行動・・・

 確か去年、キース・リチャーズ入院という報道があり、バカンスで行った南の島でやしの木によじ登って転落ということであった。・・・すばらしい。

 ストーンズのツイントップのもう一人、ミック・ジャガーは風貌に似合わずスマートで、ストーンズの中でただ一人ベッドの上で死ぬに違いないと言われていたが、確かにイギリス政府からサーの称号も貰ったりしている。すごい健康オタクらしいし。

 キースは正反対で、いつ死んでもおかしくないムードが漂う。彼みたいな人が近くにいたら、一緒に暮らすのは大変だろうが、必ず時々会いたくなるに違いない。効率とか利点とか有意義なこととか、そういったものから離れたくなる時が必ずある。そういったことに重きをおかないキースみたいな存在は、生きていく上でバランスを保つのに本当に貴重なのだ。

 最後に彼の言葉を・・・

 「もしも自分の中に強く感じる何かがあるなら、それにしがみつくんだ。音楽を作りたい、ものを言いたい、人の気持ちを動かしたい、そう思ってるなら、やり続けることだ。スターになりたい?テレビに出たい?そんなもの忘れちまえ!」

P.S. 今日は何があったわけではないが疲れた日だった。
   車の中でストーンズを聴いて気力が回復し、これを書いた。
   心より感謝。何があっても「Let it bleed」を聴くと一緒に
   歌ってしまう。

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おもわず手を合わせたくなる・・・

 

ナウ・イズ・ザ・タイム

 昨日、精神が身体をドライブするという話をしました。高齢になれば気力のあるものが強いということで、これは多くの事例があり確立した意見ではあります。

 しかし逆の説もある。身体が精神をドライブすると最近よくいわれています(どっちなんだよ?)。実験によると運動したねずみはそうでないのより覚えが早い。良く鍛えられた肉体を持った人は認知症になり難く、精神的にも前向きな人が多い、というデータもあります。

 手足は第2の脳であり(末端まで脳神経はかよっている)、ギャンブルでもいいから手を使え、という言葉もあります。

 つまりは出来るだけ身体を鍛えろ、そうすれば精神も鍛えられる。身体が駄目になった時、この精神が力を発揮するのだ、ということなのでしょう。

 メンタルがだめだ!というわけで、メンタルトレーニングの重要性はよく指摘されますが、これも身体を動かすこと、練習量を増やすことが一番確実なようです。本当に良く練習をしていると、「技術がメンタルを越えるのだ」(某ゴルフコーチ)のだそうです。

 ま、なにはともあれ身体を動かしましょう。外来をしていて思うのは、本当に皆さん、圧倒的に運動不足です。1時間のテレビの代わりにウォーキングとストレッチ、できれば少しの筋トレを。1年たてば別人です。

 自分を変えることくらいエキサイティングなことないでしょう?外は桜。時は今。ナウ・イズ・ザ・タイムでございますわよ、各々方!

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来週までもつかな?

 

精神がドライブする

「Mさーん、起きてる!?」
「うー」
「目覚ましてー、Mさーん」
「うう、先生長い間お世話になったの。先にいっても先生が悪いのとは違うからの・・・」
「何言ってんですか。まだ早いって」
「天国からみんなを見とる・・・」
「Mさーん、目開いてないよ(かなり派手に揺り動かす)」
「ほっといておくれ・・・さようなら。先生に診てもろてよかった」
「まだ早いって、ねえねえ!」
「・・・もう生きてても楽しくないんじゃ・・」

 これは今日の訪問診療における94才のおばあさんとの会話である(実話)。骨折後下血したがタフに蘇り、帰ってこられたのだがさすがに元気がない。彼女はなかなかしっかりした方で僕は再びお元気になられると信じているが、ともかく生きていても楽しくないという発言は本当に多いな。

 今日の午後の外来で4人続けて「生きていてもつまらない、一人で生きていても仕方がない」という発言が続き、まあちょっとまいった。
「何言ってんですか、そんなことないって」という発言も気弱に響く。

 最初のおばあさんのようなケースでは、アメリカでは心理療法士が必ず出てくる。彼らが絶え間なく精神をアップさせるように働きかけ、そしてPTなど身体的なケアをするメンバーが登場、協力してリハビリを行う。

 年をとると精神が身体をドライブするのである。高齢者で大事なのは生きていくという強いモチベーション、生きていて楽しいと感じる生活だろう。今の医療制度ってそういう気持ちを逆に引っ張るような感じだもんね。

 大事なのは精神的なケア。そして僕たちは100歳になっても大笑いできる生活、性格を自分のために作っていくこと。

 やりがいありすぎるぜ。ねぇ。文句言ってる時間ねーよ。

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医者も笑わせてなんぼでーす

 

(でく)のぼうの時間

 僕にとってのパラダイスの一つは間違いなく本屋さんである。あまり大きすぎてもいけない、程よい大きさで、適当にすいていて、店主の本の好みがかなり僕に近い、そんな本屋さんで過ごす時間は、うるさ型のシェフが好みの市場で過ごすときのように、他に何も考えず物だけに集中できる至福の時なのである。

 といっても最近はネットで買うことが多いな。便利だもーん。でも結構失敗している。他人の書評なんぞ全く当てにできんぜ、まったく。やはり直接手に取って、持った感じ、活字の感じ、文章の肌触りを確かめないといけませんのである。

 この前、ある会の始まる時間つぶしに10年ぶりに入った本屋さんは久し振りの高打率でした。なんといっても小西康陽の新作が見つかったのが大きい。知ってる?ピチカートファイブのリーダーね。前のエッセイ集「これは恋ではない」は僕の宝物の一つですが、10年ぶりの新作は「僕は散歩と雑学が好きだった」。これはかの植草甚一氏の「僕は散歩と雑学が好き」からパロッたものです。この本は僕の10代における航海地図みたいなもので、彼も好きだったのかと嬉しくなりました。

 しかし掘り出し物は「のぼうの城」。これは勘だけで買いましたが、ドンピシャです。戦国時代の武将の話なのですが、一種独特の傑作の匂いがあって、時代物なんかほとんど買わない僕が買ってしまった。帯に「この男たちは、文句なしにかっこいい」とありましたがそのとおり!
映画化必至という感じですが金がかかりすぎるかな。CGで出来るか。キャスティングしたくなるような、現代感覚あふれる物語です。まあ読んでみ。爽やか、いい気分です。

 で、やることがいっぱいあるのに今日も風呂場で1時間。でもまあいいや。ああ面白かった。これが一番だよ。

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やっぱり犬童監督で映画化されるらしい

今更かい?

 昨日は恒例の第5回「今更訊けないこんなことミーティング」拡大バージョンを行いました。

 専門外だからちょっとよく分からないのだけど誰に訊いたらいいか判らないという悩みは開業医なら誰でも抱えています。本って一番肝心のちょっとしたコツは書いてないのですね。総合病院で働いているならなんとかなりますが、開業医同士はなかなか難しい。
 
 で友人のN先生と、自分の専門以外の先生に集まっていただいて、みんなで知識を共有するよう変わりばんこで講師になる勉強会を立ち上げました。話を聞いて協力してくれるメーカーもあらわれ、毎回の記録をDVDにして参加者に渡すというなかなか充実した内容であります。

 で、今回は拡大バージョンで、城東区以外の区からも3人ほどのドクターが参加され、講師も感染症で高名な中浜力先生にお願いしました。中浜先生は旭区で開業されているのですが、レジオネラの専門家でそれ以外でも感染症に関しての臨床的な業績ではトップクラスの先生です。多くの学会の評議員をされ、厚生省の研究班にも参加されているという、まあなんというか開業医の鏡ですね。

 「風邪症候群と抗生物質の使い方」という、内科、小児科医なら常に遭遇する難問の解決をお願いしたのですが、非常にためになる講演でした。結論は風邪の80%は抗生物質が必要でなく耐性菌の出現を促すだけであるという、まあ正論ではあるのですが、実際の臨床上どうしていけばいいか、具体的なやり方について多くのヒントをいただきました。こういうのは本とか雑誌に書いてないのですね。

 中浜先生は僕の大学時代の後輩とかなり親しいとか、いろいろ思わぬ話も出、大変有意義でした。プロディースした甲斐があるというものです。
 
 どんな立場でもやる気さえあればかなりのことが出来るという明るい気持ちにもさせていただきました。在野に遺賢多し。励むべしですね。

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こわいっす

 

ボーイズライフ 

 ここ1年半ほど、本当にアルコールを飲まなくなった。此の頃では外でイタ飯を食う時でも、フレンチでも水!である。うおぉぉたぁぁー!である。こういうのって、グルメの方々からは「世の楽しみを知らん無粋なヤツめ」と思われるんだろうなぁ、まあ自分もそうだったからよくわかる。

 でもね、やってみるとこれはそんなに悪くないのだ。むしろ物の味がよく分かる。アルコールとのマリアージュというか、組み合わせの妙も確かに料理の醍醐味ではあるんでしょうが、水だって1種類ではない。ちょっとしたレストランには何種類かミネラルウォーターがおいてあるが、泡のある無しその他、結構違うのでこれも面白いのだ。

 タバコを援護する人はもういないが、アルコールに関しては適量ならむしろいい、というのが通説である。でも本当にそうかな?アルコールに弱い、いわゆる顔の赤くなる人は、アルコール分解産物のアセトアルデヒド(これはシックハウス症候群とかの原因物質ですね)血中濃度が高くなり、高率に癌をひきおこすというのは常識である。

 外来の方を診ていても、アルコールをお止めになったら遥かに健康でいられるのに、という方がゴマンといる。でも難しいんだな。 

 数十年にわたってやってきた寝酒をやめて最初に思ったことは、目覚め感が「おお、高校生のようだ」ということである。突然昔に戻った感じがしたのだ。ボーイズライフ アゲインである。

 もうどんどんボーイズライフの範囲が拡大してくる。このほうが気持ちいいんだからどうしようもないな。考えてみりゃ、これはアンチ・エイジングか。

 タバコを止め、酒を止め、ちゃんと勉強し運動する。風呂にザブンと入りガーと寝る。女の子は見るだけで胸をときめかすだけにとどめる。男友達とつまらん冗談を言ってガハハ!と笑う。

 うーん、ボーイズライフ! 理想だ・・・

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アルコール摂取量と死亡率のクールなグラフ

P.S. Free Tibet !

 

雪かきを誰がするか?

 毎日ろくでもないニュースばっかりだ。いい話はニュースになりにくいから仕方ないとはいえ、なんか情けないぞ、日本も世界も。

 最近仕事の関係があり、朝が早い。8時前に職場につくが、本部の周りの道路を、自主的に掃除している人たちに出会う。

 すぐ近くにある会社の人たちである。年配の方が多いが、箒とちりとりを持ち、黙々と結構長い範囲で道路を掃除してくださる。

 申し訳ない気がして目があった時、「お疲れ様です。いつも有難うございます」と思わず言ってしまう。

 おじさんは「いえいえ・・・おはようございます」と丁寧に返事を返してくださった。何年も続いているのだ。これは出来ないぞ。

 雪かきが必要になった時、誰かがやるさと思う人間と、誰かがやらなあかんから俺がやっとこか、という人間がいる。後者は少ない。しかし必ず少数派はいるし、彼らの存在が世の中を動かしているのだ。

 いろいろな分野で雪かきを自主的にすること。僕の進化。

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人でなくても

P.S. しつこく Free Tibet !

進化

 昨日は院内の年次報告会を開催しました。昨年1年の成果と今年の目標を、各々の部署の管理者が経営状況も含め全スタッフに報告します。Most Valuable Worker:最優秀スタッフと、最優秀部署の表彰も行います。

 昨年最も頑張った部署はパワーデイサービス②が獲得しました。デイケアからリハビリを重視したデイサービスへと転換したのですが、定員やスタッフの変動など、まさに大激動でした。その苦しい時期を乗り越えて右肩上がりの成長を示したのは部長、主任も含め全スタッフの努力が実ったものであり本当に賞賛に値すると思います。

 MVWはそのパワーデイサービス②と訪問看護から1人ずつ選ばれました。また特別賞として地道で確実に優れた仕事を続けてくれたスタッフが2人、診療所デイサービスとパワーデイサービス②から選ばれました。全員、疑問の余地のない当然の受賞であります。

 昨年最優秀部署とMVWをとったパワーデイサービス①は、実績報告をみると依然全部署の中で最も効率よく安定した成績を示していました。

 すべての部署が本当によく頑張ったなぁと思います。心から感謝。

 本年度の目標として、法人としては「進化」という言葉を選びました。毎日が繰り返しにならないで、少しでも新しいことにトライしていこう、そしてそれをちゃんと形に残していこうということです。彼らはきっとやってくれると思います。

 僕も進化します。具体的にプランがあるのですが今は秘密。ちゃんと形に示したいと思います。

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P.S. ここでは関係ないのですが言っときたい Free Tibet !

2000トンの雨を聴きながら

 雨が降っている。豪雨。夜、車で走っていて何の気なしに山下達郎をかけた。何曲目かで「2000トンの雨」がかかった。

 だめだ・・・ぴったりすぎる・・・(泣)

 
 山下達郎と同時代に生きられるのは幸福である。それはユーミンでもそうだし、サザンでもそうだし、佐野元春でもCharでもそうなんですけど、タツローは階段のステップ半分違う気がする。

 彼の音楽が示すものは「飛び切り幸せな夏の時間」である。僕にとって。  明るい日差しであり、甘く透きとおった風の匂いであり、ベタベタしていない人間関係である。独身のカッコいい青年の夏の生活という感じがするのである。

 彼の声をはじめて聴いたのは「シュガーベイブ」である。CDを今聴いても本当にチャーミングだ。大貫妙子も素晴らしい。腐るほど聴いて、そして満を持して登場したソロアルバム「サーカスタウン」には完全にやられた。今でも最も好きなタツローのアルバムかもしれない。

 乾いていて切なくて、限りなく明るかった。こんな生活を求めていたのである。夢の生活ーだけど時々実在するーを歌っていたのだな。

 彼も年をとる。だけど本質は変わっていない。彼の声を聴くとジメジメうっとおしく生きるのはもったいないよ、もっと楽しくいけるよ、きっと、と話しかけられているようだ。

 60歳、70歳の彼の歌を聴きたい。きっと変わらないだろう。僕も変わらず胸をときめかせていられるように生きたいものだと思う。

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これでんがな!

夏のチャレンジ

 僕は診察の時、白衣を着ない。

 白衣は自分が思っているより威圧的だと思ったのは、僕自身がちょっとした事で病院を受診した時。権威を感じさせるがフレンドリーに話すのは難しいだろうと感じた。

 で、子供さんも僕の患者さんには沢山いるので、きっと怖いかなと思って止めた。白衣自体は結構不潔だったりするし。予防注射のとき、子供たちはあまり泣かない。注射のちょっとしたテクニックもあるのだが、白衣じゃないことも少しは影響しているかなと思う。

 白衣を止めた時、最初はネクタイをしていた。やがてポロシャツになり、ズボンもチノパンになり、時にはジーンズにいたった。

 新患さんも別に変な顔もしないし(してはいけないと思っているのかも知れぬ)、全然自然だ。案外白衣じゃない人も多いのかな、と今思った。

 時に研究会があり出かける必要があるときはネクタイを締める。

 いつもの患者さん。
 「おっ、今日どないしたん、スーツなんか着て(着てない、ネクタイだけ)」
 「この後ちょっと用事があって。変ですか?」
 「(無視)この前の薬ね・・・」
 「・・・です。ところでやっぱりネクタイしてた方がいい?(リサーチです)」
 「(無視)昨日ちょっと食いすぎて・・・」
 「・・・です。(しつこく)ネクタイの方がいいかなぁ」
 
 「・・・ふつーのサラリーマンに見えるで!」

 
 で、ベースはやはりポロシャツとジーンズになりました。分相応。

 この夏はサングラスと海パンに挑戦したい。

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これはどう?