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いい匂いはヤバイです。

 私は実は、匂い、香りに滅法弱い。嫌いなのではなく大好きなのです。

 嗅覚は人間の5感の中でもっとも古く進化していない感覚であるとされています。記憶をつかさどる大脳領域に隣接しており、最も記憶を喚起しやすい感覚といわれている。最近匂い、香り、嗅覚をいろいろなビジネスで使おうという動きがあるようです。NHKの「クローズアップ現代」で特集していて、思わず見入ってしまいました。

 ある種の香りは快適なためその場所から動きたくなくなる。それでカジノなんかでその香りを流していると売り上げが36%上がったというデータがある。日本の大手パチンコ屋さんチェーンでも同じ香りを流し始めているそうです。また学習塾で、記憶を強化すると研究でいわれている香りを希望者に配布して、本当に記憶力が上がるかデータを取り始めています。

 最近の子供は実際の自然の香りよりも、いかにもそれらしい人口の香りに慣らされていて、そちらの方をリアルな香りより好むという実験もありました。これはちょっと困ったことね。

 病院は「消毒薬の匂い」というのが定番ですが、これは変えたいですね。僕のクリニックは今アロマの匂いが微妙に漂っていますが、これは人により好き嫌いがあるようです。

 初めて嗅ぐ匂いというのは大体「くさい」と感じるとTVでも説明されていましたが、接したことのない人は奇妙な感じを受けるのかもしれない。僕はアロマのエッセンシャルオイルの香りはとても好ましく感じるのですが。

 これは何の香り、とはっきり表現できない、しかし何かしらの感情を刺激する香りというのもこれからどんどん開発されそうな気がします。気付け薬は英語でsmelling saltsというんだっけ。強烈な匂いで意識を戻したんでしょうね、昔は。

 薬も飲むより匂うようにする。鼻づまりはある種のアロマオイルが大変有効のようですが、こういうのをこれからやっていきたいと思っています。これを嗅ぐと若返る!なんてね。

青空の匂いはなんだ?

キャリア・アップ

 先週の土曜日にスタッフを集めた、ちょっとした「お疲れ様会」がありました。幹事のK君、Hさん、お疲れ様でした。

 クリニックの1階、「プリシジョン・スタジオ」にビールやらちょっとしたデリバリーの食べ物を用意して、宴会というよりもアメリカなんかでやるスタッフの内輪の誕生パーティみたいな感じでした。気分よかったです。

 うちのスタッフは自画自賛するわけではないですが本当に感じのいい人が集まっています。僕としては彼らに、いい環境で楽しく仕事をしてもらいながら自己の才能をどんどん伸ばして欲しいと願っています。キャリアというか、職における自己向上を応援しているのです。

 そのためにどうすればいいか?

 勿論勉強をし続けること、それが基本なわけですが、それ以外に最近読んだ本の中に、僕が思っていたのと少し違うことが書かれていました。

 向上のためには目標を定めそれに対して作戦を立て実行するのが王道と考えます。しかしKrumbolts先生は「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事から形成される」という研究結果から、個人の特性に基づいて計画的にスキルアップするよりも、偶発的な出来事を能動的に活用できるよう準備を怠りなくするほうが、よりよいキャリア形成が可能であるという planned happenstance 理論を提唱しています。

 そしてその偶然をチャンスに変えるのに必要なスキルとして、好奇心、持続性、楽観主義、リスクを取ることを恐れない、柔軟性の5つを上げています。ふーん・・・、それって、自分が忙しくても、人の嫌がる仕事でも、いつもニコニコしながら「あっ、それ俺(私)やります」といってくるような人じゃなかろうかね。

 そう考えると納得できます。内田樹教授もこの前ブログの中で、「キャリアの扉にドアノブはついていない。自分から開くことは出来ない。しかしそれがむこうから開いたとき、前に立っているかどうかを決めるのが努力なのだ」と書いていました(原文が確認できず正確かわかりませんが意味はこの通りだったと思います)。前に立っているチャンスはニコニコタイプに多そうです。

 広い心で興味を持って多くを受け入れること、大事だなぁと自戒。

他人に助けられる

 外来に来る患者さんを診ていると、みんなストレス溜まってるよなー、としみじみ思います。出さなだめよ、みなさん。

 この溜まっているという感じ、実際にそうで、何かの拍子にそれが本当に流出するのがわかります。では、どんな時?

 大笑いしたとき。ちょうどいい運動で汗をかいたとき。で、実は一番強力なのは泣いたとき、涙を流したときといわれています。ストレス指数の変化で、泣くのは笑うよりもそれを下げるというのは海外でも日本でも同じ結果が出ています。

 泣く、かー・・・泣かなくなってから久しいなぁ、としみじみ思っていたのですが、私のような涙腺が退化しかけているような人間でも思わずグッと来るやつがありました。

 ブログにコメントをよく書いてくださる夏海さんからも教えていただいたのですが、Yomiuri on line の 「他人の何気ない一言に助けられた」です。

 皆さんすげぇ書き込みです。いろいろな体験を皆さんしているなぁと思いますが、本当に全く赤の他人に対する優しい言葉に思わず、きます。ウルウルするぞー。お時間があれば是非。

 なにか浄化されます。詰まらんこだわりが溶けていきます。本当に日本も捨てたもんじゃないよ。これを読んで頑張りましょう。

涙でにじむ・・・

「神様」と「贈り物」

 初夏だなぁ…と思わせる日曜日でした。

  しかしながら今日も愛犬の1時間の散歩のみ出ただけで、室内で主として活動する。読みかけの本を2冊読了。

  「神様のカルテ」は医者である夏川草介氏の本年度本屋大賞入選の作品。もう1冊はレベッカ・ブラウン氏の「体の贈り物」。どちらも短編集ですが主人公が同じでストーリーはつながっています。

  受ける印象は全然違う。地方の前線病院で働く若い消化器内科医が主人公の「神様」はコメディタッチ、でも泣かせます。割とグッときました。読後爽やか、しかし綿菓子のように軽いか。

  「贈り物」はエイズの患者さんを専門に手助けするヘルパーさんというか、女性のホームケア・ワーカーが主人公の話。死の匂い、すでに敗戦処理である仕事、相手をどう受けとめるか、静謐でクールな文体が淡々と語ります。アメリカ的だなぁと感じるところも多いですが、人間の気持ちは一緒だなと確認できる。厳しくつらい、淋しい話ばかりですが、しかし希望があります。

  この2冊を読んで感じたこと。僕は患者さんを診察していて医者がどの程度までその方の私生活に関わるべきなのか、難しい問題だなぁと感じることがしばしばあります。本来担当は健康問題である。しかし健康とその方の感情、そして生活とは密接に関係しています。そして感情的なことに関して赤の他人である医者がどの程度力を持ちえるのか、ご家族や非常に近しい方の問題なのではないのかと思ったりしていました。

  しかし、実は最も感情を動かすのは赤の他人の示す暖かい心遣いなのでは、と気がつきました。

  そこに医者の存在する意味があるのではないか。

  血のつながっている人、近しい関係の人、それらの人が気持ちを持って接するのはある意味当然である。しかしそうじゃない関係の人間が愛情を持つことこそ強い力があるのではないか。

  うまく伝わっているか判りません。しかしそう気づいたことは僕にとって目からウロコでもありました。本を読んだ意味がありました。明日からの自分の診療態度も変わる気がします。意味のある日曜日と結論しよう。

外で読むには日差しが強すぎるぜ!

 

裕次郎の教え

今のクリニックは僕の生家であった土地に建っています。

昔々、僕の家の前は日活の映画館でした。僕が物心ついた頃は石原裕次郎氏の全盛期で、わけの判らないままに母親に連れられて裕ちゃん主演の映画をゴマンと見ました。母親は大ファンであり、僕が生まれる前から映画を見ていたわけですから、胎教として日活の青春映画やギャング映画があったわけです。僕がこんなになったのはそのせいであり、僕のせいではありません。

で、裕ちゃんのことはなにかと耳にしていました。彼は僕より少し前の世代の方はご存知でしょうが、今のSMAP(すでにたとえが古いな)が10集まっても及ばないくらいの、圧倒的な人気がありました。共演した某女優さんが「彼が歩くと、そこだけサーと太陽の光がさしているような気がしました」と感想を述べていて、そうだろうなぁと思わず納得するくらいでした。

で彼は一般大衆だけでなくスタッフとか共演者とかにも好かれていたのですが、その彼がモットーとしていた3つのことを最近知りました。本当かどうかは知りませんが。

①誰の悪口も絶対に言わない

②誰かにしてあげたことはすぐ忘れる

③誰かにしていただいたことは決して忘れない、だそうです。

かなり素敵じゃありませんか。

①は長嶋監督もそうだったとよく言われてますよね。僕は②がとても気に入りました。せこくない、育ちがいいというのがよく出ています。で、なかなか出来ることじゃない。男前はこうじゃなくっちゃね。

見かけは全然及びませんが、せめて心意気だけでも裕次郎になりたいもんです。ねっ。

そんなあなたは依存症

 テレビに何か映っていたのですが、若い男女が何か話している。二人ともやたらタバコを吸っている。

 話の内容はちょっと興味のあるところであったので少し見ていたのですが、あまりタバコを吸うので気分が悪くなってきた(そういう演技だから二人は悪くないのですが)。吸い過ぎやでー、君たち。しかしテレビ見ていてもそう感じるなんてと自分でもちょっと驚く。

 タバコは身体にいいことありませんよ、まったく、少しも。

 嗜好品やからうるさいこと言いなさんな、という気持ちも判らないでもない。でも実は楽しみというよりも依存症なんですよ、あなた。中毒です。

 また受動喫煙、副流煙という問題もあって、あなたの煙を好む、好まざるに関わらず吸っている人を危機に陥れているという問題があるわけだ。

 副流煙は主流煙の数倍ないしそれ以上の有害物質を含んでおり、非常に危険であると警告されており、米国環境保護局は副流煙をAクラスの発癌性物質に分類していています。タバコ会社自身による実験においても、種々の発癌性物質の濃度が、主流煙よりも副流煙において高いことも示されている。受動喫煙が肺がんや心筋梗塞、小児の気管支炎・肺炎や喘息の悪化、乳幼児突然死症候群(死亡率は両親とも吸わない場合と比較して親の一人が吸う場合は1.6倍、両親共だと4.7倍!)などの原因となることには、十分な科学的証拠があるとされているのである。

 これはまずいでしょ。他人に迷惑をかけるのは大人なんだからすぱっと止めましょうよ。それに何よりも、あなた自身の健康を損なっているわけで、その結果、あなたを愛している多くの人を悲しみに陥れることになる可能性が高いわけだ。

 今のところタバコの有益な点は何一つない。もしあなたが発がん性があるといわれているドーナッツがあったとしたら、どんなにおいしくても決して食べないでしょう?でもタバコだと吸っちゃうのはやはり依存症なのです。

 禁煙外来というのがあってうちでもやってます。飲み薬や貼り薬を使って禁煙の禁断症状を和らげることができる。保険がきき、3ヶ月以内に結構成功されます。タバコ代より安い。成功率はうちで男性では90%くらい、女性だと70%くらいかなぁ。女性は難しい。禁煙すると少し体重が増えることがあるのですが、そこらへんでしょうか。

 でもタバコは皮膚にもとても悪い。その例をお見せします。ねっ、考えましょうね。

40歳1卵性双生児。違いは喫煙歴のある無しだけどす。

バック・トゥー・ライフ

 すっかりご無沙汰です。

  富山に行ってから1週間、何があったのかと思いますが毎日帰ったきて気がつけば翌日という感じだったのでブログにたどり着けませんでした。ゴールデン・ウイークも近場とはいえ他府県まで毎日車に乗っていたような生活で、パリ・ダカール・ラリーのドライバーの気持ちがわかりました。また走るのかよ・・・(まぁそんなわけないな)。

  気がつけば明日で連休も最後。モードもそろそろ切り替える時でござんす。

  日頃仕事場と家との往復で、余暇はほとんど読書だけという生活だったので、実際に経験せんでも、なにかバーチャルでもええんとちゃうん!という感じが実はしていた。

  旅行も行く前の想像の方が楽しいし、最近の脳科学では実際の行動とイメージは、頭の活性する場所も程度も同じということが証明されているので、快楽は脳内で十分じゃん、想像だけで実際にすることもないのでは、とちょっと思っていた。アームチェア・トラベラー&ゴルファー&サーファー(しないけど)なのでした。

  病んでるなぁ・・・

  ここしばらく、結構いつもと違った生活だったのですが、当たり前ですがリフレッシュし、仕事以外の時間をいかにアクティブに悦楽的に過ごすか(身体を実際に動かすことがポイントなのである、これは。本や映画だとダメね)まじめに取り組むべき課題であると思い至ったのです。これは個人的には結構大きい。

  これからの余暇生活はちょっと変わるで、と思う。遊ぶのって実はかなり頭を使わないと面白くない。頭を使って、そして身体を使って遊ぶ。

  楽しみだなぁ。ウキウキ。

 

これを撮ったのが1週間前。今日は夏日。

ボヤボヤしてる暇ないね。

住めば都

 ちょっと用事があって、知り合いに会いに富山に行きました。

 富山は初めてです。駅前は路面電車もあって可愛く清潔な雰囲気ですが、ともかく人が少ない。週末なのにこれでいいのか!と思うぐらい歩いている人がいません。友人によれば夜食事に出かける人は大変少ないとのこと。大変海産物がおいしいのですが、外よりも自宅!の人が多いようです。

 車で富山市を走った印象は何か清潔で上品な街という感じでした。石川県、新潟県という比較的メジャーな県に挟まれて、雄大な自然や海産物など自慢できる点が多いのにセールスがヘタだ!と彼は嘆いていました。近畿における奈良県のような感じね。

 富山県の魚津市にある医療法人ホスピィーが経営する巨大な抗加齢医学会認定施設S-QOLも見学することができました。・・・圧倒されます。理事長の浦田先生に大変親切に案内をして戴き、大変得るところが大でした。先生の個性にも感銘を受けました。いずれ場を改めて感想を書きますが、人間守りに入っちゃダメね。

 で、僕は結構富山が気に入って帰ってきました。住めば都。ネットがあるこの時代、都会の利点とは何か?日本中住んでみたいところがいっぱいありますが、富山もそのひとつになりました。

おお、雪山がこんな近くに!

雨の朝

 昨日は夏日。しかし夜、久しぶりにオープンにして帰ろうと喜び勇んでクリニックを出たら秋から初冬の気配である。僕の場合、空気の匂い、湿度から過去の出来事が喚起されるのだが、昨夜は「もうすぐ忘年会やでー、やっぱりこう冷え込むと鍋がいいな」という情景が浮かんだ。

 で、今日は雨。♪冷たい雨にうたれてー♪と口ずさみながら車を出す。木曜日は朝礼の日である。

職種に限らず今一番重要なのはコミュニケーション能力だと思います。で、その中で意識していただきたいこと。それは①どんな些細なことでも、誰かに何かをしていただいたら心より有難うを言いましょう ②誰かの行為が素晴らしいと思ったら、どんな些細なことでも「素晴らしい!」「いかしてる!」と褒めましょう。特に褒めるというのは思ってるより全然やってなくて、僕なんか全然褒められないからちょっとでも言っていただいたらとても嬉しくなってやる気が出ます。皆さん、出し惜しみせず、どんどん褒めましょう!でもちゃんと心から思ったことだけね、ウソはダメ。

 みなさんを見渡すと、ちゃんと聞いているかどうかは一目瞭然である。うなずいてくださると、それだけでも話してよかったと思う。こんなことでも嬉しくなるのである。みんなちゃんとわかってね、と心で思いながら雨の朝、朝礼を終えて表にでる。

 

朝礼の写真(ウソ)

 

油と快楽

 「脂っこいものがねー、好きなんですよ」

  肥満の方に食事の話をしていると、少なからずの方が(特に著しい肥満の方が)こうお話されます。そうだなー、うまいもんなぁ。大体健康に悪いものはうまい。

  しかし何故油脂はうまいのか?味ないような気がする。じつはあんまりわかってないそうです。今日の朝日新聞の科学欄で京都大学大学院農学研究科の伏木亨教授がその話をしていました。

  油脂を精製すると無味無臭になる。おいしくもなんともない。しかし舌にはこの油脂の主成分である脂肪酸を受容し舌咽神経を介して脳に伝える経路があり、油脂の刺激が脳を興奮させ、周囲にある味物質を非常においしく感じさせるそうです。

  実験でマウスは油脂をなめさせるとやみつきとなるそうで、油脂を食べた直後のマウスの脳脊髄液には脳内麻薬である快楽物質のβエンドルフィンが検出されるとのこと。快感なのですね。

  しかも面白いことにカロリーのないやつはダメらしい。高カロリーの油脂だけが脳を刺激する。思うに大昔、食料として野生動物をつかまえて食べた時の油脂の感覚が残ってるんでしょうねー。高カロリーでないと生き残れないし。

  人間が飢餓から解放されたのはそんなに昔じゃなく、ここ100年ちょっとの著しい生活環境の変化にまだ身体が適応できてないってことです。頭と身体が解離しているということね。

  ということはなかなか手ごわいということになる。油脂を使っても材料を工夫してカロリーを抑える、そして運動!これが一番確実かなぁ。

ブッー!!