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奇跡の人間

本を1冊読了。「奇跡の林檎」・・・一部では結構有名な本で9版となっている。NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で無農薬の林檎を作り出した木村明則氏の放送が大変評判になり、このまま消えてしまうのはあまりにも惜しいということで本となった。

 

数時間で読めてしまうが、僕に取って非常に示唆に富む本となった。

 

彼の人間業とは思えない努力・・・なんせ30年もかかっているのだ、しかもその間の自己、家族の犠牲はすごい・・・人間バカになってひとつのことをやり続ければ必ず実るというのがテーマの一つではあるのだがもっと多くの内容を含む。

 

僕に取って大変印象に残ったのは、自然はそれ自体でバランスを取っており、害虫、病気が出たら農薬、じゃなく、本来の元気があればそれを防ぐことが出来る、その本来の活力をどのように取り戻すというのがキモであったというところである。

 

これは人間相手の僕の診療にもつながることである。僕は内科医であり薬を出すことがメインの仕事であることは間違いないのだが、時々この人はここまで飲まなくてもいいんじゃないかと思う患者さんにあうことがある。薬を極力減らすが症状の増悪が見られることはあまりない。

 

化学製品である薬じゃなくて自然のサプリ、そして規則正しく運動すること、食生活を改善すること、良い睡眠を取ること、禁煙など改善方法はいくらでもある。特にメンタルな領域を変えていくことが、林檎でいうと太く長い根っこを作ることになるんじゃないかと思う。

 

奇跡の林檎じゃなく奇跡の人間を作る手助けをすること、その方法について一杯アイデアが涌いてきた。僕に取って本当に有益な本だったのである。

 

本と関係ないけど今日の空。視界良好。

ヘスペリス

きょう美術品が届いた。僕の友人で美術を専攻する大学生に発表の場を提供するということを半分仕事、半分趣味でしている人がいるのだが、彼女からクリニックのシンボルである福老、じゃなかった梟をテーマにしたいい作品があるから見に来ないとしばらく前にお誘いがあった。

 

それは20代の彫刻を作っている女性の作品なのだが、女性の胸像の顔が梟になっており、前向きの胸に顔が後ろを向いたもの、その逆の2体が対になっている。いかにもアートであります。梟は首がぐるっと180度回るのですが、身体が前を向いていても心の中は逆かもしれない、必ず見たままじゃないということでしょうか。ちょっと不気味でもあるが顔がなかなか崇高なのでいただくことにしました。

 

今日作者とともにその梟がやってきたのである。名前はヘスペリス。ギリシャ神話に登場する黄金の林檎を守っている女神だそうです。西の果てにある楽園に住み、ネクタルという不老不死の飲み物を飲みながらいつも歌を歌っている精霊。クリニックの一つのテーマであるアンチ・エイジングに相応しいでしょうということで命名して頂きました。有難う。

 

どこに設置するかは考慮中であります。結構見るとびっくりする人もいるかもしれない。ちょっと宗教っぽい感じもするし、かなり場所を選ぶ。しかし必ず相応しいところはあると思います。

 

もしクリニック内で見つけた方は胸に手を合わせ、眼をつぶって自分に正直に生きているかしばし反省するように。必ずいいことがおこります。多分。

 

迫力ねー。

早寝早起き、整理整頓、質実剛健、才色兼備・・・

ごく最近の(どれ位前からかは企業秘密である)マイブームは「整理整頓」である。もともと僕はきれい好きだったのだ。独身の頃は結構まめに掃除したり、靴を磨いたり、服もちゃんと畳んでいた。

 

30代、40代とだらしなくなり、著しい症状の増悪が認められたのは50を超えてからか。こう書くとひょっとすると認知症では?という疑いもわいてくるが、基本的には忙しくなってやってる暇がないからというのが客観的なところだと思う。でもちゃんとした人はどんなに忙しくても片付けるから、やっぱり基本的には整理整頓能力がやや欠如している?

 

以前医者のほとんどは自閉症かADHD(注意欠陥多動症候群)ですよという小児科の先生の意見を紹介したことがある。僕は典型的ADHDと思われる。片付けられない、すぐ別のものに注意が行く、ほりっ放し、やりっ放しで逃げる・・・とても反省している。で此の頃は意識して新しいものには手を出さず、整理して昔のものを大切に使用し、すべてのものきちんと整頓しようとしている。自閉症ちょっと入ってる?のです。

 

やってみるとかなり快感であります。なぜ早くしなかったんだろう。以前から持っているものはやはりそれなりの選択でもち続けたものなので、なかなか結構なものが多い気がする。本しかりCDしかり、文献やもろもろの小道具しかり。今までどれだけ無駄をしてきただろうと悲しくなってくる。今の手持ちのカードですべてまかなえるのでは・・・

 

で何でも仕舞い込まず活用、判るようにちゃんと並べる、まるで自分が無駄のないキチンとした人間になったような気がする。

 

作家の森博嗣氏のブログを読んでいると、彼は今年限りで休筆するのではなく、新しい仕事を受けないと決めたようであった。表にも出ない。しかし書く予定はすべてもう決めてあり、いろいろなシリーズ何冊と具体的で17冊分(しかし本になるのは16冊、このずれは謎かけらしい)。50歳からはもうロスタイムみたいなものだ、しかしこれだけ書くには何年かかるだろうと彼は書く。この計画性!

 

整理整頓をやっと始めたくらいで満足してはいけません。先の計画も綿密に。それでこそロスタイムが生きる(わかっちゃいるけどやめられない)。

 

やれやれ・・・

ナイスガイ!

 

 

 

 

 

前の続き。こいつがクリスマスまでクリニックのエレベーター前で待ち構えているナイスガイだ!身長は2m30cmで、僕よりちょっとだけ?大きい。体重は1kgくらい?なんせ足元から熱風が吹き込んできて身体を支えている熱気球みたいなやつだからな。その代わり、ハート、中身は熱いよ。当たり前か。

 

こいつはスタッフが、こんなのがないかなと僕が話していたのを覚えていて、ある店の前に飾ってあったヤツをただ同然の値段で手に入れてくれたのだ。サンキュー!まさかあるとは思わなかったなー。モーターを回すのは1日8時間までにしてくれとインストラクションマニュアルに書いてあるので、診察時間中は立っているが、休み時間は気の抜けたちょうちんでフロアーにへたっている。

 

でっかいサンタクロース! 今の世の中はどうもいい話がない。というか闇は段々深くなり、底につくまでもう少しかかりそうな気配である。こんなことで明るくなるわけないが、無駄なことでも「うゎー」って思ってもらえることをしたいではないか。医療機関に必要でしょうかと言うまじめなスタッフもいたが、医療機関だから必要だと思う。クリニックは楽しくなくっちゃ、と僕は思うのだ。

 

彼の出番は後2週間ほど。見に来てね。

ツリーの思い出

家の近くの夙川駅前広場にクリスマスツリーが立った。こいつはかなり歴史のあるやつで、終戦直後(半世紀以上前だ)にアメリカ軍の将校が始めたのがそのまま続けられているらしい。この辺りは昔GM(今は大変なことになっているけど)の代理店だかがあり、アメリカ人の居住率は一時人口の30%近くだったこともあるそうで、今でもアメリカ大使館の出張所がある。例の911事件の時は大量の警察官がウロウロしていた。

 

こんな歴史のことを何で知っているかというと、中沢新一氏の「アース・ダイバー」を読んだからだ。この本は縄文時代の東京地質図から、その頃と現在の東京との関連を調べたもので、今なんとなく変なつくりになっている道や建物は、結構歴史から考えると当然の配置であることがわかるという謎解きのような本だ。なかなか面白く、自分の住んでいるところの歴史を知りたくなり、この夏の僕の自由研究のテーマは「すんでいるところのれきしをしらべましょう」だったのだよ。

 

クリニックの1階にもツリーを飾った。長い間自宅で埃を被っていたもので、ちょっとまだ飾りつけが手薄だが、もう少しパワーアップしよう。じつはクリスマス用の飾り付けでちょっと自慢の隠しだまがあるのだがこれはもう少ししてからのお楽しみ。

 

僕が始めてクリスマスツリーを意識したのは、子供時代に家族で旅行に行った雪の箱根で、本当の大きな樅の木にクリスマスの飾り付けがしてあったのを見た時だ。おお、平和な時代。それから沢山の水が橋の下を流れ、僕はこんなになってしまった・・・

 

風邪でクリニックに来た子供が大きくなって、あの医院でクリスマスの飾り付けをしていたな、と思い出してくれたらいいんだけどな。思い出に残るクリニック。まっ、ハードよりソフトだよな、大事なのは。

 

 

朝で頭も写真もボケています。

 

 

 

 

ラニ

昨日は忘年会で久しぶりに遅くなった。僕は泥酔して帰っても必ず入浴し歯を磨き、パジャマに着替え、ひざまずいて神様にお祈りしてから寝るのである。キチンとしているのだ。泥酔してそのまま寝ちゃうって人が結構いるが几帳面な俺には信じられんぜ。

 

入浴すると必ず頭を洗うのだが、乾くまで時間がかかるのが悩みの種である。メールのチェックをやったりしているが眠くなってくる。そこで愛犬がその前で寝ているガス・ファンヒーターが目に入る。寝ている顔の前に自分の頭をそろそろと持っていく。「なにっ?」という顔で僕の顔を見るが「まあいいや」という感じで目を瞑ってしまう。犬と顔を並べて頭を乾かす。

 

睡眠不足だと診察は結構つらい。ヒイヒイしながら午前診が終わるが、雨の中3件往診する。傘を持っての片手自転車運転も疲れる。

 

で午後診までに元気を回復するアイデアはあるのか?

 

あるんだなぁ、これが。ラニである、Rani。ナニ?・・・最近気に入ってるインドレストランである。蒲生4丁目の交差点を少し東に行った2階。怪しげな、知らなければぜっーーーたい入らない感じの店構え。往診のついでに行く。カレーは効くと思うのだ、多分。

 

ここのランチは3種類あるが、カレーにタンドリチキンやシシカバブ、ラッシーとかの組み合わせになる。これが本当にうまいんだなぁ。昔結構神戸とかのインドレストランに行ったのだが、記憶の中でもここはかなり上位である。恐るべし、城東区。

 

インド人のような感じのオーナー、コックさんなど何人か居られるが、情報通のA製薬M君によるとパキスタンの方らしい。フレンドリーである。「イラッタイマテー!」と挨拶されると言っていたが本当にそう言っていた。

 

今日は2回目だがやはりおいしかった。一人で食ってもうまい。満足じゃ。元気になった。カレーが飛んで折角のシンボルマーク入りシャツが汚れたのがトホホだがまあいいだろ。年中無休というのもいかしている。商売はこうじゃなくっちゃな。

 

やはり日本人の店とは違う感じね

うつ伏せreset !

睡眠はかなり大事だ。外来をしているといかに多くの人が眠れなくて困っているか驚く。

 

欝の大きな症状は睡眠障害で、寝つきが悪い、夜すぐ眼が覚めるなどがほとんどの場合おこってくる。で欝っぽい人でも、ぐっすり寝ちゃうとそれだけでスッキリと元気になったりする。67時間の充実した睡眠は定期的な運動と同じように健康に必須の重要なパートなのである。でもみんなそれほどいい睡眠を取ろうとは気にしてないな。

 

最近気にしているのが「うつ伏せ寝」である。

 

以前から認知症で寝たきりの方は1日わずかの時間でもうつ伏せにすることで認知機能が回復してくるといわれており(身体の前面の方に感覚器のレセプターが多くその刺激が大事という説明であった)、一時ブームになったこともある。誤嚥がおこりにくい、血中酸素濃度が仰向けよりも高くなる(睡眠時無呼吸の治療にもなる)、腰痛にもいいなどいいことずくめで、ほんまかいなと眉に唾をつけたくなるが、推奨者のお一人である聖路加病院の日野原先生によると元々人間はうつ伏せが自然で、仰向けでないと寝難いのは単なる習慣だそうである。先生もうつ伏せにしてから体調すこぶる善しとのこと。先生考案のうつ伏せ寝用寝枕セットも販売されており(結構高額である)、とりあえずトライしてみる価値はあるように思われる。

 

聞いてみると結構うつ伏せの人は多く、特に若い可愛い女の子に多いようであるが、これは極めて偏ったサンプル採集の影響かもしれぬ。

 

僕は本来仰向け大の字型の人間であり、うつ伏せは極めて苦痛であった。しかし理論的に納得すると結構抵抗がなくなり、今ではうつ伏せトライ後90度横向きで就寝というところに落ち着いている。180度うつ伏せ姿勢完成も近い気がする。今年中に出来ないかな。

 

なにかうつ伏せ寝になると大きく人生が転換し、生まれ変わって前向きな人生を送れるかのような気分になるが勿論そう簡単ではない。でも1日の3分の1近くを占める時間を違った姿勢で過ごす事になるのは結構大きいことだと思わない?    うう、ワクワクしてきた。不自然に仰向けで寝ているあなた、くるっとひっくり返ってリセットですよ!

 

参考文献

最後の講義

なんとかブログまでたどり着いたなぁ・・・ここしばらくなんやかんやで夜が遅く、書く時間がなかったというのもあるが、風邪かなぁ、気力がもたなかったのであった。身体が何よりも睡眠を要求していて、ただダルイ、先週はルーチンで精一杯という週だったのである。まあそんなこともあるさ。

 

日曜日もレセプトとかあったにしろボーとしていた。少し生産的だったのはYou Tubehttp://jp.youtube.com/watch?v=nrFMRuB2lbAを見たことである。

 

これはカーネギー・メロン大学のコンピューターサイエンスの教授、ランディ・パウシュ氏が行った最後の講義で、8つに分かれている。全部で1時間半以上あるが「子供の時の夢を実現するためには」というタイトルでユーモアたっぷりに話されるこの講義は全く退屈しない。

 

彼は末期癌に侵されており、文字通り最後の授業なのである。

 

まだ40代である。さぞ無念だろうし、とても表現できない苦悩があるに違いない。しかし彼はよく考えられた構成で楽しく、夢をどのように実現していくか、自分の経歴を織り交ぜながら快活に話していく。時にリアルな自分の状況をも笑いをとるねたにして。聴衆もよく判っているがちゃんと反応する。

 

すごいなぁ、この精神力。突き詰めて考えた末の結論に納得して行動している。こんな風に生きることも出来るのである。毎日生活していると、これぐらいという大まかな限界が世間で勝手に決まってくる気がするが、それをやすやすと突き破っている人もいる。そして表に出ないだけで、僕が知らないだけで、このような人は案外多いのかも知れぬ。

 

謙虚に頭をたれる。世の中は広い。学ぶことは多いのである。

 

 

DVDもあるようである。

脱コミュニケーション・ブレイクダウン

昨日は久し振りにゴルフをしました。結果はだね、言わぬが花の100ちょっと(君の辞書に進歩という文字はないのか?でへへへー、勿論ないです)ですが、ああ、やっぱり面白いなーと満喫しました。

 

我々のゴルフは全くゲームであり娯楽である。いかにその時間、日々のことを忘れ楽しむかに集中しているので、自分のミスはミスとして自分で処理、不愉快になったりして他人に迷惑をかけない、結果に耽溺しないというのが暗黙のルールとなっており、非常にさっぱりとしています。キャデイさんもあまりの天真爛漫さに感嘆の感想を述べられておられました。

 

これはそういったメンバーが集まっているからできることであって、なんでもそうですが、何をやるか、どこでやるかといったことではなく、誰とやるか?ということが最重要である。同じことでもそのメンバーにより楽しみやストレスの度合いが大きく違うので人を選ぶというのがいかに重要かという当たり前の結論になるのですが、でも常にベストメンバーが揃うわけではない。

 

その時やはり大事になってくるのが他人といかにコンタクトをうまくとるかというコミュニケーション能力やろなーと思います。これは一朝一夕で身につくものではありませんが、これだけには気をつけろという危険法則がある(これも内田樹先生から学びました)。

 

1.こだわり 2.プライド 3.被害者意識 この3つであります。いずれもやや度を越すと悲劇を生む。自分の正しいかどうかも判らない価値観にこだわり、プライドが過度に高く、理解してもらえないという被害者意識を常に持っている方とはあまりお付き合いしたくない。この3つの反対が、こだわらず、ニコニコと、いつも笑っているという態度であります。この3つのセレクションはかなり奥が深いです。

 

でもこれをクリアーするのは実はかなり本人に実力がないと、自信がないと出来ない。そのために日々切磋琢磨する必要があります。打ちっ放しもたまには行こうね、とこうなる訳ね。

 

 

すぐこうなる位でないと、ということはないか。

 

 

 

テロメア延長!

 人の寿命を決めるのは何かという説の一つに「テロメア説」というのがあります。テロメアというのは人の染色体の末端にある蛋白質複合体で、細胞分裂のたびにテロメアは短くなる、つまり回数券みたいなものです。テロメアが短くなると細胞は脆弱化し急速に加齢して死を迎える。テロメアが短くなると寿命も短くなる。最近テロメアの短縮は癌における発症リスクと早期死亡のマーカーとしても認識されつつあります。

 

 そのテロメアを修復し延長するテロメラーゼという酵素があり、この増加が長寿の源ではないかと最近研究が著しい。

 

 カリフォルニアの予防医学研究所とカリフォルニア大学の共同研究で「ライフスタイルの改善はテロメラーゼ活性を増加させる」という発表がありました(Lancet Oncology 2008;9:1048-57)。

 

 男性30名に健康的なライフスタイル・・・それは何か?脂肪を総カロリーの10%以内にとどめ、精製糖が少なく全穀粒や果物、野菜を多く含む食事をとる。ビタミンと魚油のサプリメント。中等度の有酸素運動、ストレス管理、リラクシゼ-ション療法、呼吸エクセサイズでござる!・・・をさせて3ヵ月後、血中テロメラーゼ活性は29%も増加していたのである!その活性の増加はLDLコレステロールの低下とストレスの減少とに相関していた。

 

 うーむ、健康な生活は寿命を延ばすだろうし、まあ当然といえば当然という気もするが、テロメラーゼまで増えとったか。

 

 野菜中心で腹8分目の食生活、良質な睡眠、規則的な運動、そしてつまらないことは気にしないではっはっはと笑って異性と仲良くする。こうしてれば病気にならないだろうと想像がつくし、実際に学問的データがそれを裏付けています。

 

 ほな、そうしよう・・・とならないところが、出来ないところが浮世の難しさね。君は上の中でどれが一番難しい?俺はねー、秘密だ!

 

 

光ってるのがテロメア君です。