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Yes な夜と忘年会

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Yesのコンサートに行った。

いったいそれは何ですか?というのがおおかたの反応だろうねぇ。70年代を中心に活躍したプログレッシブ・ロックバンドです。プログレ?何ですか、それ?という方はwikipediaを見てくれたまえ。そこでも「ロックの説明しにくい1ジャンル」と書いてある・・・。芸術性が高く、ヒットシングルよりコンセプトアルバムを特徴とする、代表はピンクフロイド、キングクリムゾンとかいったバンドね。このイエスもいれて御三家かもしれない。

僕はファンでも何でもなく、どっちか言うとプログレは苦手な方ですが、ロック3大巨峰(ポール、ストーンズ、ディラン)のコンサートを今年一緒に征服した中学からのロック友達R作君に誘われて、一人では絶対行かないという興味から、また彼と喋るのが楽しみで行くことにした。

ガラガラじゃねえの、という懸念は上の写真にあるように会場のオリックスホールの前にたむろする群衆の多さを見て吹っ飛んだ。イギリスのプログレが好きなガチガチのロックおやじばかりじゃねえの、というのも、思いのほかの女性の多さに裏切られる。ロック熟女ですかぇ、でも皆さんおしゃれで素敵です。

Yesはオリジナルメンバーが3人。みんな僕より年上で、でも長髪(スティーブ・ハウなんて禿げてるから、白髪の落ち武者のように見えるぞ)、ロックアピアランスで結構でした。音はかなり楽しめた。R作君はかなり高評価。メンバーは自分たちの音楽が聴衆に熱狂的に受け入れられたことでとても嬉しそうでした。いいね!

ロック3大巨峰もそうだけど、60,70代になってロックコンサートをし続けるパワーに感動する。お金儲けではない。好きだから、やらないと死んだも同然だから、人が何と言おうと俺はやる!というソウルを感じます。これぞ僕の目指すものだ。

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月は変わり、恒例の静岡は田中消化器科クリニックの忘年会(演芸会)に参加する。このブログでも何回か書いたが、そこでの大演芸会に我々は過去2回吉本新喜劇を引っ提げて登場し、僕のシリアスな評価によればちょっとすべったのである。関西をわかってる人には非常に受けた。しかし新喜劇を放映していない静岡の人にとってはちょっと引いた?

それはともかく、今回も吉本いくよ―と思っていたら、会場が今までと変わり超ゴージャスな日本平ホテルに変更となっている。関係者数人に尋ねるもみんな理由を知らず。ボールルームが会場で、僕の第6感は「吉本、やばいんじゃない?」とささやいた。で今回は趣を変えて、うちの紹介を(150人位来られるのでご存じでない方も多い)DVDにまとめてみることに。しかしそこにはおのずから受けを狙う大阪テイストが出てしまい、ちょっと放送事故のような映像も。

で大阪から総勢10人で意気揚々と会場に着くと、なんと!!単なる忘年会じゃなく田中先生の開業25周年記念を兼ねているではないか!雰囲気は正式の晩さん会、料理はミシュラン1つ星シェフである。  ・・・正直めまいがしました。

遠方から来られた方も沢山おられるのだが、我々同様こういった会だとご存じでない方も多かったようで、田中先生は照れ屋で気を使わせてはいかんとお知らせにならなかったようである。いつものようにしてほしいと。でもねー、これじゃあ「ドッキリ」じゃないの、それならそうとDVDも考えたのになー、と思っても後の祭りである。上映前の挨拶をどう言うか、気が気じゃなかったぜ。

結果的には、演芸会でいつもの雰囲気に戻り、DVDも割と好評で受け入れられた。最後にもオチをしかけていたのだが、それが笑っていいのかどうしようか・・・という雰囲気で終わったのが残念。でも後で数人の方から「あそこは大阪だと、吉本の様に前にずっこけるとこでしょう?いやわかりますよ」という言葉を戴いた。良しとしよう。

その晩は結構飲み、朝は6時過ぎに目が覚めると、上の写真の様にベッドから朝焼けの富士が見えた。来年も来たい、出来れば演芸会抜きで。

まっ、たまにはいい話もなくっちゃね。

賞状

最近のグッドニュース。今年で3回目の発表となる「日本通所ケア研究大会」において、当法人からの発表が最優秀発表演題に選ばれたのである。・・・素晴らしい!でかした!である。

内容は認知症にアロマテラピーが有効であるとの文献から、当院の認知症対応型デイサービスで半年にわたりアロマディヒューザーを使用、アルツハイマー型認知症の利用者さんの認知機能と周辺症状がどう変化したか調べたものです。結論は認知機能は変化なかったのだが、これは保たれていたともいえる(残念ながら対照群が無い)。周辺症状はやや減少か不変というところ。アロマ前の認知機能と嗅覚は相関するが、結果は嗅覚とは無関係のようであった、といった内容である。

当院には抗加齢医学会認定指導士が鍼灸師、介護福祉士、PTと3人いて、彼らを中心に僕を含めて6人が月に一度、仕事が終って午後9時過ぎまでミーティングを開いている。今年の抗加齢医学臨床データ報告会で好評だった「テストステロンと顔の縦横比の実証」もここから出たし、今回の演題もミーティングから生まれた。

僕にとって嬉しかったのは、今回のデータはあまりぱっとしないので発表は見送ろかと言ったら、彼らが何とかカッコをつけて発表しましょう、いけますよ!と押してくれたことであった。

発表者であるデイサービスチーフ O君とデイスタッフの頑張りが素晴らしい。そして本来専門の内容ではないところでも興味を持って取り組んでくれる向上心の強い抗加齢ワーキンググループの面々に敬意を表します。一つのクリニックでもここまで行けるという限界をどんどんあげていこーぜ。

真夜中の迷走、じゃなかった瞑想

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瞑想に行きませんかと、トレーナーの武ちゃんが言った。

瞑想?いいね! 望むところである。古今東西の偉人で瞑想の習慣の無かった人はいない。僕も今まで何度か瞑想の習慣をつけようと試みたが、当然予想されるように妄想しか浮かばず止めてしまったという苦い経験が。しかしそろそろ瞑想の似合ういい雰囲気の大人になってきたことだし(だろっ?)、やってみよー。

場所は生駒山にある宝山寺である。武ちゃんは、某パリーグの野球チームがキャンプの打ち上げにここに瞑想に来るのに縁あって同行してから毎月1度、真夜中に来ているそうである。

僕は前日、某薬剤メーカーでのお仕事があって、楽しく終了後も皆さんと楽しくお酒を飲んであまり寝てないのに朝5時起きでトレーニングしたのでフラフラ・・・と思いきややたら元気であった。診察終了後待ち合わせてファンシーなレストランで飯を食って(武ちゃん曰く信じられないくらい素敵な女性がいるそうで、縁起担ぎにお顔を拝見してから瞑想と思ったのであるが会えず)、外気温は12℃程度であったが車をオープンにして山道を寺までひた走る。寒い中、夜道をオープンにした車に乗るガタイのやたらいい若い男と年齢不詳のおっさんコンビはさぞかし不気味であったろう、多分。

11時過ぎ着いた宝山寺はなんとなくざわついていた。いつもは誰もいないそうであるが金曜の夜のせいかお参りに来ている人が10人ばかし。寺も火が灯されていて、もう「ゆく年くる年」の雰囲気である。僕はパワースポットとか超常現象は全く信じない人間であるが、なんとなく空気が違う気がする。

本堂にそっと入るが、もう頭を伏せじっと拝まれている方がいる。我々は隅に寄り、そっと目をつぶり瞑想の姿勢となる。水の流れる音がどこからか聞こえ、人の話し声や風の音も聞こえるがすべてが心地よくミックスしていく。

驚いたことに妄想は浮かばなかったのである。何かが見えていたのだが自分自身のことではなかったようだ。無私。夢のような気持ちになっていたところで在宅患者さんのことで訪問看護師さんからの携帯が鳴る。 残念ながらその後は集中できなかった。

うーーーん、残念。 しかしわざわざここまで来なくても瞑想は出来るかもしれないという気になってきた。これは大きな変化でないかい。まだ何とも言えないが新しい習慣として定着するか。

その夜も睡眠時間は少なく、翌日は恒例の兵庫医大時代の実験グループの会で京都に行きまたまた楽しく遊ぶ。その日は京都泊まり、久々朝8時まで寝る。その後四日市まで「免疫舌下療法」の講習会に車で行き(なぜ大都市でしないのか、なぜ大人数で開かず制限するのか、まったく??)、夕方、濃霧の高速をブッ飛ばして帰ってきた。

にぎやかな週末。満足。今夜も瞑想して寝ることにする。

 

 

10月の最後の海

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今年最後かもしれないなと思い、晴れた木曜日にシーカヤックに行ってきた。今回は遂に!念願の女子部員も参加である。もう思い残すことはない(泣)。行く度に人数が増えてくるが、そろそろイッシー社長にリッチでゴージャスな新艇の購入と我々カヤック部への寄贈を真剣に考えてもらわなくてはならぬ。

カヤックの組み立てもどんどん速くなり、15分程度で組み上がる。チャッチャと着替えて海に出る。暖かい。風も異常なくらい爽やかである。やばい。このままいつまでもどこまでも漕いでいたくなる。

なんで海がいいんだろうなぁ。人には犬派、猫派のように、海派、山派があるようだが、僕は何の疑いもなく海派である。20代、ディンギーやウインドサーフィンで遊んでいた頃、4級船舶の免許を取りに行った。講習のグループで僕以外の3人はみんな釣りが目的であったのだが、そのうちの1人のおじさんは小ぶりのクルーザーを持っていた。どういうわけか可愛がっていただいて、免許を取り終わってからもちょいちょいクルージングに誘っていただいた。

ある時、クルーザーに遊びにおいでと言われ、西宮のヨットハーバーに停泊しているクルーザーの上で1,2時間、真っ暗な海と対岸の明かりを見ながら話をした。

「俺は船を出さなくてもよく一人でここに来るんや、なんでか判るか?」

「海に出なくても風に吹かれて乗ってるだけでも気持ちいいですもんね」

「まぁそうや。でもなによりな、この広さ、大きさがええんや。普段せせっこましい生活してるやろ―、人も場所も窮屈や。そんなとき、ここに来て何もせんでボーと揺られてみ。やっとそれでまたやろかという気になる。」

そんなものかと正直思った。若いね。切実さが身に迫らなかったのだが今は分かるね。海に出ると広さのエネルギーを受け取るのだ。自分の周りの枠を意識しなくなり、自分が拡散して自意識がなくなるのだ。自然の一部と化す。それを求めているのである。

カヤックは河川法により「流木」扱いであり、水があればどこに浮かしてもかまわない。クリニックの近くの狭い川でもオッケーなのだが、やはり決定的に広さがない。どこでも浮いてりゃいいというものではないのだ。そうなるとこれが今年最後ではなくてやはり寒くなっても海に来なくちゃなと、暖かい風呂に入りながら決心した。

セミナー連発

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10月に入って日曜、休日を利用したセミナーが東京で2週続いてあった。・・・許してほしいです。

最初のやつは「唾液ホルモン検査と評価、総合内分泌学マスタークラス」というやつで、トップクラスの専門家、Vanita Dahia先生の内分泌の講義が朝の9時から午後5時まで2日間にわたって休みなく続く。通訳付き(これは良し悪しという感じあり)。唾液でホルモンを測定することの利点は簡単ということ以外に、血清では多くのホルモンが蛋白と結合していて実際に活性があるホルモン値を測定出来ていない場合があるのと違い、ダイレクトに活性分画を反映するということがある。それの推移も測定しやすい。話を聞いているうちにいろんなアイデアが浮かぶが、実際にやるとなると保険が効かないという最大の問題に直面する。これは自費でOKという抗加齢関係の患者さんのみに適応するか、クリニックの予算から研究費を捻出するか、であるね。

抗加齢臨床データ報告会の仲間で、僕が開業しながらでもリサーチはできるし楽しいよとポロっと漏らした戯言をきちんと受け止めて着実に成果を上げておられる中嶋孝哉先生がゲストスピーカーで喋られる。彼のペーパー「テストステロン補充療法ーテストステロンエナント酸エステル注射における唾液中男性ホルモンの変動について」は本年度の日本性機能学会・学会賞で、僕とは出来が違うのだ。晩御飯を二人で食べようとしていたら主催者さんの好意でDahia 先生御一行と一緒に食べることになった。オーストラリア人3人、カナダ人1人、日本人3人は当然和食の店に向かい今日のセミナーの反省会となる。みんな大変真面目でした。

翌日は台風19号が東京に向かっているのでセミナーを最後まで受けられるかしらんと考えていたら、大阪で仕事中のケアスタッフから大阪は午後4時にJRがすべて止まりますという連絡が入る。残念だが2つばかり単元を残して帰阪する。非常に有益なセミナーでした。何らかの形でこれからの仕事につなげよう。

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翌週は土曜日に以前某メーカーのアイデアで他のクリニックと共同でしたリサーチをペーパーにすることについての打ち合わせ。初めてお会いした新潟の水野先生は非常にアクティブな方でした。

翌日は東大で「第1回サルコペニア・フレイル研究会」に出席する。かなり前に告知があったのだけど、これからの開業医の主戦場は認知症とサルコペニア・フレイルと思っている僕はすぐ出席を申し込んだのであった。立ち見が出、抄録が足りなくなるという白熱し盛り上がった研究会。ほとんどが大学の研究者で成因から介入方法まで、up to date が一望できたけどまだまだ途上という感じあり。個人的にはエコーで筋肉厚測定というノウハウが分かったのが収穫。これは僕とこでも出来るな。会長の京都大学、荒井教授が「構想した時期はまだフレイルという言葉が出来ておらず、サルコペニア・虚弱研究会でしたが、これではすぐつぶれてしまいそうで・・・」と笑いを取る挨拶をされました。その日は最終1本前の新幹線で帰阪する。

疲れ知らず、というわけにはいかないがなかなか楽しかった。まあ忙しいうちが花でござる。

流木 イン セプテンバー

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今週は久しぶりに流木号に乗って波の合間を漂おうと思っていたのに台風との天気予報。どう考えてみても木曜日は雨みたいなのでカヤック部員と「しゃあないねー」と順延を決める。

ところが朝7時に目が覚めると陽が射しているではないか。ちょっと待て、話が違うぜと部員たちに連絡を取り、急きょ白浜に向かうことに。女子部員も行く気だったがあまりの急に間に合わず、男爵とイッシー(初参加で奴隷扱い)の3人でお昼過ぎには白浜に着いた。

夏のような日差しである。海の匂いがする。これこれ。セットアップもすばやくなり午後1時には海の上にいた。水は全く冷たくなく、風はそよ風、波は適度にワイルドと理想的である。前回来たときはひたすら漕いで披露困憊となったが今回は何となく慣れて(漕ぎ方も全身を使ってオールを動かすと楽であることが分かる)ただひたすら快適。ビールを持ち出し途中で漂いながら飲む。これがやりたかったのよ。極楽はここにある。

イッシーはみずすましの様にオールを海面に滑らせるだけ、湿らすだけで「疲れた」と暴言を吐くが、このシチュエーションに免じて許してやろう。桟橋から我々をじっと観察していたおじさん(東京に家があり白浜と1か月ごとに住み分けている優雅なリタイアピープル)が「大人の遊びだね」と的確な感想を述べる。

そう、大人の遊びである。もう1艇あるともっと楽しいな、とイッシーが奇跡的にまともな意見を述べ、我々は急にイッシーに丁寧に接するようになり購入を勧める(彼はIT会社の社長なのである)。来年の春は2艇一緒に川の上から花見をしましょうよ。いいっすよー。

あまり寒くならないうちにもう一度来よう。もう一度Good Day Sunshine を。やっぱり動かないと快楽は手に入らないね。思想は重く腰は軽く。

 

 

人生は彼女の腹筋

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人にも影響を受けるが、僕の場合、読書により嗜好が形成されることが多い気がする。10代の頃、植草甚一氏と伊丹十三氏の本を何度読み返したかわからない。20代の一時期、片岡義男氏の著作は僕の生活の指針であった。今、ミュージシャンである中西康晴氏、菊池成孔氏の文章がすごくぴったりくるのだが、まぁひねくれちゃったね。

で片岡義男氏の著作の中に「人生は野菜スープ」というのがあった。彼のタイトルはどれもなかなか素敵だけど、これはよく意味が分からない。何かの比喩じゃなく、ラストの方に野菜スープが出てくるのだが印象ははっきりしない。大体どんなストーリーだったか覚えてない。魅力的な女の子が出てくるのは確かだが。

「人生はなんとかかんとか・・・」というのはよくあるフレーズではあるが、何がいいかな。「誰だ、人生はマラソンって言ったのは?」というなかなかかっこいいリクルートのコマーシャルがちょっと前にあったけど、この前ある書評を見ていて衝撃的なタイトルを発見。

「人生は彼女の腹筋」

うーーむ。最近の私の性向から腹筋に激しく反応する。駒沢敏器氏の短編集であるが、彼の最後の作品集でもあり、しかも彼はミステリアスな死を遂げているのだ・・・。

ちらっと書評を読み瞬間に購買を決意。アマゾンでなんとその日のうちに手に入った。予想通り私の好みである。100%じゃないけどね。いろいろな土地が出てくるがとってもリアルだ。人より場所がいい。村上春樹氏の「女のいない男たち」のように心にズーーーンと重く残らないのは作家としての力量差か。

タイトル作はなかなか魅力的。毎日300回腹筋をやっている女性には会ってみたいものだ。彼女が人生を変えるのである・・・ で、そういう意味なのかと気づく。

とすると、僕にとって「人生は?」  まぁ考え甲斐があるね。

 

流木Ⅰ世号漂流記

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「私を海辺に連れてって」と、可愛くおねだりしても誰も連れて行ってくれないので自分で行くことにした。しかも!カヤックを購入して進水式を兼ねてである。ざまーみろ。

カヤックは前から興味があった。カヤック体験が出来るところなら大概乗っていて、実のところ簡単じゃない?と思っていたのである(後に間違いと判明する)。トレーナーのTちゃんと偶然カヤックの話しとなり、彼もどういうわけか購入を考えていてとんとん拍子に話がまとまり、彼は主として渓流下りを目標としてインフレイタブルタイプの2人乗り、僕はクリニックの保養所が目の前が海という絶好のロケーションで白浜にあるので2人乗りシーカヤックを購入した。藤田カヌーというメイドイン京都の組み立て式で、全部で14kg。リュックのような入れ物に入れて担ぐことができる。すごい。

購入先のATCにあるカヤックコウノトリの河野さんは大変親切でとてもお世話になりました。サンキュウ!!

お盆休みの初日、渋滞を恐れて早く大阪を出た男爵と僕は、予想をはるかに上回る車の量に悪態をつきながらも昼前には到着。DVDで予習をしていた通りに組み立てを始めた。河野さんは店で実際に15分で完成されたのだが初心者の我々は40分くらいかかる。しかし全く経験なしのど素人にしてはまあままじゃないのと甘い自己採点をし、ライフジャケットとiPhone、イオン水だけを持って勇者たちは海原に漕ぎ出したのである。

名前は「流木Ⅰ世号」である。河川法によればカヤックは流木扱いでどこに浮かべてもいいことから、我々の運命を象徴するような単語「流木」と名付けたのである。行く先は風に訊いてくれである。

結構調子いい。面白くてどんどん漕いでいるうちに、白浜の象徴、円月島らしきものが見えてきたので(方向的にぴったりだったのだ)あそこまでいこうと調子に乗る。1時間ぶっ通しで漕いで近づいたところが似ているけど違う島ということが分かる。脱力。海図が無いと駄目ね。

引き返すことにし漕いでいると、なんというか直進しないのである。僕は前に乗っていて、後ろの男爵の漕ぎがパワフルすぎるのかと思っていたがどうも違う。島に近づく前からその兆候があったのだが、風が出てくると本当にすごく流されるのである。今までのカヤック体験て、考えてみたら全然無風だったよなー、体験版だから当たり前か。

かなりの疲労感が押し寄せる。休むとどんどん流されるのでひたすら漕ぎ続ける。一艇、同じ二人乗りのカヤックとすれ違う。嬉しいもんだ。女性二人、パワフルそうな外国人女性と、ベテランらしいオール捌きの日本人女性のカップル。全然違うな。カヤックスクールでちょっと習おうと決心する。

何とか言っているうちにパワーだけはある漕ぎ手2人の流木Ⅰ世は港に戻ってきた。凪の入り江に入るとホッとする。浅瀬に乗り上げ艇を引っ張り上げようとするが腰と上半身が痛くて動かん。大体2時間以上漕ぎっぱなしである。どうかしてるぜ。考えような、おじさん。

なんとか部屋にたどり着き、頭の中は冷えたビールしかなく、そのまま風呂にも入らず1時間ばかり初航海の感想と、どういうわけか我々男の子の生きにくい世の中をいかに乗り切っていくかという話で盛り上がる。ふと目が覚め、酔っぱらったまま流木Ⅰ世を片付け、待望の温泉に入る。

いや、充実していた。わが法人としては陸上部に次いで第2の運動部、カヤック倶楽部が誕生したのも嬉しい。部員募集!しかし男性はカヤックを背負うシェルパ要員、および組み立て工員としての募集のみ。乗れるのは女性だけである。なにか?

私を野球と海辺に連れてって

甲子園広告

梅雨もあけて夏らしくなってきた。朝、愛犬の散歩に行く時にはすでに汗ばむ気温である。

「胸をはり 犬と歩くや 夏の朝」 なんてね。愛犬のダルメシアンも15歳と飼い主に負けず劣らず高齢であり、実際はよたよたと犬が倒れるか飼い主が倒れるかという散歩ではあるが、まっ、夏らしく爽やかにいこう。

通勤で結構早い時間に車を走らせていると、今日一日めいっぱいやりまっせ!という感じで空が目覚めていくのが分かる。こんないい季節はないな、1年中夏だったらいいのに、と思う。すべての人が「暑い、暑い」と言っていても関係ない。

夏と言えば思い出すのが片岡義男氏の名セリフである。

「夏は単なる季節ではない。それは心の状態なのだ。」

そのとおり。そしてゴキゲンでないと意味がない。

と鼻歌を歌っていたらスペシャルな贈り物をもらった。患者さんのOさん、以前某テレビ局の「隣の人間国宝」でも取材された、野球場の模型を手作りされる名人です。以前ボストンレッドソックスのフェンウェイパークもいただいて点滴室に飾ってある。

今回はデコレーションケーキ並みの大きさの甲子園!!です。しかも当クリニックの広告看板付き。うーーーー。

心で口ずさむのは「私を野球に連れてって」 (Take Me Out to the Ball Game)ですね。
でも、この季節は野球もいいけど「海にもね」(and Seashore) といきたい。 
素敵な贈り物を有難うございました、Oさん。

 

 

コーヒー遺伝子

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僕はコーヒーをよく飲む。中学生の頃から自分でコーヒーミルを買って、コーヒー豆をゴリゴリ挽いていた記憶がある(今そのことを思い出したのだが、いやなガキだねー)。今でも1日に3杯は飲んでいるが、カフェインの覚醒作用を楽しんでいる訳ではなく、ヘビースモーカーのように癖になっているだけだ。寝る前に飲んでも平気ですぐ寝てしまうもんね。

面白いペーパーをみつけた。「お酒やコーヒーなど日常的飲み物と日本人の遺伝子. 筑波大学技術報告 31:33-38, 2011 」。アルコールを分解するアセトアルデヒド遺伝子多型の違いにより酒に対する強さが変わるのだが、それを都道府県別に調査して秋田、鹿児島、高知、沖縄など酒に強いと言われるところは遺伝子からでもそれが実証されたなど興味深いが、コーヒーのカフェインに対する感受性も遺伝子に左右されるという僕の全く知らなかったトピックが書いてあった。

アデノシン受容体というのがあって、ドーパミン作動神経細胞と呼ばれる覚醒や鎮静を司る神経系の細胞にも存在している。ドーパミンがこの細胞のドーパミン受容体に結合すると精神が高揚し覚醒した一種の興奮状態になるが、アデノシンは同時に分泌されアデノシン受容体に結合してドーパミンの作用を調節(抑制)する役割を担う。

コーヒーに含まれるカフェインはアデノシンと構造が似ており、アデノシン受容体に対して同様の結合親和性を持っていてアデノシンの結合を阻害、その結果ドーパミンの作用抑制が阻害されるので不眠や興奮などの作用が増強される。

このアデノシン受容体の遺伝子型にタイプがあり、シトシン(C)、チアミン(T) の組み合わせによりCC型、CT型、TT型に分けられる。Cがあるとカフェインの親和性が強く結果としてよりドーパミンの効果が出やすい。言い換えるとカフェインの覚醒作用が強いということになるわけだ。中国を除くアジア地域ではTT型が多くアフリカや南米、アメリカの白人などではCCが多い。

CCはカフェインの効果(覚醒効果や気分がよくなるなど)が高いため多飲傾向があるようである。カフェインはお茶にも含まれる。中国はアジアでは珍しくCCの多い地域で、雲南省がお茶の起源であるが、唐代の詩人魯仝はお茶の効用について次のように述べている。

『1杯飲むと喉が潤い、2杯目で一人思い悩むことが無くなり、3杯目で詩想があふれ出し、4敗目で不平不満が無くなり、5杯目では全身が清清しく爽やかになり、6杯目で神仙の境地に達し、7杯目では羽が生えて空を飛ぶ思いであった』

すげっ・・・  僕はコーヒーをよく飲むけど効果から考えるにCCじゃないだろうな。  

CCになりたい!