カテゴリー別アーカイブ: 仕事

夏のチャレンジ

 僕は診察の時、白衣を着ない。

 白衣は自分が思っているより威圧的だと思ったのは、僕自身がちょっとした事で病院を受診した時。権威を感じさせるがフレンドリーに話すのは難しいだろうと感じた。

 で、子供さんも僕の患者さんには沢山いるので、きっと怖いかなと思って止めた。白衣自体は結構不潔だったりするし。予防注射のとき、子供たちはあまり泣かない。注射のちょっとしたテクニックもあるのだが、白衣じゃないことも少しは影響しているかなと思う。

 白衣を止めた時、最初はネクタイをしていた。やがてポロシャツになり、ズボンもチノパンになり、時にはジーンズにいたった。

 新患さんも別に変な顔もしないし(してはいけないと思っているのかも知れぬ)、全然自然だ。案外白衣じゃない人も多いのかな、と今思った。

 時に研究会があり出かける必要があるときはネクタイを締める。

 いつもの患者さん。
 「おっ、今日どないしたん、スーツなんか着て(着てない、ネクタイだけ)」
 「この後ちょっと用事があって。変ですか?」
 「(無視)この前の薬ね・・・」
 「・・・です。ところでやっぱりネクタイしてた方がいい?(リサーチです)」
 「(無視)昨日ちょっと食いすぎて・・・」
 「・・・です。(しつこく)ネクタイの方がいいかなぁ」
 
 「・・・ふつーのサラリーマンに見えるで!」

 
 で、ベースはやはりポロシャツとジーンズになりました。分相応。

 この夏はサングラスと海パンに挑戦したい。

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これはどう?

 

 

 

リアル悪夢

 僕は悪夢を見ない。非常に平凡な夢ばかりで、実生活か夢か、取替えっこしても判らないんじゃないかと思うくらいだ。

 知り合いにかなりサスペンスでダークな夢を頻繁に見る人がいて、夢は記憶の整理のためという説が最近有力であるが、そう考えれば非常にドラマティックな人生を送っている人なのでしょうね。

 一時夢を見るのが楽しくて、今晩はどんな夢を見るのかなーとニコニコしながら眠りにつく時期があった。考えてみれば確かにそれは実生活でもビッグ・ファンな時期であったなぁー。そういう時期もあったのだよ。やはり実生活の反映か。最近は夢よりも実生活の方が悪夢度が高いのですが・・・

 2日ほど前より嘔吐下痢が強く、またウイルスにやられたかと思いながらも、就業29年間、ずる休みはあっても病欠は無いという記録は伸ばさなくてはならないと、かなりしんどいが(表面には全く出さず)外来をする。

 やっと終わりかけた・・・と思うと、電話が入り新患の方が来られる。終わった!ユウレカ!と思うと気分の悪くなった方が駆け込んで来られる。

 終わった・・・お腹痛い・・・と思っていると往診が朝に3件入ったのであった(泣)。何とか済ませ、フラフラと自転車で診療所に向かう。あと少しでこの世で最高の悦楽、昼寝が・・・と思うと患者さんとすれ違う。

 「こんちわー!」元気よく挨拶すると「せんせー!」と追ってこられる。「相談が」・・・(泣)。5分ほど医療相談をし、わき目も振らず急ぐと、この前亡くなられた方のご家族とすれ違う。思わず止まりお話をする(泣)。診療所に着き鞄を放り投げて本部に急ごうとすると「急いで電話が欲しいとのことです」と某医師より連絡あったとのこと(泣)。声は笑って顔では泣いて電話を終了。

 本部の建物にたどり着くと、患者さんのご家族が出てこられるのに会う。「先生、主人が・・・」(泣)。這いながら階段を上り、後ドアまで5mと思っているとスタッフが突然前に現れる。「ちょっと問題が・・・」

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こんなのよりずっと…

 

 

 

雨に濡れても

 ワオー、今日も雨だよー。今日は在宅診療の日です。いつも雨だよなー(そうでもないか)と思いながらいつもどおり自転車で行くか車で行くか、数秒考えたが駐車の不便を考え自転車で行くことにした。

 雨が降っているから傘をさしつつ片手乗りをしなくてはいけない。自慢ではないがこういうことをしだしたのは開業してからである。下手である。不安定である。我がプジョーはサドルが高いうえに往診鞄を持っているから余計危ない。肩にかけるがずってくる。小さいリュックにしようといつも思うがすぐ忘れてしまう。

 しかしこういう状態で自転車に乗っていると、いかに日本の道が不親切か!(外国で乗ったことないからわからないけど)身にしみる。段差やたら多い、穴ぼこ多い、滑りやすいスチールの板みたいなのもやたら多い。車が寄ってきそうなところはやたら狭く木がはえていたりする。あぶねー。

 僕はアキレス腱を切って車椅子を使っていたことがあるが、本当に外に出れたものではない。まったくやたら元気な人間のみ対象にして日本の道路は作ってあるのである。テレビに出てくる訳知り顔の政治家、役人には想像できないだろう。彼らは全員、一度は足の骨を折ったほうがいい。

 僕は怪我をして今も結構苦労しているが得たものは大きい。人間順調なだけでは駄目よー、挫折しないと。人より劣ったものがあって理解できることは沢山あるのだ。

 まあ怪我してよかった。こういうのは転んでもただでは起きない、ともいうのかな。まあ、どっちでもいいや。

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眼鏡をすかしてみる情景(ウソ)

医者の不養生

 新年明けて外来開始3日目。まだバリバリやる気にあふれている・・・というか肩の辺りに早くも疲労の影あり。
昼休み、ぼーとして新しく来た「日経メディカル」をパラパラすると<医者は不養生>とのタイトルが目に飛び込む。副題は<過労、ストレス、健康軽視が心身むしばむ>である。

 おお、俺の記事が・・・

 841人の医者へのアンケート結果。「あなたは不養生ですか?」77.8%がイエス。その7割が運動不足で、精神的に不健康だと思うのはなんと55%。
 「自分はひょっとしたらうつ病ではないかといつも思いながら生活している」(50代、内科、診療所開業医)・・・俺か?いやいやいや(松ちゃん風に)、しかし身につまされる。

 「医者なので仕事を休めないと思いますか?」66%が強くそう思う。28%がそう思う。
 そうだよなー、アキレス腱切って手術した時も休んだのは手術当日だけで(しかも定休日)翌日から外来したもんな。今でも痛いのはあれが悪かったんじゃ・・・と頭を掠める。

 「仕事にストレスを感じますか」80%以上がイエス。一般的アンケートでは60%位らしい。感じない奴はいないだろ、と思う。

 アメリカ、カナダ、イギリスでは医師会が医者の健康相談の電話センターを設置していると記事にあった。アンケートでは仕事を休めないでいける医者専用の病院を作って欲しいなんてのもあったぞ。なんかこういう記事を読んでいるとますます疲れてきた。

 まず自分が健康であることが基本だろ。
 その最低ラインを守るために優先順位を考える。今は結構滅茶苦茶だがその整理から始めることにする。と言ってもねー・・・

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ひぇー

 

仕事始め

 新年初仕事が始まりました。例年最初の日は患者さんの出足もスローなのですが今年は思っていたより多くの方が来院され、風邪がはやっているせいか初診の患者さんも多く結構忙しい感じがしました。まだ4日なのに律儀に来院される慢性疾患の患者さんを拝見していると、本当に真摯に対応しなければいけないと襟を正したくなるような気持ちになります。

 まだまだ未熟ですが今年一年頑張って勉強し、皆様のご期待に少しでも応えるよう頑張りたいと思います。よろしくご指導、ご鞭撻のほど、お願い申し上げます。

同時進行主義

 京大の山中信弥教授はスターである。iPS細胞を発明し、今日本でノーベル賞に最も近い、というか世界の中でも限りなく近い男だ。この前高校の同級生たちとゴルフに行ったとき、その中の一人が「あの山中教授ておるやろ。あいつ僕等の10期位下のやつらしいで。柔道部で熱心にやってたし、すごい素直でええ奴やって話や」と言った。ぎょえー、そうなのか。素晴らしいことであると思っていたら、今日ふと目に付いた雑誌が彼の小さな特集をやっていた。

 その中で彼のスタイルとして、仕事で遅くなっても1時間半かけて必ず家に帰る(泊り込む研究者は多い)、ジョギングやボクササイズを定期的にやっていて飲みにもいく。実験は人より何倍もやっていたが時間をかけるのではなく計画を立てて複数の計画を同時並行で進めた。

 その一点集中でなく複数同時進行のスタイルは高校教育の賜物だと書かれていた。「スーパースターになれ」と言われ、勉強だけでなく運動や学園祭などいろいろな活動に力を入れていたと。確かに勉強だけすんな、何でもやれという姿勢で、ともかく生徒の自主性尊重だったな。僕も「スーパースターになれ」とは全く言われなかったが、何々はするなとは全く言われなかったと思います。そして今の自分お仕事のスタイルに確かに反映しているかなという気もします。

 スタッフに朝礼の時「仕事だけでなく他のことを大いにやってほしい。趣味の世界でもお金が取れるぐらいになればいい。300時間をかければものになると言われているよ」といった話をしたことがある。他の引き出しを増やすことは間違いなく仕事でも内容を深める。山中教授もどんなに忙しくなっても仕事だけというスタイルはとらないだろう。

 1点豪華ではなく数点豪華をめざそう。

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忙しいと思いますがご自愛のほどを

プロジェクト最終報告

 今日、関西学院に行った。ちょっと縁があって商学部の新倉教授のゼミにうちの診療所のパワーリハビリテーションの新展開を考えていただけることになり、その報告会があったのである。

 午後6時前、暗くなりかけたキャンパスであるが学生さんが一杯いる。元気な息吹があふれており、それだけで来てよかったなと思う。ゼミの学生さんたちは何度か診療所を訪れてくれており、患者さんたちにアンケートやインタビューもしてくれた。新しい発想を大いに期待する。

 結果は納得のいくものだった。現状の反省点が明らかになり、これからどうすればいいのか、ヒントを得られたと思う。学生さんだけに必ずしも現実的でない点もあるが、それはそれで新鮮な視点があったと思う。

 終了後打ち上げの会。彼らは20、21歳といったところであるが、話していても違和感がない(まあ合わしてくれたんでしょうね)。素直で真っ当な若者たちである。僕は「最近の若い奴は…」といった発言には抵抗をおぼえるもので、日本の若者たちには絶大な信頼を置いている。実際に彼らと話していてその感じは間違いないと思う。是非これからに彼らの結果を生かしたい。本当にどうも有り難う。

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非売品です。

ジェネリック医薬品とチーム医療

 1昨日「じほう」社のインタビューを受けました。「Japan Medicine」に掲載されるジェネリック医薬品特集において、医者の意見を述べることになったのです。この前の日本薬剤師学会のシンポジウムで話した内容から指名されたようで、それに沿って話をしていきました。

 ジェネリック医薬品の広告はテレビで放送されていますが、薬は全く同一で値段だけが安いという表現をされています。これは正確ではありません。薬の薬効成分は確かに同じですが、剤形や賦形剤、コーティングの違いで効果は変わってきます。医者側のアンケートでは依然半数近くが先発品と違う効き方、副作用の経験があると答えていることが多い。厳密には同一の薬ではないということをちゃんとインフォメーションすべきです。その上で薬を選択するのがフェアである。

 しかしながら長く使用され効果、安全性の確立した薬剤の、ちゃんとしたジェネリックであれば(これの見極めが難しい、ジェネリック薬品メーカーは100社以上あり正直玉石混合の感あり)、患者さんにとっても行政にとっても有効な選択肢であることは間違いありません。後発品かジェネリックかという択一的、対立的な捉え方でなく、個々の薬の特性を知り患者さんにとって安心できる医薬品を的確に処方するということが医者の使命であり、そしてそれには薬のプロである薬剤師さんの協力無しにはありえないといったような話をしました。これから医者にとっても患者さんにとっても薬の選択の上で薬剤師さんの情報収集能力、役割は非常に重要になってくるであろうと。

 いずれにしろどんな分野でもそうですが個々の人間のできることは限りがあります。協力し合うチーム医療がこれから非常に大事になりますが、うまくいくかは仕事の能力より個々のキャラクターが要でしょうね。責任感や優しさなど情操的な面が欠けているとうまくいかない。それを鍛えるには勉強、仕事ばかりではだめというのは明らかです。頑張って遊ばないと!(違うか?)

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これにサプリもはいってくると大変だ

外に出て人に会おう

 土曜日、介護予防の研究会があり、我が「ポジティブライフ君」は堂々と発表してくれました。正直3つの事例発表の中で一番よかったぞ(一緒に発表されたI工房の管理者の女性も後でそう言っていました。絶対見学に行くとおっしゃってましたぜ)。その後の質疑応答も見事な答え方だったと思います。お疲れ様でした。

 外に出て発表することほど勉強になることは少ないと思います。自分の枠の中で同じ事を繰り返しても進歩することは難しい。自分を鼓舞して外に出て行くことが自分を変えること、それは世界を変えることですが、の一番の近道だと思います。

 この1年、僕は発表もしましたが、過去何年分以上の多くの方と知り合い、考え方を知ること、また自分の考えを聞いていただく機会が増えて、それで変わったところが多いと思います。

 ともかく「外に出て人に会おう」、意識付けないと案外出来ないのですが、是非実行してくだされ、各々方。

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おわりまつた・・・

 おわりまつた・・・。ここ3週間ばかり懸かりきりだった抗加齢医学会認定アンチ・エイジング・クリニックの申請書をやっと今朝郵送した。日曜日10時間くらいやってて身体が固くなった。うーん、しかしまとめると面白かったです(と済んでからは言える)。

 土曜日は医師会で「いまさら訊けないこんなことミーティング」という勉強会。前にブログでも書いたけど日常診療でちょっとした専門外のことの疑問を、同じく開業している専門の先生にお教え願う勉強会で、もう4回目。一緒に始めたN先生と一緒に「よく頑張った」と手を取り合って泣く(うそ)。今回は整形外科のK先生に、腰痛を中心に興味深い話をレクチャーしていただく。有難う御座いました。

 その後、年に4回開かれている大学院時代の動物実験グループ定例飲み会へ。

 グループの一員で僕の後輩であるS先生はもう50歳であるがどう見ても30歳にしか見えない。今回ゲストとして同じ時期に働いていた看護婦さんが3人来ていたのですが、その中のU君。君、ほんとに49歳?3児の母?久しぶりにお会いしたのだが30代前半、暗けりゃ20代にも見えるぞ。もともとこのグループの人は若く見えるのだが、ここまで行くか!という素晴らしい例を見せていただいてアンチ・エイジング・クリニックのやりがいが出てきた。人間ってすごい可能性があるのね。

 日曜日は終わったのが午前2時で、月曜の朝9時ぎりぎりまで最終チェックをして郵送。自転車操業でーす。いつもでーす。もういいでーす。で、ほったらかしておいたルーチンの事務作業をこれから。迷惑をお掛けしていた皆様、すいませんでした。これから頑張ります(と言いながら村上春樹の本を読む)。

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早く散歩いこーぜ…