カテゴリー別アーカイブ: 仕事

お餅つき

この土曜日は餅つき大会をした。

ここ数年、法人のお祭りとして、小さな講演会や模擬店、鍼灸やリハビリ体験などとともに餅つき大会をしていた。風邪などでクリニックを利用してくださるKさんは、趣味および健康増進として餅つきをされておられるのだが、専用の高価な臼を持ち、その手際はプロ並みの餅つき師として大阪の有名ホテルからも正月はお声のかかる人である。そのKさんが毎年ボランティアとして餅つきをなさってくださっていた。

その法人のお祭りであるが、今年から講演会1本の形式に変えた。医療介護の組織としてはスタッフ教育も考えて、本来の勉強に専念すべしと決めたのだ。地域の皆さんとのつながりを強くすることも大事なことであるのだが、と思いながらも。

すると久しぶりにKさんがわざわざいらっしゃて下さったのである。「先生、今年はいつやりはんの?」と。

いや、ほんとうにすいません、今年は餅つきは無しで、と言いかけようとしたとき、あれほどみなさんが喜んでくれる餅つきを中止するのは罪だぞ、これだけで年末の一つの行事にさせていただくことを考えてはどうじゃ!とどこかで神が叫んだのだ。

で、今年は外来の小児科に来られるボーイズアンドガールズを中心に患者さんのみなさん、今まで通りデイサービスの高齢者の方々も参加していただいて(通りすがりの皆さんも勿論OKで)、年末の餅つき大会を開催させていただくことになった。

とりあえずクリニック、デイサービスを中心に広報をしたのだが、正直どれくらいの人数が集まるのか見当がつかなかった。外だし寒いし土曜日というのもなぁー。担当のプラナリア男爵は憂鬱な位心配していたそうである。しかし、その心配は無用。盛況であった。子供さんも順番に餅をつけたし、つきたてのお餅も大変おいしかった(外来のチーフ、O嬢は杵をたたき折り、そのパワーを見せつけた)。

院内に水墨画が3点ほど飾ってある。高槻のぶ子さんの作品である。昔水墨画を書かれていた時、すごく気に入って購入したのである。その時以来何かご縁がある。少し前お話ししたのだが、ネットで餅つき大会のことをお知りになり、わざわざ来ていただいたのも驚きでした。有難うございます。

予定を全部消化し、Kさん、お手伝いのYさんは颯爽と帰って行かれた。Kさんの愛車は20年前のサーファー仕様シボレーである。かっけー。スタイルも容貌も若々しいが、それはこのような他人に喜んでいただくということを趣味としているせいに違いない。細面の平安時代の貴族のような容貌は伊達ではない。ハートが高貴であることの表れだー。反省!

家族会

 今日日曜は当院の認知症対応型デイサービス「サニーデイサービス」の家族会があった。

 認知症の方を介護しているご家族の心労は大きい。同じような境遇のご家族と知り合い、話し合うだけでも気持ちが軽くなり、また対応を話し合ったりいろいろな知恵を共有することもできる。スタッフはご家族の話を聞くことで、デイサービスにいる時とは違う利用者さんの姿を知ることができる。逆もまた真で、家庭とは違うデイサービスでの様子をご家族も知ることができる(今日もビデオで見てもらった)。認知症の方はプライドもあり、いろいろ取り繕われることも多いのである。

 今までも定期的にやっていたのだが、移転やらいろいろあってしばらく開催していなかった。久々である。13年にわたり通われている97歳のOさんのご家族も来てくださった。

 今はケアプランセンターに属しているが、8年以上にわたりサニーデイに関わり責任者であったI君の司会で始まった。彼は29歳だが本当に落ち着いて立派になった。的を得た言葉。「いいぞ」と僕は思う。彼に限らずスタッフはみんな以前に較べて本当にしっかりしている。安心できるな。

 僕は認知症の理解とケアについて、国際医療福祉大学の竹内教授の理論(大事なのはミズ、メシ、クソ)をベースに少し私見を交えて30分ほどお話しする。そこからご家族からの質問が始まり、だれることなく2時間余りの家族会は終わった。利用者さんのデイでの情景をスライドショウや動画で見ていただいている時は、音楽療法士のNさんがピアノで伴奏をつけてくれ、ちょっとホロっとした。

 こういう機会があるとご家族とスタッフの間にいわゆる顔の見える関係ができてくる。ご家族同士も仲良くなることが多い。こうして認知症の方は多くの絆のネットで守られることになる。ご家族も孤独な介護でなくなるのである。今回来られなかったご家族の方にも是非次回は参加してほしいと思う。そして頑張ってくれたスタッフのみんな、お疲れ様でした。いい日曜日になったよ。

 

あっと驚くコーチングセミナー

今日は日曜日だったが当院で念願のコーチングのセミナーを開催した。

講師は木村純子コーチである。カリスマです。午前10時から3時間、うちのスタッフを対象にNLPの講義、引き続いて午後1時から3時間、外部からの聴講者含めて42人を対象にコーチングの講義。ともにワークショップ形式で大変実のあるものであった。

木村コーチは数年前から日常的に着物を着用されておられるそうで、講義時もチャーミングな着物姿であった。イメージを思い浮かべることがいかに大切かという話をされた時、好きだという餃子を想像してくださいと彼女は、形、色、味、匂い、調理の音などをゆっくり想像させるように描写されたのだが、その言葉のあまりのイメージ喚起力のすごさに驚いた。プロだなー。

また基本的な相手の受容、賞賛を講義においても実践されておられるのにも感銘した。本当に気持ちがいい講義なのである。6時間の長丁場にも笑みを絶やさずどんな質問にも本当に丁重に優しく答えられる。後の打ち上げ会の振る舞いでも思ったが本当にカッコよすぎる人格者である。

冷静になるにはdissociateする(幽体離脱のように上から自分を眺める)、意識は脳、無意識は身体がつかさどっており、自分に注意が向きすぎているときは身体能力がうまく働きにくい(ゴルフだとよくわかる)、相手のリソースを引き出すために意見が言いたくなっても5秒待つ!受容する。集団でディスカッションする時、意見を述べにくい方にも話していただくために必ず1分間全員に話してもらう、それを守って全員にマイクを回す。など、個人的にちょっと勉強したNLP、コーチングなどのバラバラな知識、手法が、単に知っているというのではなくドン!と納得して腑に落ちたのである。これは全然違う。

聴講に来ていただいた方々からも、「目から鱗でした」「今まで考えたことなかった。明日からすぐ実行してみます」とか嬉しい言葉をいただいた。そして何より嬉しかったのは、うちの外来、介護のスタッフが本当に興味を持ってくれたことであった。打ち上げでも木村コーチを囲んで話が弾んだ。

ひとえに木村さんの人徳であり実力です。どうも有り難うございました。僕も男性版木村になりたいと思います(本当に)。またのお話を楽しみにしております。

This week

10月1日、朝愛犬の散歩に出たら突然秋になっていた。風に夏の湿り気はなく、金木犀の香りが漂っている。今年の夏よ、バイバイ。

 

今週は勉強会が2つ。

木曜日に夜の8時過ぎから10時まで城東区医師会館で「肺がん」の画像を中心とした勉強会。済生会野江病院放射線科部長の大中先生がコメンテーターの形で参加され15人程度が参加。

城東区医師会学術部の主催であり、主として呼吸器専門の先生方がご自分の症例を紹介、意見を交換する。若い先生方が多かったが、その勉強熱心なこと、博識、読みの鋭さに感銘を受ける。

自分の読影の甘さをしみじみ反省。患者さんのマネージメントの仕方も勉強になった。時間が遅いので正直どうしようか迷ったのだが参加してよかったです。

 

土曜日は某製薬会社本社重役会議室(32階ですごい景色、すごい設備!)で関西医大付属枚方病院心臓血管病センター内科、湯浅文雄准教授の講演の座長をする。

「高コレステロール血症患者さんの最前線治療戦略」。大学のデータを中心に有益な面白い話を聞く。

心筋梗塞症例は実際LDL(悪玉コレステロールですね)が高くない例が多い(これは常識に反するデータ)がLDL/HDLは圧倒的に2以上であり、やはりこの比が心血管イベントの予測に有効なのでは、とか、スタチン(高コレステロール血症の薬ね)使用例は予後がよく炎症反応の抑制効果が大きい、特にストロングスタチンは、といった話題の話。LDLは新生児の値である50mg/dlまで下げてもいいのではということであった。

少人数の会で僕自身の疑問点も沢山訊けて満足しました。


こういった会に出ていると、参加される先生方はかなりかぶっているということに気づく。出る人は常に参加し、出ない人は出ない。また別の情報収集の仕方があるのだろう。

会に出るのは人に会うのと一緒で最初はおっくう。でもいざやってみると得ることが多いケースがほとんど。糸井重里氏はこのことを入浴に例えていた。風呂に入るのは最初はおっくうでも湯上がりを後悔したことはないと。

出来る限り出るのが義務と心得ておこう。しかし参加された先生方の名簿を見ると僕より若い先生ばかりで何となくフーンと思う。昔はどんな会でも最年少のことが多かったんだけど最近は圧倒的に最年長。まあ深くは考えまいよ。

宮間あやさんゑ

 もう旧聞に属するかもしれないなぁ。あの「なでしこジャパン」がPKで優勝を決めた時、喜ぶナインの輪に加わらず、敗戦に打ちひしがれるアメリカチームに駆け寄っていった選手がいた。左MFの宮間あや選手である。

 彼女自身普段はアメリカのチームでプレーしていたせいもあるろうが、本来負けるはずの無いチームに負けて茫然自失、そのショックの大きさをあの歓喜の中で思いやって激励に走るということはなかなか出来ることではない。世界一のGKであるアメリカのホープ・ソロ選手が、アメリカのニュース番組でゲストに呼ばれた時、その時のことを話して「私には日本チームにフレンドがいるんだ。宮間あや選手だよ」と言っていたのである。

 宮間選手は特別なものをもっている。試合翌日は控え組の苦しみを知る故、控え組に交じってプレーする。勝利の中でも、変えられた悲しみに打ちひしがれるFWに寄り添ってささえる。ワールドカップ後も、すぐ岡山の地元チームに合流してマスコミへの過剰露出を避けている。澤選手が最も信頼するプレーヤーと名前を上げるのも当然か。

 こういったプレーヤーは男性には少ないように思う。ワールドカップに出る位だから身体能力は当然、メンタル面でも闘争心強烈だろう。唯我独尊というタイプがもてはやされる傾向もあるが、このように他者への気遣いをさりげなく示せる実力者というのは女性に特有な気がする。

 いまだ男性中心といった社会が多いと思うが、その中でこういった宮間あや的な行動をとれることは本当に大事なことだ。ことに女性が大きな戦力となるこの時代において。でも多くの女性は実生活においてさりげなくやってるよな、考えてみると。彼女はおそらく男性ホルモンがやたら多い女子サッカー界にいるから目立つのかもしれない。男がやれるかというのが問題なんだ。

 チームにおいて宮間あや的存在の価値は計り知れない。

 この日本に男性版宮間あや、多く出でよ。

同じ思いの人も多いだろうなぁ

サプリの伝道師

♪♪ こ~べー、ないてどうなるのかぁ~♪♪ と内山田洋とクール・ファイブを呻りながら雨の神戸へ勉強しに行ってきた。
 
 ヘルシーパスの田村社長が神戸の保険医協会で「医療機関におけるサプリメントの扱い方」で講演するので、うちのスタッフも5人参加して土曜日の雨の元町へ。考えてみれば僕が田村社長のサプリメントの話を聞いて目から鱗が落ちたのは5年くらい前だろうか。でもサプリメントを取り巻く状況は一部を除いて(抗加齢医学に携わっている人々以外では)そんなに変わっていないような気がする。相変わらず宣伝だけの中身のないサプリメントが闊歩しているような・・・
 
 田村社長の講演はビタミン、ミネラルがなぜ必要かという話から始まった。この前ブログでも書いた現代の食事にいかに栄養素、ミネラルが欠如しているか、そして見逃されがちな鉄分の不足について、そして今回の話のキモであるいいサプリメントに見分け方、成分表示の読み方について。
 
 相変わらず話がうまいなぁ。温和な性格、口先だけでなく内容をはっきり確信している説得力に加えて、判り易く話そうとする工夫がいつも感じられるので本当にわかりやすい。感心。
 
 彼は基本的にわかってない人には別に当社のサプリメントを使っていただく必要はありませんと全くセールス色がない。また保険適応が難しいが医薬品のビタミンがあるので、まずそれを使えばいいというスタンスである。
 
 世の中には本当に粗悪なサプリメントが多いのだが(それがためにサプリメントの有用性がわかりにくくなっている)、それを淘汰するのはかなり難しい。自由経済社会ではおそらく無理。病気にならないように予防医学がこれからますます大切になってくるしサプリメントの必要性も増してくるのだが。  だからこれからは医者がちゃんと知識をつけて啓蒙するのが大切。僕も今度城東区のケアマネージャーの会でサプリメントの話をさせていただくように話が付いたので、今まで教えていただいた話に自分の経験を加えて、実のある話をしたいと思ってます。
 この人です。

たとえ銭湯でも

 本をパラパラしていて、いい言葉を見つけた。

 「詩人になるということは状態であって、職業ではない」・・・ロバート・フロスト

 詩人という、世界を男が女を見るような目で見ることのできる感性そのものがあるのであって、別に職業として選ぶものではない、ということだな。納得できる。

 これを変えてみる。

「医者になるということは状態であって、職業ではない」by桜木じゃなくて(判る人は判るか)着ぐるみ院長 

 うーむ。詩人と違うのは感性だけではやっていけないというところだ。診断、治療という技術の習得が必須なのだが、しかし・・・。 一番の勘所は、エモーションのところなのではないかな。そこのところが危ないといい医者とは言えない。そこ、そこ。

 僕は「裸でいても何かを感じさせる男」というのが目標なのです。服装や肩書の関係ない、風呂場でも凄みを感じさせる人っているでしょう、まれに。怖い人じゃなく、裸でしゃべってもサムシングを感じさせる人。

 男の印象は多くは職業により形作られるところがある。長い時間、それに打ち込んできましたというある種の臭み。医者は数メートル先からでも医者を見分けられるという(特に学会場の近くだと確率は100%である)医者ならだれでも知ってる法則があるのだが、それは真面目で野暮くさいとかそんな感覚であって、内からあふれ出るエモーションではないわね。

 医者という、病に苦しむ人の助けになるというハートを強く持っていれば、職業としてでなく、天性のものとなりえるだろうか。それが他の人にわかるくらいに。

 生まれついての医者というのはいないだろうが、なるべくしてなった、自然に、と感じさせるくらいの。医者状態だと思わせるくらいの。

 風呂場であってもそれとわかる医者に私はなりたい。

ここで勝負!

 

 

想定外

 午後診の前、チーフのジェットO嬢が院長室に入ってきた。患者さんからクレームがあり、その対処法についての質問であった。

 それ自体は患者さんとスタッフとの若干の行き違いであって、誰が悪いとかそういったものではない(クールビューティI嬢、気にすんなよ)。でもクレームは最少にすべき。僕は様々なケースに関してマニュアルではないが、想定ケースに対して対処法を大まか決めておかない?という話を彼女にしたのである。それの趣旨の確認であった(相変わらず素早い、しかも別の意見をもって)。

 シュミレーションすること。うちの法人では消防署の立会いの下防災訓練を毎年やっている。ガキの時から学校でもよく何とか訓練をした。そういうのは役に立つのか?

 しかしこれは実は取り組み方の問題、気持ちの問題ではないのか?と思う。真剣に想定することは必ず役に立つ。そしてそうすると、そのケースだけでなく必ず応用も効いてくるはずだ。

 

 今回の震災でシュミレートがいかに有用であったかという話がある。新幹線で雑誌「WEDGE」の「小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない」という記事を読んだ。この話はテレビでも見たことある。群馬大学の片田敏孝教授は三陸地方の防災に関わり、いつか地震、津波が来る可能性がある、その時の対応をちゃんとしておきたいと釜石市にかけあい、小中学生を中心に津波防災教育を8年前から行ってきたのである(なんてすごい先生だろう!)。

 あまり乗り気でなかった行政も熱意と重要性に説得され(これが大事だ)、その親を巻き込んでの訓練の結果、釜石市内の小中学生の親で亡くなった人の数は31人と釜石市全体で亡くなった人の割合と比較して圧倒的に少なく、そして小中学生は5人が亡くなったが生存率は圧倒的であった。

 小学1年生は自宅で一人でいたが、自力で走って避難した。中学生は「君たちが主力」と言われていた通り、小学生の手をひき、あるいはベビーカーを押して逃げた。そしてある6年生は2年生の弟と2人であったが、水量を見て自分たちだけでは無理と判断し、教えられたとおり逃げようという弟をなだめて自宅の3階まで上がって生き延びたのである。

 なんて感動的だろう。訓練を怠っていたといわれる驕れる東電となんという違いだろう。

 

 シュミレーションしても想定外は常におこる。もっと最悪のことが起こる。片田教授もそうおっしゃっていたようだ。ハザードマップを信じるな、もっと悪いことが起こるが考えよ、判断しろ!と。生き残れ!と。

 公私ともに起こり得る最悪のことを考える。身の毛もよだつようなケースも考えられるが、しかしほとんどの場合は、僕は「死ぬわけじゃなし」と思ってしまう。「命がある限り何があってもドンマイや!」というある人の言葉を思い出す。そして今回の震災のどうしようもない現実を考えてしまうのである。

 シュミレーションし、想定外の何があっても生き延びてベストを尽くせ、へこたれるな、今のおれの生活なら、と思うのである。

散歩中に。ツユクサかな?

 

先週のこと

 当たり前の話だがやたら早く時間が過ぎる。先週は何をしていたんだっけ…? 会食が多かったんだ。

 月曜日、抗加齢医学的検査の一つ、遺伝子検査「ジェノマーカー」をお願いしているG and G社のTさんが福島から来阪される。本社が福島なのである。仕事柄アイソトープを扱う資格もお持ちのTさんは放射線にも詳しく、この原発事故において、政府、東電、メディアの放射線被害の発表、報道がいかに遅く、適格性を欠くか、技術者の精密な頭で判断しホットに憤りを訴えられていた。

 マスメディアの報道は公平でも正確でもない。きわめて何かの意思が加えられたものである。そんなことは前からわかっているが溜息がでる。真実を知るには頭を使わなくてはならない。ボーとしていてはだめなのである。Tさん、頑張ってください、応援してます。

 週の中盤もいろいろあって土曜日は、城東区の盟友N先生と僕が世話人をしている勉強会が3時から。済生会野江病院、糖尿病内分泌科の部長であり京都大学の臨床教授でもある安田浩一郎先生に新しい糖尿病薬DPP4阻害薬を中心に講演してもらう。この会は恥ずかしがらずに何でも質問する、演者は気を悪くせずなんでも答えるという規約があり(まぁ別にそれがためという訳でもないですが)、質問も多くお話は非常にためになり、いい会であったと思う。安田先生、のってますね!

 この会は今回が10回目で、開業医が自主的にはじめた会がこんなに続くことは珍しい。お手伝いをしていただいているN社のご厚意とともに、忙しい中向学心をもって参加してくださる先生方に感謝。終わってからN先生と会の今後についてお話しする。なかなかいいアイデアが出たのでもう少し練ってから諸方面にあたることにする。N先生のいつもながらの実直な人柄に感銘を受ける。

 時間もないし、本来こんなことはしなくてもいいことなのになぜ手を出してしまうのか?自問するが性格なんだなぁ、そういうしかない。決められた仕事だけをしてあとは自分の趣味に生きるという感じの人生には縁がない。つまんないじゃない。アメリカの有名なニュースキャスター氏(名前は失念した)が「俺は年をとってヨットの上やゴルフ場のグリーンの上で死にたいとは思わない。このデスクの上で突っ伏して死ねたら本望だ」と言っていたが、僕も気持ちを同じくするものである。

 午後6時半から神戸で大学病院時代のボス、現済生会中津病院院長の川嶋先生を囲む定例会。年に2回、もう10年以上続いている。もともと動物実験グループで、メンバーは大体いつも7,8人集まる。僕は在宅でかなり危険な状態の患者さんがおり、いつ呼び出されるかわからないのでノンアルコールである。それでもおいしくフレンチをいただく。2次会のバーもソフトドリンクである。以前ならフラストレーションがたまったが今はむしろホッとする。あまりアルコールは飲みたいと思わない。素面だと酔うというのは結構みっともないわね、と思います。皆さんお元気でした。

 帰りは車でK先生を送る。家が僕とほとんど離れていないのである。歩いて3分。彼は神戸市医師会の理事として超多忙である。1か月に20回医師会に出務!?。この震災も医師会からの災害派遣医師としてすぐ駆り出されていき、報告書も見せてくれた。もともと熱いタイプであるが最近はよりヒートアップしているようにも見える。

 「その情熱はどこから来るわけ?」「うーん、やっぱり好きなんやろなぁ。そうじゃないとでけへんと思う」

 

 人により情熱の向く先は違う。こういうことは誰に論評も出来ないことだ。そして仕事が趣味より上とかそういうものではない。仕事も遊びも等価だと思う。好きなことをやろう。やることに意味がある。男は8の倍数で体調の変化が来るというのは一つの説だが、彼も僕も56だし。

 

ノンアルコールなのに酔った写真

 

日曜日

 東日本大震災に関しては言うべき言葉がない。阪神大震災を経験していると本当に人ごととは思えない。テレビを見ていると本当に悲しい気持ちになる。亡くなった方々にご冥福を、行方が分からない方々には生存されていることを、生き延びた方々には何とか復興の勇気を、心よりお祈りいたします。

世界中から寄せられているPray for Japan の1枚。

 

 しかし日曜日は第13回在宅医学会があり、ワークショップの発表者として朝早くから千里のライフサイエンスセンターに行ってきた。「食べる」をテーマとして僕以外4人の演者とともに在宅における栄養管理、嚥下などの問題を、今やっていること、提言など盛り込んで話し合う。

 僕は抗加齢医学の一環として運動の重要性を前から強調してきたのだが、次のテーマとして栄養がすごく大切なテーマと考えている。在宅で栄養不良の方、嚥下困難な方をチームを組んでどのようにマネージメントしていくか、そのシステム構築に関して自分の意見を述べる。何人かの方と新しく知り合い、これからの展望も見えてくる。

 学会自体、震災の影響があり、関東方面から来られない演者がかなりおられたようである。演題キャンセルが目立つ。しかし参加された方は熱心でその分頑張ろうという気概も感じられ気持ちのいい学会であった。

 

 学会から帰ってきて愛犬と散歩する。平和だ。うららかな春の空気が恨めしい。震災で亡くなった犬もすごく多いんだろうと思う。 合掌。