カテゴリー別アーカイブ: 抗加齢

男性ホルモンが足りないよ

 うーん。僕はクリニックで男性外来をやっている。中年男性に多い、いわゆる男性更年期(明らかな病気じゃないけど何となくしんどい、やる気が出ない、気が晴れない、EDとか)が対象である。普通の検査では調べない男性ホルモンや成長ホルモン、副腎皮質ホルモンなどを検査し、異常があればプロラクチンや下垂体ホルモンのFSH,RHなど、それに関連したホルモンを調べて原因を考える。

 男性ホルモンの低下が脳腫瘍など器質的なものや鬱病が原因でなければ、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)として男性ホルモンを増加させる治療を行う。

 大体対象年齢は40歳以降と考えているのだが、最近若い男性が多いのだ。20代後半から30代前半。ピッチピチの年代じゃないか!?しかも彼らは本当にその年代として男性ホルモンが少ないのである。おじいちゃん並み。

 特徴がある。①見るからに草食系 ②IT関係 ③女性に興味がないわけではないが熱心ではない ④趣味もあるが文化系で基本的に体を動かすのに積極的でない ⑤バーチャルはOK なんてとこかな。人間的には信頼のおける感じが多い。 しかし。

 日本男性の精子数は減少しているという報告があるが(異論もある)、こういう患者さんが増えていることを考えるとそうかもしれないと思う。環境ホルモンが原因という説もあるが、ITへの嗜好と関係があるような。女性でプログラマーとかすごく少ないし。直接的な感情の衝突と縁遠くなると男性ホルモンは少なくなる気がします。勿論そうでない方もいっぱいおられるのですが。

 いずれにしろ少しでも治療の効果があるととても嬉しそうな表情をされ、僕も本当に嬉しくなる。この仕事をしてよかったと思う。そして男って弱いなぁーと思う。感情のぶつかりを恐れるな!筋力つけて肉弾戦で行け!体温が直接わかってこそ社会で生きていく意味がある。頑張ろう、ニッポン。頑張ろう、日本の男たち。

 

象にもまけず。

ゴキゲン

 抗加齢医学会の会長、慶應の坪田教授のモットーは「ゴキゲン」である。ゴキゲンでないと生きていても意味がない、またゴキゲンな人ほど長生きなのだ。坪田先生は本当にそれを実践している方で、ポジティブなオーラが全身からあふれ出ていて、近づくだけでこちらの口元も緩んでくる。これはリップサービスではない。本当に前向きで陽気なオーラに包まれている。

 素晴らしいことだ。僕もそうありたいと思う。このご時世に…と思うが、不可能なことではない。

 「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」という言葉があるがこれは本当である。また、微笑む、口角を上げると、それだけでセロトニンが分泌されることも証明されている。意識した表情、行動は精神状態にも影響を与えるのである。

 だから上機嫌のふりをする。暗い顔をしない、スマイル、快活に喋る。そうすることで、気分が変わってくるのが判る。「無理」?そんなことはない。本当にそのつもりでやると間違いなく気分が変わってくる。僕が保証する。絶対明るくやろうと心に決めること。そいつが大事なのだ。

 気分を変えるのは実はそんなに難しいことではない。考え方。坪田先生もコーチングを受けているのは間違いないと思うけど、考え方なのだ。そういった自分でありたいと意識することが基本なのだと思う。

 イギリスにおいて最も尊重されるキャラクターは「常に一定の気分でむらがないこと」だそうだ。そのベースの気分が上機嫌だったらみんなを幸福にできる。そういう人に私はなりたい。

この人です。

子供化

 今年も残り少なくなってきた。

 内科開業医が最も忙しいのは冬場、風邪の季節であり、特に年末はちょっと今まで気になっていたことを片付けておこうと受診される方も増える(考えてみるとすごい話だが)のでやたら忙しい。しかもオフでは忘年会やらなんやらで、ほんとにブログを書く余裕がなかったのであった。

 睡眠時間が削られる。これが全くダメだ。そんな時は何が何でも昼寝を、絶対これだけはやってくださいというお願いも平気で無視してやっていたのだが、この頃は来客やらなんやらでそれも出来ず、夢遊病状態で活動していた。これはイカン。

 僕はタバコは吸い出して2年くらいでやめた。その頃ノルディクという走るスキーをクラブでやっていたのだが、タバコを吸うと明らかに走れなくなるというのを自覚して、その頃は克己心も強くさっさと止めてしまった。あまり身体にあってなかったのだろうな、多分。

 ここ数年、アルコールもほとんど飲まなくなった。少なくとも20年以上は晩酌と称して毎日飲まない日はなかったのだが、ある時アルコールが入るとすぐ寝てしまう非生産的な日常を変える必要があり、最初は不安だったのだが(ほとんど依存症だね)アルコールなしの朝の目覚めは高校生のようだと感じてから、これもあっさりと止めた。でもタバコと違って時々は飲むけどね。

 睡眠時間は6時間弱が多かったのだが、ちょっとしんどい。で、できるだけ12時前に就寝を意識する。たまにできたときは爽快である。

 煙草、酒、夜更かしという大人の快楽をどんどん放棄し、いまや子供である。半ズボンにランニングで、ランドセルをしょってリコーダーを吹きながら通院するのが夢である。

 子供は何をするか?外で遊ぶのである。それしかないでしょ。僕は昔の子供だからインドアはあまりしないのである。できれば1日中、暗くなって「ご飯だよー、早く帰ってきなさい!」と怒られるまで帰らない。

 外で遊ぶこと、つまり運動することの重要さ、これは何度言っても言い過ぎることはない。僕は外来で「運動してる?」しか言わないので患者さんにはほかに言うことないのか、と思われていると思うが、実際大事なんだから。そして思っているよりちょっと激しくやらないといけない。せめて汗ばむくらい、ちょっと息が切れるくらい、が最低必要なのだ。

 歩くならバスに乗り遅れそうなので速足で歩いているくらいに(特に腕を意識して振るのが大切だよ)、うちでこまごま動いてますという人は、それにスクワットや腹筋を入れる!少しでも身体を動かすという運動マインドが大事なのだ。1日中うちで閉じこもっていてはいけない。

 大きいのは脳の働きに運動がとても役に立つということだ。散歩の時にいい考えが浮かぶというのは昔から言われていることだが、身体を動かすことで脳が活性化することは科学的に実証されている。そこでも歩くより軽いジョギングのほうがいいというデータがあった。身体を動かすと(特にリズミックな運動は)セロトニンが増加して鬱を防ぐというのも実証済みだ。

 子供化がいかに素晴らしいかわかったかな。みんな、なりたくなったでしょう。

 僕は自称小学5年生で行こう。やーい、上級生だぞ!ざまーみろ(知能の子供化はいけません)。

  

ライトを照らせ!

 見ました、遂に。  何をって、あれですよあれ。

 Shine a light です。うー、遂に見た。アカデミー監督のマーティン・スコセッシが監督したローリング・ストーンズのライブ・フィルム。

 昨年公開されて、見に行こう、見に行こうと思いながら時機を失し、DVDが出たから借りよう借りようと思いながらどんどん時間が経ってしまった・・・。しかし遂に見たこの映画、・・・サイコーです。

 スコセッシ監督はかなりのロック・ファンで、ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」とかボブ・ディランのDVDとかも監督しています。この映画もストーンズの方から制作をお願いしたようですが、いろいろな感情のもつれを乗り越えて(映画の冒頭で示されます)ストーンズの最良の部分が抽出された映画です。ともかくカッコよい!こんなんありか!?

 で映画は「どうやらストーンズの核はミックじゃなくキースらしい」とか「チャーリー・ワッツは単に地味で無口というのじゃなく、昔のフィルムから察するに、かなりクールなカッコいい男のようだ」とか、いろいろ発見の多い、ストーンズが好きだったら本当に150%楽しめる映画なのですが、ここで皆さんが注目しなくてはならないところが一つ。

 ミック・ジャガーの身体つき、その動き、です。

 彼はこの時63歳です。スリム、贅肉なし、2時間歌い踊り続ける。

 遊んでるだけじゃできません。

 

 最近僕の患者さんを見るに、85歳くらいまでは65歳程度のパフォーマンス、外見を保つことができるという確信が出てきました。ミックもおそらくそのつもりでしょう。

 そう思うと人生の組み立てが変わってくる。85歳まで歌って踊れて元気だと今からの30年、僕はどういうふうに生きていくか、何をしなくてはならないか、新しい視点が出てきます。

 すべてのオッサンたちは Shine a light を見なくてはいけない。

 そして考え直そう。今からでも遅くない。

皺も勲章です。

鍛えましょう!

 立秋も過ぎちゃいましたね。

 まだあきれるくらい暑い日々が続いていますが、確実に季節は流れていく。早く診察が終わる木曜日は、外に出る午後7時頃でもお昼のようだったのですが、もうきっちり暗くなっています。今日一緒に帰った本部のHさんが「夏が終わると早いですよー」と言っていました。その通りだなぁ。夏までは何となく長いのですが(夏が待ち遠しいせいかも)、秋風が吹くころになれば年末まで一気でござる。

 しばらくブログの更新ができなかったのですが、夏バテでへたっていたわけではありません。むしろ過ぎゆく夏を追いかけるようにやたら忙しく、ブログまでたどり着けず。

 で、この頃はっきりしてきたこと。以前から話したり書いたりしてきたことではあるのですが、「身体のメインテナンス、というか鍛えることは真剣にしなくてはならぬ!」ということであります。鍛えるのです。結構しんどい、ハードなものじゃないとイカン。チンタラは結局無駄。

 身体のトラブル、これは整形外科的な関節痛や動きの障害のことですが、これは根本的に自分でトレーニングをしない限り絶対に!!よくなりません。誰かにマッサージしてもらうとかリラクシゼーションは必要ですが、根本治療ではありません。ストレッチをし、筋肉トレーニングをし、体重のコントロールに気をつけ、有酸素運動も加え、リラックスのメインテナンスをする。こういった一連のものを真剣にしない限りトータルな能力は落ちていくばかりである。

 しかし努力は確実に実ります。90歳から筋トレをしても筋肥大は起こることは証明されています。遅すぎることはないのです。

 お盆の間、自分の身体能力について試したり考えたりする時間があったのですが、今まで思っていたこのことを真剣に決意しました。ただ思うのと真剣に決意するのは大違いぜよ。

 身体を鍛えることをやっていると、頭も精神もついてきます。プロはともかく、普通の人間が仕事以外に身体のことをちゃんと考えてトレーニングしていくことは、思考能力にもメンタルにも大いなるトレーニングです。僕の患者さんでもエクセサイズにより体重が著しく減り、見た目もしゃべり方も考え方も、別人のようにナイス!になった方がいらっしゃいました。身体を動かすことは気持ちをアップさせます。日々の仕事をしながら故障しないで時間を作って、どうしてやっていくか、うーん・・・

 目標はサッカー選手のようなシェイプ、体脂肪率10%以下ですが、まっ、大風呂敷はやめとこか。でも心の中で目指します。見とけよー。

何も言わん、言うなよー

 

 

午睡の誘惑

 久しぶりに長々と昼寝をしました。

 僕は診察のある時でもお昼休みには寸暇を惜しんで仕事じゃなく昼寝をします。数十分のソファーでの昏睡状態が午後診を何とかもたしてくれる。夜より圧倒的に寝つきがいい(間違いなく1分以内)です。

 どうもお昼の光とか、漏れ聞こえる鳥のさえずりなんかがいい気がする。シーンとしているより、ちょっとしたざわめきや光があるほうが安心するのでしょうか。一時アン・バートンのバラードなんかをちょっとかけると、快感ホルモンがはっきりと分泌されているのが判るくらいいい気分で眠れました。半年分くらいは若返った気がします。午睡は認知症の予防に効果ありというのも証明された事実ですが、気持ちのいいことはほぼ全部老化を止めると思います。

 今日も明るい夏の光が溢れている中、風に吹かれて昼寝をする。遊びに行くばかりが夏の過ごし方じゃないな。

A super-hot summer もあと少し

 

 

楽しい合宿

暑いなぁー、いやぁー熱い!「真夏の講義・死のロード4連戦」の3戦目、最も手強いと思われた箱根・抗加齢医学会勉強会が終わりました。

全国で23しかない学会認定施設のうち4つの施設から専門医が集まり、それ以外にも同レベルかそれ以上のドクターが3人、ゲストに東京農大の教授で生命科学振興会理事長の渡邉昌先生というゴージャスなメンバーで、昼の1時からから夜の11時まで、2日目も朝9時から11時まで、全くだれない熱い濃厚な時間が過ごせました。内容は素晴らしくとても満足しています。

僕はうちのクリニックでやっている「低負荷スロー・レジスタンス・トレーニングの糖尿病患者さんへの効果と、運動を持続するために何が必要か」「鍼灸の抗加齢医学効果」の2つを1時間で喋りました。

書くと長くなるのですが、皆さん僕と同じ悩みを持ちながら、ただの臨床から1歩超えた何かをつかもうと努力されているのがよくわかり、大いにやる気が出ました。皆さんと仲良くなれたのが本当に嬉しいな。

昨日の晩、アドレナル・ファティグ(副腎疲労)の話題で盛り上がり、1つの治療法としてメラトニンが有効ということで、一番いいのではという米国の某社の製品が紹介されました。それをためしに戴き3mgほど内服してみたのですが、どうも僕にはうまくフィットしないようで今も眠くてたまらん。

まぁ単に疲れただけかもしれませんけど。毎週末仕事で出かけるのは一休みで、駆け足のように過ぎ去る夏を楽しまないとね。

ミーハーです。でもオーラありました、確かに。

知性もいいけど身体性もね

 ある医者の友人と話をする。

 昔、頭より肉体が大事とされた(1次産業の時代だ)。身体を使って汗水流して働く時代。やがてそれは情報産業の時代となり、いかに早く大量の情報を得、それを使うかが重視された。頭の時代。

 現代も勿論そうであるのだが、PCの発達は情報を得るということが誰でも出来る簡単なことになってしまった。それとともに知的情報社会で有用とされる能力も変化していく。むかし体力を誇った人があまり必要でなくなったように、コンピューターで出来ること以上のことが出来ないと仕事がなくなる時代が来る可能性が高い。

 どういう人間が必要か?

 これからはむしろ身体性の時代。体力、身体能力の優秀さが再び必要となるのではないか。体力あってこその知力。知力を伴う体力。2つは相乗効果を持つ。しかもコミュニケーション能力が伴う場合が多い。こういうやつでないと乗り切れない時代ではないか。それに加えて大事なのは精神性の高さだ・・・という話をする。

 僕が最近読んだ数冊の本も揃って同じようなことを言っているのに驚く。身体性の復権。外来で時々診る最近の若い人は驚異的に体力の無いときがある。日本史はじまって以来の虚弱さという説もある。みんな優しいけどね。

 病気にならないというより積極的に体力つくりをする。そのために時間をとること。このことはもっと真剣に考えないといかんのでは?とそぼ降る雨の日、湿気立ち込める部屋でボンヤリ考える。

若い写真

 昼休みに以前製作したパワーポイントをPCのファイルの中で捜していたら、昔の写真が何枚か出てきた。

 昔も、そして今も付き合いが続いている友人たちの写真。いろいろな場でいろんな時間に。彼、彼女たちはすでに十分大人だったのだが、まるで子供のように無邪気に見える。細胞が、表情が若い、邪気が無い。やだなー、切なくなる。

 勿論僕自身も写っているのだが、自分自身より他人に表われた時間の落差に胸をつかれる。これは僕自身を客観的に眺める時間というのはそんなに無いので、今の自分の外観をちゃんと認識していないせいだろう。現時点で写真をとって較べたりするとそのまま失神するに違いないと思われる。

 しかしな、つまんなくないか?

 年をとることは何かをどんどん失っていくことであろうか?それは寂しいじゃないの。

 外観は認めよう、しかしそれに変わるサムシングを身につけてないと年取った甲斐ないじゃないか。単に古びたのではなく、アンティックや古いワインや洋館のような、歴史の長い時間でしか作れない貴重なもの。それは知恵? ハート?・・・ううむ。

 ぼんやりしていると、いつのまにか外は真夏の陽が射している。

 何も考えず「夏やなぁ」とつぶやくと、「そうですよ。先生も急いで遊びに行かないと」とスイートなNナースの声が聞こえた。笑っている。

 そのとおり。その貴重なものは何かわからないが、夏の陽が射せば外に遊びにいっちゃうような自由な気持ち、自由な時間がないとそんなものは出来てこないぞと思った。時間はあまり無いのである。

真ん中のおじいさんはビル・ワイマン、じゃなくてマーティン・スコセッシ。

シャイン・ザ・ライト!ね。

最近気に入っている話

 明治国際医療大学(以前の明治鍼灸大学)の鍼灸学の博士号を持つY先生にクリニックに来ていただいてお話を伺う。

 予防鍼灸学教室の博士研究員である彼は、当院の鍼灸院院長であるキュートK先生の同級生であり、美容鍼灸の研究も専門である。恐るべき博識の人で、こちらが何か言ったらすぐ学問的根拠のある答えが返ってくる。気鋭の勉強家で世間がワールドカップで大騒ぎしている時なのに「サッカー見てないんです」とスルーでした。

 鍼灸により顔のしわが減る、もしくは浅くなるかという研究を某化粧品会社とやっておられるのだが、顔の写真ばかり何千枚も見たとのこと。しわの深さをどのように客観的に評価するかという興味ある話の後に僕は「何か嬉しいことがあったときには本当にその人の顔が輝くように見えるのですが、それは本当に何か皮膚に変化が生じているのでしょうか」という小学生並みの質問をする。

 しかし彼は間髪を入れず「先生、それは目ですよ」と言った。

 「目?」

 「目です。眼裂の大きさです。嬉しい時は目が大きくなるのです。眼裂が大きいと明るい印象を与えます。今まで普通だった目が少し大きくなると、本当に輝くように見えるのです。落差がポイントです。表情に一番大きい印象を与えるのは目だと思います。」と彼は目を大きく見開いて言った。

 それ以降、みんなが目を大きく見開いて話すようになったのは言うまでもない。

 僕は普段の死んだ魚のような目を意識してキープして、意見を言う時は突然目をビー玉のように見開いて話すという岡田ジャパンのような落差攻撃もしたのだが、あまり印象を与えなかったようである。見開いたつもりでもまるで小さかったのかも知れぬ。

 いずれにしろ諸君、目だよ、目!

僕の目はどれでしょう?