今日朝刊を見ていると本の広告があって「脳によく効く栄養学:ボケたくなければ肉を食え」というのが目に入った。どっかで聞いたような台詞だと思ったら、僕がPearlsに昔書いたタイトル「ボケたくなけりゃ肉を食え!」じゃあーりませんか。高田明和先生という、ボケないためにどうすればいいかという内容の本をよく書かれている方の最新刊です。
別に独創的なタイトルでもなし、少し高齢者の問題を勉強するとすぐ浮かんでくる台詞とも言える。在宅や施設の高齢者の一番の問題はエネルギー・蛋白質低栄養状態:protein energy malnutrition;PEM であります。アルブミン3.5g以下を基準とすることが多いが、75歳以上だと療養中の3割から4割がPEMにあたるといわれています。
コレステロールを下げろ、食べ過ぎるな等々の台詞はメタボリック症候群が問題の中年層においては確かですが、高齢になるとコレステロールはある程度高いほうが寿命が長い、癌、欝も少ないというのは統計的に出ています。栄養状態良好なほうが成人病を生き延びて高齢に達した方にはいいのですね。Pearlsも読んで下さい。
人間何があっても食べている間は大丈夫、というのは多くの医者が持っている実感です。もうしんどくてしんどくて、と嘆く中年のおばさんに「食欲はどうですか?」ときくと「いや、これだけはしっかり」と答える方が多く、「さようなら」と思わず言いそうになるのですが(ウソです、ちゃんと病気がないか調べます)、ご高齢でも食欲があり、美味しいものに意欲がある方は全体的にバイタリティが旺盛です。
とりあえず中年の皆さん、運動して食べ過ぎないで体重を維持し、なんとか老年期まで生き延びましょう。そうすれば何でもお好きなものを食べられますって。お楽しみは後にね。