今日の日曜日は半日、漢方医学のセミナーにでる。漢方の著明な先生のお話を聞く機会が最近多いが、かなり個人により捉え方が違い、興味深い。共通していることは病気でなく個人を診るというオーダーメイド医療の観点か。これからの医療にも、僕個人としても極めたい必須の分野と思う。
お昼にお弁当が席に配られた。あるドクターはずーと席をはずしていたが、あと午後の部開始まで5分というときに戻ってきて弁当がないのに気づき(いないと思って配られなかったのです)、間に合わない、なってないと激怒。関係者があやまるは、ちょっと小さな騒ぎとなる。しかしこれは君、えらそうに怒ることじゃないだろう。患者さんを治す前に君の性格をまず直すべき。
帰ってきてから池澤夏樹氏の「真昼のプリニウス」を読む。この、僕が池澤氏の小説にのめり込むきっかけとなった小説を、しばらく前から再読しはじめていたのだ。芳村頼子という女性の火山学者(大学理学部助教授、今だったら准教授か、という設定)が主人公の、なんというのでしょう、僕の好みから数ミリもずれていない小説。4分の3残っていたが、レセプトのチェックがあるなぁーと気にしながらも読みきる。
これは簡単にストーリーをなぞれる話ではない。この「世界」について、対し方について語る小説。前読んだときは少し判らないところがあったのだが、今日は得心して読む。素晴らしさのあまり絶句。そして小説はやっぱり主人公の魅力が大きい。プリニウスはローマ時代の博物学者で火山を調べにいき近づきすぎて死ぬ。芳村先生も世界の真実を確かめに・・・
池澤氏の主人公はみんな理系でクールである。自立していて勇気がある。そしてやっぱりこの小説が一番好きかもしれないな。これからも何度も読み返すだろう。世界の感じ方が変わるのだ、僕の場合。下らん奴には読んで欲しくない。