♪ 雨音に気づいて~遅く起きた朝は~♪ あの頃のユーミンは最高だったよなーと思いながらも12月の雨はいやである。冷たく暗い。「鬱になりそうですよねー」と当院美少女部門担当のF嬢も憂い顔でつぶやく。
そのせいか最近鬱っぽい相談を僕と近い年代の男性からよく受ける。Tさんは58歳で高血圧だが服薬もライフスタイルもきちんと指導を守る模範患者さんである。彼があるとき「先生、相談があるのですが・・・」と切り出した。
「最近どうも生きていても楽しくないというか、張りがないのです。鬱でしょうか?」
「鬱も診断基準があるのですが、Tさんはそれから考えてもそうじゃないと思いますよ。自殺をかんがえたりとか、そんなんはないでしょうね」
「いや、そこまでは。しかし毎日楽しみもないし、定年になってこのまま年とってもなぁとよく思います」
うう、今まで一生懸命仕事をしてきて、そのため趣味らしいものもなく、運動をしろと医者に言われたからときちんとプールに行って週に3日泳いでいてもなんら湧き上がってくるものがない、そんな彼を誰が責められるであろうか。
しかし解決策を考えてみる。
彼には大好きなものがないようである。これさえやってりゃまあゴキゲンというものが。こういった方の多くは趣味が読書という場合が多い。りっぱである。しかし受け身ともいえる。インプットだけでなくアウトプットしないと人間は面白くなれないのである。
アウトプットしないと新しい社会的関係は築くことができないのだ。自分を表現すること、それはどんなことでもいい、スポーツをやる気でやることでも料理をすることでも、能動的に動くこと、それにより新しい人間関係を作ることがポイントなのである。
これは人によって簡単にできることではないかもしれぬ(簡単に出来る人もいる)。しかし誰にとっても自分の好きなこと、能動的に動く楽しくてやりたいことを見つけておくことは絶対に必要なことなのだ。それはあなたを救う。
中年のオッチャンは元気がない。鬱も自殺も凶悪殺人の率も高い。仕事よりも何よりも、楽しくて思わず笑っちゃうような大好きなサムシングを捜せ!それで冷たい12月の雨を防ごう。