カテゴリー別アーカイブ: 日記

人は見かけ

 人が物を買うのは何を頼りにするか?いろいろありますが8割以上は見かけというデータがあります。人間は視覚から得ている情報が一番多いというのは医学的に確かなことですが、やはり一番よく使っている感覚を信頼するのでしょうか。

 人も見かけが大事、という説があります。いやいや、人は見かけじゃ判断できないよというのも確かとは思うのですが、総てに当てはまる法則はなく、確率論的にいえば見かけはその人を語る。

 単なる静物的な造形ではなく、表情、声、姿勢、オーラとか動きの総て、服とか小物とかセンスが出るもの、それらの総計が彼、彼女を語る。でも一番大きいのは表情だな。

 僕は毎日100人内外の人に会います。顔を見ると病気は別にして(時に病気もズバリと)、その方の今までの生活、そして現在の状況がだいたい判ります。僕は「人は見かけ」とほとんど信じています。

 いい顔でありたい。そう思いますよね。それはボーとしてては出来ないな。総ての統合が表情に現れる。時々全く無防備の自分がどんな顔をしているか、あまり親しくない方に教えていただいくと勉強になると思います。

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仮面ってのもあるな

サーフィン・クラシックス

 今日外来に30代の男性が来た。帯状疱疹だったのだがピークは過ぎていて痛みもなく、投薬をして再診することにしたのだが…

 「実は今週サーフィンに行くのですが大丈夫でしょうか?」
 「うーん、基本的には激しい運動はしないほうがいいけど、君は体力も有りそうだしこのまま治まりそうではあるので絶対だめとはいえないなぁ。自己責任で行ってもいいと思うよ。どこに行くの?」
 「静岡です。普段は2人ぐらいなんですが今回は大勢で。実はまだやりだして4年ぐらいなんですが他のスポーツは全部止めちゃって完全にはまってるんです。」
 「最近結構いい年の人もやってるよね。ロングボード?」
 「そうです。僕も最初は50歳ぐらいに人に連れて行ってもらったんですよ。先生も焼けてますよね、やってるんですか?」
 「いや、僕はゴルフ。」
 「そうかー、やりましょうよ、連れて行ってあげますよ。」
と、青年はニコニコしながら出ていった。
 
 サーフィンと聞いたときから、僕の日常の固まった空気が揺らいで小さな穴が開き、そこから潮風が吹き込んできたのだった。

 20代後半はウインドサーフィンばかりやっていた。患者さんを持たない大学院生のときは、検査とか実験が終わったらまだ明るい午後5時頃に病院を抜け出して香炉園の海に行き、1時間半ばかりのってからまた病院に戻って夜遅くまでいるという生活をしていた。狂っていたわけですね。何も考えないで海にぷかぷか浮かんでいるということがどれだけライフスタイルを変えるかというのはよく判っている。

 うーむ、サーフィンか。そう思ったときから視点がずれて、本当に世界が少し変わって見えたのである。自分が実は本当に固定した世界に住んでいるというのが実感できた。

 「今度彼が来たらお願いしようかな・・・」

 決断・無視・安泰・退屈・水死・・・どうする!どうするよ!
 つづく!!

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死ぬまで無理、か?

クリーンアップ・アンド・パワーアップ

 今日は雨で珍しく服の整理をした。最近僕は片付けづいているのである。まぁ、お珍しい!あの院長室の机の上の様子じゃ、何か物を整理することに恐怖感か何か抱かれておられるのでは、と思っておりましたわ。まーぁ、なにをおっしゃる、ちょっと時間が無かっただけでござーます。

 で、この季節に着る服が全く無いという事が判明したが、別に服を買いに行くわけでなく、その勢いで様々な角度で本が飛び出たり納まったりしている本棚を整理したりした。

 早寝早起き、整理整頓。これは精神科の春日武彦先生が統合失調症の患者さんの治療の一環として言われておられることである。精神的につらい状態にいる人の部屋はまず例外なく異常に散らかっている。少し前「片付けられない女たち」というのがあったが、ストレスのひとつの表現であり、部屋はその人の心の中を現しているのである。

 最近片付けると運がよくなるとか風水に関連して掃除の本がよく出ているが、確かに整理するとおっ、こんなのもが、とか役に立つものも出てくる。少なくとも損はしません。テレビを見ているより自分自身を見直すきっかけにもなりそうだ。明日は仕事場もやろーっと(どこまで続くか?)。

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クリーンアップ・アンド・パワーアップ

 

 

ビルの窓

 今日は夕方から「糖尿病プラクティス」という医者だけでなくコ・メディカルの方も対象の勉強会に行ってきました。どういうわけか僕は幹事になっていて、元京都大学の清野先生という糖尿病の大先生(先日アメリカで学会がありクリントン元大統領と握手している写真を見せていただきました。その時国連の決議で糖尿病撲滅が国連部会のテーマに決まったとのこと。感染症以外で初めてのことだそうです)の音頭とりで今回が4回目、80人近い参加者でだんだん盛況になっているようです。で9時半くらいまで会があって、帰りはタクシーをスポンサーから奢っていただきました。

 夜の阪神高速を走りながら窓の外を見ていると、阿波座あたりは会社のビルがいっぱいで、灯りがついている窓にはまだ働いているビジネスマンがごっちゃりいます。某商社の窓には女性ばかり10人以上、フロアでみんな各々PCにむかったりボードになんか書いたり、全然仕事モードです。「もう10時過ぎだよ。頑張ってるな。」

 働いている人も働いてない人も、頑張っている人もそうでない人も、楽しく笑っている人も悲しんでいる人も、いろんな人をのせて地球は回っているわけですが、窓に映る働く人々を見ていると、すべての人たちの幸せを祈りたくなるのはなぜでしょうね。一生懸命な人を見ると素直に感動するからかな。とりあえず働く人々に栄光あれ。

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お身体に気をつけて

メインテーマ

グッギーン!これは僕が頭を殴られた音である。実際にどつかれたわけじゃありません。ある本をパラパラと読んでいて(全部読んだら感想はまた別の機会に)あるセンテンスを読んだとたん頭に鳴り響いたのである。「君の仕事のテーマではなく人生のメインテーマは何なのだ?」

 仕事のメインテーマはあるよ。でも人生なー。意識したこと無かったのだ。昔片岡義男に「メインテーマ」という小説があって、二十歳前の青年がピックアップトラックに乗って、自分の人生のメインテーマを探しに日本中を旅するという話だった。最後は仲良くなった年上の女の人とお別れするのだが、「もう二度と逢えないわよ、それでもいいの?」「いいです」明るく答えて彼のピックアップトラックは小さくなり消えてしまうのだ。この終わり方は好きだった。しかし人生のメインテーマという言葉はそのまま僕の記憶に小さくなり、昨日まで埋もれてしまっていた。

 これじゃーいかん!と僕はあせり、今日1日かかって考えたのだ。何って?そんなん、恥ずかしくて言えませんよ。言っても恥ずかしくないくらい僕が大人になったら教えてあげます。でもねー、最近採用面接なんかをしていて思うのだが、若いやつほどお金にこだわるのはどんなもんかねー。最終的にこの世界を深いところで動かしているのは金じゃないというのはまだ判らんか。江戸時代の日本人は世界で一番成熟していた民族だが、その頃の長屋の住民のライフスタイルは「3ない主義」:物を待たない、出世しない、悩まない、だそうです。この粋な境地に達するのはなかなかですが、僕のメインテーマもすこしかぶるぞ。

 ほんとはピックアップトラックに乗って女の人に「いいです」と言いながらメインテーマを探したいが、贅沢は言わずもう少し練ることにしよう。ゴルフのテーマは90を切る事と決まっているが(誇大妄想です)。

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映画化されてたのか…

フェイス・トゥー・フェイス

 月刊でとっている総合医学誌の特集が「顔の総合診療:顔をみればわかること」だった。顔!顔は大事ですね。病気に関わらず、感情がもろに出ているもんなー。わかりやすい人、見えにくい人の違いはあるが、注意深く観察すればその表情で、まずどのような精神状態にあるか、というか、自分にどのような感情を抱いているかは言葉より確かに分かる。

 リンカーンが「人は40歳を超えたら自分の顔に責任を持たなくてはいけない」と言っているが、これは客観的に見たときの印象だろう。何か卑しそうだったり貧相だったりするのは今までの人生が作った顔なので反省しなくてはいけない。この前しばらく会わなかった同級生と道で偶然ばったり会ったのだが、前はややネガティブな、人を拒む感じの印象だったのだが、非常にオープンで和やかないい顔をしていたので印象に残った。彼は努力して大学の教授になったのだが、自信とか今の充実度がうかがえる。

 男はあまり顔の手入れをしないので(今の30歳台から下くらいは違うかな)、保湿とかちょっと手入れをすると女性と違いすぐ効果が現れるといわれている。手入れまでは行かなくても、おっちゃんは少なくてもちゃんと自分の顔を鏡で見る習慣くらいはつけたほうがいいであろう。信じられないかもしれないけど一日の間で自分の顔を見たことがないという奴は案外多い。顔は看板であり自分を表現する最適のツールでもある。女の子の顔は気にするが自分のは無視というのは寂しい。内面の充実とともに、表面も少しは磨くのが社会人としての常識であろう。女性は表情を社交上のツールとしてうまく使っている。ここでちょっと微笑んでおこうかしら、なんてね。男もそれぐらい器用になってもいいかもね。

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いい顔ですよね

マキアヴェッリからワンダー

 今日の入浴本は塩野七生の「マキアヴェッリ語録」である。マキアヴェッリの名は会田雄二の「決断の条件」ではじめて知った。高校時代か。中世イタリアの辛辣な思想家で権謀術数の代名詞のようであるが、その物の見方は客観的、自然科学的で思いいれがなく涼しげである。

 「人間というものは、必要に迫られなければ善を行わないように出来ている」「衆に優れた人物は、運に恵まれようと見放されようと、常に態度を変えないものである」「謙譲の美徳を持ってすれば相手の尊大さに勝てると信ずるものは、誤りを犯すはめに陥る」・・・

 そうですか・・・。周りがいたるところ敵だらけという生活で磨かれた知恵である。うなずくところ大である。だけど不思議に悲観的にはならない。自分自身も含めて人間の矮小さを知らしめてくれ、それはいっそさわやかだ。このようなもんだ、という客観的な認識をつけてくれるのは快い。

 「ふーん」と思いながら風呂から出るとTVで神が歌っていた。スティビー・ワンダーだ!!
I just call to say I love you.
彼の歌を聴くと人間の素晴らしさを信じたくなる。そういえば「マキアヴェッリ語録」の最後はこれである。「天国へ行くのにもっとも有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」。

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  デュエットは無理?

 

ハッピー・バースディ・ツー・オレー♪♪

 ・・・実は昨日は誕生日でした、と言っても別に大層なことではないですが。

 朝からインフルエンザと花粉症のツイントップで大爆発していて外来が1時過ぎに終わってから往診。そのまま飯も食わず予定されていた会議に突入し、午後診まで1時間しかないではないか、俺の生命線であるスイートなお昼寝の時間が無い!とあせっていたら院長室に隣接した本部から「先生!」の声が。

 そこにはケーキが用意されていました。ううう、余は嬉しいぞ・・・

 みんなも仕事で忙しく、部屋にいた数名で祝ってくれたのですが、なんか恥ずかしいな。他の人を驚かせてお祝いするのは僕は大好きなのですが自分のことになるとぎこちないです。いやー、こういうのに慣れてる人間になりたいな。

 昔そこそこの年齢の女性が「誕生日なんて年をとるだけで嬉しくないわ」なんて言っているのを聞くと、素直に喜べよと思ったものですが、齢50を越すと確かに大喜びはできんなという気もあったりする。でも、いつでもありがとーとニコニコできる男のほうが絶対素敵だ、そうしようと思いました。

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食いすぎた・・・

セーフ!

・・・どうやらやったらしい・・。何がって?オービスですよ、オービス、奥さん。3ヶ月ほど前、通勤途中の阪神高速でオービスが光ったって話を書いた。どう見ても絶対俺を狙ったに違いないという確信犯的正確さで光ったので(といっても滅茶苦茶飛ばしていたわけではないよ、ほんのちょっとだけ)、その瞬間、免停にまつわるモロモロのうっとおしい事柄が光速の速さで僕の頭を駆け巡り、グッドな気分は一瞬にしてアイスバーンを時速120Kmで滑り落ちるがごとくバッドモードへと転換したのであった。

 「あのさ、まだオービスのやつ来ないんだけど、どれくらいで来るもんかね?」交通違反にお詳しい方数人(ということはよくパクられているということで、車に乗ると人格が豹変するスポーツカー乗りとか、マッドオートバイライダーとかの善良な市民の方々)に訊いたところ、とりあえず3ヶ月来なかったら大丈夫じゃないっすか、ということであった。「空撮りみたいのも結構あるみたいだし、ちゃんと同定できるくらい顔が写ってないと来ないということです」「ふーん」「なんか女性が隣に乗っているといろいろ問題があるので来ないという話も聞いたことがあります」「そりゃないだろ、もしそうだとしても今回は関係ないしなー」「ふーん」

 とか言ってるうちに3ヶ月が過ぎた。これの成否に俺は今年の運勢を賭けていたのだ。・・・やったね。とりあえず運命の女神は俺に頬ずりをしたということだ、おみくじは小吉だったけど。

 でもなんで来なかったのかな?ちょっと訊いてみたい。まっ、寝た子を起こすようなことはしませんが。

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!!!

 

マジック・ブランケット

 眠い・・・大概1年中眠い。というと、医者なら睡眠時無呼吸症候群を鑑別診断に上げるが僕はそうではない。単に睡眠時間が足りていないだけだ。

 僕の平均睡眠時間は6時間弱か。これは決して少ないほうではないかもしれないが僕にとっては腹6分目の感じ。何とかしたいのだが気がつくと真夜中を過ぎていて(これでも家に帰って飯を食って風呂に入っただけである)、しまったと思いながら眠りにつく。

 対策はただ一つ。シェスタ、昼寝、午睡である。これほど甘美なものは無い。日曜日に陽だまりの中で、やることも無くウトウト寝てしまうというのも至福だが、僕の場合は午前診が終わって昼食をとり、午後診まで1時間ちょっとあるというときのソファでの30分が、お手軽な天国なのだ。これを阻害する午後の予定が入ったときは非常に気分が悪い(しかも結構ある)。前日から憂鬱なくらいだからみんな気をつけるように。

 しかし夜寝るときは、眠いなぁーと思いながらも寝床に入ると変に覚醒したりすることもあるのだがお昼の天国はそれがまるで無い。ワイヤーの切れたエレベーターの如く、垂直降下で闇の中に入り、充足した感じで潜水艦が非常事態で浮かび上がるように目が覚める。実はこれにはちょっとしたコツがあって、院長室にある煤けた水色のブランケットがいいのですね。これを頭まで被る。それでOK。マジシャンが布をかぶせると空の花瓶に花が咲くように、たるんだ脳みそがサラッピンに近く修復されるのである(と言っても元が元だからねー、しれてます)。

 夜の睡眠もこのマジック・ブランケットが無いものかと思って捜していたんですよねー。ところが最近、ついに見つけました。強力なやつ。何って?聞きたい?実はねー、医学雑誌。これは効きます!読み出すとブランケットを頭から被った如く黒い闇が確実に数分以内に・・・。

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こういうのもいいな