初夏だなぁ…と思わせる日曜日でした。
しかしながら今日も愛犬の1時間の散歩のみ出ただけで、室内で主として活動する。読みかけの本を2冊読了。
「神様のカルテ」は医者である夏川草介氏の本年度本屋大賞入選の作品。もう1冊はレベッカ・ブラウン氏の「体の贈り物」。どちらも短編集ですが主人公が同じでストーリーはつながっています。
受ける印象は全然違う。地方の前線病院で働く若い消化器内科医が主人公の「神様」はコメディタッチ、でも泣かせます。割とグッときました。読後爽やか、しかし綿菓子のように軽いか。
「贈り物」はエイズの患者さんを専門に手助けするヘルパーさんというか、女性のホームケア・ワーカーが主人公の話。死の匂い、すでに敗戦処理である仕事、相手をどう受けとめるか、静謐でクールな文体が淡々と語ります。アメリカ的だなぁと感じるところも多いですが、人間の気持ちは一緒だなと確認できる。厳しくつらい、淋しい話ばかりですが、しかし希望があります。
この2冊を読んで感じたこと。僕は患者さんを診察していて医者がどの程度までその方の私生活に関わるべきなのか、難しい問題だなぁと感じることがしばしばあります。本来担当は健康問題である。しかし健康とその方の感情、そして生活とは密接に関係しています。そして感情的なことに関して赤の他人である医者がどの程度力を持ちえるのか、ご家族や非常に近しい方の問題なのではないのかと思ったりしていました。
しかし、実は最も感情を動かすのは赤の他人の示す暖かい心遣いなのでは、と気がつきました。
そこに医者の存在する意味があるのではないか。
血のつながっている人、近しい関係の人、それらの人が気持ちを持って接するのはある意味当然である。しかしそうじゃない関係の人間が愛情を持つことこそ強い力があるのではないか。
うまく伝わっているか判りません。しかしそう気づいたことは僕にとって目からウロコでもありました。本を読んだ意味がありました。明日からの自分の診療態度も変わる気がします。意味のある日曜日と結論しよう。
外で読むには日差しが強すぎるぜ!