カテゴリー別アーカイブ: 仕事

ビデオ撮影

土曜日は外来終了後にビデオ撮影があった。

新喜劇じゃないよ、日本最大級の医療関係者情報サイトであるM3の撮影である。別に僕の偉大な業績を発表してくれるわけではなく(大体そんなものは皆無だ)、今度発売されるある降圧薬の治験に僕がかかわったので、M3にその製薬会社が治験にかかわった医者の一人としてコメントをもらうという場を作ったわけです。4分ほど。

1か月前に医療ライターの方も含めて本社から数人の方が来られて大体のストーリーを決めた。で今度は撮影である。何を喋るかは大まかなセリフも決まっていて、それをプロンプターで流していただけるので、それに沿って自由に喋ってくださいということであった。

僕は本来無口なたちだったのだが年を経るにつれ職業病のようにしゃべることが楽しくなり、特に最近は講義でも結構な時間原稿なしでしゃべれるようになり、しかもそのほうが出来がいい。恐ろしいことだ。で今回もある程度その場の気持ちに即していこうと思っていたのだが、いや実際にプロンプターが流れるとダメね。いかに噛まないようにちゃんと喋るかだけでもなかなか・・・。

外来の診察室で撮影したのだが、広い窓から陽の光が射したり翳ったりで照明に苦労され、また裏の工事現場からトンカチの音が聞こえてきたりで問題点も多かったのだがある時すべてが安定し、3時間近くかかった撮影も後半になって一気に終了した。僕も慣れてきてちょうどよかった。

いや、とても楽しかった。話す内容も納得のいくものだったし、中心となってやってくださったYさん、Kさんはじめ気持ちのいい方ばっかりだったので終始笑いのうちに終了したのであった。

 

外来チーフ、ジェットO嬢:たくさん来られてましたねー、ちょっとしたビデオ撮影だけだと思っていたのでびっくりしました(彼女は予定していた大掃除の一部が延期になりそうだったので少し目が三角になっていたのである)。

僕:そうだろう。なんでも思ったより大変なのだ。

O嬢:台本があったんですか?ちゃんと薬のお話をされてたので意外でした。まるでどこかの偉い先生みたいに!

                                              プロンプター

2012 winter 仕様

 

再び診察室の模様替えをする。

今回は電子カルテシステムの入れ替えに伴う不可避のものであるが、ここしばらくシーズン毎にやっているような気がする。患者さんも「おっ、変わりましたね!また」と喜んでいる。

今回はアイランド型で部屋の真ん中に細長い机が位置し、4台のモニターが並ぶ。僕は電子カルテを打たないでスタッフが打つが、忙しくなってくると2人ついて、患者さんの目から見ると僕の後ろに2人が平行に並んでいるようになる。あまりない光景である。

だいたいバランスボールに乗って診察してるのも、裸足に5本指シューズをはいて診察してるのもコモンではないな。別に奇異をてらっているわけでなく、いいと思っていることをやるとこうなる。まぁ気にしないでいこう。

 

僕は基本的に模様替えをしないタイプである。面倒くさがり。同じでいいじゃないの。しかし僕の周りの中心となるスタッフは、人が変われどみんなリセットに敏感である。もっと良くなる、工夫を切らさない。こうやって僕は引きずられていくが、何もしないで沈殿し腐食していく自分を知っているから、こういうスタッフを本当に大事に思う。

模様替えの初日、新しい電子カルテメーカーや検査会社の方など少なからずの方々が1日中張り付いて下さったのでなんとか大きなトラブルなく終了。今年のビッグプロジェクトの初日が終わる。僕はブログを書き、スタッフやメーカーの方みんなは作業を続行している。バカ殿という言葉が浮かぶ・・・

 

 

NSTの男

第23回なにわNST倶楽部で発表してきた。

NSTとはなにか?

NST:Nutrition Support Teamのことで、職種の壁を越え、栄養サポートを実施する多職種の集団のこと。栄養サポートとは、基本的医療である栄養管理を症例個々や各疾患治療に応じて適切に実施することである。なにわNST倶楽部は食道楽の会ではなく(そんな感じだ)、大阪市立医療センター、消化器センター部長の西口幸雄先生が中心となって出来たNSTの勉強会である。医療の領域で実は栄養部門は結構なおざりにされてきたのである。医学部での授業時間も少ないし。しかし近年栄養の重要性が見直されてきた。

本来NSTは病院内で実施されるものがほとんどで開業医とは関係が薄いともいえるが、在宅診療をやっていると患者さんの栄養管理は切実な問題で、歩けない患者さんは圧倒的に栄養不良が多いのである。病診連携(病院とクリニックが患者さんのことで連携すること)のこともありNSTとは無関係でおられない。で僕は知り合いのお声掛けもあってどういうわけか世話人となっているのだ、といっても偉そうなことは言えない、たまに参加すると「お久しぶり!」の声がかかる不良世話人なのである。

今回はPEG(経皮的内視鏡的胃瘻造設術)の適応が話題となっており、開業医の立場からお話をしてきた。胃瘻とは経口摂取できない人に腹壁から人工的に食事を入れるカテーテルを装着して栄養を送り込むシステムである。簡単安全で一気に普及したのだが、本来本当に必要か考えなくてはいけない人、たとえば末期の癌だとか重度の認知症だとかの患者さんにも多く増設された時期があり、今その適応が問題となっている。

僕は在宅診療でPEGを装着された認知症の患者さん–かなり高齢ですでに意識もないのだがPEGにより栄養補給が万全なため、ご家族の献身的な介護もあって数年間同じ状態が続いている–を数例あげ、このまま続けることの意味をどう考えるか、問題提起をさせていただいた。批判ではない。

去年NHKで放送された「胃瘻の功罪」という番組以来、胃瘻をすると死ぬこともできないという誤解が広がっており、昨年から胃瘻造設術は日本中でかなり減少した故。適応もなく胃瘻を作ることは問題であるが、それがために本来生きながらえて治癒に向かう可能性のある人さえもご家族が断るという事態も起こっている。日本には今ちゃんとしたアルゴリズムもできて、いい加減な形で胃瘻造設術はおこなわれていないし、途中中止の規定さえも出来つつある。欧米は重度の認知症へのPEGは否定的だが、日本では認知症でも時期を問わず予後がいいというデータもあり、事情がかなり違う。死生観とか宗教も。慎重に考えなくてはならない。

結論として意識のある場合はご本人、ない場合はご家族とどれだけ深い意思疎通ができているかという問題になる。簡単にアルゴリズムで決めるのでなくケースバイケース、テイラーメイドの考え方が必要となるのだ。欧米の受け売りでなく日本独自の考え方で。

いろいろ考えることのできたいい会でした。午後9時過ぎまであったのですが、140人以上の方が参加されていて、特別講演に来られた西美濃厚生病院の西脇伸二先生が「大阪はすごいですねぇ、岐阜では熱心にプロモーションしてもこんなに集まりません」とのこと。

関係者の皆さん、お疲れ様でございました。

 

 

 

ファックス・フロム・リビアとコーチングの日

リビアのシュルキ博士からファックスが来た。

なになに・・・「リビアは戦火の中にあり、我々の同胞は新しい革命政府により投獄の憂き目に遭っている。我々は出来るだけ早く財産を国外に運び出さなくてはならない。」

フンフン・・・「私は君に1550万USドルを出来るだけ国外に運び出すことを手伝ってほしい。手伝ってくれたらその25%を君に進呈することに同意する。緊急事態なのだ。すぐ下記にメイルを!」

 

15億円の25%ね。約4億円か。ちょっと少ないけどオッケー・・・とすぐメイルしかけた私であったが考えてみるとシュルキ博士なんか知らない。何なんだ?今の東電、関電くらい怪しいぞ。

この手の話にどれくらいの人間が引っかかると思っとるのだ、シュルキ君は。

考察:遥か彼方の日本の医療機関のファックス番号が売買されている?発信先は番号のみで判らず。電話番号国別で考えると最初の1しか当てはまらず、それは数国あり。やっぱりアメリカかなー。案外日本、すぐ近くだったりしてね。

メイルするとどんな返事が来るかすごく興味があったが、いずれすごく楽しくないことに遭遇しそうだったので自制心を働かせ、ファックスはゴミ箱へ移動した。

興味ある方はメールを。

 

シュルキ博士の不幸のファックスを受け取った日は日曜日で院内研修をしていた。昨年に引き続き東京からKコーチをお招きし、スタッフとともに1日、リーダーシップや毎日楽しく仕事をしていくことについて集中して考える(これで2週間以上全く休みがないのだが、それ以上というスタッフもいた)。

 

非常に有益であった。昨年は他の医療機関からも参加していただく形をとったのだが、今年は院内スタッフのみにした。この方が問題に集中できてよかったと思う。いろいろ気づいたことがあったが、印象的だったのを2つ。

 

コミュニケーションは質より量。まずそいつといっぱい話す。

②自分で思ってるよりスマイル出来てない。普通は仏頂面がデフォルト。練習すること。

 

・・・・・思い当たるなぁ。

 

 

 

 

鍼灸修行

 鍼灸をやったことがあるかな?患者さんに訊くと案外若い人がスポーツ外傷で受けていたりして結構興味を持っている場合が多い。ご年配はみんなOKかと思いきや「こわいわー」と言う人が案外多かったりして。

 10年以上前は僕も、鍼灸って気休めじゃないの、安全なのかな(勤務医時代に中国針で気胸を起こして入院してきた人の主治医になったことがあったりして)と割と信用していなかったのね。

 ところがだなー・・・・・・

 きったない足の写真で恐縮だが、これは僕が自分で自分の足に鍼をうった証拠写真でござる。

 僕は鍼灸の有効性に関して今や何の疑いも持っていない。これは経験上である。間違いなく効く。効かない場合、それは術者の問題と思う。

 科学的な探究もよく行われていて、最近うちの鍼灸院のホラーK先生(可愛い女性なのにホラー映画が好き)の指導医であった明治国際医療大学鍼灸学部の鈴木雅雄准教授(何度かお会いしたがワーカホリック、向上心の強い、まぎれもなく突出した人の持つオーラを持った、けれど可愛い人)が、インパクトファクターの高いArchive Internal Medicineというアメリカの医学雑誌に鍼灸のペーパーを載せて結構話題になった。

 僕は運動した翌日、結構足が痛むときがあるのでホラーK先生によく鍼をうってもらう。下半身がすごく軽くなる。ある日、鍼をうっていただいたことを全く忘れていて、なんか今日は足が楽だな、と思って突然施術していただいたことを思い出したくらいだからプラセボ効果ではない。

 で、自分で好きな時にうてたらいいなと前から思っていたのだ。日本では法律上、鍼灸ができるのは鍼灸師と医者だけだからね。かなり以前、医療に鍼灸を使おうという試みをされている先生方のワークショップに泊まり込みで行った事もあるのだが、自分でうつ踏ん切りはどういうわけかなかなかつかなかった。

 ところが、急に力が抜けてすーと出来てしまった。嬉しい。

 で、今いろいろ工夫してやっている。ツボにうつのは難しいのでトリガーポイントをねらってるけど、うまくいくこともそうでない時もある。練習だなぁ。でもいずれうまくなると思うので希望者は予約しといてね!

 

 

 

 

2年連続ゲット!

 デイサービスの管理者、マラソンマンK君から連絡がきた。

 「大阪府から事業所評価加算を 算定できるとの通知が来ました!」・・・事業所評価加算とは何か?

 

下記の3つを満たす事業所に介護保険上の請求に加算が認められる。

①利用実人員数が10人以上であること。

②評価対象期間内に選択的サービスを利用した者の数/評価対象期間内に介護予防通所介護又は介護予防通所リハビリテーションをそれぞれ利用した者の数≧0.6。

③要支援度の維持者数+(1ランク改善者数+2ランク改善者数)×2/評価対象期間内に選択的サービスを3月以上利用し、その後に更新・変更認定を受けた者の数≧0.7であること。

 

 ややこしいが、デイサービスに行くことでその方の介護度が軽減されたという客観的証拠があるということを示す。パワーリハビリなどの効果がちゃんと上がっているという確固たる証拠。

 大阪府でデイサービス、デイケアなどの通所サービス事業所は1400くらいある。その中でこの加算が認められたのは100程度である。僕たちの地域である城東区では2か所だけであり、しかも昨年からこの加算が始まったのだが、2年連続なのはうちだけ!なんだなぁ。

 昨今僕たちと同様マシントレーニングを取り入れているデイサービス、デイケアが増えている。だけど高齢者におけるマシントレーニングは若い奴と同じでは絶対にいけない。危険なだけ。歩行能力は筋力ではない。関節のポジションであり、そのための有効な筋肉の使い方なのである。

 少し筋力が上がればそれなりの改善が見られるかもしれないが根本的な解決策ではない。そういったちゃんとしたセオリーがあるのだが、果たしてどれだけの事業者がそれを理解してやっているのだろうか?びっくりするくらいお粗末とはっきり言ってしまおう。

 利用者さんにとってもスタッフにとってもグッニューース!でした。3年連続を目指し工夫していこうね。

 

P.S.

 ドクターデヴィアスという化粧品会社の広報誌 orga world  にインタビューされたのが載りました。今の抗加齢医学のごくさわりをお話ししたのですが、うまくまとめて下さっています。カメラマンの方も来てバシャバシャ撮って行かれたのですが、載っている僕の写真を見ると、ベストの顔がこれかと・・・・ガクッ。現実を見よ。

 

イスタンブール、 インカム ハズ カム、 DCPRG

 1週間ほど日本を離れていた。おもにイスタンブールにいたのですが、いいところでした。交通事情はすごいですけど。2車線道路は完全に3車線の感覚で、街中をタクシー、100㎞は出してたね。大阪人もびっくり!

 国よりも国民性。トルコの人は親日的というのが一般的ですが、そういった事をのけてもビジネスライクでない人が多い印象をうけた。そして外国に行った方が必ず持つであろう「日本てええ国やなぁ」という気持ちも。海外に行くのはpleasureだけでなく軽いストレスを受けて精神的に少し変わるのが一番の効用という気がする。国内旅行だとそうはいかない。

 でお休みの間スタッフは着々と仕事をしてくれていて、外来もかなり模様替えした。新規導入の一つがこれです。              

                 

 インカムといってコンサートなんかでスタッフが付けて相互に連絡取るやつ、ハンディタイプのトランシーバーね。インフルエンザが今も流行っていますが、感染した患者さんを別の階の待合室へ誘導したりとかスタッフは院内をいつも動いている。そうした時ちょっとした連絡が取りにくい時が結構多く、それで時間を取られたりするのが無駄なので導入することにした。

 なかなかカッコよろしい。何よりもスタッフ同士各々の連絡が早くなったのでミスも減るだろう(どうしたって小さなことは起こる)。これもアイデアはスタッフからで、いいと思うことはどんどんやってくれたまえ。あらかん(還暦近し)の院長は新しい刺激を受けて老けないように気をつけるよ。

 で最近はDCPRGを聴いている。さいこーです。天才(そして変態)菊池成孔選手の昔からやっているユニットだが、Date Course Pentagon Royal Garden (なんのこっちゃ)の略。今の自分にはこれほどマッチした音はなく、毎日聴かずにはおられない。おおざっぱに言うと「これ昔のエレクトリック・マイルス?」と言う人は言うだろうが、ぜーんぜん違う。もっと優しいです。今度菊池選手はジャズの名門レーベル「インパルス!」の50年の歴史の中で初めてアジア人として専属になりDCPRGのアルバムを出した。もうすぐ新しいアルバムが出る。わくわくだー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2月の雨

 一日雨が降り肌寒い。私の中では「2月の雨ニヤリーイコール最悪!」である。雪の方がいいな・・・とはいっても豪雪で苦しんでいる地方もある。勝手なことは言えない。

 厳しい季節であり体調を崩す人、亡くなる方も多い。今日も在宅で診ていた方が一人息を引き取った。90歳も大きく超えられており大往生である。ご家族の方は自宅で看とると決めておられ、呼吸が急に止まった時も冷静に電話をかけてこられた。亡くなられた方のそばに行っても医者のできることはわずかである。死亡確認をし、お悔やみを言い、少し事務的なことをお話しし、ほとんどはご家族のかたのお気持ちを聞くことに専念する。そして静かに御いとまし、車で帰路に就く。

 もう3ケタをこす数くらい人の亡くなる場面に立会ってきたが、その後はいつも同じように厳粛に冷静な気持ちになる。来世とか、死後の世界とか、霊とか、そんなことは僕には全く信じられない。生物学的な死亡は人も動物も同じ、動かなくなり冷たくなり、すべては終わったのだと思う。誰かの心の中には生き続ける、もちろん。でも個体として生きるということは別である。

 ジョン・レノンがGodのなかで「神は人々が苦悩の程度を量るコンセプトなのだ」と歌ったように、僕も霊とは、人がその方や何かに対する愛着や後悔を量るコンセプトなのだと思う。在るのではなくその人が心の(脳の)眼で見てしまう。客観でなく主観なのだ。そして供養というのは残された人がその人のことを思いながら現在を楽しく生きていくことなんじゃないだろうか。それを死者に捧げるのである。

 人は2度死ぬ。1度は生物学的に、2度目は心の中から消えた時。僕が死んだらどうなのかなぁと思う。2度死ねるんでしょうか。

 僕は霊は信じないが、僕が死んだら絶対化けて出てきてやると思う。この面白い世の中からバイバイなんてできるものか。楽しみにしといてね(支離滅裂だなぁ)。

 

今日の空

  

ふくしまカンバッジ

 インフルエンザが爆発している今日この頃、午前の診療がやっと終わるかという頃に、僕が嘱託医をしている社会福祉法人の理事長A氏がふらりと現れた。彼は僕と年齢も近く何となくウマが合うので割と飾らなく話ができる人である。苦労人であり強者の雰囲気がある。

 「おっ、めずらしい」「インフルエンザで一杯と聞いていたからどうしようかと思ってたらガラガラじゃないの(と出合い頭に嫌味をかます)」「もう終わったの。今日はどうしたんですか?」「いや、実は今日は営業に…」

 東北の震災で障害者の方の事業所も致命的な打撃を受け、今やっと立ち直ろうとしている。南相馬市の事業所がその一環として障害者の方の手作りのカンバッジを売ろうとしている。いくらか買ってほしいとのことであった。

 震災では何か協力できないかとJMAT(日本医師会災害医療チームのこと。災害派遣医療チーDMATはプロ集団で超急性期に派遣され、JMATはその後を引き継ぐというイメージか)に、外来チーフのO嬢とともに登録した。しかし結局組み合わせの問題で派遣されるまでには至らず、その後も物資を送ったりしていたが何となく気持ち及ばずという感じがしていた。お安い御用である。

 「もちろん!スタッフの分も全部買うよ」という話をしていたらO嬢が「うちで扱って患者さんにも協力していただいたらどうでしょうか?」と提案した。グッアイデア!それがいい。何故思いつかなかったんだろう。

 というわけで外来の受付において、エレベーターにも広報した。1個150円。昨日いくつくらい出たのと訊いたら、1日ちょっとで35人の方が買ってくださったそうである。みなさん素晴らしい。

 スタッフはみんな付けている。僕も付けることにしたのだが、「院長は診察室に入って来たときに渡しますのでそこで付けてください。出るときははずしてください」と言われた。「なんで?」「すぐ無くすから」・・・トホホ。

黄金色の蝶ネクタイ

 メリークリスマス!皆様このクリスマス周辺のお休みを楽しまれておられることと思います。

 昨日はイブでしたが、一部のスタッフはかなりおしゃれで来たり(どこかに行くわけだ)、「5時までに帰らないと困るんです、今日は!」「これやってからでないとダメだよー」「えーーー!」と一部の上司の意地悪をうけていたりしていた。

 外来では2週間ほど前から全米1位の売り上げとなったマイケル・ブーブレのクリスマスアルバムをかけてムード作りをしていたわけだが、イブの日は全員ユニフォームの上に金色の蝶ネクタイをすることにした。外来チーフ、O嬢のアイデアである。

 もともとスタッフはクリニックのシンボルが刺繍でついた白いシャツ、黒いパンツというのがユニフォームであり、僕もズボンはまちまちだが同じシャツで白衣は着ない。看護師さんも同じ。白衣は子供さんが多いので怖がらせることのないようにという配慮からだ。それも浸透し、全く怖がられることもなく、子供さんは僕が椅子代わりに使っているバランスボールをつつきながら「なんでこんなんに乗ってん?」と言う。

 「院長はクリスマスだから白じゃなく赤のシャツにしたらどうですか?」と言われたのだが、実際やってみると、ま、これは遠慮しとこか、と自己判断をする。蝶ネクタイは女の子たちは可愛いが、僕がつけてもなー気持ち悪いだけじゃないかと思いながらも装着して診察開始。

 しかし案外誰も何も言わないのである。意識しているのはわかる。特に子供連れのお母さんたち。いつの間にか全くそんなことも忘れていつも通り診察をしていたのだが、東京から転居してきたおじさんが部屋を出る前に、「みんなそんなん付けておしゃれですなー。よく似合ってられます」とおっしゃってくださった。なんとなくホッとする。

 この日は休み明けでもあり大変混雑して2時くらいまでかかる。ふぇー。受付も大変だったようで、「お疲れ!」と声をかけに行ったら、蝶ネクタイが少しヨレヨレに見えた。まあ100均だしな。来年はもうちょっと上等がいいかもね。やり過ぎだとレストランになっちゃうけど。

ネクタイより顔の方が可愛いんだけど、実物は見に来てください。