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U と L

 興味深い記事を読みました。『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)に5月17日付けで掲載されたもの。30万人以上の米国人に電話調査し、「ストレス」「心配」「幸せ」といった生活における要素、幸福度(well being)について評価してもらい、それらの回答を分析したものです。

 その結果、年齢ごとの幸福度を示したグラフは「U字形」となりました。男性、女性の両方において、全体的な生活の充足感、楽しさや幸せはU字形となっており、両方とも50歳代前半で底に達していたとのこと。

 ストレスや心配は、18歳〜21歳と22歳〜25歳の間に急激に上昇。ストレスは年齢が上がるとともに下降線をたどり、50歳代半ばで急減。心配は40歳代後半まで横ばいで、その後緩やかに減少し始める。

 総体的に、自分の生活を最も幸福だと評価している層は、18歳〜21歳の若い層と、60歳代半ば以上の人々だそうです。60歳代以上の層にとって、肯定的な評価は年齢とともに上昇していく。

 研究者らはこの上昇の要因として、「知恵が増すこと」「高齢者は否定的な記憶より肯定的な記憶を思い出しやすいこと」などさまざまな要因があるのではと推測しています。

 ところが日本の国民生活白書は、「U字型」は米国では見られるが、日本では見られず、67歳を底にして79歳にかけて幸福度はほとんど高まらないL字に近い形状を取っていると指摘しているそうです。

 ガーン・・・L字ってどうよ。

 アメリカではちょうど僕くらいの年代が幸福度の底ってのも笑えますが、日本のL字ってのはちょっと笑いも出ないなぁ。どうすればLをV字回復させることが出来るでしょうか。

  U字というのは子供も手を離れ、まさに第2に人生を歩みだすときに上昇し始めるという感じで、そこの準備をしているというのが大事という気がする。その定年後の時期に何もやることわかりません、ないですというのが上昇しない原因ではないかなぁ。

 社会環境もあるし簡単にはいえませんが、男女とも楽しみ方がわからないのでは。特に男性が問題で、そこに引きずられて女性も不幸になっている気がします。必ずしも経済的な問題ではない、幸福度は。

  底の時期にある僕としては今だけでなく先を見つめて考えなくてはならないなぁ。方針として「攻撃は最大の防御なり」が正解と思うのですが(何のことかわからんか、これじゃぁ)。

陽光の下の老人

お悩み解決!

 脱力・・・。

 今日、読売テレビの「関西情報ネット Ten」の「お悩み解決コーナー」に生出演してきました。イライラしないで禁煙するにはどうするかという問題に対して、当院でやっている禁煙外来で使用しているバレニクリン(商品名はチャンピックス)の効果をお話してきたのです。

 午後診の時間を変更して午後5時には終了。スタッフも見学を許されたので外来スタッフ4名(彼女達のおかげでことがスムーズに運ぶ)とOBPの読売テレビへ。10分ほどのリハーサルの後、すぐ本番です。台本もあるのですが「一同:リアクション」とかいった感じで、まぁ話の内容はほとんどその場の雰囲気、アドリブです。

 僕は以前長寿番組の「TVドクター」に出させていただいたことがあるのですが、その時は台本がちゃんとあるんですが、かえって台詞を忘れないかとても気になってあがりまくりました。それと較べるとかなり気楽で実は余りあがらなかったのですが、それでもちゃんと言えなかったなぁ。うーむ。

 しかし思ったのは清水健さん、浅越ゴエさん、虎谷温子さん、妹尾和夫さん、千原せいじさん、羽野晶紀さん、岩田公雄さんらレギュラーの方々の話のうまさ、プロっぽさでした。テレビに映る前のお話から本番まで、本当にそつなく盛り上げていく手腕は本当にたいしたものです。

 そのおかげでこの禁煙コーナーはかなり面白い、いい内容だったと思います。番組終了後テレビ局にいつもよりかなり多くの問い合わせがあったようで、僕もクリニックに帰ったところ、もう何件か問いあわせがありましたとスタッフから報告を受けました。禁煙の重要性に気がついていただけたのなら、やった甲斐があるというものです。

 ビデオの出演を快く引き受けていただいた禁煙実行者のDさん、Nさん、有難う御座いました。また何度も足を運んでくださった読売テレビのHさん、Yさん、感謝いたします。

 千原せいじさんと清水健さんは禁煙実行のためうちのクリニックに来ていただけるようですが、もしそうなればまた結果をご報告しますね。

 なんかお祭りが終わったような感じだなぁ。またリセットです。

リハーサル。ああ面白かった。

いい匂いはヤバイです。

 私は実は、匂い、香りに滅法弱い。嫌いなのではなく大好きなのです。

 嗅覚は人間の5感の中でもっとも古く進化していない感覚であるとされています。記憶をつかさどる大脳領域に隣接しており、最も記憶を喚起しやすい感覚といわれている。最近匂い、香り、嗅覚をいろいろなビジネスで使おうという動きがあるようです。NHKの「クローズアップ現代」で特集していて、思わず見入ってしまいました。

 ある種の香りは快適なためその場所から動きたくなくなる。それでカジノなんかでその香りを流していると売り上げが36%上がったというデータがある。日本の大手パチンコ屋さんチェーンでも同じ香りを流し始めているそうです。また学習塾で、記憶を強化すると研究でいわれている香りを希望者に配布して、本当に記憶力が上がるかデータを取り始めています。

 最近の子供は実際の自然の香りよりも、いかにもそれらしい人口の香りに慣らされていて、そちらの方をリアルな香りより好むという実験もありました。これはちょっと困ったことね。

 病院は「消毒薬の匂い」というのが定番ですが、これは変えたいですね。僕のクリニックは今アロマの匂いが微妙に漂っていますが、これは人により好き嫌いがあるようです。

 初めて嗅ぐ匂いというのは大体「くさい」と感じるとTVでも説明されていましたが、接したことのない人は奇妙な感じを受けるのかもしれない。僕はアロマのエッセンシャルオイルの香りはとても好ましく感じるのですが。

 これは何の香り、とはっきり表現できない、しかし何かしらの感情を刺激する香りというのもこれからどんどん開発されそうな気がします。気付け薬は英語でsmelling saltsというんだっけ。強烈な匂いで意識を戻したんでしょうね、昔は。

 薬も飲むより匂うようにする。鼻づまりはある種のアロマオイルが大変有効のようですが、こういうのをこれからやっていきたいと思っています。これを嗅ぐと若返る!なんてね。

青空の匂いはなんだ?

「神様」と「贈り物」

 初夏だなぁ…と思わせる日曜日でした。

  しかしながら今日も愛犬の1時間の散歩のみ出ただけで、室内で主として活動する。読みかけの本を2冊読了。

  「神様のカルテ」は医者である夏川草介氏の本年度本屋大賞入選の作品。もう1冊はレベッカ・ブラウン氏の「体の贈り物」。どちらも短編集ですが主人公が同じでストーリーはつながっています。

  受ける印象は全然違う。地方の前線病院で働く若い消化器内科医が主人公の「神様」はコメディタッチ、でも泣かせます。割とグッときました。読後爽やか、しかし綿菓子のように軽いか。

  「贈り物」はエイズの患者さんを専門に手助けするヘルパーさんというか、女性のホームケア・ワーカーが主人公の話。死の匂い、すでに敗戦処理である仕事、相手をどう受けとめるか、静謐でクールな文体が淡々と語ります。アメリカ的だなぁと感じるところも多いですが、人間の気持ちは一緒だなと確認できる。厳しくつらい、淋しい話ばかりですが、しかし希望があります。

  この2冊を読んで感じたこと。僕は患者さんを診察していて医者がどの程度までその方の私生活に関わるべきなのか、難しい問題だなぁと感じることがしばしばあります。本来担当は健康問題である。しかし健康とその方の感情、そして生活とは密接に関係しています。そして感情的なことに関して赤の他人である医者がどの程度力を持ちえるのか、ご家族や非常に近しい方の問題なのではないのかと思ったりしていました。

  しかし、実は最も感情を動かすのは赤の他人の示す暖かい心遣いなのでは、と気がつきました。

  そこに医者の存在する意味があるのではないか。

  血のつながっている人、近しい関係の人、それらの人が気持ちを持って接するのはある意味当然である。しかしそうじゃない関係の人間が愛情を持つことこそ強い力があるのではないか。

  うまく伝わっているか判りません。しかしそう気づいたことは僕にとって目からウロコでもありました。本を読んだ意味がありました。明日からの自分の診療態度も変わる気がします。意味のある日曜日と結論しよう。

外で読むには日差しが強すぎるぜ!

 

そんなあなたは依存症

 テレビに何か映っていたのですが、若い男女が何か話している。二人ともやたらタバコを吸っている。

 話の内容はちょっと興味のあるところであったので少し見ていたのですが、あまりタバコを吸うので気分が悪くなってきた(そういう演技だから二人は悪くないのですが)。吸い過ぎやでー、君たち。しかしテレビ見ていてもそう感じるなんてと自分でもちょっと驚く。

 タバコは身体にいいことありませんよ、まったく、少しも。

 嗜好品やからうるさいこと言いなさんな、という気持ちも判らないでもない。でも実は楽しみというよりも依存症なんですよ、あなた。中毒です。

 また受動喫煙、副流煙という問題もあって、あなたの煙を好む、好まざるに関わらず吸っている人を危機に陥れているという問題があるわけだ。

 副流煙は主流煙の数倍ないしそれ以上の有害物質を含んでおり、非常に危険であると警告されており、米国環境保護局は副流煙をAクラスの発癌性物質に分類していています。タバコ会社自身による実験においても、種々の発癌性物質の濃度が、主流煙よりも副流煙において高いことも示されている。受動喫煙が肺がんや心筋梗塞、小児の気管支炎・肺炎や喘息の悪化、乳幼児突然死症候群(死亡率は両親とも吸わない場合と比較して親の一人が吸う場合は1.6倍、両親共だと4.7倍!)などの原因となることには、十分な科学的証拠があるとされているのである。

 これはまずいでしょ。他人に迷惑をかけるのは大人なんだからすぱっと止めましょうよ。それに何よりも、あなた自身の健康を損なっているわけで、その結果、あなたを愛している多くの人を悲しみに陥れることになる可能性が高いわけだ。

 今のところタバコの有益な点は何一つない。もしあなたが発がん性があるといわれているドーナッツがあったとしたら、どんなにおいしくても決して食べないでしょう?でもタバコだと吸っちゃうのはやはり依存症なのです。

 禁煙外来というのがあってうちでもやってます。飲み薬や貼り薬を使って禁煙の禁断症状を和らげることができる。保険がきき、3ヶ月以内に結構成功されます。タバコ代より安い。成功率はうちで男性では90%くらい、女性だと70%くらいかなぁ。女性は難しい。禁煙すると少し体重が増えることがあるのですが、そこらへんでしょうか。

 でもタバコは皮膚にもとても悪い。その例をお見せします。ねっ、考えましょうね。

40歳1卵性双生児。違いは喫煙歴のある無しだけどす。

油と快楽

 「脂っこいものがねー、好きなんですよ」

  肥満の方に食事の話をしていると、少なからずの方が(特に著しい肥満の方が)こうお話されます。そうだなー、うまいもんなぁ。大体健康に悪いものはうまい。

  しかし何故油脂はうまいのか?味ないような気がする。じつはあんまりわかってないそうです。今日の朝日新聞の科学欄で京都大学大学院農学研究科の伏木亨教授がその話をしていました。

  油脂を精製すると無味無臭になる。おいしくもなんともない。しかし舌にはこの油脂の主成分である脂肪酸を受容し舌咽神経を介して脳に伝える経路があり、油脂の刺激が脳を興奮させ、周囲にある味物質を非常においしく感じさせるそうです。

  実験でマウスは油脂をなめさせるとやみつきとなるそうで、油脂を食べた直後のマウスの脳脊髄液には脳内麻薬である快楽物質のβエンドルフィンが検出されるとのこと。快感なのですね。

  しかも面白いことにカロリーのないやつはダメらしい。高カロリーの油脂だけが脳を刺激する。思うに大昔、食料として野生動物をつかまえて食べた時の油脂の感覚が残ってるんでしょうねー。高カロリーでないと生き残れないし。

  人間が飢餓から解放されたのはそんなに昔じゃなく、ここ100年ちょっとの著しい生活環境の変化にまだ身体が適応できてないってことです。頭と身体が解離しているということね。

  ということはなかなか手ごわいということになる。油脂を使っても材料を工夫してカロリーを抑える、そして運動!これが一番確実かなぁ。

ブッー!!

第3回脳心血管抗加齢研究会

 土曜日診療が終わってから、「第3回脳心血管抗加齢研究会」に出かけました。

 大阪大学の森下教授をはじめ愛媛の堀内教授、千葉の小室教授、熊本の光山教授と、今まさに旬の先生方が1人40分ほど今されている仕事のレクチャーをされたのですが、血管を守るため、老化を防ぐためにはどのようなことをすればいいか、というか基本的にはどのような薬品が有効かという話であります。

 参加者も大学関係者が多く全部で100人いってないか。ちょっともったいない。かなり学術的な話題も多い。うちの鍼灸院の小西キュート院長と参加したのですが(彼女は今年抗加齢医学会認定指導士をとる予定)、まあそうだろうなという予想できる範囲の話題の中(時間もないのでかなり流されている感じもあり)、森下教授のアルツハイマー病の予防については、これは早期介入で飲んだほうがいいかな、とチラッと思うくらい説得力もあり面白かったです。

 ARB(アンギオテンシン受容体拮抗薬)は今高血圧の人に処方するファーストチョイスとなっていますが、本当に多くの他のすぐれた作用が報告されています。今回もARBが中心だったのですが、今日本で出ている数社のARBの中でどれがどうよ?というのが一番興味あるところで、どうもかなりスポンサーに偏りすぎてんのちゃうん!!というのが気になりますが、客観的評価であれば素晴らしいことであります。

 ARBに限らず老化阻止に有効な可能性があるいくつかの薬剤が最近出てきていますが、いずれもメタボ関連のもので、肥満、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症はやはりやばいということです。皆さん気をつけましょう、甘い言葉と暗い道、じゃなく暗い言葉と甘い道(ネガティブな考え方と甘いものはだめってことね!)。

 

次回も多分行くだろうな。

運動しかない!

 連休も終わりました。

 引きこもりです。デスクワーク。

 外に出たのは2日間で3時間くらい?2時間は愛犬の散歩、1時間はゴルフの打ちっぱなし。しかし家ではチョコチョコとエクセサイズ(らしきもの)をしていました。

 この前のブログでも書きましたが「脳を鍛えるには運動しかない!」(原題はSPARK :The Revolutionary New Science of Exercise and the Brain アメリカで2008年8月に刊行)を読み終えたのですが、読むだけで運動をしたくなるという説得力のある本でした。身体を動かすことの大きなメリットは身体よりも脳機能を良くすることであるということを、最新のデータ、事実をもとにいやというほど教えてくれます。

 詳しいことは読んでいただいた方がいいですが(書ききれない)「運動がカプセルに入っていたら、その脳への効果はトップ記事になるだろうに!」と著者のレイティ博士が嘆くのはもっとも。認知症になるんじゃないかと心配して要らぬ薬を飲むよりは運動です。

 エッセンスを少しいうと、①一人で淋しくより複数で楽しくしたほうがいい。②軽い運動をベースに心拍数をかなり上げる激しい運動をインターバル的に入れたほうがいい。ちなみにレイティ博士はほぼ毎日の20分のジョギングの合間に週に2日(これ以上はやらない)、30秒の全力疾走を5回入れる(成長ホルモンが圧倒的に増える)そうです。有酸素運動自体は週に6日1時間、あいだの二日は少し強度を上げ短めに、というのもあり。ニューロンの結びつきがよくなるし気分的にも改善する。うんざりしたら文句を言うより軽く走る。いいことずくめです。

 古来人間は動きながらいろいろな知恵を得ていたので、じっと座って学習という形態はじつは効率がよくないのかもしれません。後は実行するのみ。しかし意志が強くなる方法というのは未だかって発見されていないような気がするなぁ。まず何が何でもともかく開始する、これがポイントのようですが。

たまに外に出ると気持ちよかった。今日は雨だけど。

呼吸不全患者さんを地域で支える

 昨日は診療が終わってから「城東区呼吸ケア勉強会:呼吸不全患者さんを地域で支える」の講演に出かけました。僕が司会をするのですが、これはひょんなことから始まった話でした。

 昨年緩和医療の講習会に出かけたのですが、そこで出会った北野病院の先生方は本当に素晴らしい方たちで、何人かの先生方と手紙やメールのやり取りをするようになりました。その中で今回講演をしていただいた呼吸器内科部長で京都大学の臨床教授でもある福井基成先生は、本来のお仕事に加えて、呼吸不全の患者さんが地域で受け入れられるよう、医療介護のスタッフを対象に大変忙しい中啓蒙の講演に日本中を駆け回っておられます。人格者です。

 先生から城東区の状況を尋ねられたとき、そのような講演をしていただいたら大変喜ぶ人が多いに違いないと僕は思い講演をお願いしました。うちのスタッフのSさんやPh製薬の「最近やってないけど殆どプロゴルファーだよ」T君他何人かの方に多大な協力を戴き実現となったわけです。

 講演は予想通り大変有意義なものでした。基本的なことから最新の話まで、1時間半にわたって分かりやすくお話していただいたのですが、非常に実際的であったこと、そして患者さんの苦しい気持ちを理解されてその上に立ってどうすればいいかを常に考えられていることに僕は大変感銘を受けました。使命感をもたれているのを感じます。

 こういう先生に会うと、僕も医者として何をしなくてはいけないか、ちゃんと考えなさいよと諭されているような気持ちになります。悪いことをしていなくても「スイマセン!」と思わず言っちゃいそうな。

 それと思うのは袖摺りあうも多少の縁というか、人との関係は大事にしなくてはいけないな、何を産み出すか分からないということです。僕の盟友T先生は年賀状に「人との出会いが人生を変える」(何があったんだ?)と書いてきましたが、縁は大事にしなくてはいけません。本当にそう思います。

 最後に土曜日の午後といういろいろ予定の多い時間に来ていただいた勉強熱心な皆様方、S会N病院の地域連携の立役者Tさん、北野病院地域医療コーディネイターのSさん、福井先生が何度も講演中名前を出された鍼灸のジニアス、M大学の助教授S先生(うちの鍼灸院のジニアスK先生の師匠です)はじめ城東区の地域医療介護を支える皆様に心より感謝を。

ジニアスの基締め、福井先生

WhatよりHowね!

 日本抗加齢医学会雑誌の最新号(Vol.6  No.1)を読む。表紙が変わった。

 特集は「脳を守る」。まあみんな一番気になるところだ。外来でも少し物忘れがあると脳のMRIを撮りたいという方が多い。ほとんどが年齢から来る生理的なものであり病的なものはほとんどない。大体自分でMRIを希望するということ自体、認知症や他の器質的な病気であることは極めて少ないと言っていい。で脳研究の新しいところをざっと読む。

 一番興味を引かれたのが群馬大学の山口晴保教授の「快刺激、趣味と認知症予防」というパートだった。

 ごく簡単に趣旨を述べると、同じことをしていても楽しくなければ脳にとっていい影響を与えない。趣味といっても内容でなく取り組み方であり、美術館に行くといっても一人で行くのか仲のいい友人と行くのか、展示物に興味があるのか漫然といくのか、ぜーんぜん違うということだ。当然興味を持って行った方がいいし、ある研究によれば認知症予防に効果があるのは活動に含まれる知的要素ではなく社会性の要素だそうである。

 WHATよりもHOW、何をするかよりどのようにするかということだな。脳トレを家で一人でシコシコやるよりデイサービスでお友達と喋っている方が頭にとって良いに違いない。

 結論は「単に趣味をみつけると言うのではなく、出来れば誰かと一緒にできる、自分が夢中になれることを見つける」ということなのであった。

 自分に当てはめてみると、うーん、下手なゴルフはやはりいい線だな。あと少し何か・・・。基本的に自分が好きなことを誰かにさせればいいんだよ!!また考えようっと。

 

工夫していかそう!