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心技体

心技体という言葉がある。ビジネスでもスポーツでもこの3つが揃わないと、とよく使われるが元々は武道の言葉です。メンタル・テクニック・フィジカルの三位一体が必要という、まあ当たり前のことですが、このうちどれが大事かというと最初に出てくる心、メンタル、感情面という人が多いようです。

 

 これは僕も同感です。精神が身体を引っ張る。3つのうちどれかというとやはりハートだと僕も思います。でもこの言葉が大事なのは、この3つは互いに関連して存在するということですね。一つだけ突出するということは、ないわけではありませんが少ない。大本3つはかなり近いレベルで1個人に存在することが多いのではと思います。

 

 医学的な意味では心と体の関係が大事なところですが、身体が弱るとやはり精神的にも弱るのですね。日頃健康な方がちょっと調子が悪いとすぐ弱気になるというのは皆さんよくご存知だと思います。

 

 ご高齢の方がそれなりに身体の調子が悪くなると、やはり気持ちの上で弱くなるのはそれは仕方がないことなのですね。そしてリハビリなどで身体の動きがよくなる、投薬で血液検査の数値がよくなると、気持ちも晴れていい感じに穏やかになられる。メンタルを重視するあまり身体はそれについてくるとばかり思わないで、まず身体を何とかすると気持ちも変わるのです。

 

 気力、根性ではどうしようもないところがある。特に高齢の方は。まず身体をちゃんとすること、それに気を使うこと。ボディ・メインテナンスは心技体のベースを支えるのです。すべての年齢の皆さん、まずは身体に気を使おう。それに投資しよう。長い人生、大きく差がついてきます。喫煙、夜更かし、暴飲暴食。まずいっすよ!早寝早起き、快食快便、ウォーキングにスイミング。笑うのはあなたです、火を見るよりも明らか。

 

ふっふっふ。

 

深い瞳

 

今日は午後の外来が終わってから緩和ケアの勉強会に行く。

 

緩和ケアとは生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、魂の問題に関してきちんとした評価を行い、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで生活、生命の質を改善するためのアプローチであります。実際的には末期がんの方の在宅診療において痛みのコントロールなどをどのようにしていくかというのが僕のような開業医にとって問題となる。

 

講師の池永先生は淀川キリスト教病院のホスピス長で、緩和ケアの日本を代表する第1人者である。先生とは今まで何回か講演で顔を合わしたことがあり、患者さんもお世話になっていることもあり僕が司会をすることになった。

 

講演される前に15分ほどお話をする。非常に温和な方です。でも以前もブログで書いたことがあるのだが、眼の光の中に深淵を覗いた方の深さ、暗さがあるのである。ごく僅かだが今日もやはりそれを感じた。アーメン。

 

講義は非常に有意義であった。病診連携も目的のクローズドな会で、市内の開業医が10人ばかり参加したのだが、なにか熱気みたいなものはやや希薄な気がする。主催した製薬会社の方も言っていたのだが、案外緩和医療に興味を示すドクターは少ない。僕はこれぞ開業医の真骨頂を示せる機会だと思うのだが。

 

会の後、一緒に製薬会社の記念館を見せていただいたりで、池永先生とはなんとなく親しくなった気がした。これからいろいろ勉強させていただこうと思う。僕の瞳も少しは深さが増すであろうか。

 

会場へ向かう車から。黄昏は厳粛で緩和モードに。

カッコつけて歩こう!

昔、というか20代の頃かな、いつも降りる駅で時々見かけるのだが、とてもかっこいい女の人がいた。なにがいいって、歩く姿がかっこいいのだ。

 

颯爽と大股で、あまり揺れないで、かつスキップをしているかのように軽やかに歩く。おそらく僕と同じくらいか少し若いか、ポニーテールが気持ちよく跳ねている。背も高い。前を歩いているのを見つけると、「やった!」と思い幸福な気持ちになる。

 

でも顔をみるチャンスはなかった。彼女の後姿(勿論服のセンスもよかった)、きれいに伸びた両足、ふくらはぎ、そしてポニーテールが思い出だ。

 

自分の足の調子が悪くなってから、人の歩く姿がとても気になるようになった。颯爽とカッコいい人は案外居ない。20人に一人くらい、フーンと思う人が、どちらかいうと男性に多い。

 

きちんと歩くのはとてもいいエクセサイズになる。背筋を伸ばして足を伸ばして、腕をきれいに振って歩いているとわざわざジョギングする必要は無い。気になりだしてから時々きれいな歩き姿の友人に尋ねると、姿勢のいい人は間違いなく意識して歩いている。何も考えずに歩くと日本人の場合、ナチュラルにかっこ悪くなるようだ。

 

腹筋、背筋がポイント。鍛えてないと年をとってから腰が曲がり膝が曲がり、小さな歩幅の歩き方になる。外来でそんな皆さんに背を伸ばすように立ち方からやっていただく。皆さん、ちゃんと背筋も伸びるし、僅かな時間だとその姿勢できれいに歩くことも出来る。でも持続できないのだ。

 

今からでも遅くない。背すじを伸ばし、腰に上半身全部が乗っかるような感じで、太股の付け根よりもっと上から足を伸ばして歩こう。背が高くなった感じがする。心の視点も変わるのである。

 

 

内と外

「早寝早起き、整理整頓!」。前も書いたけど、精神科医である春日武彦先生によると、ある種の精神疾患に非常に有効なのは薬よりもこの精神なのだそうだ。精神に病を持つ方の住居は往々にして手がつけられないくらい散らかっている。気持ちが保てなくなると、まず何よりも部屋を片付けるということが出来なくなるのである。

 

 僕の知り合いで軽いうつ病になっていた人が、元気になったときに言ってくれたこと。

「散らかっていた部屋を片付けざるを得なくなったので、いやいやながら、ほかにすることもないので片付け始めたら、段々それに熱中していくのがわかった。集中し、情熱こめて片付けるようになり、見違えるようにスッキリした部屋を見たとき、心の中のもやもやはかなり晴れていた。それからやね、なにか新しいことをやりたくなってきたのは。」

 

 アメリカのアンチ・エイジングに詳しいカイロ・プラクティショナーの本にも、外的環境と内的環境の強い相関が述べられていて、感情の充実をはかるためには、それにふさわしい住環境、生活環境を作るべきだと強く主張されていた。

 

 患者さんで、何故このような態度をとるのかどうも理解しがたい・・・と感じていた人がいるのだが、往診でその方の住まれている部屋を見たとき、突然理解できたという経験がある。外で会っているだけでは埋まらないジグソーパズルのピースは、部屋を見ることで突然出現し、ぴっったりとはまるのである。友人でもその部屋を見ることで、ああ、実は淋しい人なんだな、とか、案外充実した内面を持っているんだなとか、意外な別の顔を見たような気がしたことがあるでしょう?その人の部屋は、その人の心、内面をあらわすのである。

 

 ・・・・すぐ片付けよう! わかってるね!

 

オー、マイガッ!

人間ドッグ(ク、じゃないよ)

犬が人間の呼気から癌を診断するという話。

 

カリフォルニア州・San Anselmoに有る「Pine Street Foundation」のMichael McCullochと、ポーランドの科学アカデミーに所属する「遺伝学と動物育種研究所」のTadeuszJezierskiによれば、癌の匂いがすれば横たわるように訓練を受けた5匹の犬は、肺癌55人、乳癌31人の患者さんと83人の健康な対照群のチューブの中に吹き込まれた息のサンプルに対し、88%97%という検出感度と特異度で癌を検出することが可能であった。

 

英国でもAmersham病院の皮膚病学者であるCarolynWillisらが、犬が膀胱癌を識別できる能力を持つことを発表した。テストされたのは6種類の犬で、 7ヶ月間人間の尿の膀胱癌特有の臭いを検知する訓練を受け、その後に行われた実験結果では正答率は40%

 

日本でも、同様の試みが成されている。福祉犬育成協会が取り組んでいて、訓練を受けたがん探知犬マリーン(ラフラドルレトリバー)の探知率は、ほぼ100%。マリーンは麻薬犬として活躍してきたエリート犬で、特に優秀だそうである。

 

馬鹿げた話と思うかもしれないが、こういうのはどうなるかわからないぞ。動物の能力を人間が変換応用してきた例は今まで沢山ある。蝙蝠の探知能力の研究からソナーが開発されたりとかね。

 

もうすぐ診察に行くと犬が座っているようになる。

ドクターのことを略してドクと言ったりするが、「あそこのドクはダメだがドッグはいいよ」とか。「ドクは不細工だがドッグはかわいい」とか。

「神の鼻」といわれるカリスマ犬とか。

だいたい犬はDOGで、神はGODで、逆から読めばおんなじだ。

人間ドックも人間ドッグに変わったりして。

 

癌に限らず他の病気にも応用が可能かもしれない。

犬と一緒に診察室に座る日。

うーん、待ち遠しいです。

 

こいつはどうよ?クッションみたいだけど。

セロ君

僕は内科の外来をほぼ毎日やっているわけだが、開業する前はこんなこととても出来ないと思っていた。それでも開業するのだから恐ろしいものだが、実際外来というのはかなりプレッシャーなのである。勤務医の時はせいぜい週に2度くらいだったから何とかできようが、毎日!ご冗談でしょう・・・

 

    自分で時間のコントロールが出来ない、これで終わりって出来ないのである、実際に待ってられるのだから。 

    来る人来る人問題の解決を求めていて、決められた時間内でそれなりの解決策を示さなくてはならない。 

    しかも多くは楽しい話題ではなく、熱心になればなるほど深みにはまっていく。 

    目の前の患者さんだけでなく同時に複数のことをこなさなくてはならない。「在宅の患者さんからこういう電話が・・・」「・・・からどうしますかと連絡が入ってます」「どうしたらいいかと待ってられます」患者さんの待ち時間が多いとそれも気になる、待合から子供さんの泣き声が聞こえてくると見に行ってもらう・・・。

    基本は楽しいご報告ではない。それを日によって違うけど100人内外連続してお会いする。やったことのある人はわかると思うけど、多くの人と続けて喋るというのはそれ自体疲れる作業なのである。しかも終わる時間がわからない。多くは終わる5分前に急にカルテがどさっと積み重なるのである。なんでー・・・。

 

で、終わるとかなり疲れるのだが、あまりそうでもない日もある。むしろ僕の場合前に比べ段々元気になってきているようで、これは単に慣れの問題ではないようである。疲労というのは肉体的なものと精神的なものがあり、外来で患者さんを診ていてもダメージが大きいのは精神的なほうだ。僕の疲れもそれに起因する。精神的に疲労する、その疲労物質は何だ?勿論乳酸じゃないな(これが肉体的な疲労物質というのも最近は否定的)。それが判れば最近元気な理由がわかるかも。

 

で、調べてみるとやはりセロトニンなのである。やっぱりそうだったかセロ君、君じゃないかと思っていたよ。交感神経過緊張というのもかんでいそうだけどメインはセロ君ね。

 

脳内のセロトニン不足はうつ病に関係しているというのはよく知られている。それ以外にも慢性疲労症候群でもセロトニン神経の異常が報告されていて、強い疲労感をきたすのはセロトニンの不足が主因らしい(他にも説はある)。

 

ではセロトニンを増やすにはどうするか。寝ていてもセロトニンは増えない。短時間の午睡で疲労感が取れるのは別の因子による?セロトニンを増やすのは、いちいち理由を書くと長くなるが、バナナを食べて、覚醒してニコニコしながら、リズミックな反復運動とお経のような腹式呼吸で意味のない言葉を延々と音読するというのがいいらしい。できそうでしょ?

 

実は僕は外来で近いことをやってるので疲れが少ないかもと気がついた。何をしているのか?  想像してくれたまえ。これは秘密である。 

 

この方です。

うつ伏せreset !

睡眠はかなり大事だ。外来をしているといかに多くの人が眠れなくて困っているか驚く。

 

欝の大きな症状は睡眠障害で、寝つきが悪い、夜すぐ眼が覚めるなどがほとんどの場合おこってくる。で欝っぽい人でも、ぐっすり寝ちゃうとそれだけでスッキリと元気になったりする。67時間の充実した睡眠は定期的な運動と同じように健康に必須の重要なパートなのである。でもみんなそれほどいい睡眠を取ろうとは気にしてないな。

 

最近気にしているのが「うつ伏せ寝」である。

 

以前から認知症で寝たきりの方は1日わずかの時間でもうつ伏せにすることで認知機能が回復してくるといわれており(身体の前面の方に感覚器のレセプターが多くその刺激が大事という説明であった)、一時ブームになったこともある。誤嚥がおこりにくい、血中酸素濃度が仰向けよりも高くなる(睡眠時無呼吸の治療にもなる)、腰痛にもいいなどいいことずくめで、ほんまかいなと眉に唾をつけたくなるが、推奨者のお一人である聖路加病院の日野原先生によると元々人間はうつ伏せが自然で、仰向けでないと寝難いのは単なる習慣だそうである。先生もうつ伏せにしてから体調すこぶる善しとのこと。先生考案のうつ伏せ寝用寝枕セットも販売されており(結構高額である)、とりあえずトライしてみる価値はあるように思われる。

 

聞いてみると結構うつ伏せの人は多く、特に若い可愛い女の子に多いようであるが、これは極めて偏ったサンプル採集の影響かもしれぬ。

 

僕は本来仰向け大の字型の人間であり、うつ伏せは極めて苦痛であった。しかし理論的に納得すると結構抵抗がなくなり、今ではうつ伏せトライ後90度横向きで就寝というところに落ち着いている。180度うつ伏せ姿勢完成も近い気がする。今年中に出来ないかな。

 

なにかうつ伏せ寝になると大きく人生が転換し、生まれ変わって前向きな人生を送れるかのような気分になるが勿論そう簡単ではない。でも1日の3分の1近くを占める時間を違った姿勢で過ごす事になるのは結構大きいことだと思わない?    うう、ワクワクしてきた。不自然に仰向けで寝ているあなた、くるっとひっくり返ってリセットですよ!

 

参考文献

テロメア延長!

 人の寿命を決めるのは何かという説の一つに「テロメア説」というのがあります。テロメアというのは人の染色体の末端にある蛋白質複合体で、細胞分裂のたびにテロメアは短くなる、つまり回数券みたいなものです。テロメアが短くなると細胞は脆弱化し急速に加齢して死を迎える。テロメアが短くなると寿命も短くなる。最近テロメアの短縮は癌における発症リスクと早期死亡のマーカーとしても認識されつつあります。

 

 そのテロメアを修復し延長するテロメラーゼという酵素があり、この増加が長寿の源ではないかと最近研究が著しい。

 

 カリフォルニアの予防医学研究所とカリフォルニア大学の共同研究で「ライフスタイルの改善はテロメラーゼ活性を増加させる」という発表がありました(Lancet Oncology 2008;9:1048-57)。

 

 男性30名に健康的なライフスタイル・・・それは何か?脂肪を総カロリーの10%以内にとどめ、精製糖が少なく全穀粒や果物、野菜を多く含む食事をとる。ビタミンと魚油のサプリメント。中等度の有酸素運動、ストレス管理、リラクシゼ-ション療法、呼吸エクセサイズでござる!・・・をさせて3ヵ月後、血中テロメラーゼ活性は29%も増加していたのである!その活性の増加はLDLコレステロールの低下とストレスの減少とに相関していた。

 

 うーむ、健康な生活は寿命を延ばすだろうし、まあ当然といえば当然という気もするが、テロメラーゼまで増えとったか。

 

 野菜中心で腹8分目の食生活、良質な睡眠、規則的な運動、そしてつまらないことは気にしないではっはっはと笑って異性と仲良くする。こうしてれば病気にならないだろうと想像がつくし、実際に学問的データがそれを裏付けています。

 

 ほな、そうしよう・・・とならないところが、出来ないところが浮世の難しさね。君は上の中でどれが一番難しい?俺はねー、秘密だ!

 

 

光ってるのがテロメア君です。

うつちゃう?

 昨日、第7回となる「今更聞けないこんなことミーティング」を開催しました。今まで参加している先生回り持ちで、各々専門とする分野に関していろいろご質問をお受けしてフランクに話し合おうという趣旨だったのですが、ここ3回はゲストをお呼びして講義をしていただいています。

 

 「循環器疾患とうつ病との関連」について鈴鹿中央総合病院循環器科部長の北村哲也先生にはるばるお越し頂いて大変面白いお話をしていただきました。先生はこの分野では有名な人で循環器心身医学会の評議員もされ、新聞などでもよく取材されておられます。

 

 うつ病は自殺だけでなく他の疾患にも罹患しやすく死亡率も高い。生活習慣病、メタボ症候群の3割程度がうつの兆候があるという報告がある、うつがあるとそれだけで動脈硬化の促進因子となる。最近うつ病の治療によく用いられるSSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を用いることにより重症高血圧や冠動脈疾患のイベントを防ぐことが可能で心筋梗塞再発や死亡率を半分に抑えることが出来る・・・などなど非常に興味深く面白いお話でした。

 

 僕はちょうど最近冠動脈硬化で受診された患者さんが、うつからいろいろな症状が出ているのではと考えていたところだったので、お話の中からそうか、と納得する部分も多々あり本当に聞いてよかったな。

 

 以前も「肉体は魂の乗り物であり、精神が肉体をドライブするのだ」とこのブログでも書いたのですが、診療している患者さんをみても、絶対気持ちの問題だよなーと思うことがよくあります。そのような方にSSRIを処方するか?この踏み切るラインが問題と北村先生もおっしゃっていましたが、難しいところであります。またうつの診断はなかなか簡単でなく、最近は非定型型うつ病というのもあり、病気かそうでないか、見極めが益々複雑になっています。

 

 まっ、勉強の必要な領域はどんどん拡大するということである。嬉しいことであります。とほほ。

 

北村先生。実物はもっとお茶目です。

Warm heart

今日の朝はちょっと寒かった。いつも犬の散歩の時に会うビジネスマンも「いや、冷えましたねー」と言いながら通り過ぎる。僕は原則的に1年中半パンで過ごせたらいいなと思っている陰影に欠ける人間なので、秋になると昔からなんか心細くなってくる。最近は全然見ないけど、コスモスなんて見ると子供心にもユーウツになったりしたもんだ。今も進歩ねえな。

 

With hot coffee, you see a warm heart・・・温かいコーヒーがあると、あなたは温かい心情を見つけることが出来る。んっ?これはエール大学の心理学者が最近発表した論文のタイトルである。

 

暖かいのと冷たいのと、飲んでいるものの暖かさにより、そばにいる人への感情が違い、温かいものの時の方が好意的に感じるのだそうである。これは彼らの以前の研究で、実際に二人の離れている距離によりその人への好感度が違うという結果から類推され、計画された。温度は相手への評価だけでなく、その人自身の行動にも同様の影響を与えるとのこと。暖かいコーヒーを飲んでいる方が、アイスコーヒーを飲んでいるときより優しくなっているようである。

 

これは脳において温度変化により励起されるパートは、ある種の精神障害で他人と協調できない、また他人の信頼性を全く評価できないケースで障害されるパートと同様であるとのことで、実際の温度と、精神的に感じる温かさ、冷たさとは密接に関係していると考えられる。

 

心が暖かい、冷たい、心が離れている、近い、こういうのは単なる比喩ではないということね。以前いじめられると、実際に脳の部分で身体的に痛みを感じる部分が同様に反応を示すというペーパーを読んだことがある。物理的なことと心理的なことは密接に関係しており、心が痛いとか感じを表す言葉は単なる比喩ではなく、実際にそう感じているのである。

 

ということはー、僕が心の暖かい親しみやすい院長であるという感じをスタッフのみんなに持ってもらおうと思えば、みんなに厚着をしてもらってできるだけベタベタと近づいて話せばいいのだな・・・・暑苦しいヤツと思われるだけか。やめとこ。