カテゴリー別アーカイブ: 抗加齢

フロスはマスト

 最近気に入っているのはデンタルフロスだ。何を今更と思う人もいるかもしれないが多分少数派だろう。僕も昔使ったことがあったのだが、なんか使いにくいし歯にひっかかって歯が抜けそうになった、いやほんと。

 でなんとなく疎遠になっていたのだが、アンチ・エイジングの基本的ツールとアメリカのドクターが力説しているのを読んでもう一度トライする気になった。

 歯周病菌は炎症反応を起こすことで全身の動脈硬化を促進する。歯周病のある無しは、有意の差で寿命に影響する。アメリカでは健康が話題になると必ず歯のことが言及されるが日本ではそこまでいっていないな。歯に対する関心が社会的に違う。矯正なんか常識だもんな。少し前まで歯学のレベルは日本はアメリカに大きく遅れをとっていた。今はどうか知らない。

 で、デンタルフロスだ。ドラッグストアで2種類ほど買ってくる。300円から500円くらい。フロスを引っ張り出してみて、おお変わったなと思う。ひらっべったい紐みたいになってぜんぜん歯に引っかからない。こりゃいいや。

 で、最近はちゃんと(特に寝る前は)やっている。癖になるとやらないと気持ち悪くなってくる。歯が口がすっきりするのである。これはやったほうがいいぞ。

 年に1か2度は歯医者さんで歯石を取ることも含め検診してもらうこと。これもマストだ。今月中に行こう。皆さんも是非口腔ケアを。ほんとよ。

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でも、もう少し工夫できそうな気もする

ナイト・エクセサイズ

 夜にパワーリハをする。孤独である。みんな帰って静かなパワーリハ室で、ipodを聴きながら3セット行う。

 効き目があるのは分かっているのだが、しばらく時間がなくてぜんぜん出来なかった。こういうのはやらないと驚くほど早く時間がたつ。

 負荷を軽く、ストレッチするつもりで筋肉を出来るだけ伸ばして、呼吸をしっかりやりながら反復運動を行う。久し振りにすると、筋肉が笑っている(喜んでだ!)のが分かる。

 確かにβ-エンドルフィンが出ているようだ。思い切り伸びをしたような、くすぐったいような気持ちのいい感じがして、やめるのが惜しくなる。この感じね。負荷があっている証拠だ。

 自分の身体にどれだけ時間をかけることが出来るか?これが実は将来を左右する大きなファクターなのだ。脳学者の池谷裕二先生によると、脳が身体をドライブするのではなく、身体が脳をドライブするのだそうだ。身体を動かすことで脳が活性化する。身体をまず動かすことで頭が働き始める。文武両道。頭でっかちでも、脳みそが筋肉でもいけない。

 本を読む時間を半分にして、その分身体の手入れに使う。それが正解なのだよ。

 はじめは寂しく思っても、終わる頃にはハイな気分になっている。これは続けられそうな気がする。楽しくやる工夫が大事だ。Ipodからはどういうわけか夏の曲ばかりかかった(シャッフルにしているのだ)。終わる頃には汗ばむ夏が待ち遠しい。

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でも一人は寂しいぞ

究極の選択

 フィナステリドに前立腺癌予防効果があるという報告がある。review:Finasteride as a chemopreventive agent in prostate cancer: impact of the PCPT on urologic practice
Nature Clinical Practice Urology (2006) 3, 422-429
フィナステリド?これはプロペシアという名で医療機関で処方される脱毛防止剤である。テレビでもやってるでしょう?

 いわゆる禿げ、男性型脱毛というのは男性ホルモンがあるから発症するのであり、フィナステリドはその男性ホルモンが効くところをブロックすることで脱毛を防ぐ。前立腺癌、前立腺肥大も同じく男性ホルモンが悪さをするので、ひょっとしたら効くんじゃ?というのは誰でも考えることである。で、実際に試してみたグループがいくつかあり、結構効くんじゃないというのが大勢であるようだ。コストやQOLに関しては疑問というデータもあるらしい。

 こういう禿げとか、バイアグラなどのインポテンツに効く薬とか、寿命に影響するわけではないが結構気になる、何とかしてくれーという薬には、他の好ましい作用が割りとあって、バイアグラ系統の薬剤には血管内皮保護作用が報告されており、肺高血圧の治療薬として適応が取れたか取れるかだったと思う。動脈効果の予防となる可能性もあるわけだ。

 こういう薬こそアンチ・エイジングな感じだなぁと思うのであるが、世の中いいことばかりではない。

 フィナステリドの副作用として男性能力、性的欲望の減退というのがわずかにあり、「それじゃ、何のために飲むんだ!?究極の選択か?」という声もある。女性はこの世の中が女性ばかりになっても美しくありたいと思うものらしいが(ホントでしょうか?)、男ばかりの世の中になったら禿げを恐れる男なんぞ一人もいないだろう、そんなものなのだ、情けないけど。

 ま、しかし率は低い。僕の患者さんの経験でも脱毛への効果はなかなかのもので副作用も無いようである。サッパリ剃りあげるのも男らしくてかっこいいが、上も下も頼りになる(失礼しました)フィナステリド、いいんじゃないでしょうか。

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間違いました。

 

アンチエイジング・ドック

 アンチエイジング・ドックをお受けになる方がだんだん増えてきた。で、思うのだが、これが本来の医者の仕事なのではないのかなぁということだ。

 今の内科の医者の仕事をシンプルに言うと、調子の悪い方がやって来られて診察、検査し、病気を見つけて投薬し経過を見ていくというものである。多くの検査は病気を見つけるもので、正常範囲内においての状態を評価するものではない。

 アンチエイジング・ドックでは体内の酸化度や抗酸化物質の量を測定し、動脈硬化度を判定し(人は血管とともに老いる:オスラー先生)、運動や食事のライフスタイルや遺伝子も検索して、その方がいかにして今以上に健康であることが出来るか提案するのである。

 本質的に予防医学である。投薬することは少なく、ライフスタイルの改善やサプリメントの提案が多くなる。単に長生きをするのではなく、健康で人生を楽しみながら、今の若さを出来るだけ保ちつつ長生きすることを目指す。

 今の生活のままだとこの方の寿命はどれくらいだろうとだいたい予想できる。それは本当に変えることが出来るのである。すごくない?僕はすごいと思うんだけどなぁ。そしてこういう仕事が本来の内科医の、かかりつけ医の役割ではないかと思うのだ。

 長生きなんてしたくない、ゾッとするという人も結構おられるようで残念な気がする。そういう人を変えることは難しい。しかし、もしあなたがそう思わない、残りの人生を面白おかしく生きたいなと思ってられるとしたら、水や安全に投資するのと同じように健康に投資するのは価値のあることだと思うよ。

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これは学会誌ですが一般週刊誌並みに面白いです

 

リスト・アップ

 昨日毎日新聞にアンチエイジングの記事が載り、その中に抗加齢医学会認定の医療施設のリストが掲載されていました。僕の診療所も当然載っていたのですが、日本全国で17しかないというのは不覚にも知りませんでした。

 びっくり。

 ほとんどが関東(というか東京)で関西圏は5つしかありません。大阪は僕のところだけ。巷にアンチエイジングをうたう医療施設は結構関西にもあるのですが、ほとんどが認定されていないのはどういうことだろう。認定をクリアーするためには、専門医、専門指導士の存在、アンチエイジング検査をしてその結果どう介入したかという症例報告をかなり出さないといけないなど結構大変ではあるのですが、正直意外な結果でした。

 アンチエイジングというのは抗加齢ということですが、加齢に抗することはどんな人間でも出来ません。でも不健康な加齢に抗することは可能です。アンチ・アンヘルシー・エイジングというのが本義だと思います。そのためには外観、見かけを重視するのではなく身体の中から、精神から、人間を総合的に診ることが出来なくてはなりません。そしてその対策を講じる。

 世の中に蔓延るアンチエイジングは外観に重きを置いていることが多いので、それがこの結果なのかなと思いました。

 いずれにしろちゃんと認めていただいたのは仕事をするうえで大変嬉しいことです。掲載日から問い合わせの電話が多くあり、受診していただくことにもなりました。期待を裏切らないように頑張りたいと思います。

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拡大して見てね

タバコで痩せる?

 禁煙外来をしているが、タバコは本当に止めにくい人にとっては止められないものなのだなぁと感慨を抱く。今タバコのいい話は皆無と言ってよく、それでも吸う人は本当に勇気あるチャレンジャーじゃん!と思うのですが。

 僕の禁煙外来においては特に女性の成績が悪く、男性がほとんど成功するのに比べ女性は半分くらいである。最初の印象から気迫が違います。で、女性の一つの言い訳に「タバコ止めると肥えるでしょう?」というのがある。これは事実ではあるのだが、それについて興味ある報告がニューウエールズ大学とメルボルン大学から発表された。

 タバコは筋肉の再生を損ない筋肉量を減少させる(アメリカ生理学会誌2003年)という報告はあったのだが、新しく2つの大学からのレポートでは、痩せるのは筋肉量が落ちるためで脂肪量、特に内臓脂肪量は変わらずむしろ増大させるとの事。喫煙はメタボリック症候群に有意に多いという報告もあったな、確か。

 タバコで痩せたというのは脂肪が減ったのではなく筋肉量が落ちていたのである。喫煙で骨量も減少する。心肺機能も落ちる。なんと不健康な痩せ方であろうか!

 太るからタバコを止めるのはいやなのよ・・・と言っていたそこのおねえちゃん、かなり・やばいよ。不健康な痩せ方は見ていても決して美しくない。ちゃんと食べ、運動をして痩せようではないか。アスリートのようにちゃんと筋肉のついたスリムな身体が一番美しい。ノーペイン・ノーゲインなのである。

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その気があれば必ずできる!

うひょー!

 うひょー、来たよ。今日抗加齢医学会認定医療施設の通知が来ました。「通知:認定医療施設と認める」だもんなぁ。このブログでも書きましたが締め切り1ヶ月前は申請書に含まれる症例報告の作成にかかりきりで、おお、多くのフェアウェイの上で過ごす時間が消えてしまった。おかげでゴルフの腕はがた落ちです(言い訳)。

 抗加齢医学会認定医療施設はまだ日本で14施設しかありません。アンチ・エイジングをやっていますというのは自由なのですが、学問的にちゃんとした抗加齢医療をやっている、もしくはその能力を持っていると学会から認定されている施設はまだまだ少ないのです。今年の認定で倍になっても30もありません。これを取れたことは大きな意味がある。これから胸を張って当院はアンチ・エイジング医療実施施設ですと言えます。嬉しいな。

 この認定をいただけたらやりたいと考えていたことが沢山あります。今度の診療所の移転はこの資格を持つことが前提であったので、実のところちょっとほっとした。今は年末で風邪の患者さんも多く余裕のない日々ですが、具体的に実行策を練っていくのがこれからの楽しみです。

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ガハハ!見えるかね?

 

 

カワイイッ!って言われたい

 ある雑誌をパラパラとめくっていると、今度大阪大学の学長となった鷲田清一氏の短いインタビューが載っていた。彼は経営感覚(最近国立大学を運営するにはこれが必要なのだ)には興味がないが松下幸之助氏のある言葉が好きらしい。

 「可愛げ、運が強そう、後姿」これらは成功する人に共通する3つの資質だそうで、すき間があってもろそうで、周りの人を能動的にするからだそうだ。

 へー、成功する人というより魅力ある人の因子のようで、まあそういう人は成功するからかな。彼は「明るくお茶目でいたい」とも言っているが、60歳近くでヨウジヤマモトの斬新なジャケットを着て、確かに彼個人はとても魅力ある人のようである。

 よく可愛いおばあさんになりたいと言う言葉を女性から聞くが、男性から可愛くなりたいというのはまあ聞かんな。でも実はこれはプロエイジング(最近アンチエイジングという言葉は生理的な加齢に反抗するようなネガティブなイメージがあり、自分らしく充実して年をとることの意味のこの言葉を使う人が増えています。造語のようで「プロ」の意味が良くわからん。出所は聖路加病院の日野原重明先生のようです)の切り札ではないかとひそかに僕は思っているのですが。そこらへん、やはり女性のほうが生存能力が高そうですね。

 可愛い気って、演出して絶対出来ない。偽者はとても見破られやすいので、カワイイッて言われるのってすごくかっこいいー特に年齢がいっているとーことだと思います。

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まっ、こういう人です

うっとりお仕事

 今日は肌寒い。あの暖かな土曜日は車で帰るとき20℃だったが、今日は13℃。今まで忙しかったせいもあってシャワーですましていたのだが今日は風呂に入る。恒例により雑誌を持ち込む。切羽詰っているので抗加齢医学会雑誌の最新号である。

 これが面白かった。脳刺激により認知症が予防できるかという総説を東京都老人総合研究所の安藤進先生が書かれている。歩行などの身体活動を継続して行っている人は発症が少ないというのはほほ確定。では知的活動はどうか?僕の患者さんで哲学者で何冊も難解な本を出されている方が認知症になった例がある。しかし彼は糖尿病があった。糖尿病や高血圧などがあると発症率は大きく増加する。学歴は関係ないというのも定説。しかしすべての条件を同じにした有名な米国修道会のスタディは大変興味深い。食事も含め生活が全く同じな修道女を対象にし、20歳のとき書かれた文章を専門家が文章能力を判定して、さて58年後、アルツハイマー病は文章能力の低いグループにのみ発症したのである!ガイーン!若いときの知的レベル(これは学歴と無関係)と老齢になっての認知機能は相関するという研究結果は多い。

 がっかりするなよー、ま、僕もだけど。まだ救いはある。積極的な知的活動を続けることで発症が抑えられるという結果もまた多いのだ。認知症が明らかになる前に衰えるのは㈰エピソード記憶(生活上の出来事の記憶)㈪注意分割(2,3の物事を平行して行う)㈫計画力(段取り)であり、そこを鍛えていると予防効果があると認められている。この㈰㈪㈫って普段の仕事じゃないの。そうかー、忙しく仕事を続けていればいいのね。

 仕事もいやだ、いやだと思っていたらこの効果は出ない。楽しく積極的にしてこそ予防効果あり。どんどん仕事がたまり、あれやったっけ、これはどうだったっけ、こいつを先にしないと・・・うーん、もういやっ!と思わないで、そうか、どんどん認知症が遠ざかるな、うっふん、もっとウエルカム・・・・・・・・(絶対無理)。

マルチ・ビタミン

 今度法人の秋祭りで健康セミナーを開きます。高品質のサプリメントを製作されているヘルシーパスの田村社長が正しいサプリメントの選び方を、清酒大関化粧品部門の今井さんが皮膚のアンチエイジングについて興味深い話を披露してくださいますが、僕も「抗加齢医学は予防医学」と題して少しお話させてもらいます。

 で、この前の抗加齢医学会で田村社長がパネルディスカッションで発表されたマルチビタミンの抗酸化能についての話をもう一度見直していたのですが、発表されたときも面白いと思ったデータがやはり気になりました。

 マルチビタミンを飲んで肝機能とか糖尿とか病的な因子が大きく改善することはなくても、体内の酸化の指標が改善する、つまり老化を抑えるという可能性が示唆された。これがこの演題の大変興味深い結論です。が、それと同様に、プラセボでもかなりの指標(特に酸化損傷の状況を反映するもの)が改善することが示されたのです。プラセボとは偽薬のことで、見かけ上そっくりでも作用の全くない物質です。プラセボ投与群と本物投与群を比較することでその薬が本当に効果があるか判定するのですが、どんな研究でも僅かですがプラセボでもよくなることはすべての医者が知っています。「この薬は効きますよー」と言われるのと「効くかどうかわかんないけど、まあ一応試しましょう」と言われるのでは、多分効果に少し違いが出るだろうというのはなんとなく判りますよね。そんな意味合いです。でもプラセボ効果は本物と同等ではない。

 酸化の指標においては、プラセボは本物のマルチビタミンを飲んだのと同じくらい改善を示したものがいくつかあったのです。これは考えるとすごいことで、その気があれば酸化を抑制できる、老化のスピードを止められるということですよね。病は気から、鰯の頭も信心から、ポジティブな考え方あなたの老化を止める。若くあろうと思っている人は実際見た目も若いことが多いですが、それが客観的に裏付けられたデータだと思いました。明日からの考え方にも影響を与えるなー。

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こっちはちゃんと食べよう。

P.S, お祭りでの音楽隊、この前のブログでコミックバンド路線でいった方が・・・という僕の発言は撤回。相当入れ込んだ、充実したバンドに変身しています。ますます僕の出番が・・・