カテゴリー別アーカイブ: 抗加齢

座り疲れ

 東京へ抗加齢医学会のセミナーに行ってきた。連休二日使ってである。でもまあ面白いからいいか。相変わらず工夫を凝らしていい構成である。「海馬」で有名な東大の池谷裕二准教授も講演。面白い。

 いくつかへーと思うことがあったのだが、そのうちの一つは、ハエや線虫などを匂いで刺激する、もしくは嗅神経を破壊すると寿命に影響が出るという話。匂いや触覚など感覚神経の刺激は寿命に関係がある可能性があり、「気持ちいいよなー」という感覚をくすぐるような刺激を沢山持っていると長生きできるかも知れんな、と思った。アロマセラピーは人間で免疫に関係するリンパ球を増やすというデータも公表されていた。

 安部司さんの「食品の裏側」は、いかに添加物が恐ろしいか、保存剤や香料がいかに沢山使われていて健康を傷害している可能性が高いかという話。これは本当にぞーーーーーとするくらいです。ちょっと食べるものがなくなりそうな感じ。同じタイトルで本が出ているから是非読もうと思う。皆さんも読んでください。

 しかし2日間、ぎっしりの日程(夜は9時まで)でちょっとばてた。ねむてー。明日はいつものとおり仕事が続く。もう寝ます。

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マスト・リード・イット!

食えない男に負ける

 100歳以上のお年寄りが国内で3万人を越えたと報道されていた。3万人!僕の診療所でも101歳の方が通院されておられるが、1診療所に1人おられると考えたらそんなものか。ものすごく稀な、という感じはだんだん無くなっていくのだろうな。

 社会が成熟していくと当然少子高齢化が起こってくるが、おそるるに足らないことだ。叡智を持って乗り切っていけばいいだけのことである。

 この前ゴルフに行ったとき、76歳のご老人が我々のパーティと合流した。この爺さんがイケてた。そのゴルフ場の主みたいな人で、車は駐車場にとめずスタートする箇所にごく近い隙間みたいな道路にちょこっと自分の軽自動車を止めている。受付は通さず気ままな時間にふらっと事務所に入ってあいているパーティに入れてくれと言う。「わしは女の人が好きで入れてくれというと大概気を遣っておばさんのグループに入れてくれる。男と回るのは久しぶりや」と笑っていた。

 女性と回るときは話が途切れないよう「ジジイで飛ばないから」と言いながら一緒にレディースティで回る。そのうちの一人からもらったというレディース用のクラブを使用。

 時々ボールが当たる抽選などがあったときは「当たり玉が出るまでグルグルと台をまわすんじゃ。女の子がはずれでも、出ましたーと言うてボールをくれる」そうである。

 やりたい放題。食えない爺さんだが81で回りはりました・・・脱帽。まあこれで下手だと単なるどうしようもないジジイだな。何であのフォームで飛ぶかね。

 かなわんなー、という感じを若者に与える、そういうジジイに私もなりたい(別の意味で、もうすでに…という声もある)。

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まあこんなもんだ

 

エイジレス

 今保険適応で血液検査をしているのは病気を調べるというのが基本です。一方抗加齢医学として血液検査をする場合、病気としてまだ発現していない状態を調べることになります。動脈硬化や老化など、検査指標として確立はしていなくても論文などでかなり認められている検査値を用いて状態を把握し、サプリメントやライフスタイルの改善などでよりいい状態に持っていくのが抗加齢クリニックの役割ですね。

 たとえばホモシステインというアミノ酸は血管内皮細胞を傷害し動脈硬化と関係が深いとされています。このホモシステインは血中の葉酸、ビタミンB6,B12レベルと負の相関関係にあり、それらを投与することでホモシステインの低下が報告されています。サプリメントの投与で動脈硬化の進展が防げる可能性があるわけですね。

 今トライアルで抗加齢医学に標準的な検査を幾人かの方で調べていますが、この前90歳の素敵な女性が検査を希望されました。彼女は昨年心臓の手術をされたのですが非常に見た目も若く、頭脳も明晰です。化粧もされ話題も若く、パワーリハも喜んで参加されています。抗加齢の検査の話をすると眼を輝かせて是非受けてみたいと希望されました。結果が大変楽しみです。

 病気になる前に状態を把握し、危険があれば進展しないように予防的措置を講じる。究極の予防医学が抗加齢医学の真髄であり、単に見かけを若くすることは本当に末梢の話です。アンチ・エイジングという言葉よりエイジレスという言葉のほうがいいよとある友人に意見を戴いたのですが、確かにそうだな。年齢関係無しのこのような方が増えてくると世の中は絶対楽しくなる、そう思わない?

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こういうのもまあ一つだな

 

最終兵器

 私はこれで会社やめました(小指を立てる)・・・なんかこういうの昔あったな。別に指を立てる必要はないが、私はビールやめました、とこのブログでも書いていた。30年近く全くアルコールのない日というのは数日しかなかった私が、ここ1年はほとんど飲まなかったのである。アルコールのない日々というのは実は結構すがすがしい。飲んでる時は無い生活なんか考えられないと思っていたが、それは単なる思い込みであったのである。

 しかしお盆休みで飲んだ、飲んだ。まあそういう日々であったということだが、こういうのは癖になる。しばらく終わってからも飲んでいたのだが、きたねー。腹回りがてきめんにプヨプヨしてくるのである。アルコールと肥満、特に腹回りは密接に関係がある。

 嗜好品というのは実は結構身体に悪い。タバコの害は知られたことだが、スイーツとか、ともかく本来生存に関係のないものは摂取することにより身体機能が向上することはまずない。無駄な分だけ無駄なものがつく。アルコールは昔から適量であれば寿命が延びるとか援護が多いが、それでもわずかずつ脳細胞が傷害されるのは確かなことだ。無駄な嗜好品こそ人生を彩る、人間が人間である悦びを証明するようなものではあるのだが。

 まあともかく昨日より再び禁酒生活に入った。嗜好品に匹敵する魅力あるものを見つければいいのである。それは何か?好きなことに没頭すること、身体を動かすこと、ここら辺が最終兵器じゃないかと僕は思っているのですが。

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そんなことないっす。

 

学会報告

 金曜日、土曜日と抗加齢医学会に行ってきました。段々規模が大きくなる学会ですが、今年はぐっと研究色を強めています。参加者は本当に熱心で、各シンポジウム、セミナー会場は入れ替え制でみんな終わる前からお目当てのところに並ぶのですが、一杯で入れないところも多い。そして完全に抗加齢というのが一般的に根付いてるという印象を持ちました。新しいものをちょっと覗きに来たというのではなく自分のところでどう生かすかとみんな考えているという感じです。印象に残ったものを2つほど。

 ①動物実験と臨床両面からのデータで、運動強度の違いで脳の反応する場所が違い、3メッツほどの軽運動(歩く程度)が海馬の血流量を増やし神経新生を促しBDNF’(脳由来神経栄養因子)を増加させて認知機能を改善する。激しい運動はかえって海馬を萎縮させる。快適だと思える範囲の運動がベスト。・・・パワーリハにより認知症が改善することがよく報告されているのですが原因は推測の域を出ませんでした。これで説明がつく。認知機能が落ちている高齢者にパワーリハは身体面だけでなく脳機能の面でも最適で、デイケアでの利用はもっと推し進めるべきだと思います。
 ②前立腺の癌マーカーであるPSAが高くても針生検で癌が見つから無い場合、様子観察になるのですが、PSA自体の上昇が前立腺にとって炎症を惹起し悪影響である。クルクミン(ウコンに含まれる)とイソフラボン(大豆ね)のサプリメントがPSAが10以上の患者さんの場合半減させた。・・・帝京大学泌尿器科堀江教授からの報告。サプリメントがはっきり治療効果を示した例で今までに例が無い。今年中にこの合剤が発売されるようです。

 ほかに男性の場合、メタボリック症候群の原因として男性ホルモンの低下が考えられるというのも面白かった。最新の知識と刺激を得られる学会参加はこれから是非スタッフにも行って欲しいと思います。

 金曜日の夜、抗加齢医学会評議員で静岡アンチ・エイジング研究会の会長である田中先生(僕が目指そうとしているクリニックをすでに作られています。利益でなく社会貢献することを考えろといつもおっしゃいます)に眼の覚めるような!イタリアンと楽しく役に立つ話を奢っていただきました。同席した聖マリアンナ医大の本間先生ご夫妻、ヘルシーパスの田中社長、井村さん、田中クリニックのスタッフの皆さん、少し酔っていて失礼なことを言いまくりましたことをお許しください。田中先生、これに懲りず隠れ家に連れて行ってくださいね、掃除機はもって行きますから(まだ言ってる)。

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今回の会長である同志社大学アンチエイジングリサーチセンター 米井教授

脳トレ

 休みで面白い本を読んだ。本の選択には波があって、ぜーんぜん読みたい本が無い時もあれば、あるときはがっぽりある。先週はがっぽりウイークで沢山本を買ったが、その中の1冊。

 「鍛えない脳」。今流行の脳トレですが、著名なゲーム作者(コンピューター・ゲームです。「ぷよぷよ」とか「アクアノートの休日」とか「弟切草」とかの3人の作者)たちが、脳トレゲームを作ろうとまず脳の勉強を始めます。「海馬」とか「脳と仮想」「妻を帽子と間違えた男」など非常に有名な本6冊を読み、間違ってないか医者で脳に関する著作の多い米山公啓氏と対談していくという本。

 結局最初の思惑とは全然違うところにたどり着くのですが、いろいろ興味深い話が出てくる。人間の脳に特徴的に多い(特に右脳に)スピンドル・ニューロンというのが発見されているのですが、それはどうも情報処理能力に関係しているらしい。論理的思考よりも直感の方がスピードは速いですがそれに関係する可能性がある。それを鍛えれば、先が読める、いわゆる予知能力が出来てくるのではないか、とか、今言われている脳年齢というのは単に処理速度の差である。というと脳トレゲームでいえば小学生が一番頭がいいということになる。脳トレゲームで実際証明されているのは脳血流量が増えることくらいで、それと脳の活性化は関連があるかどうかは不明、認知症の予防になるのかも判らない、とか。

 一つの結論は生活習慣が大事で、新しい体験が脳を育て変化させていくので常に新しいことに興味を持って実際に体験していかなくてはならない。楽を選ばず努力する。そして結局その人がどんな目標を掲げどう生きていくかということが反映されるのであるという、真っ当と言えば真っ当な結論に落ち着きました。僕は結構脳関連の本を読んでいるのですが、みんなこういった感じに落ち着きます。特効薬無し、常にめげずに元気で上を向いて歩いていけば神様は見捨てないよ!

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結構チャラけてます。

ウォーキング・スタイル

 今日仕事場について車から降りようとしたら「いってって!」と急に右足、左肩の痛みが。札幌では全然なくて完治したかと思っていたのにな。慢性の腰痛の90%は心因性である、ということはこれって…登校拒否?

 午前中、超忙しく、なんとなく気がまぎれていたが痛みは変わらない。こんな場合僕には選択肢がいくつかあるが、いつも月曜日にしていた鍼灸は担当のO君が歯痛のため歯科医に行くということで×。後はパワリハか痛み止めを飲むか、それとも・・・と思っていた矢先、アロマセラピストのO嬢が「先生、アロマをお受けになりますか?」言ってくれた。グーード・タイミング!忙しいかと思って気を使っていたんだよ。有難う、とニコニコしながら久しぶりにアロマセラピーをうけた。

 いつもは始まって5分ほどで完全に熟睡するのだが、今日は昨日よく寝たせいもありいろいろお話ししながら受ける。いつも思うのだがO嬢は非常に歩く姿がいい。それって意識しているの?と訊くと、一応背筋をのばすようにしている、信号待ちのときも足の内側をそろえるように意識して立つ、わたしはO脚だから(そんなことないでしょ)ということであった。だろうなー、ぼくは歩く姿、立ち姿のかっこいい人には必ず同じ質問をするのだが、全く意識していませんという人は一人もいない。格好良く歩く人は必ず意識してそうしているのだ。普通に歩くと人はどうも自然に格好悪くなるようだ。猫背とかとぼとぼ歩くとか。

 歩く姿は社会に対する意識を現してるように思える。僕はもともとどうしようもない歩き方なのだが、こうなった以上何が何でも格好良く歩いてやるぞと心に決めた。と決心してから1分もしないで意識がなくなっていたのだが。おかげで痛みは消えました。サンキュー。

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まっ、こうね

オン・ダイエット

 今日面白い資料を見ました。日本各県におけるBMIが25%以上の人の比率ランキング。男女ともNo.1は、な、な、なんと沖縄です。あの有名な「沖縄プログラム(沖縄の長寿食を紹介したアメリカのベストセラー)」はどうなったんでしょうか?本土に近づくとろくな事が無いですね。男性は46%の高率で、だいたいどの県も男性が女性より10%程度多い。少ないベスト3、女性版は、なんと!東京、大阪、京都というアーバンな結果でした。アメリカでも大都市ほど肥満している人はいませんが、それと同じね。

 実は僕は肥えやすい。で、一時患者さんに勧めることもあってダイエットを試したのですが、1番有効なのは九州大学考案のBoocs Dietです。Brain Oriented Obesity Control System(脳指向型肥満治療システム)の略と大層なことになっていますが、簡単に概略を言うと、①夕食は好きなだけ食べる。アルコールもOK。②朝はお腹が大きいので野菜ジュースかフルーツのみ。③お昼はサラダと野菜ジュースのみ(ここが難関、でも晩飯は好きに食べられると思うと我慢可能)。以上。仕事をしている人は実行しやすい。これは大概の人がちゃんとやればぜーーーたいやせる。保障つき。

 今の僕は①②おなじ。③は玄米ご飯と納豆、サラダに変わっていますが体重は増えません。アルコールが以前の100分の1になったのも大きい気がする。犬の散歩やゴルフ、パワーリハなど運動の機会が増えたのもあるか。でも晩御飯は人の1.8倍くらいは食べます。甘いものも結構食ってるしなー。でもいつでも痩せられるという余裕あり。

 僕もそうですが、人によってダイエットは簡単です。何のために痩せるのか、欲望を明確にすべし。なんとなくはだめよ。

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しんどいのはだめ

目的は?

 「僕は抗加齢医学会の専門医だよーん、やーい、羨ましいか」と医者仲間に言ったとき、よく見られる反応の一つとして「お前そんなに長生きしたいの?俺は長生きなんざしたくねーよ、まっぴら」というのがあります。

 本当にそうなのかな?患者さんでも70歳位の方に検査をして、「素晴らしい、あと30年は十分生きられますよ」と言った時、90%の方は「エー、早くお迎えが来て欲しいのに、待ってるのに」です。今まで、「まあ嬉しい」と言った方は記憶にはっきりしていますが2人だけです。

 長生きは望まれていない?何でも額面どおりに受け取るわけにはいきませんが、どーも僕が思ってるよりみんな太く短く生きたいらしい。というか、高齢になることは楽しくなさそうだという感覚ですね。

 抗加齢医学の目標は単なる長生きではなく、「その年代における最高の健康状態を維持する」ことで、結果としての長寿です。標的は未来でなく今を向いている。

 そして、ここがポイントですが、目的がいる。これをしていると楽しい、止めたくない、ずーとしていたい、そのためにずーと健康でいたいのだ、という目的です。中谷彰宏氏は「100歳まで女の人とエッチが出来る体でいたい」という目標を立ててられます。立派です。男です。こういう目的があることで抗加齢医学が生きてくるのです。目的がないと確かに必要ないけどね。でもみんなそんなものも無くて生きていけるのかな?考えよう、きっとあるはずだよ。

 ギネスブックに載る長寿を目指すことが(今認定されている世界最高齢は男女とも日本人だよ)目的ではない。欲望を持続すること、太く長く生きるための身体、精神を作ることが抗加齢医学の目的なのである。わかるかな?で、僕は専門医なのだ。やーい、羨ましいか。

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94才でフルマラソンを完走したランナー

悦楽ゲージ

 今日はなー、夕方からみっちり1時間、愛犬と散歩して汗だくになりました。早めにシャワーを浴びたのだが、この筋肉がほぐれる温かいシャワーの快楽はなんというのでしょう。本当に気持ちいいですよね。汗をかいて運動した後のシャワーは、脳内のベータ・エンドルフィンをどれくらい分泌させるかというのは研究がないですが、間違いなく・快楽物質は・異常に上昇している・はずだ。

 日常生活で感じるストレスも、それを客観的にスコア化するのは難しいですが、間違いなくヘドロが海底にたまるように蓄積していきます。それがついに爆発し、ぎゃああああああと暴れると、雲霧消散していくのも経験上知っています(そんなことないですか?)。これもある種、快楽である。

 この快楽体験指数をゲージで表示できたらかなり健康管理に有益だと思いますが、これは自分の身体に訊くしかない。

 これは楽しいはずだ、と思っていても実はちゃう、ということがあると思います。頭はだますし、ごまかすのです。身体、肉体感覚のほうが信頼できます。できるだけ、ああ、本当に気持ち良いなぁ、極楽、極楽という体験を重ねること。ゲージでフルに近いところまで保つように意識することは本当に大事で、そうやってるやつはきっとすっきりした顔をしているんだろうなぁと思います。悦楽を重ねよ。勉強も結構悦楽だったりするのですが。

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中央のゲージが「悦楽ゲージ」です