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ウエン・アイム・95

 藤田田という経営者がいました。日本マクドナルドの創設者で、一部にカリスマ的な人気のある人ですが、彼は経営のきもは「清潔!綺麗でなかったら人もお金もけえへんで!」だそうです。マクドナルドのことを言ってるのではありません。身だしなみとか話し方とか、生活総てにおいて。

 個人的に大いに共感し、本が散乱している部屋を片付ける。と、渡部昇一氏の「95歳へ!」という本が出てくる。前読んだな、と思ってパラパラすると、あら不思議、全く記憶になかったのですが、すごくいいことが書いてあるじゃあーりませんか。

 渡部昇一氏は77歳ですが、なぜ95歳かというと、95歳くらいになるとまさに枯れ木がゆっくりと倒れていくように、死の時も苦しむことが非常に少ないからだと言っています。

 うん、そうかもしれない。

 渡部昇一氏は非常に著名な学者ですが、95歳まで生きるためにどのような生活をおくればいいか、自分で納得して実践している話を書かれていて僕にはとっても説得力がありました。いろいろこういう系統の本を読んでいるとほほ現在のところ確かなところはこれだろうと思っていることがありますが、彼の話はドン・ピシャ!でした。

 そのひとつ。大人になると真剣に多量のものを記憶する、という機会がまず無くなります。しかし実は記憶力を鍛えることは脳の活性化に非常に大切なことで、しかもこれはかなり高齢になっても十分可能なのです。

 渡部氏はラテン語を勉強しようと例文(新英和大辞典の巻末に付録についてるやつ250句から、というのが泣かせる)を覚えることをされています。それからどんどん量を増やしていき、時間が無いからと大学に通うのにわざわざタクシーにしてその中で覚える(家庭教師を雇うことを考えたら安い、との事)という熱心さです。

 そして出来るだけ音読する。これも脳のメカニズムから非常に合理的です。ラテン語を覚えてから、全然関係のない漢詩とか、若い時に覚えられなかったのが簡単に覚えられるようになって記憶力が増しているのが実感できたとの事。うーん、勉強になるなぁ。

 学生の時は20年くらい先の自分の人生を考えた。今でも20年くらい先を考えよ!だそうです・・・

 やはり「清潔にすること」は役に立ったな、と実感しますた。

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簡単に読め有益である

嵐の夜に

 重なる時は重なる。前このブログにも書いた、末期癌で死期を覚悟されていた老ドクターと、僕のかっての同僚であるドクターが同じ日に永眠された。その晩は大嵐だった。

 僕の同僚は直腸癌で5年以上闘病していた。まだ子供も小さい。彼とは研修員時代、大学院時代と7,8年同じ釜の飯を食っていたことになる。仕事を終えて安物の中華料理屋で二人で飯を食べていた時、置いてあったテレビで岡田、掛布、バースの阪神タイガースが優勝を決めたのを見ていたのを思い出す。

 開業してまもなく病魔に倒れ、お見舞いに行ったらクリニックのことをとても気にしていた。相当病状が悪くなっても同じだった。話すことは思い出話でも仕事が中心になるのだった。

 僕の父親も、亡くなる前の意識状態が悪い時でも、仕事のことになるとしっかりしたことを言うので驚いた記憶がある。

 
 おお、男は仕事でしか自分を語れないのであろうか?どんな状態でも、死期が近くても。

 
 僕もその隊員の一人か?いや、僕は脱落したい。死期が近づくと、あほなかわいらしい思い出を笑いながら話せるような人生を送りたい。診察室で絶命すれば本望というのも本気なのだが、それが総てじゃない人生でいたい。

 お二人が仕事中心の人生だったと言っているわけじゃないよ。きっとそういった思い出も沢山お持ちだったと思う。男相手じゃ言えないし。一般に男はそうだなぁと考えただけです。そしてこれから自分はどうするか、考えさせられただけ。

 お二人の心からのご冥福をお祈りいたします。

ラスト・ワルツ

 なんか涼しいなぁ。せっかく夏満載の予感がする(髪の毛もスキン・ヘッドにしたのにー、ウソ、刈上げ短髪)先週でしたが、雨は降る、朝晩これ寒くない?というご時勢にふさわしい中途半端な今日この頃。

 日曜日家にいるときは、なんとなく宿題がたまってるのを片付けなきゃなーという落ち着かない感じでちょこちょこ仕事をする(そして予定の2割もいかない)これまた中途半端が多いので、今日は前から見ようと思っていたDVDを見ました。

 「ラスト・ワルツ」です。おっ、と思ったあなた、ロックファンね。これはザ・バンドのラストコンサートをあの名匠(でしょう?)マーティン・スコセッシが自分がインタビューもして監督した記録映画です。

 僕はザ・バンドのファンというわけでもないのですが、絶対見ろというお勧めがあったので。結局やった曲は全部知っていました。あの頃のロックファンにはそれだけ影響が大きかったのですね。

 リーダーのロビー・ロバートソンはカリスマですが、その魅力が僕には全然分からなかった。ところがこのDVDを見てちょっと分かりました。クールでシャープで、それでいながらロックのクレイジーなところもちらっと垣間見せる複雑なタイプの男の人です。

 でも何でバンドを止めるのかという質問に「18年もやってりゃ十分だよ。それに、伝説のロックスターのようにツアーで死にたくない。考えたくもない」とロッカーらしからぬ発言をします。他のメンバーをみても素朴で音楽が好きで、いわゆる普通の考えを持った人たちがやっていたんだという印象を持ちました。

 彼らはその後、ソロで華々しくという噂は聞きません。映画の最後、総てが終わって古いフォークソングをカントリーバンドのような感じでボーカル無しで演奏する(異様に美しい響き)姿が一番真実に近い気がします。

 ロックのカリスマのラストコンサートというより、マーティン・スコセッシが大好きなバンドのラストを撮りたかった、プライベートフィルムのような気がしました。そしてその分、なんか愛着のわく映画でもあります。また見よっと。 

 で、これで1日が終わってしまった、様な感じ。生産性問題あり。まぁいいではないか、な。

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ゲストではクラプトンがミュージシャンとして抜き出ている印象がありました。さすが。

ビューティフル・ハンド

 ある時、ふと自分の手が眼に入る。手背にしみが出ている。うーん、ふけた手だなぁー。

 年は手にでる。そんなことは女性ならとっくにご存知だ。女性が気になる男性の身体パーツというアンケートで結構上位に来るのが「手」である。髪とか胸板とか、単純なパーツには結構手をかける男も手は案外気にしてなかったりする。

 そんなことで思い出すのは、某生命保険会社で売り上げナンバーワンの男である。保険審査の際に医者の診察が必要だが、僕はその保険会社の嘱託医をしている関係で何度か会った。ある時偶然に彼が非常に優秀で(対応を見ていて十分できると思っていたが)、会社からの報償として年に一度は必ず外国へ長期のバカンスに行っていたり(今でもそんなことやってるのだろうか)なかなか優雅な暮らしをしているのを知った。

 ある時彼の手がとても美しいのに気がついた。

 ほっそりとして爪の形がよく、色艶よく優雅ですべすべしていた。

 「君ってきれいな手してるねー」
 「えっ、・・・・気がつきました?僕ね、エステ行ってるんです。実はうちの家内がアメリカ人で、人に会う仕事してるんだったらきれいじゃなきゃだめだと言われて行くようになったんです」

 10年近く前の話だ。男がエステに行くなんてほとんど概念さえなかった。

 彼は皮膚の色艶をきれいにすること、特に手は大事なんです、と言った。
 「案外目に付くんですよ」

 そうだったか。今書いていて思い出した。手が大事ってその時から実は知っていたんだな。何で実行しなかったのか。

 彼は決してハンサムな男ではなかったが、非常に清潔感があった。そして大変よく気が回った。手にまで気を使う男が鈍感なわけが無い。

 手は脳の一部であり、脳をボケさせないためには手を使えというのは常識だ。その手を美しく保つことは、つまり脳、精神を美しく保つことなんじゃないかな。

今日から実行。やり方は女性が詳しいから訊いてください。

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結構セクシー

パワー・オブ・ボイス

 最近は声明です。夜も更け一人机に向かっていたりすると、手元だけ明るくして声明のCDをかける。

 昔三千院に行ったときに買ったライブ録音ですが「御懺法講」がタイトル。雰囲気はNHKの「行く年来る年」のオープニングですが、じっと聴いていると暗く静かな時間にだんだん内省的になっていきます。

 村上龍氏の「料理小説集」(これはすごく好きです)に、人間の声の卓越さにうたれ、オーケストラで音楽を作ることから自然音すべてに対してまで恐怖を感じるようになり、いつもイヤーホンを手放さないクラシックの作曲家が出てきます。音楽以外は拒否しているわけです。

 彼がある時ついにイヤーホンを放すのですが、それはコート・ダ・ジュールの素晴らしいレストランで、この世で最高の味を楽しみながら静かに満ち足りて話す英語とフランス語とドイツ語が合わさって泡のように聞こえてきた時です。

 「素晴らしい。こんな人間の声は聞いたことが無い」と彼は言います。

 なんとなく想像できますね。満ち足りた温かい人間のささやき声。
それを録音したCDがあれば是非聴きたい。でも勉強には不向きですね、寝る前が最高か。

 いずれにしても人間の声は最高です。すごい力がある。自分の声はどうだろう?ちょっと考えました。

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残すところ・・・

 わぉ!連休も明日1日となってしまった!

 乏しい家計でやりくりしてきましたが遂に力尽きそうです…という感じ?蓄えがきれそうな、心細い感じです。でも小人閑居して不善をなすとの諺どおり、休みにやらなくてはいけないと考えていたことはあっと驚く達成率の低さで、何のかんの言っていても仕事モードの時は結構能率が上がってるよなというのがよく分かりますた・・・

 まぁ、これが休みでござるよ。

 仕事は仕事の日に、休みの日は何にもしないとメリハリをつけたほうがいい、というのも今回感じました。

 後残りの1日はとりあえず緑の中で棒を振り回すことにして、連休明けからフルスロットルでござる!まぁこれはこれで楽しみね。仕事も遊びも僕の中では等価です。種類が違うだけね。

犬と青空
犬と青空。なんとなく今年の連休を象徴する写真。

サウスバウンド

 連休も後半だそうである。こうはーん!?どこが前半だよ!?と毒づきたくもなる、暦どおりの生活ですが、それでも今日から4日休みだと思うと、なにか急に予期せぬ臨時収入が入ったような、突然予期せぬ人から好きだといわれたような(学園もんか!)心温まる日々でございます。

 さーてと、と言いながら実は宿題山積みで、このままホンワカしていると前日に大慌てになるんだなぁー、これが、と大人の分別はあるのですが全然実行できない。普段読もうと思っていた本を片っ端から読もう、とりあえず今日は。

 で、さっき読み終わったのが奥田英朗氏の「サウスバウンド」です。評判大変良く森田芳光監督で映画化もされるようで(豊川悦治君主演ですが期待できそうな気がします)、いや予想より遥かに素晴らしい本でした。ストーリも何も、とにかく読むべし、と思います。この本は僕の本棚の「相当お気に入り」の段にランク入りが決定しました。

 この前ひろさちや氏(仏教学者です)の「狂いのススメ」という本を読み、これもまたランク入りしたのですが、何か共通点がある。

 ひとことで言うと既成概念にしがみついていることの馬鹿らしさ、でしょうか。よく考えると気がつくことなのですが、日常生活に流されていると、ほとんど何も考えない。そのまま引き返すことがかなり難しい地点まで来てしまう。

 他人の、世間の考えで生きてないかな?本当に自分のしたいことかな?属している集団が基準じゃなくて、自分自身が唯一の基準だぞ・・・

 自分を知るのが一番難しいという説もありますが、いやなに、シンプルに素直になればいいのよ。余計なこと考えないで。

 実行できるでしょうか?

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パイパティローマ!(読んでね)

サマー・ハズ・カム

 いやー、来たねー。何がー?何がって、お前、夏じゃん、夏にきまってるよ。

 どうも夏が来たらしい。季節の変化を人は何で知るか?多分各々いろいろあるのでしょうが、僕の場合は匂い、香りであります。

 つい2日前、僕にとっての夏の香り、プールの塩素の微妙なスメルがそよ風に含まれているのを、鋭敏な私の感覚はキャッチ・アップしたのである。あれー、もう夏か。

 昔知り合いの女子が夏が好きで、車のハンドルが熱くなって握れなくなっているのが大好きだと言ってました・・・バカじゃないの、と笑いましたが、まあ僕も似たようなもんです。

 片岡義男の名言に「夏は単なる季節ではない。それは心の状態なのだ」というのがあります。彼の「僕のオートバイ、彼女の島」という小説は、ちらっと一度手に取ると、必ず最後まで読んでしまうという困ったものでしたが(漫画だとスラムダンクだな)、それで僕がバイクの免許を取ったように、何か少し不謹慎で楽しいことをやってみたい夏です。

 僕1年中あまり着用している衣服の枚数が変動しないのですが(ミニマムはパンツ、シャツ、ズボンの3枚、冬はプラス・セーター、時にジャケットくらい)いまはとーぜんミニマムで、しかも半袖、半ズボンです。パンツもビキニ(ウソ)。

 まあなんというか、長い間アウェイでやってきて、やっとホームに帰ってきたよわたんのサッカー選手の気持ちです。ゴルフも半パンでやって久しぶりに90台前半だったし(おお、長い冬の時代よ、さらばじゃ!)、他のこともいい感じでゴーーーール!!!したいものじゃわい。

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公園にあったいい感じの下水道の蓋。手をつなぐ人々。

 

ダウンタウンに繰りだそー♪

 僕が診察するとき、決まり文句の一つはどれだけ歩いてますか、運動してますか?です。日常的な軽い運動はすべての人にとって、経済的で精神的にもよく、しかも最も良く効く薬である。

 で、昨日もそう話していたのですが、どこを歩くかという話になりました。彼は軽い糖尿病で肥満傾向がなかなかとれない。しかしよく歩いてます。

 「今日も梅田のD百貨店、H百貨店をはしごして、天満のモールにも行きました。」
 「すごいなぁー、歩きすぎると膝とかにトラブルが起きる可能性があるので気をつけてくださいね。」
 「そうやなぁー、体重も減らさなあかんと思いつつ、つい天麩羅屋にふらふらと・・・」
 「誘惑が多いところを歩いてるからじゃない?」
 「うーん、でも運河の脇の道とかよう歩いてはるけど、僕からしたらしょうむない。今何が流行りか、面白いのか、そんなん見ながら歩くのが頭にとってもええんですわ」

 そういえばウインドゥ・ショッピングというのは久しくしてないなぁ。ネットのせいか。

 僕の住んでいる地域に数10年続いているランドマーク的な書店があります。結構大きく目立つので、スケールはぜんぜん違いますが梅田における紀伊国屋的存在という感じ。ちょいちょい覗いているので顔見知りだったのですが、ついこの前、上品な女性店主が・・・

 「実は6月いっぱいで止めることにしたんです。」
 「えー!!(ショックを受ける僕)」
 「ごめんなさいね、うちも介護とかいろいろあって。それに今はネットでしょう。やはりきびしいのよ。」 
 反省するワタシ・・・ 

 僕も購入する本の9割はネットになってました。

 でもな、失敗が多いのだ。誰かの推薦なんぞ全く当てになんないぜ。最近は少し中を見れるシステムが出来ていますが、やはり実際の質感、活字の雰囲気で本は判断したほうが確かだ。店頭でこれ面白そうと思って購入した本は実際面白いです。ネットの確率は満足度から考えると半分くらい?それ以下?

 とりあえず実際に購入するものは街に出て触ろう。人の感性を感じられるようにブラブラしよう(時間あんのか?いや、診察時間をけずってでも。オイオイ)と激しく思ったのであった。

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あーあ。

イケイケ・ホルモン

 今日はいい天気でしたが、朝の早よから抗加齢医学会のセミナーに行ってきました。うー、つらい。といって何をするわけでもないですが。

 場所は千里のライフ・サイエンス・センターですが数百人入る会場は満杯です。一人のスペースが狭いのでかなわんなーと思いつつ聴講。

 大阪で開催されるセミナーは東京と比べまじめでキャッチーさに欠けるところがある気がする。本日も再生医療とか糖化とか、大事な演題ですがやや日常臨床から離れちょっと退屈か。東京は結構「見た目のアンチ・エイジング」とか受け狙いっぽい。トップのキャラクターの違いが出ているような気が。

 しかしながら浜松医大・金山尚裕先生の「産婦人科からみたアンチ・エイジング」はものすごく面白かったです。生理が終わってから2週間くらい、エストロジェン上昇中は大体活動的で調子よく、プロジェストロンがあがってくる生理に向けての2週間は抑うつ的で調子が悪いということなのですが、ホンマですか?生理前になると自殺を繰り返す女性がいて、エストロジェンの補充療法で完全に立ち直った例が報告されていました。

 これは日常の生活サイクルだけでなく一生のサイクルにも当てはまり、エストロジェンの比が高いとイケイケのようです。産褥期とか更年期はそれで危ない。抗うつ剤などの効果も生理のサイクルで変わってくるので女性に投与するときは考えなくてはならないという、内科医には本当に新鮮な話でした。

 女性のことは前から知らんと思っていたがやっぱりね。

 こういう周期って男性ホルモンには無いようですが、詳しくは調べられていないな、多分。とりあえず男の特性というのは女性と比べあまり研究されておらずおざなりであります。そこに興味があるな、個人的には。