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脳トレより筋トレを

今関心があるのは筋肉です。

筋肉っていうのは軽視されている面がある。筋トレというとマッチョだとか、ボディビルダーとか、ああ見かけ重視ね、と思っているのではないかな?筋肉は大切だぞー。

Archives of Internal Medicineという信頼すべきアメリカの内科雑誌に Resistance Training Promotes Cognitive and Functional Brain Plasticity in Seniors With Probable Mild Cognitive Impairment. (2012;172:666-668)という論文が載っています。MCIという、認知症前駆状態といった脳機能の70-80歳の女性78人を3グループに分け、それぞれ筋トレ、有酸素運動、バランストレーニングを半年やってもらう。バランストレーニング群をコントロールとしています。

結果を言うと筋トレ群において認知機能の改善が見られ、ファンクショナルMRIの画像分析で血流増加も確かめられた。有酸素運動群は運動機能、心肺能力の増強が認められた。

運動頻度は週2回、強度は目標心拍数の70-80%だから、そう低強度ではないですね。筋トレ群でどの程度筋肉量が増えたとかは分かりません。しかし認知機能の改善に筋トレが有酸素運動より有効であったというのは興味深い。

有酸素運動が認知機能に有効という話はいっぱいあります。しかし最近高齢者の体力、認知機能改善に筋肉トレーニングが重要視されている。高齢者においては週4回の有酸素運動、2回の筋トレが(出来るならば)ベストとされています。

細胞内にあるミトコンドリアの劣化が機能低下、老化を起こすのですが、全身のミトコンドリアの85%は筋肉内にある。鍛えるには使うしかない。

また成長ホルモンや男性ホルモンは年齢とともに低下してくるが、筋トレにより分泌増加が起こることも証明されています。この2つのホルモンは精神的にも前向きにさせる効用がある。

有酸素運動をするにも筋肉が必要で、老人は加齢で動けなくなるのではない、動かないから動けなくなるのだ、というのは定説となっています。よくこけるのも大体4頭筋が衰えてくるせい。体力と知力はハンド イン ハンドで、手を携えて良くもなり悪くもなる。筋トレを誤解してはいけません。大体ボディビルダーのように造形的に筋肉を作っているのではなく、トレーニングで鍛えて筋肉を保持しているご老人はみんな大変しっかりしています。そして明るい。

身体を鍛えているからしっかりしているのか、しっかりしているから身体を作ろうとするのか、鶏と卵かもしれないけど、単に歩くだけでなく筋肉トレーニングを加えること、これは中年からでも必須です。外観は中身を往々にして語る。かっこいいシェイプは中身の充実を物語る。男も女も同じ。

これでもやる気にならない?僕は珍しくやる気になってます。

しかしやり過ぎはだめね。

 

 

 

ホット・メニュー!

MIKA BAND を聴いている。SADISTIC MIKA BAND ね。木村カエラが入った再結成じゃなくてオリジナルのやつ。20 SONGS TO 21ST CENTURY 21世紀への20曲というベストアルバム。

驚異! こんなカッコいいの、えーの? 1975年解散だから38年前のジャパニーズロックだけど、何ともイカシてる。まぁバックメンバーも高中正義、小原礼、後藤次利、今井裕、高橋幸宏と、僕ぐらいの年齢で音楽が好きな人ならみんな知っているだろう、もうレジェンドのようなスターばっかりだ。

僕が二十歳くらいにバリバリだったバンドだもんなぁ。どういうわけかその当時、あまり聴いた記憶がない。なんでや?わからん。有名な「タイムマシーンにお願い」「塀までひとっ跳び」は勿論、他の曲もおしゃれでキャッチーで、聴いていて元気が出てくるような明るいパワーに満ちている。

少し前、黒沢明監督の「隠れ砦の3悪人」と川島雄三監督の「幕末太陽伝」を見た。三船敏郎や昔のスターのかっこいいことに驚嘆!した。昔の男前は本当にカッコいいぞ。日本人離れしている、というのが褒め言葉かどうかわからないが、ちまちましていないスケールがある。それでモダンなのだ。SADISTIC MIKA BANDにも同じようなものを感じる。やるぜ!という自信に満ちた大人な感じ。今の日本人ってあおっぽくない?ナイーブだけど頼りない、優しいけどひ弱な感じ。昔というか、右肩上がりに日本が突っ走っていたころは元気だぞ。

MIKA BAND はコミックソングみたいなのもあって、そこも余裕だ。加藤和彦のしゃれっ気満載で、彼のソロアルバムはよく聴いた。今でも彼の音楽は好きだ。

僕の大好きな人、伊丹十三、景山民夫(この2人のエッセイ、「女たちよ」「普通の生活」他、が今の僕を作ったといっても過言ではない)、今野雄二(彼の音楽評論で今の僕の音の好みが形成された)と同じように、加藤氏も不遇の死を遂げた。なんで?わからん。鋭すぎる?彼らのようなセンスなく、野暮に生きる僕としては、彼らの作品を楽しみながらしつこく生きるのみ。 しかし昔の男はカッコいいな。

ひえーーーー。 「ホット・メニュー!」は彼らのサードアルバムのタイトル。

乾いたあなたに and birthday cake in my examination room

クリニックでまた新しいスタディがはじまる。

高齢男性の認知機能を男性ホルモンが改善することができるのか(動物実験では報告がある)、途中経過を今度の抗加齢医学会に演題申し込みをしているが、10人以上の方を対象に今もオンゴーイングでスタディが動いている。今度のやつは学会まで行くかどうかはわからないがなかなか興味あるやつ。

抗加齢医学会の理事である近大奈良病院皮膚科教授の山田先生の発案によりヘルシーパスが開発したもので、某大手化粧品会社も一部協力している。

まだ全面的に言わない方がいいのかな、肌関係です。しっとり、モチモチになるという、今までのデータではかなりの優れもののやつ。

特に乾燥肌でかゆみのある方が対象で、できれば高齢男性のデータがほしいところですが、若い女性でもモニター歓迎です。

乾燥を何とかしたいという方、ぜひご連絡ください。うちのスタッフも参加するし、安全で手間もかかりません。僕も第1号として今日、肌のサンプルを取った(と言ってもテープを貼って剥がすだけ)。使用前ですね。1か月で効果が出るとのことで楽しみです。

 

で、なんやかんや昼休みもなく午後8時過ぎまで診察していて、後片付け、お疲れさんというところで急に診察室が真っ暗となった。

「なんだなんだ、テロか、地震か、強盗か!」と騒いでいたら蝋燭をつけたケーキが登場した。

昨日が僕の誕生日だったのだが、クリニックが休みだったのでスタッフが今晩祝ってくれたのである。おお、なんと優しい。僕はうちのスタッフとなら誰と結婚してもやっていけると思っているが(向こうは絶対お断りだろう)、ますますそう思うなぁ。

診察室で食べるケーキはうまい。この味を知る人は多くないであろう。 ざまーみろ。ふひゃ。

 

Dogum gunun kutlu olsun !

今日は誕生日でした。

お祝いの言葉をくださった皆さん、有難う。

FB だったり携帯だったり、伝える方法が沢山あるのは便利だなと思ったりする。時々批判的なんだけど。

 

で、この1年のテーマは、「年甲斐もなく!いい加減にしなさい!」です。

この1年でどれくらいこの言葉を言われるか、それに勝負をかける。ハッハッ。

 

自分でも楽しみです。

なぜ&か?すべてに理由があるぞ。

 

知の逆転

今年になってから運動系とは全くオサラバし、ひたすら勉学に励む毎日です。大丈夫かい、オッチャン?

キンドルを買ったこともあり、医学系にとどまらずものすごく読書量が増えた。前年比2.5倍くらいかいな。なんでも大量にやっているとどんどん弾みがついてくる。本当に本を読むのは楽しいなーと思っているのだが、最近の出色はこいつ、「知の逆転」です。サイエンスライターの吉成真由美氏著、NHK出版新書。

インタビュー集だが、このメンバーを見よ!

ダイヤモンド:生物学、生理学、地理学その他、多才!UCLA教授だが「銃・病原菌・鉄」の著者で有名だな。でも読んでない。

チョムスキー:MIT言語学教授、かつ哲学者、社会運動家。NY Timesによれば現存する中でおそらくもっとも重要な知識人。アメリカに対する批判的言動は僕も知っていたけど。

サックス:僕にとっては最も馴染みがある。コロンビア大学神経精神医学教授。著書の「妻を帽子と間違えた男」はよく知られている。でも読んだことない。

ミンスキー:人工知能の専門家。MIT教授。名前のみ聞いたことある。

レイトン:MIT応用数学科教授。初めて聞いた。学内起業で最も成功している人。年商10億ドル。インターネットの超専門家。

ワトソン:おお、DNA二重らせん構造の発見者でノーベル賞受賞者である!著作は読んだことない。

というような、知っている人においては超有名な方々のインタビューなのだが(僕は上記のようにほとんど存じ上げてなかった)、吉成氏ははっきり自分の訊きたいことに的を絞って話を構成しているので散漫でなく大変読みごたえあり。話の目的は「これから我々はどのように生きていけばいいのか?」ということだと思う。人は、社会は、国は、世界は?

 

彼らは全員無宗教、もしくは関係ない生き方をしている。そしてとーぜん悟ったような悲観的な言動はなく、今、これからをワクワクして生きているような感じ。痺れるような言葉満載です。

出だしがこれ。「思い煩うことはない。人生は無意味なのだ」-サマセット・モーム   うーん、やるなぁ。

 

「人生というのは星や岩や炭素原子と同じように、ただそこに存在するというだけのことであって意味など持ち合わせていない。」-ダイヤモンド

「侵略者はいつだって気高い志に燃えている」「インターネットはカルトを生む土壌になる」-チョムスキー

「ダーウィンは原始の男が女を惹きつけるための手段として様々な音を発するようになり、女が良い音を選択したため声や歌が生まれ、言語はその後に発達したと考えている」-サックス

「現在のロボットはチェスには勝てても枕をカバーにいれる程度のことも出来ない。それが福島にロボットを送れなかった理由で30年前と変わっていない」-ミンスキー

「サイバー領域では裾野の方にたくさん競争相手がひしめいているが、頂上の方では敵なしだ。我々は数学をしていてその分野の内容を提供できるところはどこにもない。」-レイトン

「脳と老化とメタボリズムが将来の研究分野。」-ワトソン

ワトソンがDNA構造発見の共同研究者クリックを評した言葉「フランシス・クリックが謙虚な気分でいるところを見たことがない」!!   いかすなぁ。

 

 とても書ききれない。パラッとしただけで、気になった言葉がこれ。帯に「10冊分の情報が詰まっている」とあるが、本当に知らないこと、知った方がいいことがいっぱい書いてある。

でもタイトルの「逆転」はどういう意味だろうねぇ。吉成氏の予想と違ったということだろうか…

 

 

 

血圧計にパンツ

血圧を測ろうとしたら血圧計に派手なパンツが引っかかっていた。

はて?・・・男物のようだが…どなたかお脱ぎになった?

 

な、わきゃない。

これはスタッフの可愛いガールズ達がバレンタインのプレゼントに僕にくれたのである。考えてみると去年はゴルフ用のアンダーパンツだった。「下」と付くものをとりあえずプレゼントしてくれることになっているらしい。何故だか知らぬ。

僕の普段はいているものと比べると地味だが(うそ)、なかなか可愛い。ビビアン・ウエストウッドで小さなハートがいっぱいあって、言葉が書いてある。「I am expensive(僕は高いよ)」とか「Active resistance(積極的抵抗)」とか。 なんのこっちゃ。

 

とりあえず今晩はお風呂で身を清めて(いつもより念入りに)、はいて寝ることにする。

これで来年のバレンタインまでは運がついているに違いない。 Thank you, girls !

 

 

 

栄養療法みっちり研修 in 日本平

抗加齢医学会の抄録を3題だしてそのまま2月の連休は静岡までヘルシーパス主催の勉強会(表題がそのタイトルです)に向かう。ホラーK嬢も一緒である。気がつけば2月は3分の1を過ぎ、PCのモニターを見ているか、Kindleの画面を見ているか!紙の文献を見ているか!!パワーポイントが映し出されている布のスクリーンを見ているか!!!1月後半から仕事以外はずっとこれ!!!! ふと見るゴルフクラブは錆びつき、ウッドには蜘蛛の巣が張っている・・・・

場所は日本平ホテル。「華麗なる一族」のロケが行われて有名なところ。絶景も眺めるだけで朝から晩まで缶詰となる。

ロビーから。富士山が真ん前。

沖縄の平良茂先生の講演である。いわゆる統合医療のエキスパートで、会の内容は彼に教えていただいたエジソンの言葉に語りつくされるだろう。

「将来の医者は薬を出さない。その代り患者に人間の体、食事、病気の原因と予防のことに関心を持たせるようにする」

その通り、これが本道である。ほぼ100年前にこう考えていたエジソンもすごいが、いまだ実践できていない医療もどうなのよー、というところだが、現実的にその方向に動きつつあるのは間違いなく、抗加齢医学が力を持ってきたのもこういう考え方を多くの人が持つようになってきたからだ。

食事やサプリメント、検査値の読み方について、なかなか目から鱗の講義を受ける。いわゆる分子栄養学の領域になる。いろいろな物質の代謝経路に何がどのように作用してどうなるか、納得する。平良先生の作られた多くの代謝経路図は英知てんこ盛りで細かすぎて判読が難しいくらいである。マニアックである。立派。

参加ドクター(歯科医の先生が多い)は北海道から九州までわたっており、追っかけのような方も散見される。確かに染まると癖になる感じがする。僕としてはこの知識をどれだけ患者さんに還元できるか、有効な方法を考えなくてはならない。

帰りはいい天気でそこはかとなく春の気配を感じる。もうすぐ3月だ。デイジーの季節。まぁ、ちょっとゴルフもしよう。

人生1日も働いてません。

時間がぶっ飛んでいく。

この前の連休から(14日だっけ)いろいろあって(産業医の講習とか)今日まで1日まるで休みというのは無かったのだが全然疲れてない。年々疲れなくなってくるみたいで、これは体力がついてきたというわけでは勿論なく、精神的にやり繰りが上手くなっているわけだ。疲労なんて90%精神的疲れだもんね。肉体的なものはぐっすり眠れば回復する。何があっても興味を持ってやればあんまり疲れない。

今日はデイサービスの家族会があった。主として認知症で当院のデイサービスに通われている方のご家族に来ていただき、日頃の悩みや疑問に思っていることなどをスタッフを交えて話し合う。それだけでかなり煮詰まっている方が楽になることもある。

僕は「あなたが認知症にならないために」といった話を20分ほどする。こういうのはパワーポイントを作るので自分の勉強になる。ゆえに僕は製薬会社からとか講演を依頼されるとまず断らない。自分の時間で僕が何をしているかというと音楽を聴いて本を読んでいる程度で、ものによってはパワーポイントを作ってる方が楽しかったりする。

で家族会だが、去年も思ったがスタッフはよく頑張ってるなぁと感心した。構成とかダンチによくなっているし(利用者さんにも来ていただいたのだが、別室で音楽療法をやっているところをライブ中継した)、話しぶりも立派なものだ。任せてよかった。成長しているのがよく判る。院長がボンクラだと育ついい例だ。

で大変いい気持ちで帰途に就く。全然疲れてない。あとは2月までに抗加齢医学会に出す抄録を3編、やっつけるのみ。楽しんで仕事をしていると「人生今まで1日も働いてません」という気持ちになるとある外国人が言っていたが、僕もそれでいきたいな。

準備中

筆談

休みを利用して名古屋までお見舞いに行く。

10何年か会っていない90歳近い叔母さんである。従妹と電話で病態のやり取りをしていたが、かなりきびしいとのことで面会に行った。会わせたい人には連絡した方がいいと言われたと。

でも、意外なくらい回復されていたのである。多分退院できるだろうと思う。生命力強いし。

ICUで挿管状態だったのだが意識はあって、僕を見て必死で何か言おうとしているのだが判らない。チューブが入っているので喋れないのだ。看護婦さんが筆談をしたいのと訊くとうなずいた(今までなかったことだそうだ)。

これが最初に書かれた文です。「変わらずハンサム」。

必死で言うことじゃないよ。でもしっかりしてるじゃないの・・・、眼も頭も大丈夫ね。

これで回復を確信した。

・・・でもでっかいマスクをしていたから顔はあまり見えなかったと思うんだけどねぇ。

デイジー3。家宝にします。

書き初めじゃなくって・・・

デイジー2。

昨年、スタッフと僕とで吉本の講演をうった忘年会、そこで一人の方とお知り合いになった。

以前大阪で働かれていた某社のMRの方で、僕のクリニックの近くはよく通ってましたと懐かしそうに話されて名刺交換をしたのだが、彼から昨年末に1枚の書が届いた。



これは僕の名前であるが(名は体を現すという見本みたいな名前じゃね、ハッハッハッ!)、よく見るとこの漢字はひらがなを組み合わせて作ってあるのだ。

そのひらがなを読むと「いし りんしょう いのち」つまり「医師臨床命」じゃね。

はっはっー、恐れ多くて思わず椅子から転がり落ち、ついで土下座をしてしまったが、これは今年の僕の進むべき道を表している。

臨床、つまり患者さんを診る、治療する、現場最前線が生きる道であると。仕事上いろいろやりたいこと、興味もあろうがそこから離れるなっ、と。

はっはっー、承りました。Mさん、どうも有り難うね。