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桜のように生きるとは

 桜も今週限りだな。

 近くの夙川は桜並木で有名で、この日曜日は周辺大渋滞をきたしていた。桜は日本っぽい。はかなく、潔く、諦めよく。典型的日本人の気持にフィットする美学を体現しているようだ。

 僕が抗加齢医学に興味があると知ると、「年相応に枯れることこそ美学、ジタバタしなさんな」というお言葉を必ず誰かからいただく。了解。だけど抗加齢医学は予防医学、転ばぬ先の杖であって、目指すのはバタッと逝く直前まで元気いっぱいでいるというコンディション作りなのである。意味なく長寿ではなく、美しく生きて突然散ってという、まさに桜のような生き方を目指しているんだけどな。

 問題は散るまでをいかに元気でいくかということで、これはトレーニングが必要でほっといてうまくいくわけがない。外来でお会いするイキイキしている方が何もしない人であることはまずない。言わないだけで殆どの方が工夫しているのである。ある部分はまずストイック、昨日書いたキャスリン・ビグロー監督のように。

 ストイックに生きて美しくさっと散る、桜のように生きることが実は抗加齢の実践なのであった。

 

 

キャスリン・ビグロー

 おおっ!なんて時は早く過ぎ去るのだろぅ!前回坊さんのようなことを書いてからもう5日も過ぎた。つまりは時間の使い方が悪い。

 で、キャスリン・ビグロー監督である。彼女が「ハートロッカー」でアカデミー賞を貰ったときの写真を見て感銘を受ける。

 美しい!58歳!?ウソでしょう?

 15年以上前に「ブルー・スティール」という彼女の監督した映画を見て(女性警官の話です)、その紹介の記事にサングラスをかけた写真が載っていた。カッコよかった。その後、ジェームス・キャメロン監督と結婚し、離婚し、久し振りに風貌を拝見したが美しさに凄みが加わっていた。こうでなくっちゃいけない。

 「アバター」でボロ負けした元夫のキャメロン監督は、お祝いのスピーチで「結婚していたとき、彼女は主張を曲げない暴走タイプでよく僕とぶつかったんだ。でお祝いとしてプリウスを贈ることにしたよ」(オイオイ)とこじゃれたことを言って大うけしていましたが、結婚生活でも彼女はきっと怖かったでしょうね。映画通である外来スタッフのT・ゲンズブール嬢(勿論愛称)は「彼女は男ですよ、怖いですよー」と言ってましたがさもあらん。作る映画といい、風貌の迫力といい、ナヨナヨしたステレオタイプの女らしさは微塵もございません。で、ぼくはそんな女性が割りと好きなのである。

 オスカーを掲げた写真はウエスト回りがほんのちょっと58歳を感じさせますが、それよりも美貌、若さ、意志の強さが前面に出ています。ボーと時間を過ごしていたらこれは出来ない。かなり克己心、自己抑制の強い、ストイックなところがあると思います。

 輝く女性であるキャスリン・ビグロー監督を見、男の時間の使い方について思いを馳せるのでした。

  

凄み抜きの写真です。

無財の七施

 今日、本を読んでいたら「無財の七施」という言葉に当たった。

 ギブ&テイクという言葉があるが、大事なのはテイクを期待しないでもギブすることだと思います。でこれは仏教の言葉で、地位や財産がなくても、誰もがいつでも容易にできる布施の行,それが「無財の七施」です。

【1】眼施(げんせ):慈しみに満ちた優しい眼差しで全てに接することをいいます。

【2】和顔施(わがんせ):いつも和やかで穏やかな顔つきで人に接することです。

【3】言辞施(ごんじせ):優しい言葉、思いやりある態度で言葉を交わす行いをいいます。

【4】身施(しんせ):少しでも世のため、人のためになることを思いついたら、損得を抜きにしてすぐに身をもって行動することです。

【5】心施(しんせ):他のために心を配り、心底から共に喜び共に悲しむことができ、他の痛みや苦しみを自らのものとして感じ取れる心を持つこと。

【6】床座施(しょうざせ):電車のシルバーシートは勿論の事ですが、自分が疲れていても喜んで席を譲る行為。また、競争相手にさえも自分の地位を譲って悔いなく過ごせることをいいます。

【7】房舎施(ぼうしゃせ):簡単に言えば自宅を皆に貸し与えなさい!ということ、雨露をしのぐ場を提供するということを敷衍(ふえん)しての、「自分が多少濡れても、相手に雨がかからないように傘を差しかけてあげる」ということです。

 おお、なんと素晴らしい。今からでも実行できる。簡単そうで、でもちゃんとするにはものすごく難しいかもしれないけど。でもやるぞ!と心に決めればきっと今日とは違う明日が訪れそうです。グッド・ラック!

やる気でやればね。

 

Boy's Day

 明日から連休。

 朝の高速、神戸方面に向かう下り車線は朝の7時から大渋滞であった。休み前は大概そうだ。おお、混む休日でも遊びに出かけるタフで幸福なファミリー達よ。僕は全く無関係に仕事場へ向かう。

 ところで医療機関は女性の職場である。男性の数は僕の法人でも2割弱で、外来は僕だけだし、本部でも2人だけ、他は全部優秀な女性たち。しかし今日は本部の女性達がみんな出張や振り替え休日でおらず、ボーイズ・デイとなった。遠慮なくM君と悪口を言う、というのはウソで寂しさを慰めあう。で特別なことは何もおこらない。

 外来はスムースに終了し、久しぶりに蒲生4丁目のインド料理店、「Rani」に一緒に行く。相変わらずタンドリチキンがおいしい。本日のカレーはマトン。

 帰ってきて来週木曜日にある「なにわNSTクラブ」(最近雑誌の取材を受けて僕も少し出ています)での発表の仕込みをする。20分の予定でまだほとんど何も出来ていないが、大体の骨子は固まったので後は連休に賭けることにする。こういうのは頭で考えなくても間に合うように身体が自然に動くので、まあ大丈夫なのであろう。

 夕方から1階のプリシジョン・スタジオでランニングマシーンを使って30分の速歩と30分のパワーリハをする。パワーリハの登録患者さん数がかなり増えてきたが、自分でやってみると当然だと思う。これを週3回続けているのと、何もしないでテレビを見ているのでは、1年後メジャーと草野球くらいの差がつくだろう。今「脳を鍛えるには運動しかない!」という凄いタイトルの本を読んでいるが、内容も凄くよくて大いに運動するモチベーションをかき立てられる。エクセサイズ・オワ・ダイ!です。

 午後6時にクリニックを出る。M君は「ケア・タワー」での会議に行った。お疲れ様です、みんな。車に乗り込むと外気温は21℃。久しぶりにオープンで帰る。今年2度目かなぁ。

 BGMは「Stoned Green Apples」という日本のティーンエージャーの女の子2人組のヘタウマバンド。綺麗な若い女の子たちの笑い声というのはこの世で最強という気がします。明日から2日間はずっとたまった仕事をすることになるが、まぁなんとなく嬉しい。皆様、よい休日を。

明るく見えるけどすでに夕闇です。

 

屋外の蘭

 知り合いのおじさんが言った。

 

 「外に出していた蘭がちゃんと咲いとる」

 「蘭って大概家の中で育てませんか?」

 「普通わな。俺も全部出しとるわけではない。丈夫なやつだけや(名前は忘れた)。せやけどちゃんと咲いとる。過酷な条件やと花も必死になって子孫を残そうと頑張るんや。甘やかしたらあかん。子供といっしょや。」

 「確かに荒地で育てた果物のほうが甘くなるみたいですよね。」

 

 最近僕の年代で引退するやつが出てきた。同世代と話しても、今からうってでようとするやつはなく、いかに守りに入るか、今ではないにしても先はこの方向でというニュアンスが多い。

 今当法人は期末でもあり若干の人事の入れ替えが起こっており、部署により負担が増えているところがある。僕も(ちゃんとやりたいことをするとすると)自分のやるべきことが増え、ほんのちょっとブルー?

 朝、外来の掃除も人数が少なくなっているので声をかけに早朝のぞくと、O嬢、I嬢が元気に笑いながらやっていた。その後M君はじめいつもの元気でご機嫌なメンバーと会っているうちに突然スイッチが入る。

 僕はみんなにいろいろやっていただくには50年ほど早いようだ。生涯1切込み隊長でいるべし。

 毎日4時間半の睡眠で勉強する人、狂うほど仕事をすると言い切る人、人材に溢れており、隊長である僕が隠居よろしく世話を焼いていただくわけにはいかない。屋外の蘭、Orchids outside でいるべし。そう思うだけで元気になってくる(でもちょっとは焼いてね・・・うそっ。焼かれすぎてすでに黒焦げという話である)。

勉強会、キラーストリート

 今日は「第9回今更訊けないこんなことミーティング」がコープ大阪病院でありました。

 演者は院長の向井明彦先生で、「リウマチ、膠原病」の話題です。リウマチ、膠原病というのは専門医の先生にどれくらいの段階で御紹介すればいいのか結構微妙な疾患であって、このような機会でもないと細かいことは訊けません。

 向井先生がおっしゃっていたのですが、リウマチ、膠原病は急な進行をする疾患ではなく経過をみながらいろいろ悩んで治療をしていくものなので専門のドクターも慎重で心優しい人が多い(僕の専門である循環器ではまず出ない発言じゃわい)とのこと。先生自身もその通りの方でした。1時間にわたって丁寧に作られたパワーポイントで有益な講義をして戴き、個人的には大変満足しました。有難う御座いました。

 薬会社さんが企画したものでなく医者の中からの希望で始った会が9回も続いたか・・・快くスポンサーになり続けてくださっているN社、そして肌寒い土曜の午後に集まってくださった先生方に心より感謝いたします。

 会が終わりボンヤリと薄日のさす中を車で帰る。午後6時ですがまだ外は明るい。BGMにサザンの「キラーストリート」を聴く。「夏」「海」という単語を桑田圭祐選手がチャーミングな曲の中で連呼している。空気の中に夏の欠片が混じりこんでいるような気がして、心の奥底より切実に夏を渇望した。

ゆらゆらと沈む春の陽

3毒

 この世の3毒とは何か?

 「これだけで何でもよくなる」「これはなんにでも効く」といった類のセリフを案外よく聞く。これは勿論すべてウソである。One fits all というのはほとんどない。

 世の中を渡っていく上での原則というのもいくつかあるが、こいつも然り。すべての人に当てはまるわけではない。しかしながらごく稀に、オールマイティ、万人に効くというのはあって、その一つがこの3毒を避けるということである。

 3毒?銀である。GIN。これは覚えやすいように僕が頭文字を適当に並べて「銀」にした。勝間和代氏が話していたのを覚えていたのだ。彼女はこの世の3毒を「妬む」「怒る」「愚痴る」と言った。N.I.G.を覚えやすいように並べ替え。

 確かに3毒である。浴びるのもかなわんが、この毒を体内に生成していたら間違いなく人相が悪くなり、幸運は逃げ、淋しい人生を送ることになりそうだ。

 「誉める」「笑う」「前向きに考える」はこの逆。字面からして明るい。この3薬は頭文字で覚えなくても自然に出てこそ大人である。よろしいか。(これは一部を今日の朝礼で言った。Gの愚痴るがなかなか出なくて恥をかいたが。トホホ。)

GINに満ちた男

BUSYでした。

 先週の金曜日は日本循環器学会総会が京都で開かれており、お昼の時間を利用して出かけました。

 京阪電車に乗り、三条で地下鉄に乗り換え、宝ヶ池の国際会議場へ。昔友人が京都にいて結構よく出かけていました。そのせいかすごく親しい感じがします。可能であれば住んでみたい街の第1候補である。

 丸太町とか烏丸とか風情のある町名と、微妙に大阪、神戸と違う風の匂いを楽しんでいると突然声をかけられました。びっくり!パワーリハビリテーションを利用されているNさん親子でした。

 彼は30代ですが脳血管疾患で片麻痺があります。努力家で自分で身体の仕組みとかよく勉強されており、パワーリハビリテーションの研修会でもモデルをかって出たりしてくださいました。彼がお母様と一緒に北野天満宮に梅を見に行く途中だったのです。行動範囲の広さにとても嬉しく思いました。リハビリテーションの甲斐があるというものであります。

左は参加登録所。去年の失敗から学んだと思われる。

  

 翌日の土曜日は休診にして東京の第9回パワーリハビリテーション学術大会へ。スタッフのM君が「パワーリハビリテーション中止後の身体精神的変化」のタイトルで発表があります。うちのクリニックは5回続けての発表。

 僕は鹿児島の加倉先生の「パワーリハでパワフルエイジング」という基調講演の座長をさせていただいたのですが、コメントで竹内教授が最近熱心にパワーリハをご自分でされていて(来年古稀になられます)、白髪が黒くなってきた、手の老人班が薄くなってきたと話されておられました。

 うむ、僕もやらなくっちゃ。君は最近なんの運動をやっているのと尋ねられ、ゴルフしかやってませんと答えると、もうちょっとシリアスなエクセサイズをやりなさいとシビアなコメントも戴いたことだし。ということで日曜の夕方に雨の大阪空港に到着。まぁ忙しい金土日であったよ。

熱弁をふるうM君。十分合格でした。

50 Dreams

 木曜日は早く終わるので近くの書店による。

 チラチラとみて買った雑誌「GOETHE」に「死ぬまでに果たしたい夢:50歳からの人生50のリスト」というのがあった。自ら生涯を通じてかなえたい夢を書き出すというのは実現へ1歩近づくということだ。しかし50ってのは結構考えでがあるぞ。50歳になる何人かの人の夢。

 小山薫堂氏:自分の名前のついた定食を近所の食堂に加える、どんな小さな国でもいいので、国家元首とメール友達になる(悩みを打ち明けたりして。彼がお忍びで東京に来たときは僕が案内してあげる)、大学よりも入るのが難しい学生寮を作る(彼は大学で教えている)・・・。

 佐藤優氏:琉球語を完全にマスターしたい。アルバニア語を読めるようになる。サンスクリット語を読めるようになる。ベルラーシ語の文法を習得。ソルブ語の文法を習得・・・以下略(延々と僕の知らない言葉を習得したいという文章が続く)。

 香山リカ氏:スノーボードに挑戦する。ジョン・ローンに会う。ピアスの穴を開ける。プロレス団体を作る。精神科医をやめる(「人を助けた!」という実感の得られる「ER救急救命室」の世界にあこがれる。救急医になってみたい)とのこと。非常によくわかる・・・。

 見城徹氏:ボクシングの試合に出る。地中海クルーズをしながら坂本龍一の全作品を聴く。自分のラグビーチームを作る。「植村ふみ」という女性に会いたい(大学の時に憧れの人だったそうです)。静岡県知事になって海岸線を南仏海岸のようにしたい。1年間誰の悪口も言わないで過ごす・・・。

 まあ人それぞれ。僕は何か?

 外来では一人30分くらいかけて総てをカバーする本当のかかりつけ医として仕事をする(これで食べていければね・・・)。毎日1時間は自分の身体つくりに時間をとる(実は本当に大事なんだ!)。週の半分は自分で好きなものを料理して食べる(料理は今一番やりたいことでもある)。うーん、なんだ、案外あるぞ。発表するのも恥ずかしいからここでやめるけど、50個完成させよう。勿論あなたもどうぞ。

これはモンクスドリーム

希望のアイコン

 今日は完全に春でしたねー。いや初夏の匂いさえしました。どうなってんの。

 愛犬を連れてフラフラと彷徨い出る。梅が咲いています。地味です。木もちっさいし。匂いもしません。これを愛でることのできる人ってやはり達人だなぁと思います。とてもその細やかさは私にはない。

 これはくらーい冬がそろそろ終わるという期待感とリンクしているのだろうなぁ。希望のアイコンなのであろう。

 いずれにしろ希望のアイコンが方々に見られます。へこたれてる暇無いで!人生は自分で楽しく作っていかないとね!