カテゴリー別アーカイブ: 医学

適度?

 「適度な運動をしてくださいね」。まあよく言う台詞だが、適度ってどんだけだ?昨年発表された文献から。

 米サンディエゴ州立大学のSimon J. Marshall氏らによる研究では、女性58人、男性39人(平均32歳)にランニングマシン(トレッドミル)上で歩行してもらい、エネルギー消費を測定することにより、どの程度の運動が「適度」の範囲に入るのかを判定した。その結果、適度な運動とは男性で1分間に92~102歩、女性では1分間に91~115歩に相当することがわかった。これは「バスに乗り遅れそうになって急いでいるくらいの速さ。のんびりした歩きではなく、きびきびした歩き」だという。研究グループは、1,000歩の歩行を1日に3回、週5日実施すれば米国の運動ガイドラインを満たすことができると述べている。この基準値に満たなくてもウォーキングは心血管に多少の利益をもたらすが、心疾患やその他の合併症のリスクを軽減するには、30分の適度な運動が重要だとMarshall氏はいう。一文(full sentence)を途切れずに話すことのできるペースが「適度」な運動の目安となるとのこと。

 1日に30分、3000歩歩く。1歩は大体80cmくらいだから2.4km。大体時速5kmくらいで歩くことになると思うけど、まあちょっと早いくらい、確かに話すことが可能でバスに遅れないくらいの感じであるな。よく健康のために歩いている人は多いが、チンタラ歩くのじゃなくこういう感じで歩きましょう。科学的に証明されたわけだし。

 歩行速度は大事で、高齢になると速いほど寿命が長いという統計がある。普段も早足で。大体歩くに限らずきびきびしてるってことだよな、大事なのは。

 

しかし僕は殆どMBTシューズはいてるな。

ノー・アルコール

 今日は引きこもりである。日曜日は引きこもり。昔とえらい違いだよ(といっても愛犬の散歩に1時間ばかりアップダウンの急な道を早足で歩くことはした)。以前は何も予定の無い日曜日はお昼からビールを飲んだりしていました。これぞ極楽と思って。最近は全く欲しくない。
 えれぇ変わったものです。人間の嗜好って結構いい加減かもしれない。好き嫌いは案外簡単に変わる事は知っていますが。

 新聞にWHO(世界保健機構)がアルコールの販売や広告の規制を求める指針案を採択したと載っていました。名前は「アルコールの有害な使用を減らす世界戦略」。おお、世界戦略である。アルコールは年250万人の死にかかわると、タバコ追放に目処がついたのでアルコールに焦点をあててきたわけです。

 先週の日曜日、産業医の講習会があったのですが、一つの講義は「多量飲酒者への対応ー職場でのアルコール関連問題」でした。
 
それによると、アルコールは60以上の病気の原因であり、病気による社会的損失をきたす原因の第3位(1位は高血圧、2位はタバコ)。飲酒で治療の対象と なるのは「不適切な飲酒とわかりつつそれを適切な飲酒行動に変えられないで、自他にとって不利益な飲酒を繰り返す人」。

 アルコール依存の自己診断もあって
 ①お酒を減らさなければならないと思ったことがある。 ②お酒が原因で非難されたことがある。 ③飲酒の後、罪悪感を持ったことがある。④迎え酒をしたことある。・・・・2項目以上イエスだと専門医へ行った方がいい。
 (しかしこれって結構ありそうな。もっと詳しいやつがあり、そっちで判定した方がよさそうす)

 アルコールは日本の場合は特に社会的に許容度が高く、あまり大きなことだと思っていない、本人も自分はアルコール依存じゃないと思っていることが多く、そこらへんが問題のようです。アルコール依存は個人で治すことがなかなか困難で、グループ治療でないと困難な場合も多いとの事。

 一緒に講義を受けていたalfista君は、「うーむ、大丈夫かなぁ・・・」とちょっと真剣に考えてました。彼はかなりのワイン好きです。
 ・・・・更正してくれることを望みます。
 
 僕はタバコもアルコールも結構嗜んでいたのですが、別に健康のことを考えたわけじゃなく、走れない、ちょっと仕事が間に合わないとか自分の優先事項を考えて自然に止めてしまいました。意志が強いわけじゃなく(というより弱いと自信をもって言える)、まぁ身体にあってなかったんだろうなぁ。タバコもアルコールも好きで止められない人の気持ちは理解できるので、仕事上禁煙、節酒を勧めますが、強引には出来ないところがある。

 しかし、タバコは止めましょう。アルコールもあなたが大丈夫と思ってる半分くらい量でね。

トホホ、の人も多いであろう。

 

癒着!?

 全然話題になってないのですが、13日の夕刊に「新型インフル: WHOに癒着疑惑、製薬会社と流行扇動」の見出しが。

 世界保健機構(WHO)のあるグループが製薬会社と癒着していると、欧州会議保健衛生委員会委員長が「虚偽のパンデミック」との動議を提起。詳しいことは記事から判らないのですが、各国がワクチンを大量に調達したが、その理由のひとつはWHOが「2回接種が必要」とのステートメントを出したことであり、現在多くの国で大量にあまっていることからいろいろ批判が起こっているらしい。ワクチンを製造したメーカーとの関係が怪しい?

 実は今日本でも大量に余る可能性が指摘されています。しかも輸入ものが全くはけないと考えられ、購入費1200億円(勿論税金であります)は無駄に終わるかも。ワクチンうつ前に流行がピークになったとかいろいろな因子がありますが、接種回数に関しては確かに二転三転しており、WHOが何らかの意図を持って回数を最初に出したとしたらこれはかなり問題。

 世の中でかなり大きな問題になっていることの裏には、こういったお金儲けの悪巧みが隠れていること(普天間基地なんかもね)はざらにある。悲しいことである。

 昔僕のボスであった某教授はあまり人を信用しない人で、何かといえばその証拠を出せと誰彼なく言うので、僕は人を信じられない人はいやだなーとちょっと嫌いだったのですが、実はそれこそ科学者の正しい態度であったのだと今更ながらに思う。

 個人的な関係においては、人は無条件に信ずべきだと思います。しかし社会的な出来事に対する権力からの指示は、まず眉唾がファースト・アクションだな。そうしよう。悲しいことだが。

疑惑の紋章?

栄養・介護セミナー

 外来が終わってから第6回大阪市立大学栄養・介護セミナーに行ってきました。

 

なにわNST倶楽部という市立医療センター消化器外科の西口先生を代表とした患者さんの栄養管理について勉強しているグループがあるのですが、僕はそこの重鎮であるJT病院TQM推進室のTさん、SN病院のTさんに誘われて参加したことが間違いの始まりで、何回か顔を出しているうちに今回のセミナーの第2部のパネルディスカッションにパネラーとして出ることになってしまいました。

 

タイトルは「栄養と介護の接点」。緩和ケアの際の栄養療法に焦点を絞り、医療と介護、病院とクリニックの連携について討論というわけで僕は開業医の立場で話すことになりました。

 

実はなにわNST倶楽部の例会でもパネラーとして話したことがあり、その時分かったのですが、僕はあまり他人の立場を考えず自分のいいたいことだけを言うという、普段の紳士的な物腰からは考えられない姿勢がこういった席では出るようで、多分そういうところが面白がられたのであろうというご指名でした。

 

ま、結果は思ったとおり自分のいいたいことを言ったわけで、病診連携といっても患者さんが退院し在宅に移った段階で主治医は完全に病院主治医から開業医にチェンジし、在宅の間、両者のコミュニケーションはゼロに等しいことや、チームとして医療介護の良好な関係を築くには、ITでも何でも使って顔の見える関係を構築することetc,感じていることを話させていただきました。会の終わった後で医療センターの細井雅之先生(僕は大ファンなのです)が「先生の言うとおり!」とニコニコしながら言っていただいたのでホッとしましたが。

 

時間の無いせいもあって司会のO先生やTさんは大変だったのですが、もう少し前向きな結論を出さないと、問題点が一部分っただけ(しかもみんな思っているから確認しただけ)では漫談を聞きに来ただけになったんじゃないかいね。正直目指す方向が、浅学菲才な僕には分りませんでした。第1部の白澤政和先生の講演「高齢者介護の現状と今後の展望」は面白かっただろうから(打ち合わせのため聞けず)まけていただいて次回に期待というとこで。

 

こういった会に来られているパラ・メディカルの方(聴衆の9割以上がそう)の熱心さ、まじめさにはいつも感動してしまう。参加してくれた当院の4人にもサンキュー!私は自戒の意も込め、頑張って勉強しますです。

 

 

男と女の間には・・・

 10年位前からだろうか、医学において男女は同じでなく性差を考えるべきだということが一般化してきて、統計の取り方や治療などにも影響を与えています。

 

男女固有の疾病に関しては当然ですが、あまり機序において男女差は関係ないでしょというような疾病でも時に男女差あり、例えば過敏性大腸炎で男性だけに統計的に有意差があったので(理由は不明)保険適応も男性だけになっている薬があったりね。欝傾向でも女性の場合は生理周期を考えて投薬すべきという意見があります。

 

おんなじ人間でも男と女はそんなに違うのでしょうか?

 

この話題は私の経験によると男同士で話すとかなり盛り上がるホット・イシューです。女の人同士は知らない。男女一緒にやるとなんか修羅場になりそうです。若い男子2人と飯を食いに行ったとき、その一人は結婚するか今まさに悩んでいるところだったのですが、この話題で盛り上がることガスタンクの爆発の如し。3時間それだけで燃焼、タイムアップでしたがそれでも不完全燃焼気味。

 

この前昔の医局仲間と飯を食ったとき、大半は開業医で多くの女性スタッフと共同作業をしているわけですが、そのコミュニケーションのとり方に関してはみんな悩んでいるとのこと。一人は「女性は男と別の生き物、理解しあうのは無理なのよ同盟」の盟主です(その後泥酔した)。僕は皆様の努力のおかげで大変いいスタッフに恵まれており、「俺は外来スタッフのほとんどとは、付き合ってもいいと思ってるくらい好きだけど(勿論本気で言っているわけではありません)・・・」と言ったとき、みんなの「へっー!」という言葉の裏には「気が狂っている・・・(前からだけど)」「自己認識悪し」「御目出度いやつだぜ」etcのニュアンスを明確に感じました。まあそれ位苦労しているわけだ。あっ、女性の悪口じゃありませんよ。関係性のとり方についてで、その苦労話に関しては男同士で盛り上がる。

 

でもとりあえず男女差は大きいようです。しかしこの世に生きている限り異性との交渉は不可欠。各々の相違点を認識しながらも仲良くやっていく努力を楽しくできたらいいなと思います。聖書とは違い生物学的には男は女から作られたんだし、日本は元々女系民族だし、失敗作も男の方が圧倒的に多いし、男はつらいよ、ってとこなので女性の方、そこんとこヨロシクッ!ね。

 

Go hand in hand

ハードデイズ・ナイト

 眠てぇ・・・。先週はかなり忙しかった。最初から午前診と午後診の間、診察終了後も全部講義やらミーティングやらで詰まっていて悪い予感がしていたのだが、外来自体インフルエンザもピークは過ぎたものの依然忙しくて時間が割り込み、大体113時間、休憩は飯食いながらの20分だけというスケジュールが続きました。睡眠時間は何とか死守していましたが。

 

 睡眠時間が16時間を割り込むと僕のOSWindows 95なみになる。ソフトは全然動きません。まあもともとXPまでいってませんが。

 

 緊張か疲れか下痢は止まらず頭は痛い、足は痛い、毛も薄くなるは腹は出るは爪は取れるは歯が生えるは・・・

 

 土曜日も外来終了後北野病院であった「地域包括呼吸ケアを考える会」というのに出たのですが段々意識が薄れていく・・・

 

 その後大学病院時代の実験グループで年に4回やっている恒例の食事会に参加したのですが全く酒が飲めず、フレンチも水で食し(実は最近時々やっている、グルメの方には噴飯物ですが)、その後泥酔した友人を車で神戸まで送り届け、真夜中になってやっとベッドにたどり着きました。・・・嬉しくて涙が出ました。

 

 で、今日は割りと元気です。疲労でああなるわけが無く、やはりちょっと風邪をひいていたか?医者、特に内科医は慢性的にウイルスや細菌にさらされており、抗体が多種形成されているためめったに風邪をひきません。それでも昨今の風邪の多さだと自分を守るために免疫機構が常に発動しており、免疫が働いている状態というのは眠くだるくなるのです。

 

 医者の平均寿命は10歳短いと医者の間では長く言い伝えられてきて、特に外科医、産婦人科医はお相撲さんより短命と言われていました。しかし事実かどうかは分りません。少し調べてみたら、京都府医師会の統計で男女差無く会員の寿命統計を調べたものがありやはり56歳短い。2003年の中国の統計では平均より3歳短かったそうです。医者でもあるなだ・いなだ氏は医者の健康法について聞かれ「簡単だよ。医者を止めることだ」と答えた。

 

 仕事ばっかりしているから短命だというわけではないでしょう。リスクが高いことやかなり不摂生もやってたりする。しかし医者は「やたら健康!」というのが本来「看板に偽りなし!」ですよね。医者が自分の健康に不安になって電話するホットライン医者110番もあるようですが、ここは自給自足でいきたい。やらなくてはならない仕事はまだたまってるのですがもう寝よう。

 

 

冬枯れてます・・・

 

漢方事件

 僕のメールボックスには医学関係ニュースが入ってきますが、次の内容を見てびっくり。

 

1111日(水)の行政刷新会議事業仕分け作業の結果、一般用薬類似医薬品
OTC類似薬)(漢方・ビタミン・湿布薬・うがい薬)を保険給付からはずすという財務省案にワーキング・グループ15名のうち11名が賛成しました。

 

 全然知らんぞ、そんなこと。漢方薬は日常的に有効な医薬品として臨床に使われています。医学関係者にはビックリするような荒っぽい結論ですがみんな知っているのでしょうか?ビタミンだって治療に不可欠な病態があります。どういう訳かこんな大事なことが全く報道されず(うーん、裏がある感じ、ありあり)、報道したのは薬事日報という薬剤師さんが対象の新聞だけでした。


【ツムラ・芳井社長】漢方薬の保険外しに反発「事業仕分け」の結論を一蹴
 ツムラの芳井順一社長は12日、都内で開いた中間決算説明会で、内閣府の行政刷新会議が実施した「事業仕分け」を受け、漢方薬等の市販品類似薬を保険適用外とする方向性で結論が下されたことに関し、「漢方医学の現状を知らない人たちの議論。なぜこういうことになるのか分からない」と強く反発。民主党のマニフェストで、漢方医学を取り上げている矛盾を指摘し、「明らかにマニフェストと違う方針であり、漢方医学を知らない人だけの議論で、保険適用外の話が進められるはずがない」と一蹴した。 薬事日報(20091113日)

 この記事はまだまだ続くのですが、漢方薬は日本中のほとんどの大学病院で採用されており、病態によってはファースト・チョイスに近いものもあります。非常に無謀で、こんな調子では他の仕分けでも大事なことが落とされているのではないかと不安になるね。特に問題なのは、おそらくこの決定は覆るだろうという理由のひとつに、「参院選を控え漢方を常用することの多い高齢者の反発を招きかねないため」とあり、まったくオイオイです。

 

 自民党敗戦の時、あきれたのは、「この人が党の代表では選挙に負ける」というのが議員さんの主たる気持ちであり、この人では日本国民が幸せになれないという視点が全く無かったことでした。国民じゃなく自分が大事。選挙が大事。民主党もそうなのかな。期待してるんですけどね。

 

 マスコミの偏向には何も言うことなし。事実がきちんと報道されるということは極めてまれで、常に何らかの操作が加わっているという印象があります。悲しいなぁ。

 

 (常に隠されている)真実はどこに?

 

うーん

 

 

プールと洗眼

 日頃運動としてプールに行っている人は結構いるだろう。また水泳教室にお子さんを行かしている人も結構いる。そんな方々のためにちょっとした話題を。

「日経メディカル」最新号から。

 

学校などではプール水泳後に感染や塩素による眼障害を防ぐため洗眼を勧めているが、水道水洗眼は角膜を傷害し、眼保護にはゴーグルを着用することが望ましいことが慶應大学眼科グループの研究で分かった(第63日本臨床眼科学会)。

 63人の健常被験者をゴーグル装着群と非装着群に無作為で分け、さらに各群を(1)水泳後に水道水で洗眼(2)生理食塩水で洗眼(3)洗眼せず──の3群に分けた。1時間の水泳前後で、視力、眼圧のほか、生体染色、アンテリオールフルオロメトリー(AF)などの検査を行った。

 その結果、ゴーグル非装着群では、水泳直後の生体染色スコアとAF値が、水泳前に比べて有意に増加しており、角膜上皮の障害が示唆された。また、生体共焦点顕微鏡検査の所見でも角膜上皮の表層細胞が脱落していた。一方、ゴーグル装着群では水泳前後での所見の変化はなかった。

 さらに水泳後の洗眼について、各群で比較したところ、ゴーグル装着群、非装着群ともに角膜障害の程度に関して有意差はなかった。だが、ゴーグルを装着して水泳後に水道水での洗眼を行った群の中で、生体染色スコアおよびAF値が著しく増加していた人が2人おり、水道水でも眼表面の障害が起きる場合があることが示唆された。感染は認められなかった。

 

とりあえずプールで泳ぐときはゴーグルをしましょう。水道水での洗眼はダメ。生理食塩水での洗眼と洗眼なしは、角膜への悪影響はなかったようである。

 

塩素は結構アレルギーを惹起する。僕は一時プールによく行っていた時、アレルギー性鼻炎になったことがある。また塩素は元来無味無臭であり、特有の匂いを発しているときは(プールに行くとほとんどそうだけど)、既に汚物と反応しているのである。おぉ、なんてこったい!

 

ぐっとプールに行く気のなくなる話だが、捜せば塩素消毒でない無臭のプールがある。そこでゴーグルをして泳ぐのが一番安全。手間のかかることではある。まぁ目下のところ、僕は打ちっぱなしの方に行ってしまうけどね。

 

こういうプールもある(らしい)

鍼灸礼賛

「緩和ケア研修会」は無事終わった。いろいろ得ることが多く、参加してよかったと素直に思えるのだが、1つの収穫は、鍼灸が呼吸器リハビリテーションに使用されているということを知ったということである。

 

 グループミーティングの時、癌末期の患者さんの痛みをとる手段として鍼灸はどうでしょうかと僕が話していたら、「鍼灸ね、それはいい。うちでもCOPD(慢性閉塞性肺疾患。タバコが主たる原因で年月が経つと呼吸困難が出てくる。これから患者さんが大変多くなると予想されている)の患者さんにやってもらっていて、すごーく良くなるよ」と呼吸器センターのF先生がおっしゃったのである。

「それは呼吸筋がリラックスするからですか?」

「多分ね。本当にすごく良くなるのでもっと(鍼灸師さんに)来て欲しいんだけど」

「!!!」

 

 僕がアキレス腱を切って、それに伴う股関節の障害等でちゃんと歩くのもしんどい、となってから久しいが、最近目覚しく改善してきたのは、それはひとえに鍼灸のおかげであると断言できる。いろいろ人のやりそうなことは試してきたのだが、うちの鍼灸院のH先生の施術を一度受けてこれに賭けようと思い、週に3回は施術していただくという贅沢な、しかし切実な絨緞爆撃作戦の結果、間違いなくADLが向上したのである。来年からジョギングを再開するという目標に手が届きそうな感じまで来たと思う。

 

 おまけに実験的に顔針(顔の周辺にひまわりのように刺す。針が細いので全く痛くない)もしているのだが、どうも白髪まで少なくなったような気がする。ぼくが30年近くお世話になっている散髪屋で「白髪減ってない?」と言うと「いやー、やっぱりそうやね。少なくなったなと思っててん。一時多かったけどね」という返答であった。リップサービスかもしれないが本人の印象もそうなんだな。

 

 鍼灸は副交感神経刺激作用があり、刺入部位のみならず四肢末梢の血流量も増加することが証明されている。筋肉の弛緩効果もあいまって毛根部の血流増加がおこってそうなったのか。そういえば最近あまり疲れないけど、交感神経過緊張があまり起こらないせいかもしれないな。

 

 というわけで薬も使わないで、刺激により体内の化学工場をドライブする鍼灸は相当お勧めです。どの鍼灸師の先生がやっても一緒とは思わないけど。また怖がっている人には言っとくけど痛くない。考えていると来年の抗加齢医学会に向けて鍼灸のデータを取るアイデアも出てきた。乞うご期待というところです。

 

 

 

そう、そう。

緩和ケア研修会

今日は土曜日ですが、休診にして研修会に行ってきました。「大阪きた緩和ケア研修会」。緩和ケアとは、主として末期の癌により耐えられない痛みや精神的苦しみを感じている患者さんを救うための医療介護的なスキルをいいます。

 

2007年、国のがん対策推進基本計画で「全てのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについて基本的な知識を習得する」ことが目標として掲げられました。そのため講習会が昨年より定期的に開催されています。緩和ケアに僕も多少関わっており、勉強させていただこうと参加しました。今日明日、土曜日曜と朝9時から夕方6時までビッチリです。

 

会場の北野病院に8時半に着き、分厚いテキストをパラパラと見ます。9時からテストがあります。おお、昨晩予習していてよかったぜ。しかしかなり難問でした。参加ドクターは20名ちょっとですが、なんと7割は北野病院の先生です。うーむ、どうなっとるのでしょうか。がん診療連携拠点病院であるためにはこの講習会を必ず開かなければならず、定員をうめるとかいろいろあるのでしょうね、きっと。よく分かりませんが。

 

確かなことは緩和ケアに興味を持っている開業医の先生はかなり少ないということです。講師の先生もおっしゃっていたのですが、緩和ケアは特殊なものではなく、その精神は一般診療のコアの一番大事な部分なのです。僕は緩和ケアの患者さんと付き合っていると、否が応でも医療ってこういうことなんだなぁとしみじみ日頃の診療を反省させられることが多く、しんどいですが絶対続けていこうと思います。患者さんだけでなく医者も癒されるのです。今度城東区医師会で淀川キリスト教病院ホスピス長の池永先生のご依頼で僕がつないで緩和医療地域連携の説明会が初めて開かれますが、その時城東区の緩和医療への関心度が参加者数でわかるでしょう。

 

「大阪きた緩和ケア研修会」の講師陣はゴージャスです(池永先生も参加されています)。しかも講義だけでなく2日間運営にも携わられます。僕としては非常に優秀な先生方の話が聞け、北野病院の3年目から指導医のバリバリの先生までいろいろお話できて大変満足しました。講義だけでなくロールプレイ(僕は痛みをとるために処方された麻薬で吐き気がひどく薬を変えて欲しいとごねる患者さん役をやりました。面白かったです。自分の性格の悪さがよく判った。あまり聞き分けがないので医者役のドクターが本当に困っていました)やグループ演習など盛り沢山で時間があっという間にたってしまった。明日もありますが、身体をほぐすために帰りにドライビング・レンジでぶんぶんクラブを振り回してきたし(最近本当にゴルフが簡単に思えてきた・・・→たぶん妄想)、明日もオッケーです。

 

講義ノート