昔からなぜか前衛ジャズが好きであった。
「ぴーーーーひょろろろぐぁんん、がっしゃんーーーー!!!!」というのが何故か不快に感じず、何がいいか人に説明も出来ないのだが、「ほー・・・」と思いながら眠りもせず耳に集中していた。20歳の頃、セシル・テイラーなんかも聴きに行ったなぁ。
甘ったるいのは嫌いである。いわゆるカクテルジャズというか、ホテルの最上階ラウンジなんかでかかっている思い入れたっぷりの女性ヴォーカルの歌うラブソングなんざぁ全く心に触れて来ないのである。
快適な音楽が嫌いなわけではない、というか非常に好むのであるが、肌触りとしての好き嫌いが頑としてある。
ベトベトはだめなようだ。
女性の好みも男っぽい方が好きである。
話がずれた。ともかく大音量でアルバート・アイラーやらアーチー・シェップなんかを聴いていると頭がクリアーになってくる(ような気がする)。思うにだなぁ、ホルミーシスという医学上重要な概念があって、それは簡単に言うと「人間が許容できる範囲のストレスは、むしろ人間をスポイルするよりも鍛え、能力を向上させる」ということになるのかな。過度のストレスはだめだがほどほどはむしろ必要である・・・と。
考えとしてはしっくりしますが、思うに前衛ジャズというのはこの適度なストレスを脳に与えているのではないかな。媚びるような甘い音楽は耳を通り過ぎていくだけだが、強いエモーションを持った破壊的な音は脳を活性化する・・と。破壊的な音の中に急にロマンチックな音が挟み込まれたりすると、これは非常に効く。このテンションの変化、強弱も頭をグァングァンと揺らして活性化させる気がする。
音楽療法というのがあり、これは主として回想的に音楽を使ったり、リズムの楽しさを覚えていただいたりして高齢者の方のリハビリテーションに用いられるのだが(もっと応用範囲は広いが)、我々の世代はこの程度では効かず、やはり後期コルトレーンみたいなのを聴いて頭を鍛えるべきではないか、なんて思います。昔のポップソングばかり聴いてないでさ。
この前衛ジャズのコンピはかなりいいです。