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修行としての音楽鑑賞

 昔からなぜか前衛ジャズが好きであった。

 「ぴーーーーひょろろろぐぁんん、がっしゃんーーーー!!!!」というのが何故か不快に感じず、何がいいか人に説明も出来ないのだが、「ほー・・・」と思いながら眠りもせず耳に集中していた。20歳の頃、セシル・テイラーなんかも聴きに行ったなぁ。

 甘ったるいのは嫌いである。いわゆるカクテルジャズというか、ホテルの最上階ラウンジなんかでかかっている思い入れたっぷりの女性ヴォーカルの歌うラブソングなんざぁ全く心に触れて来ないのである。

 快適な音楽が嫌いなわけではない、というか非常に好むのであるが、肌触りとしての好き嫌いが頑としてある。

 ベトベトはだめなようだ。

 女性の好みも男っぽい方が好きである。

 話がずれた。ともかく大音量でアルバート・アイラーやらアーチー・シェップなんかを聴いていると頭がクリアーになってくる(ような気がする)。思うにだなぁ、ホルミーシスという医学上重要な概念があって、それは簡単に言うと「人間が許容できる範囲のストレスは、むしろ人間をスポイルするよりも鍛え、能力を向上させる」ということになるのかな。過度のストレスはだめだがほどほどはむしろ必要である・・・と。

 考えとしてはしっくりしますが、思うに前衛ジャズというのはこの適度なストレスを脳に与えているのではないかな。媚びるような甘い音楽は耳を通り過ぎていくだけだが、強いエモーションを持った破壊的な音は脳を活性化する・・と。破壊的な音の中に急にロマンチックな音が挟み込まれたりすると、これは非常に効く。このテンションの変化、強弱も頭をグァングァンと揺らして活性化させる気がする。

 音楽療法というのがあり、これは主として回想的に音楽を使ったり、リズムの楽しさを覚えていただいたりして高齢者の方のリハビリテーションに用いられるのだが(もっと応用範囲は広いが)、我々の世代はこの程度では効かず、やはり後期コルトレーンみたいなのを聴いて頭を鍛えるべきではないか、なんて思います。昔のポップソングばかり聴いてないでさ。

この前衛ジャズのコンピはかなりいいです。

イスタンブール、 インカム ハズ カム、 DCPRG

 1週間ほど日本を離れていた。おもにイスタンブールにいたのですが、いいところでした。交通事情はすごいですけど。2車線道路は完全に3車線の感覚で、街中をタクシー、100㎞は出してたね。大阪人もびっくり!

 国よりも国民性。トルコの人は親日的というのが一般的ですが、そういった事をのけてもビジネスライクでない人が多い印象をうけた。そして外国に行った方が必ず持つであろう「日本てええ国やなぁ」という気持ちも。海外に行くのはpleasureだけでなく軽いストレスを受けて精神的に少し変わるのが一番の効用という気がする。国内旅行だとそうはいかない。

 でお休みの間スタッフは着々と仕事をしてくれていて、外来もかなり模様替えした。新規導入の一つがこれです。              

                 

 インカムといってコンサートなんかでスタッフが付けて相互に連絡取るやつ、ハンディタイプのトランシーバーね。インフルエンザが今も流行っていますが、感染した患者さんを別の階の待合室へ誘導したりとかスタッフは院内をいつも動いている。そうした時ちょっとした連絡が取りにくい時が結構多く、それで時間を取られたりするのが無駄なので導入することにした。

 なかなかカッコよろしい。何よりもスタッフ同士各々の連絡が早くなったのでミスも減るだろう(どうしたって小さなことは起こる)。これもアイデアはスタッフからで、いいと思うことはどんどんやってくれたまえ。あらかん(還暦近し)の院長は新しい刺激を受けて老けないように気をつけるよ。

 で最近はDCPRGを聴いている。さいこーです。天才(そして変態)菊池成孔選手の昔からやっているユニットだが、Date Course Pentagon Royal Garden (なんのこっちゃ)の略。今の自分にはこれほどマッチした音はなく、毎日聴かずにはおられない。おおざっぱに言うと「これ昔のエレクトリック・マイルス?」と言う人は言うだろうが、ぜーんぜん違う。もっと優しいです。今度菊池選手はジャズの名門レーベル「インパルス!」の50年の歴史の中で初めてアジア人として専属になりDCPRGのアルバムを出した。もうすぐ新しいアルバムが出る。わくわくだー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディスクガイド ガイド

この前、書評やCD評なんぞあてにならないと書いた。と、その舌の根も乾かぬうちに、CD評の本を2冊も読んでいるのである。あきれたものだ。でもよかったぞー。

その本は「マーシャル・マクルハーン広告代理店。ディスクガイド200枚。小西康陽。」と「200CDロックンロール」(こっちの監修はシーナ・アンド・ロケッツの長身メガネのカッコよすぎる鮎川誠氏)。ロックンロールの方は小西氏の本の後書きに褒めてあったので読んだ。

小西康陽氏は解散したピチカートファイブ(こんなにセンスのいいバンドがあったであろうか…空前絶後だと思う)のリーダー、というよりプロディーサー、音楽おたくとして有名だが、文章家としても僕の最も好きな人。彼の「これは恋ではない」「ぼくは散歩と雑学が好きだった」「東京の合唱」は僕の宝物である。で、このディスクガイドもハイセンスである。大体この本のタイトルの意味は何かね?

いろいろなセクションに分けてCDを紹介してあるのだが、その章のタイトルも「こういう声に生まれたかった」「ブラックコーヒー」「印税生活者たち。ドル・ユーロ編」「昨日、エレヴェイターの中で聴いた」「1974年以降の音楽に聴くべき価値などない」とくる。嬉しくなってくるなー。当然CD評もすごくいい。セロニアス・モンクはソロピアノを選んであるのだが「とても美しい顔をした少年が微笑むと、前歯が2本欠けている。セロニアス・モンクのことを考えるとき、いつも思い浮かべるのはこんなイメージ。」とか、マッカートニーのRAM「無神経さと繊細さがこれほど見事につづれ織りとなった作品も珍しい。「ラム・オン」の導入部や「アンクル・アルバート」の間奏の詩的な瞬間。確かに鼻持ちならないほど嫌な男だったのかもしれない」とか、フィフス・アベニューバンド「大学に入ったらこんなバンドを作ろうと思った。この年齢になっても、今度バンドを組むなら、と考える。現代の若いリスナーにもこの作品はいまだ力を持つのだろうか。就職なんかしないで生きよう、と思わせる説得力を」。・・・というわけでゾクゾクしながら楽しんで読めた。

「200CDロックンロール」は感じが違うけど、同じく名文満載。「パンクというのは瞬間最大風速なのだ」とか「ロックはアティテュードや。構え方とかさ。それが全部入るんよ。趣味も入るし面構えも入るし、本気ちゅうことも入る。本気じゃないといかんけんね、アティテュードゆうのは。これはその全部に満ちとるんやなあ」と鮎川氏の博多弁そのままで元気が良くて非常に気分がいい。

ディスクガイドだけど2冊ともいつも以上に著者のパーソナリティがとっても強く出ていて、そこが魅力だ。好きなものを言えばその人がどういう人か判るね。そして好きな人が好きなものを一生懸命解説してくれる。それを読んで気に入らないわけないな、考えてみると。だからこのお二人を好きじゃない人は読んでもつまらないかもね。

小西氏推薦の中からオルガン、ベース、ドラムという編成で時にストリングスが入りスタンダードを歌うというイギリスのロックバンド(モッズですね)、ザ・ペドラーズを購入。ハズレかと思いきや、あまりの僕の趣味とドンピシャに感動したのであった。よかった。

置いてあると、ついパラパラと読んでしまう。

うそー

 テレビを止めてから本を読む時間、音楽を聴く時間が増えた(大体並列してやってるもんな)。喜ばしい。で最近読んだ本であるが、「このミス」や週刊文春などメジャーなミステリー年間ベスト10で3冠達成という「2流小説家」を読んだ。

 楽しみにしていたんだよ。売れない小説家が獄中の連続殺人鬼から告白本の執筆を依頼されるが、それには交換条件があって・・・というなかなか楽しそうなストリー。3日ほどで読了した。確かに結構熱心に読みたくなるストーリー展開ではあったのだが、3冠?これがねー、うーん、と言うのが正直なところ。数年前に同じ早川ミステリーで絶賛されていた「あなたに不利な証拠として」という女性警官を主人公とした短編小説集の方が数倍深みも凄みもあったぜ。

 もちろん好みがあるので選考がどうのこうの言う気はないですが、最近ベストセラーで評価も高い和製ミステリー「謎解きはディナーの後で」にいたっては、冗談はよせというくらいつまんなかった。最後まで読めず。周りにも同じ感想のミステリー好きの人が結構いた。で、思うのだが、この前「食べログ」の採点偽装事件があったよなー。ネットでの評価は、商売としていい採点を請け負っている会社がいっぱいあるので全く信用できない感じになってしまった。書評は違うとは思うんだけど・・・。

 口コミは本来もっとも信用できるものだったのだが、これからはマスメディアやネットにのると、ちょっと眉に唾をつけてかかった方がいいのかもしれない。淋しいことだなー。金儲けばかり考えていると罰が当たるぞ。大体便利ということはなにか裏があるというものでもある。本もネットで買うことが多くなり、その時書評やら感想の書き込みを参考にしていたのだがアマゾンでも相当痛い目にあっているし、もうやめとこ。

 でこれからはちゃんと本屋さんに行こう。自分でパラパラして何か感じるものがあった本はやっぱりいいものが多い。音楽もユーチューブがあるし、一度ちゃんと聴いてから。何でも自分で確かめよう。

(でこの頃は仕事をしているときは横にiPadがあってユーチューブで気になる曲を聴きながらというスタイルになっている。すごく珍しいのがいっぱいある。楽しい。こうなると本当にCDはいらないな。時代は変わる。)

でも悪くないっすよ。

ジジノバ#2

 連休です。

 朝から今週末にある抗加齢医学会関連の研究会で発表する予定のパワーポイントを作る。「20代、30代男性の低テストステロン血症」というタイトル。昨今草食系男子が多いという噂だがどうもそれはホンマらしい…といった内容です。なかなか面白い、自分で言うのもなんだけど。

 気が付けば午後になっている。静かである。夏雲、暖かいそよ風、遠くから時々聞こえる子供の声。この前購入した「ホソノバ」をかける。細野晴臣市のボサノバだからホソノバ。大御所である。日本のロックの長老みたいなもんだ。芸術選奨文部科学大臣賞ももらってる長老の新作っと・・・

 素晴らしい。ボサノバじゃないという気がするが、ノスタルジックなほんまもんの音楽です。シンプルな構成、飽きないメロディー、ジャケットでも中の写真でもわかるけど50年代の夢のような東京でかかっていたような。クーラーのきいた部屋で聴いてはだめで、ちょっと暑いなと思いながら窓から入ってくる生暖かい風の匂いを楽しみながら聴く。

 半ズボンでランニングで、学校から帰ってくるとコカコーラのホームサイズをラッパ飲みして、汗ダラダラのまままた遊びに出かけて、夕暮れなにか寂しく人恋しくなったころに「またなー」と言って家に戻っていったあの頃である。回想はすべてスイート。今がこうなのも、あなた、すべてあなたの問題である。

 「Love me」という美しいプレスリーのバラードでCDは終わる。溜息をつき仕事に戻る。シンシンといった静かな蝉の声がする。夕方です。50年代モードで1日が終わる。

                    ハリー細野氏             若かりし頃

 

 

ジジノバ

 ボサノバが好きである。

 これは僕にとってロックが好き、ジャズがいいというのとは少し違う。気に入っている音楽というだけではなく僕にとって少し違う何か、なのである。なんだろなー、それは僕を違うところに連れて行ってくれる特別なものなんだ。それは何処か。一つの場所ではない。南の島の夜空の椰子の木の下かもしれないしブラジルのいい感じに鄙びたクラブなのかもしれない。しかし、いずれにしろ、ここではない何処か、なのである。

 僕に決定的な影響を与えた映画は、高校時代に見たクロード・ルルーシュ監督の「男と女」である。それは新しいフランス映画のクールな感覚であり、アヌーク・エーメの素晴らしい鼻筋であり、そして何よりもピエール・バルーのボサノバであった。全く新しい、信じられないくらいチャーミングな音楽。4回ほど見たが、3回以降はボサノバの流れる回想シーンを見に行った。そして僕の転落が始まったのであっだ。

 で、暗く静まった深い夜に一人でボサノバを聴く。そして気が付いたのである。ジョアン・ジルベルトをはじめ、好きなのはジジイばっかりじゃないか。そしてピエール・バルーやジョビンもそうだが、いかつい顔でハンサムな奴はいないぞ。

 わかった。

 ボサノバは優男には似合わないのである。ハンサム・アンド・ワイルドというかっこいい奴にも似合わない。ジジイ、もしくはごっつい醜男が歌い、ギターを弾く方が似合うのである。人生の苦い水をしこたま飲んだ奴だけが歌える秘密の音楽なのだ。 

 ぴったりじゃん・・・僕に。これにて私の将来は決まったのであった。夏の夜にワンノートサンバをつぶやき歌うジジイである。ボサノバ・ギターを弾きながら。ジジイのボサノバ、ジジノバである。おー、まだ時間はある。とりあえず練習開始は連休からだね。

私です。ウソ、ジョアンです。

ラブ

 寒い。明日は東北は雪らしい。心の重い日々が続く。地震は大きい。患者さんも地震酔いの方もいるし、みなさん全体に不安なオーラが出ている。

 今年は間違いなく日本のターニングポイントとなる年だ。国のグランドデザインが変わる。下を向いていないで前向きにやっていこうと思う。

 初めに要請が来た日本医師会災害医療チーム(JMAT)に登録した(外来チーフのO嬢も登録した。事務的な仕事もボランティアで求められている)。これから慢性疾患を診る内科医の必要性が増えてくる。派遣されるのは今月なのか来月なのか判らないが、しばらく自分のクリニックを離れてお役にたてるなら頑張ってこようと思う。JMATは全くのボランティア、自分で行って食事も全部自分で用意する。先陣を切って頑張っている諸先生に心より敬意を表します。

 元気の出る音楽を聴こう。ラブ・サイケデリコである。O嬢によれば「なんで今頃。古いんじゃ・・・」だそうだが、大ブレイクしてその後、ブームが去って久しいサイケデリコは最高です。めちゃくちゃかっこいいロックバンドとなっている。

 偶然耳にしたライブアルバム、出だしからびっくりです。こんなカッコいいの、信じられへん。その後Golden Grapefruits, Abbot Kinneyの2枚のオリジナルアルバムをレンタルで聴く。うーーー、カッコいい!この単純な言葉が一番ぴったりくる。ユーウツな気分も、Freedomのエレクトリックギターがブヮンブヮンうなるイントロを聴くとアップしてきます。

 当分これで維持していきたい。頑張れ、にっぽん。

 

beautiful japanese !

 

行くと吉

 昔どこかで見た、糸井重里氏の言葉を思い出した。

 「人に会うことは風呂に入ることに似ている。風呂に入るのに最初は億劫でも、風呂上りを後悔したことはない。人に会うのも同じで、まあ会うことだよ」

 いい言葉だなぁ。僕は風呂に入るのは1年中ほぼ億劫じゃないけど、感じはすごくわかる。人に会うこと、会に出ること、億劫だなーとウジウジして後、しゃあーないかと思って行くとと結構楽しかったりいい気分になったりすることが実際は多いのだ。

 この月曜日、旧友の悪社長O君の誘いでライブハウスに行った。月曜の夜出かけたりすることはほとんどないのだが、彼と久しぶりに会うのが楽しみでやりくりして出かけた。やり残している仕事も多く、翌朝も早く、ちょっとうーんと迷ったけどままよ、と岡本のアリオリオというライブハウスまで車を走らせる。

 で、やっぱり行ってよかったんだなぁ、これが。ボサノバの歌とギターの二人。Kawoleさんと藤山龍一君。すごく好み。声とギター、気持ちにぴったりでしたが、曲もビートルズナンバー(なんとカム・トギャザー)がはいったりしてすごくおしゃれなアレンジでした。

 雨の月曜日ということで聴衆はそれほど多くなかったんだけどそれがかえってよかった。O君はかなり前からこの二人を聴いていたみたいで、ステージが終わってからKawoleさんと少し話すことができた。興味の対象がかなり近い気がする。また是非聴きに来ようと思う。

 というわけで憂鬱のシンボル、雨の月曜日も楽しく過ごす。動かないと楽しいことにも出会わない。当たり前だけど。今日はかなり眠かったけど、ま、これも楽しみの一環と考えよう。

実物はこれよりかなりくだけてます。

 

 

 

緊急特集

 先週はなにやってたんだっけ…

 とりあえず仕事は忙しく、帰って飯食って風呂入って寝るというシンプルなオッサンの生活だった。ほとんどない自由時間は、早急に迫っている総合内科専門医の更新期限に間に合わすべく、足らない単位を補うために内科学会の生涯学習DVDを消化する。

 1日かかって講義される内容を詰めたDVDを3枚分、つまり3日分だがそれをいかに効率よく理解するか、巻末のテストで60点を切ると単位がいただけないため悪知恵を絞る。なかなかいい方法を見つけたのだがみんなやってるか、こんなこと。

 

 で今日の休みは運転免許の更新に行った。しかしなんで更新しなくちゃならないのだろうか?

 免停とか住所の変更があったとか変えるべき単元があれば必要だが何もなかったら新しくする必要ないんじゃない?法規の講習のため?そのために結構な時間を取られるのはどう考えてもおかしい。きっと金儲けと天下りが・・・などと考える。以前来たとき交通安全協会に強制的に入らそうとするのでこれはおかしいと思ったら同じようなことを考えている人が結構多いのがネットを見て判った。そのためか今は全く任意になっていてあまり入っている人がいない。

 

 帰りに知り合いが入院しているのでお見舞いに行く。その前に本屋さんにちらっと寄るとブルータスの特集が「緊急特集:桑田佳祐」だった!ブラボー。

 約束の時間まで熟読する。彼の、世界で最も好きなアルバムがマッカートニーの「ラム」と知り泣く・・・。一緒だ・・・(僕は世界で1番じゃないけどベスト5には入る)。僕の大好きなジャズミュージシャンの菊池成孔氏がすごく好意的で驚く。どう考えたって聴いたことなさそうなのにさ。

 「そう、だから桑田さんがいないと、「国レベル」でやばいですよ。この国情が不安定なときにね(笑)。この国には、桑田さんがいるということで持ちこたえている人がいっぱいいますからね。」

 その通りです。他の方のご意見も。

 「そこでわかったこと。やっぱりこのおっさん、日本にいなくちゃ困るじゃん。」

 「総理大臣の代わりはいても、桑田佳祐の代わりはいない」

 

 そう思うよなぁ。僕が引退するまで是非続けてほしい。勝手だけど。

 

 

内科学の展望とジャスミン

この小春日和のいい天気、国立京都国際会議場にいる。第38回内科学の展望「難治性内科疾患の克服にむけて」という講演会に来ているのである。朝から夕方まで1日中。まじめだなぁ。トホホ・・・

内科専門医更新のための単位取得という意味合いがあるわけだが、それでもアップ・トゥー・デイトな話題を専門家から直接聞ける、しかも普段なら読まないだろう他の分野の話というのは貴重である。パーキンソン病、MDS、難治性ネフローゼ、De novo B型肝炎とか、全く知らなかった治療の話もある。割と眠らずまともにノートを取る。

教授の皆さんはほとんどが僕と同年輩か年下である。うーむ。医者になって数年目、今までお姉さんばかりと思っていたナースが、いつの間にか僕より若い子ばかりになって何か年取ったなぁと思ったものであったが、また一段とレベルが違う感慨である。

聴衆は明らかにご年配の方が多い(ような気がする)。あの年齢になっても新しいことを学ぼうとする意欲は立派なものだ。素直に感心する。

で暮れかかった大渋滞の京都の町を、帰路を急いでいたわけだが、車のステレオから流れる素敵なピアノが誰だかわからない。自分でCDからハードディスクに入れたのはずなのだが、最近やたら入れてるせいか全く分からない。一瞬かなり焦る。怪しいと前から思っていたがついに来たか、認知症。しかし突然思い出す。キース・ジャレットの「ジャスミン」じゃないか。

これはいいCDです。僕の高校の同級生でちょっと男前をいいことに悪事の限りを尽くしている某広告会社の社長が「心が癒される…」と言っていた。へっ!でも悪党でも癒されるのですからなかなかのものです。

ベースのチャーリー・ヘイデンとのデュオ。キースの自宅のスタジオで録音したせいか、いつものクールさが薄まり、ひたすら優しい。最近は診察室でもこればかり流していたはずだ(小さな音だし仕事中なのでほとんど聴いていない)。仕事中でも車でもこればかり聴くか。癒されたいのかな?そうでもないんだけど。

でもとりあえず今年は最後まで「ジャスミン」です。

寛ぐドクターたち                  ジャレット!